デビッド・ボウイの尽力で
モット・ザ・フープルが創り上げた
名盤『すべての若き野郎ども』
モット・ザ・フープル結成
ミックの新しいグループ“モット・ザ・フープル”のコンセプトはディランのような歌、プロコル・ハルムのような重厚なキーボード、ストーンズのリズムセクションをミックスしたイメージであるらしい。
アルバムをリリースするごとに
迷走を繰り返す
解散寸前のフープル
本作『すべての若き野郎ども』について
プロデューサーであるボウイの口添えがあったのかどうかは不明だが、彼らは本作からCBSに移籍、アルバムに先だってタイトルトラックの「すべての若き野郎ども」をシングルリリースしている。この曲はボウイの手になる渾身の名作で世界中で大ヒット、今ではロックファンなら誰もが知っているスタンダードナンバーのひとつだ。また、本作に収録された全ての曲が素晴らしく、ルー・リードがヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代から歌い続けている代表曲「スウィート・ジェーン」のカバーから最後の「潜水夫」まで、捨て曲はまったくない。「レディ・フォー・ラブ」はミックのギターが冴え渡り、のちにポール・コゾフ(元フリー)とともに結成するバッド・カンパニーの音作りの手本になっている。そして、ラストの「潜水夫」は深海での孤独を歌ったものだが、ボウイの『スペース・オディティ』の宇宙飛行士の孤独と対をなす双生児的なナンバーである。イアンの巧みなソングライティングと、ミック・ロンソンのアレンジによるストリングスが物悲しく、アルバムのラストを飾るのに相応しい名曲だろう。
このアルバムで開眼した彼らは、この後のセルフプロデュースでリリースした『革命(原題:Mott)』(‘73)も素晴らしい出来だったのだが、残念ながらミック・ラルフスの参加はここまで。彼はバッド・カンパニーを結成することになる。
それにしても、70年代中頃までのボウイの存在がモット・ザ・フープルの再生につながったのは間違いなく、本作を聴いていると才能って伝播していくんだなと思う。
TEXT:河崎直人
アーティスト
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