アイドル運営をAV女優がするってどう
よ?:瀬名あゆむ連載15

瀬名あゆむのAV vs アイドル
~もし元AV女優がローカルアイドルのプロデューサーになったら

第15回「アイドル運営をAV女優がするっ
てどうよ?」

 こんにちわ。仙台&千葉のローカルアイドル『2ねん8くみ』プロデューサーの瀬名あゆむです。
 前回より続く、アイドルカフェ2ねん8くみ開店シリーズです。
 店舗を選んで契約し、備品を揃え、入場チャージやメニューの料金設定を決めて、ようやく働いてくれるアイドルたちの求人募集とお店のオープン告知宣伝にまでこぎつけました。
 ただここまで来て、やはり最大のポイントとなったのは私・瀬名あゆむの存在、立ち位置でした。
 いったい私は、どういう名前で、どういう素性で、どういう形で、
『あいどるかふぇ2ねん8くみ』と向き合うのか?
 最大のポイントは「AV女優・瀬名あゆむ」の名前を出すか出さないかです。
 AV女優の場合、引退してからでもその名前はかなり長くネットにメディアに雑誌に商品に残り続けます。AV作品の販売や配信は続けられるし、裸のグラビア写真なども何度も再掲載されます。本人が引退してAV業界から身を引いたつもりでも、名前とバーチャルな肉体―動画や写真―は残り続けるのです。それがリアルな現実です。
 だから瀬名あゆむという名前を一般社会に出すことでどんな影響が出てしまうのかを強く考えないわけにはいかないのです。
 水商売系や性風俗系のお店なら出すことでお客さんの人目を引くことができて、売上げに貢献できるかもしれません。
 けれど「アイドルカフェ」ならどうなのか?
 そもそも「アイドルカフェ」という営業形態自体が世間的にどれほど認知されているのか? しかもオタク&アイドルの聖地・秋葉原ならともかく、ここは東北・仙台です。
 もし大きく「AV女優・瀬名あゆむ」の名前を出したら、『あいどるかふぇ2ねん8くみ』がフーゾク店と勘違いされちゃうかも……なんて心配までしました。そういう誤解を生むのはアイドルファンだけじゃなく、フーゾクに関わる人にもフーゾクのお客さんにも申し訳がないです。
 だったらいっそ瀬名あゆむの名前はきっぱり捨てて、かつてのローカルアイドル時代の名前に戻ろうか。その頃の経験と北海道で深夜テレビに出演してたことだけを表に出すことにしようか……。
 かなり悩みました。私自身のことより、やっぱり『2ねん8くみ』への影響ですよね。元AV女優がやってるアイドルカフェ/アイドルグループにアイドル志望の女の子たちが集まってくれるんだろうか?
 ただ、それでもやっぱり、嘘はつきたくなかったんです。
 アイドルなんて隠し事があってナンボの世界かもしれないけれど、でも運営側の私が隠し事をしたりするのは違うと思ったんです。

 考えた結果、「2ねん8くみ総合プロデューサー瀬名あゆむ」の名前は出すことにしました。お店にもその肩書きで私の写真を置きました。ただ必要以上に出すことも避けました。アイドル志望の女の子も、アイドルファンのお客様も、お店に来てもらえればすべてわかる。そしてお店を見てさえもらえれば、たとえそれが元AV女優がやってるお店であっても、どんなお店かわかってもらえる――そう信じました。

アイドルファンはみんな本当に優しくて
凛々しかった!

 そうして実際に開店してから多くのアイドルファンのお客様に、何人ものアイドル志望の女の子たちに来て戴いて「瀬名あゆむ」の名前を目にしてもらいましたが、案外驚かれなかったんです。まぁ女の子たちはわからなかっただけかもしれませんが……。
 でも男性のお客様たちはわかっていたと思います。
 けどね、アイドルファンの方々は優しかったんです。
 私がAV女優だったってことを知っても、何もヘンなことを言ってくる人はいなかったんです。
 これはもう声を大にしていいたい! お店を始めてから、私がAV女優だからってイヤなこととか失礼なこととか言われたこと、1回もないんです! さらにはお店のアイドルの女の子たちからもありませんでした。これはね、本当にね、『2ねん8くみ』の誇りだと私は密かに思っています。
 やっぱり最初はドキドキしてました。絶対なんか言われるなって。イジられたり、からかわれたりするだろうなって。もっといえば「アイドルをバカにするな!」「おまえなんかアイドルに関わるな!」なんて非難されたりもあるかもしれないなって……。でもそんなこと考えてた私の方がバカでした。すみません! 本当に本当に 『2ねん8くみ』のお客様たち、アイドルたちは優しくて凛々しかったです。
 アイドルっていいなって改めて思いました。

いっそ瀬名が初期選抜メンにはいればよ
かったのに……

 さらに、これは店を初めて半年以上がすぎてからのことですけれど、選抜メンバーでユニットを組んで、東京のアイドルイベントに遠征を始めたときのことです。その頃、『2ねん8くみ』なんてもう今以上に全くの全然超無名です。だから私がAV女優時代から続けていたツイッターで少し告知させてもらったんです。「実はアイドルプロデューサーをやっていて、今度東京へ遠征に行きます。私は運営の裏方ですが、もしよかったら見に来てください」って。
 そしたらですね、私のAV時代のファンの方々が80人位イベントに応援に来てくださったんです! さらにステージ後は物販をやるのがアイドルイベントの定番で、そこではアイドルたちがポライド写真のチェキで2ショット撮影会をするんですが、なんと私とのチェキを撮りたいってファンの方たちで、アイドルとは別の行列ができてしまったんです。運営の裏方の私に! まさに汗、汗、でしたね。
 さらには私が瀬名あゆむだってことを全く知らない、別のアイドルのファンの方たちまで私の自然発生したチェキの列に並び始めてしまって……。結局、その日のイベント物販では私のチェキが2ねん8くみのコたちより何倍も売れてしまうという事態になってしまいました。 
 もう喜んでいいのかどうか、全くの予想外でした。でも正直な気持ちはむちゃくちゃ嬉しかった! アイドルファンだけじゃない、AVファンも優しくて熱いんだなって再認識させてもらいました!
   みんな本当にありがとう! AVやってて良かった! 名前出し続けて良かったよ!

 そしてその後しばらくずっと『2ねん8くみ』の物販でのチェキはなぜか運営の裏方オンナが一番売上げがいいという状況が続くのでした。やっぱちょっとトホホかな。すまん2ねん8くみ……。
 でもそんな私のチェキの売り上げが初期にっぱちの収益を支えたのもまた事実なんです。アイドル運営、やっぱ甘くないです。物販の売上げがないと遠征費やなんやで東京行くたび大赤字になりますから。もう売れるものはなんでも売っていかないと!(なんて)

 でもそうやって東京イベント遠征のたびに私のファンの方々が集まってくれて、さらには仙台のお店にもやって来てくれてるうちに、こう言われだしました。
 「瀬名ちゃんも選抜メンバーに入ればいいのに!」「初期メンとして2ねん8くみを支えるのもアリじゃないの!?」「リーダーとしてやるべきだよ!」――と。
 そういわれ出したとき……いや正直にいえば、実はもっと以前に、
私も選抜グループに入っちゃおうかって計画はあったんです。
 図々しいかもしれないし、「はァ? AVがぁ!?」と思われるかもしれないけれど、でも話題にはなるかもしれないし、どうせやるならいっそ開き直ってやったろうじゃん!……みたいにも思って。やれることはなんでもやらなきゃ生き残れないのがアイドル戦国時代ですし。
 ただ結局、私は初期選抜メンバーに入っていません。
 入らなかったことには実はとても大きな理由がありました。
 それはその頃の私に、AV女優を引退して『あいどるかふぇ2ねん8くみ』を開店すること、『2ねん8くみ』総合プロデューサーになることと同じくらいに大きな出来事が起きたからでした。そう私にとってはとっても大きな出来事だったんです――。

(以下、次回に続きます)

【次週予告】
瀬名あゆむにアイドル復帰を思いとどまらせた理由・出来事とはいったいなんだったのか? 次回も衝撃告白の連続です!

★2ねん8くみ仙台店 HP
 ( ツイッター
★2ねん8くみ千葉店 HP
 
( ツイッター
【瀬名あゆむ:プロフィール】
仙台&千葉のローカルアイドル『2ねん8くみ』プロデューサー。10代の頃に北海道のローカルアイドルとして活動し、メジャーデビュー寸前で挫折。その後、地方局TVレギュラー出演等をへてAV女優となり500本以上に出演した。1985年生まれ・さそり座・A型。
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