【バズマザーズ】“普通”か“常軌を
逸してる”かリスナーに判断してほし
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山田亮一(Gu&Vo)率いるバズマザーズが、前作から約1年半振りとなるアルバム『普通中毒』をリリース。“普通中毒”という言葉に込めた想いや、制作について山田に語ってもらった。
アルバム『普通中毒』は前作から約1年半振りとなる作品ですが、いつ頃から制作に取り掛かったのですか?
事務所が付いてないので、何でも自分らで決めさせてもろてます。いつどこで誰とコンサートするかとか、物販でどんなもん売り付けたるかとか。せやから、アルバム作るゆうても、曲も何もできてへん段階でレコーディング日程は組めないんで難儀します。というのも、贔屓にしとるレコーディングスタジオがあたいらみたいなバンドマンでも使えるくらい、安くてええとこでえらい評判なんで、曲できてから予定を組んだんでは段取りとして遅すぎる。なんで、とりあえず予定だけ先に決めて、あとは風の吹くまま、木の実ナナゆうてね、面白いでしょ? みたいなことで、ええ加減にやってます。
“普通中毒”というタイトルに込めた想いを教えてください。
バンドマンみたいな因果な商売をやってますと、普通への憧憬みたいなもんは尽きません。あまつさえ30代ですしね。なんで、今回は奇をてらったような野暮ったいことはせんと、なるべく曲の展開を“こうきたら普通こうなるはずや”って作ることを心掛けてたんですわ。それが、あたいの頭の中で自然に鳴ってる音楽やないかなと。リスナーのみなさんからして、ほんまに“普通”のもんなんか、“常軌を逸してる”もんなんか、判断してくれたらええな。と思って作曲したんで。
収録された11曲以外にも楽曲はあったのですか?
とりあえずできた曲は全部収録されてます。でも、曲がある程度出揃ったからアルバムを制作したわけではなく、家賃や光熱費を支払ったり、無洗米や、味噌や、黒霧島や、ジャンプや、娼婦を購入するにあたってのまとまったお金をゲットだぜ!するためには、年1のペースでアルバムを発表しなければならない、という先代のマネージャーが作ったファンシーな誓約に基づいて企画されたレコーディングなので。余談やけど、そのマネージャーは辞めたので、次からは自分のペースでアルバム作れるようになりますわ。
「サンダーボルト」は耳に残りやすいギターが印象的ですね。
「サンダーボルト」はギターと歌だけ目立っとればええゆうて作って、重松ファンも、せんちょーファンも、みな山田の総取りじゃい!ゆうつもりで作りました。
「せっかちな人の為の簡易的な肯定」はリズミカルに流れるような歌、緩急のある構成が高揚感を誘う楽曲ですが、楽曲のテーマにしたのはどういったことだったのですか?
この曲のテーマはね、“近頃の若い奴はほんまに…”ってことです。今、あたいも若い衆に思ってて、自分もガキの頃に言われてたし、もっとゆうたら縄文時代とかから言われてたんちゃうかなと。そう考えたら、もうそんなもん言うててもしゃあないとなりまして、結論として“ま、ええんちゃう。幸あれ”となったわけです。どうせ今の若い世代も30歳超えたら同じことをゆうてると思ったら、なんぼか情緒も安定感持てますやん。ケチな男ですわ。これをつなげて、“近頃の若い奴はほんまに…ま、ええんちゃう。幸あれ”っていう歌。“適当な肯定”ということで、イエスのフレーズを簡易的にして入れてます。
「傑作のジョーク」は、メランコリックな歌詞とお伽話を彩るようなサウンドが合わさって、心に響いてきます。
弾き語りワンマンをやるようになって、弾き語りで気持ち良く歌える新曲が欲しいですってサンタさんにお願いしたら降ってきた曲です。ラッキー。
今作を切なく締め括る「ナイトクライヌードルベンダー」はどういったきっかけから生まれた楽曲ですか?
過去に初めてプロにPV撮影を頼んだ時にできた歌です。その監督は前のマネージャーがつてで探して来た人で、とりあえずプロっぽい映像が作りたかったから、その人に任せた。ろくにどんな作品を撮ってるのか調べもせず、プロに任せりゃ何かそれらしいもんができるだろうって。自分がどうしたいかを考えることを放棄してたんやと思う。だって相手はプロだし、立派なバンドマンに見えるはずだ?と。でも、撮影が進むにつれて、何でこんなとこで俺は歌ってる振りをしてんだ、と思い始めて。終わってホテルに帰っても眠れなくて、考えることを放棄した自分が情けなくて許せなくて、夜の知らない町を歩いてたら、遠くから夜鳴き蕎麦のチャルメラが聴こえてきて、なんだか救われたような想いになったんだよ。それを音楽で表現できないかなと思ったら、翌日に歌詞もメロディーも一気にできた。ってな歌ですわ。そんな経緯もあって「傑作のジョーク」のPVは完全に自分で企画監督編集をやりました。
「月と鼈」「スクールカースト」をはじめ、スリリングで緊張感のあるアンサンブルも聴きどころだと思いました。
全てがその瞬間のベストテイクであり、全てが今の自分らにとってのワーストテイクやわね。男子三日会わざれば刮目して見よ。ちゅーこっちゃ。
作り終えたことで改めて得られたことや、制作時に印象的だったエピソードなどがあれば教えてください。
得られたものはまだないけど、まとまったお金が得られたら、俺は満足。エピソードとしては、録ったばかりのミックス前の音源をスマフォに入れて、メンバー3人でイヤフォンをして“せーの”で再生しながら、場末を飲み歩いたのがいい思い出です。
リリース後にはワンマンと対バンを織り交ぜたツアー『ハイファイおじさん』を行ないますが、対バンには同世代のバンドから新鋭のバンドまでいて、どのようなライヴになるのか期待が高まります。
ライヴスケジュールをまったく把握できていない馬鹿な男で、俺の頭に入ってるのは次にどこで演奏するかってことだけなんですよ。それ以外、何にも見えない。カッコ付けてるって思ったなら、俺はカッコ良いんやろうね、ごめんね。だってほんまのほんまに本心なんやもん。だから、ライヴに来てくれたお客さんにはいつだって、その瞬間しか見てない山田亮一を見せられると思うよ。
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