【lynch.】“罪”を背負ったバンドが
放つ復活の一撃
L→R 悠介(Gu)、晁直(Dr)、葉月(Vo)、玲央(Gu)
活動自粛を余儀なくされたlynch.が、J、人時、YOSHIHIRO YASUI、T$UYO$HI、YUKKEという多彩なベーシストをゲストに迎えた復活第一弾音源『SINNERS-EP』をついにリリース。彼らの新たな快進撃の狼煙となる重要な作品だ。
取材:土屋京輔
まずはタイトルに驚かされましたよ。全て背負っていくんだというバンドの意思表示でしょうからね。
葉月
そうですね。でも、二転三転したんですよ。傷付いているファンの子たちに対しては、結構酷な言葉かもしれないなぁと思いつつ…決して悪ふざけでも悪ノリでもないんです。正直、インパクトもあると思いましたよ。ただ、自分たちも忘れちゃいけないことだと思ったし、残しておきたかったというのもある。単純にヤツが犯した罪というだけじゃなくて、僕らも“終わらない”“止まらない”ってずっと言い続けてきたのに、こういう事態になってしまったという意味で “罪”の意識は当然あるし。
当初はアルバム『AVANTGARDE』に伴うツアーを続行するスケジュールで動いていたわけですから、このタイミングでの音源制作は予定になかったでしょう?
葉月
ほんとは秋ぐらいまでは何も出ない予定でしたからね。ただ、復活するなら、最低でもEPサイズの音源が欲しいというところで作り始めたんですよ。「KALEIDO feat.T$UYO$HI」だけは欠片があったんですけど、あとは書き下ろしですね。いや、「TRIGGER feat.J」もあると言えばあったかな。
「TRIGGER feat.J」に関しては、“闇LIGHTNINGの完成版”といったツイートをしてましたよね。当時のlynch.にとって「LIGHTNING」は特殊な立ち位置の曲だったじゃないですか。それまでにはないキャッチーさもあって。
葉月
何か変わろうとした感じですよね。「LIGHTNING」の原曲は完成したものに比べて、メロディーや雰囲気がダークだったんで、メンバーの間では“闇LIGHTNING”と呼ばれてたんですけど、いつか出したいとは言ってたんですよ。それが今回の「TRIGGER feat.J」になってるんです。サビは全然違いますけどね。最初にこのサビが浮かんだ時に、AメロやBメロをどうしようかと考えている中で、“闇LIGHTNING”の存在を思い出したんですよ。そこではめてみたらばっちりで。
これはまさにこのEPを象徴する、いわゆるリードトラックたるものになるだろうと確信を持って?
葉月
そうですね。ああいうことがあったあとということで、興味本位で僕らに目を向けてくれてる人もたくさんいるから、激しさ一発勝負みたいなものよりは、ちゃんとメロディーでしっかり勝負したかったんですよ。
悠介
復活にあたっての一歩に相応しい曲だなというのはありますね。楽曲の雰囲気もそうだったんですけど、「JUDGEMENT」(2010年9月発表のインディーズラストシングル)な感じがしましたね。ギターソロを交互でやったり、バンドの持ち味みたいなものをフルに入れてる感じが懐かしいなと思ったり。ただ、そこだけにはとどまらず、しっかりと今まで培ってきた経験が活かされているのかなという新鮮さもあるし。今回はベーシスト陣が豪華なので、そこに負けないようにというのはやっぱりあって。ヘタなフレーズは入れたくないなという、自分にプレッシャーを与えながら弾いたりもしたんですけど、今までより洗練されたとは思うんですよね。この曲のPV撮影の時にJさんに褒めてもらったんですけど、そのひと言が聴けただけでも、頑張ってきて良かったなって。何か報われた気がしましたね。
Jさんを始め、今回は通常では考えられない顔触れの5人のベーシストが参加していることも話題ですよね。
葉月
まず、5曲とも違うベーシストに弾いてほしいというのがあって、その中で人時さんとJさんは僕の中で超マストだったんです。黒夢もLUNA SEAもベースをめちゃめちゃコピーしてたから、ほんとに僕のルーツなんですよ。なので、無理だろうなとも思いつつ、“絶対になしじゃなければ、正式なオファーをまた送らせていただきたい”っていう超長文のメールをJさんには送らせていただいたんですけど、そしたら“了解! 待ってます!”みたいな返事があって(笑)。そこから「TRIGGER feat.J」とかも作り始めたんですよ。人時さんに関しては明徳が脱退ってなった時に、人時さんのほうから“何か困ったことがあったら言ってください”ってメールしてきてくださって。
玲央
これから僕たちはどうしていくかと考えた時に、その環境じゃないとできないことをやることが、バンドにとって一番プラスになるんじゃないかと思ったんですね。そのひとつがそれぞれ違う人にベースを弾いてもらいたいということだったんですけど、結果的にそれが叶ったという状況には感謝の言葉しか出てこないですね。冷静に考えてみると、すごいなと思いますよ。この5人が同じCDに入ってるなんて。
ただ、その基盤を作っているのもlynch.なんですよね。
玲央
そうなんですよ。だから、不思議なんですよね。
晁直
明徳がいなくなった時点で、大きなマイナスじゃないですか。でも、こうやって豪華なベーシストで話題になるというのは、お客さんも喜んでくれただろうし、明徳の穴は完璧には埋まらないと思うんですけど、みなさんのおかげでまた違ったlynch.も見られると思うし。実際にいろんなベースを聴いて、勉強になることもあったし、音楽的なアプローチに関する考え方も多少なりとも変わりましたね。
本作を引っ提げてのツアーも8月11日の日比谷野外大音楽堂公演まで続きますが、何よりも全国各地へと赴くことが、今回の一番重要なところでしょうね。
玲央
今回、4人のサポートベーシストにお願いして回るツアーゆえに、正直言って僕らも未知数なところもあるんですよ。でも、僕ら自身もそれを楽しみにしていますし、吸収できるものもたくさんあると思うので、その集大成を日比谷野音では観せることができたらいいなと思います。
悠介
悲しい想いをさせてしまった人たちを笑顔にしなきゃいけない。それが優先すべきことだと思うので、ツアーを回って、それを1個ずつ解消していきたいなと思います。
アーティスト
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