【中島 愛】復帰の前向きさを込め、
自分の背中も押してくれるシングル
2014年3月から音楽活動を休止していた中島 愛が、シングル「ワタシノセカイ」で音楽シーンに復帰! さわやかで真っ直ぐなベースは変わらず、少し大人になった歌声を聴かせている。
取材:榑林史章
音楽活動を3年間お休みされていましたが。
音楽にまったく触れていなかったわけではなくて、声優として参加した作品のイベントなどに少し出演させていただいたり、リスナーとしてもいろんなライヴやミュージカルに足を運んだりしていました。発信する側ではなく、リスナー目線で歌や音楽の持つ力を体感するなど、お休みした期間で得たものがたくさんありました。
復帰のきっかけになったのは?
昨年4月に、アニメ『たまゆら』のイベントに出させていただいたことです。2年振りにみなさんの前に立って歌ったら、気持ちがあふれ出してきて。ステージに立ちたいと思っている自分を認めることができたんです。自分の歌を聴いている時のみなさんの表情が目に焼き付いて離れません。聴いてくださる人がいるということから、すごく勇気をもらいました。
今回の「ワタシノセカイ」は、さわやかなアニメ『風夏』の青春物語を後押しする楽曲で。アニメの世界観に寄り添いながら、中島さんの再出発の気持ちも込められていますね。
作詞はアニメ『風夏』の原作者である瀬尾公治さんで、青春時代にしか吹かない風や匂いが感じられるものになっています。瀬尾さん原作のアニメ『君がいる町』でヒロイン役の声優を務めさせていただいたことがあり、瀬尾さんとはご縁があったので、私の復帰第一作ということも併せて、歌詞を書いてくださったことがとても嬉しいです。
さわやかなバンドサウンドが印象的ですね。
ロック色の楽曲はあまり歌ったことがなかったので、自分の歌声がフィットするか最初は不安がありました。でも、歌い込むうちにどんどん自分のものになっていった感覚がありますね。歌詞やサウンドに手を引いてもらったと思います。
デビュー作の時と同じスタジオでレコーディングしたそうですね。
そうなんです。部屋もまったく同じで。奥に電子ピアノが置いてある風景とかすごく覚えていて、一瞬デビュー当時に戻って、しごかれた思い出が蘇りました(笑)。でも、そのことが緊張を解きほぐしてくれました。原点回帰の気持ちになれて、すごく嬉しかったです。
今回のシングルは、3曲全部が心機一転で新しい一歩を踏み出す気持ちを歌ったものになりましたね。
2曲目以降もライヴを意識したアップテンポの楽曲にできたらと思っていて、歌詞も復帰にあたっての前向きさや、自分の背中を押してくれるものであったらいいなと思っていました。
「最高の瞬間」には“スタートライン”や“ふりだし”という言葉も出てきますしね。
はい。ただ力任せで前に進むのではなくて、前向きさがありつつ繊細さがあるような曲です。《フレー!》という歌詞もあって、自分自身もすごく勇気付けてもらっています。自分がディスコやファンクのテイストが入ったサウンドが好きなこともあって、そういうサウンドに寄せていただきました。
《迷わずいけよ》というフレーズがありますけど、これはアントニオ猪木さんの名言ですか? 確か、中島さんはプロレス好きでもあるので。
そうなんです! 実は作詞の山田稔明さんから歌詞の希望を訊かれ、“ときは来た”(橋本真也が猪木とタッグ戦を行なった時の名台詞)というイメージでって、その時は深くプロレスを意識せずにお願いをしていたんです。そうしたら山田さんから“プロレステイストを入れてみました”と、この歌詞が。私、もう嬉しくって。気付いてくださってありがとうございます!
「愛はめぐる」は中島さんのお名前“愛(めぐみ)”とかかっていて、歌詞には中島さんの代表曲「星間飛行」(ランカ・リー名義)にかかったフレーズもあったり。
歌詞を書いていただいていた当時は意図的ではなかったのですが、タイトルからはそうとらえることもできますね(笑)。自分でも歌いながら、すごい“めぐめぐ”歌っている曲だなと思いました。
SUEMITSU & THE SUEMITHの末光篤さんの作曲ということで、ディストーションのノイジーなギターときれいなピアノのミスマッチが、不思議とマッチした独特な雰囲気の曲ですね。
すごく好きなテイストですね。「最高の瞬間」では陽の部分をすごく出していただき、「愛はめぐる」は陰と陽の両方がある感じです。マイナー調の突き抜けきらないサビだったり、気持ちのグラデーションが曲調にも表れていますね。今の自分の気持ちに一番近いかもしれないです。
休止中に思ったことも込められている?
休止中の自分が救われた気持ちになりました。人間ずっと前向きばかりでもいられないとは思うのですが、私はそれを否定してきました。自分は人前に出る立場なのだからずっと明るくいなくちゃいけない! 笑顔でいなくちゃいけない!と。でも、沈んだり暗くなってもいいし、人前でそういう部分を見せてもいいんじゃないかと、この曲に言ってもらえた気がしました。
ライヴではコーラスをお客さんも一緒に歌ってほしいですね。
クラップもありますし、盛り上がれたら嬉しいですね。“今、一緒に空間を作っているんだ!”と思ってもらえるよう頑張ります。
リリースイベントもありますが、今後については?
実は、歌唱するリリースイベントはあまりやっていなくて。ランカ・リー名義でデビューした頃以来なので、それこそ原点回帰の気持ちです。今後はライヴをたくさんやりたいと思っているので、ライヴハウスで生バンドとともに届けることもしていきたいですね。食らい付いていく勢いというか、今の自分はこうです!というものを直接ぶつけていきたいですね。
アーティスト
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