【忘れらんねえよ】俺の中の“二軍ス
ピリッツ”に純粋になってみようと思
った
L→R 梅津拓也(Ba)、柴田隆浩(Vo&Gu)
メンバー脱退、ベスト盤発売を経て、新章の幕開けとなるミニアルバム『俺よ届け』が完成! これまでの音楽性をさらに掘り下げた曲から、これからを指し示す美しい曲まで、“良い曲”を追求した今作について柴田隆浩(Vo&Gu)に訊いた。
取材:フジジュン
忘れらんねえよのこれからを指し示す、新章の幕開けを宣言するような作品が出来上がりましたね。
今回はすっきりしましたね、快便です!(笑) もうね、言いたいこととか、鳴らしたい音、歌いたいメロディーと全部が出せました。もっと言うと、今まで言いたかったけど我慢してたことも言えてるから、半端なくすっきりしました!
今までも言いたいことを言っているイメージですけど(笑)。
言いたいことの深さは変わらないんですけど、今回は自分の心の中でも今までと違う土地にある“二軍スピリッツ”を出せているというか。僕、中学校の頃はスクール・カーストで言う二軍にいて、当時もめちゃコンプレックスだったし、今もそれがものの見方の基準になってたりするんです。意外とそこに焦点を当てた曲がないなと思って。今回はもっと二軍スピリッツに純粋になってみようと思って曲を書いたんです。
うん。これまでは純粋さを感情のままに表現していた感もあったけど、今回はロックにさえもとらわれず、メロディーの良さや美しさをとことん追求した作品になってますね。
もっと唯一無二の存在になりたい、誰にも似ていないバンドになっていきたいと思って。今まではプロデューサーに委ねてた部分も、最後まで自分で責任を取ろうと思って作ったのが「俺よ届け」と「俺の中のドラゴン」だったんです。逆に「眠れぬ夜は君の名をググるよ」「まだ知らない世界」はアレンジとかをプロデューサーのNARASAKIさんに委ねて、俺は歌と作詞作曲に専念しました。
結果、聴こえ方としてすごく新しいものになってますね。
そうであってほしいし、シーンの中でも異質なものになりたいですね。でも、「俺の中のドラゴン」なんて、うんこの歌ですから。今、そんなの歌ってるバンドいないと思うんですよ(笑)。でも、そういう中2的なことがへっぽこな音に乗ってても全然面白くなくて。バッキバキにカッコ良い、ハイファイな音で、猛烈に緻密に作り込んだリズムに乗せるから、面白いわけで。そこまでやれたことに意味があると思うんです。
落差があるから面白いわけで。「眠れぬ夜は君の名をググるよ」もあれだけ美しい演奏とメロディーなのに、歌ってることは相当キモいですからね。
そう(笑)。でも、何かに夢中になって気持ち悪いこと言ってる人って、その想いはすごく純粋だったりするじゃないですか。だからこそ、丁寧に表現したいし、背景にしっかり作り込んだサウンドや情緒があって、言いたいことをちゃんと言えている音楽表現がしたかったんです。あと、今までは僕はベースの音作りとかドラムのアンビエントの使い方まで気が回せていなかったんですけど、ちゃんと全体が見えるようになってきたのも大きいと思います。単純にスキルが上がって、気付ける耳になってきたんだと思うんですけど。
あと、歌も超良かったですよ。歌い手として、作詞作曲家として、グッとスキルが上がった気がします。
今回、良いですよね。俺も「眠れぬ夜は君の名をググるよ」とか、俺の出したい声が出せてて、歌も取るべきリズムがしっかり取れてて、イメージ通りにできたんで、すごい気に入ってるんです。
あと、歌は感情の部分ですよね。バラードやミディアムテンポの曲が続くけど、どれも感情の向き方が全然違っているし。
今回、発声の仕方を全然変えてるし、歌ってる時の顔で声が変わるって発見もあって。NARASAKIさんに教わったんですけど、笑顔で歌うとちゃんと笑顔っぽい声になるんですよ! そこでよりいろんな表情が付けられたし、母音をはっきり発音するとか、今まで気付かなかったことに気付けていたり。でも、まだまだだと思うところもたくさんあるので、ここからさらに良くなっていくと信じています。
あと、映画『何者』の挿入歌や、映画『うつくしいひと』の主題歌ってところで、自分たちを必要として、求めてくれる人がいるというのも大きかったのかなと思うのですが。
単純にアガりますよね。アガるし、頼んでくれた人が驚くような、すごい良い曲を作ろうと思いますよね。『何者』の時も最初に「俺よ届け」が決まって、もう1曲良い曲出して驚かせてやろうと思って「まだ知らない世界」を出して、採用してもらって。すごい燃えたし、嬉しかったですね。
今作はテーマがあってできた作品ではなく、そうやって全力で挑んだ一曲一曲が揃った作品だからこそ、今までの延長上にある曲もあれば、まったく新しい切り口の曲もあるという。
そうですね。だから、ここからだんだん自分たちの型を見つけていきたいし、そこに向けて新しい挑戦もできました。単純に曲が増えたから、ライヴももう一歩先に行ける気がするんですよ。スキルが上がってきて、今回みたいにイメージ通りの曲や演奏ができるようになったからこそ、好きなことが言える余裕も出てきたし。ストレスフリーでバカなことも言えるし、より自由に自分を表現できると思うんです。ここから、さらにのびのびといろんなことにトライしていきたいです。
うん。俺も今作を聴いて、次にどんな作品が出てくるのかが楽しみになりました!
すでにやりたいことがあって、次はより二軍感の強い曲がやりたいんです。“ヤンキーになれなかった”みたいなテーマで、《夜の校舎 窓ガラスを割れなかった 申し訳ないから》みたいな歌い出しで始まる曲、どうかな?って。
わははは! どんだけ、いいヤツだよ!!(笑)
ロックの歌詞でそんなの歌ってるヤツ、聴いたことないでしょ?(笑) でも、俺って実際にそういうヤツだし、そういう部分も出していけたら面白いんじゃないかって。今までバンドと恋の歌を歌い続けてきて、納得できる曲や活動ができるようになった時、次は俺の中でずっと引っかかってることや欠落したことを歌いたいなと思って。それって見苦しいし、理屈が破綻してるかもしれないけど、それが二軍スピリッツですから。「俺よ届け」で歌ってる、《俺変わったりしないから》というね、“変わってたまるかよ!”ってのが本音です。
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