【locofrank】こんな苦しいなら終止
符を打ちたいと3人とも思ってたんじ
ゃないかな?
L→R 木下正行(Vo&Ba)、Tatsuya(Dr&Cho)、森 勇介(Gu&Vo)
約2年振りのアルバム『Returning』が完成した! 前作以降を振り返り、新たな代表作となるであろう今作完成までの経緯を訊いたところ、“locofrankの歩みを止めることも考えた”と衝撃発言が飛び出した。
取材:フジジュン
アルバムのタイトルは“Returning”と回帰的な意味合いが含まれた今作ですが、“俺たちにはこれしかない”という自信と確信に満ちてますね。
木下
毎回、アルバムのテーマを考えて作るわけじゃないんですけど、前作『Signs』を作った時にも振り返ることの重要さや強さを痛感したんです。バンドに関して、“生きる”ということに関して、原点をもう1度振り返って、新たな気持ちで再スタートを切るっていう意味を込めてタイトルを付けました。
前作からの2年間はバンドにとってどんな期間でした?
Tatsuya
この2年で僕らの環境もガラッと変わって。世の中も流動的に変わっていく中で、“俺たちはまだできるんだろうか? 続けられるんだろうか?”と、自分自身と向き合うことが怖くなってしまった時期もあったんです。でも、心の底では“まだ続けたい”という気持ちがあったので、自分たちで企画、運営、マネジメントなど全てをまかなっていくDIYにやり方を変えた時、“不安やビビってることを潰してしまうくらい自分たちが変わっていけばいいんじゃないか?”と前向きになれたんです。それによってバンドへの向き合い方も変わったし、発信するものも変わった。この2年があったことで、今は昔以上に腹の底から自分たちを出せていると思うんです。
森
今まで自分たちでlocofrankを殻に閉じ込めていたところもあったと思うんですよ。それが今回は、どう思われてもいいから本当に好きなもの、やりたいことを全部入れよう!って気持ちで一曲一曲を作ることができた。自分たちの本質、ここまで積み重ねたものがしっかり詰め込めたと思います。
そこで具体的なテーマや話し合いを設けて意思疎通せずとも、3人が同じ方向を向けたのは今だからこそ?
Tatsuya
それは昔のほうが当たり前にできてました。なぜなら、悩むことも考えることもなくて、ただ音楽が好きで、locofrankが好きでやってたから。変に知識や知恵、技術が付いてくることによって、そこを忘れてしまってたところがあったからこそ、“バンドを始めた理由って何?”ってことをもう一度考える必要があったんです。昔やってたことを反復して、昔から好きだった音を鳴らす…そういう意味で“Returning”という言葉は、今の俺らの存在そのものを表してると思うんです。
原点回帰と言ってもゼロに戻るわけやノスタルジーに浸るわけじゃなく、次に進むためにあの頃のガムシャラなエネルギーが必要だったんじゃないかな?とも思いました。
木下
その通りですね。自分たちでやるという手段を選んだからには、運営や食うためにどうこうというのも大切ですけど、それに追われることに違和感があって。“俺たちって何? バンドマンじゃねぇの?”と思ったこともありましたけど、その時に自分たちがやりたいことを続けるには、昔みたいなガムシャラさが必要なんじゃないか?とも思ったんです。そこで3人が改めて向き合わざるを得ない状況になったというか。昔を思い出してもう一度バンドにワクワクすることができるようになったらライヴも変わったし、いろんなことが変わっていきました。
楽しいだけじゃない苦しかった過去とも向き合って、そこで思ったことが、今作にはしっかり反映されていると思います。
Tatsuya
結果良かったですけど、地獄みたいな時もありましたからね! ただただ、やさぐれてましたもん(笑)。
森
全員が自分以外のふたりに対して、“どっちか死んでくれないかな?”と思ってましたから(笑)。
木下
アハハ。“死んでくれ”は冗談ですけど、“こんなに苦しいなら、いっそ終止符を打ちたい”って、locofrankの歩みを止めることは3人とも考えてたんじゃないですかね。
「Returning」にも、《何度も飲み込んだ最後の言葉》と訳される歌詞がありますが、まさにそんな状況だったと?
木下
はい。それが言えたら楽だったんでしょうけど、やっぱり全部が中途半端で終わってしまうのは悔しいんですよ。そこで3人が悩んで考えて、その答えを持ち寄って。3人の気持ちがグワッと上がったので、この気持ちが詰まったものを出したいと思って、急いで作り上げたところはありました。
アルバムを作りながら、改めて気付いたこともありました?
森
3人とも柔軟に考えられるようになったので、今までだったら“このバンドのこういう感じにしたい”っていうのは、“俺らっぽくない”で一蹴されてたと思うんですけど、“だったら、どうやって料理しようか?”と考えられるようになりましたね。
Tatsuya
そういうところから新しいものが生まれたりしますからね。本当の原点を探れば、カッコ良ければ何でも良かったんです。それなのに、自分たちが勝手にlocofrankをカテゴライズしていた部分もあったというか。レコーディングも今までで一番早く終わったんですけど、“行ってまえ、行ってまえ!”みたいな感じでノリ重視でどんどん進めて(笑)。
歌詞も他人の目を気にせず、今思ってることを洗いざらい吐き出している印象を受けましたよ。
木下
見たくないものも見なきゃいけない時もあるし、考えたくないことも考えなきゃいけない時もあるし。その時、誰かの顔色をうかがってイエスとノーを選択するのはらしくもないし、パンクじゃないですから。自分たちの中で白黒はっきり付けられるようになってきたので、自分の言葉に確固たる自信を持って、伝えたいことを明確に発信できてると思います。
しかし、続けてこないと見えない景色ってあるんですね。
Tatsuya
はい。僕らはたった17年ですけど、今回すごく思いました。今はここから続けていくことで見える景色がさらに広がっていくんだろうとワクワクしています。新しいことをしたい気持ちがあるし、アイデアもどんどん出ています。
木下
まずは、リリース後に自分たちで背負って完結させなきゃいけないワンマンツアーに挑戦して。思い描いてる結末にはならないかもしれないけど、それも含めてどうなるかが俺ら自身もすごく楽しみなんです。これからも“楽しい”を原動力に、さらにいろんなことに挑戦していきたいと思ってます。
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