人気、実力ともに絶頂期のクイーンが
リリースしたライヴ盤
『ライヴ・キラーズ』
伝記映画の魅力
それらテレビドラマと並んで大好きだったのは、ミュージシャンの伝記映画である。『グレン・ミラー物語』(‘54)、『ベニー・グッドマン物語』(’56)、『5つの銅貨』(‘59)の3本はよくテレビで放映されていて、放送するたびに観ていた。トータルで何度観たかは覚えていないが、どれも内容や登場人物の名前を覚えるほどであった。3本ともジャズ関連の伝記映画であるが、僕が音楽を好きになったのはこれらの映画の影響が少なからずある。
伝記映画からライヴ映像へ
クイーンの日本独自ライヴ映像
本作『ライヴ・キラーズ』について
収録曲は全部で22曲、7枚のアルバムからファンの好きなものを違和感なく並べてあり、ハードロックバンドからクイーンというジャンルへと変遷を遂げた彼らの特徴がよく分かる選曲だと言える。「キラー・クイーン」「バイシクル・レース」「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」の3曲はコンパクトにハイライト部分だけをコラージュし、ハイレベルのテクニックでさっぱりと聴かせる。また、「ナウ・アイム・ヒア」や「ブライトン・ロック」のようなハードロック時代の長尺曲もメリハリのあるアレンジと、ブライアン・メイをはじめとする鉄壁のテクニックで最後まで飽きさせない。
フレディのエンターテイナーぶりが光る「ドリーマーズ・ボール」や「ラブ・オブ・マイ・ライフ」「‘39」といったポップス志向の名曲ではコール&レスポンスで観客も大いに盛り上がり、早くも熱狂のピークを迎えている。以降はクイーンの代表曲とも言える名曲群が続き、リスナーはカオスの坩堝に放り込まれることになる。そして、アルバムの締めは、やはり「ウィ・ウィル・ロック・ユー」と「伝説のチャンピオン」であり、エピローグとして演奏のみの「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」で熱狂のままコンサートの幕は降りる。
本作は彼らにとって初のライヴ盤なので、多くのリスナーが難曲「ボヘミアン・ラプソディ」は演奏できるのかと疑問に思ったはずである。もちろん僕も、そう思ったのだが、さすがはクイーンだ、ちゃんと乗り切っている。スタジオテイクは何十回にもおよぶヴォーカル部分のオーバーダビングを繰り返しているだけに完璧な出来であり、それと同じにはいかないが、ライヴであるにもかかわらず誰もが文句を言えないぐらいの高水準に仕上げている。彼らの演奏力は数多いるブリティッシュロッカーたちの中でも抜きん出ており、この技術力が観客を陶酔させる秘密のひとつでもあった。
フレディ・マーキュリーの資質とは
TEXT:河崎直人
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