12月27日(土)@日本武道館(シド マオ(Vo))

12月27日(土)@日本武道館(シド マオ(Vo))

シド、話題のコラボライブ「Collabo
BANG!」が大盛況!

12月27日(土)、SIDの主催イベント[Collabo BANG!]が日本武道館にて開催された。
2013年末は[VISUAL BANG!]と題し、その名の通りヴィジュアル系のバンドを迎えたが、今回はジャンルの壁を越えた豪華4組が登場。メンバー自らがコラボレーションしたい相手を招くという趣旨に基づく新たな試みのイベントが繰り広げられた。

午後3時、オープニングアクトとしてステージに登場したのはお笑いコンビのクマムシ。彼らの持ちネタ「あったかいんだからぁ♪」が耳から離れない、とTwitterで呟いたマオに長谷川俊輔がリプライしたことをきっかけに、とんとん拍子で出演が決定。「アイドルソングをこの日のためにつくってきたので歌います!」と、かわいらしい仕草や表情を盛り込んで独唱する長谷川に、会場は「かわいい!」という歓声と笑いに包まれた。やがて、「マオにゃんに許可取ってあります、“2曲歌います"って(笑)」と、おもむろにカチューシャを装着すると「あったかいんだからぁ♪-スーパーキューティクルダンス-」を披露。佐藤大樹も「俺も歌おう!」と2人でフリまで揃えて歌い踊り始めたのだが、観客は終始温かい手拍子で盛り上げ、異色のトップバッターは出番を終えた。

転換の間には、インタビューコーナーが盛り込まれ、MTVのVJ・Booが、出番を終えたばかりのゲストを迎え生コメントをお届けする様子がスクリーンに映し出された。冒頭ではまずはSID全員が登場、1年を振り返って、「たくさん話し合っていろんなことを決めた、団結の1年だったね」とゆうや。イベントのオープニング・コールを委ねられたマオは、「SIDの“Collabo BANG!"、始まるよ?」と笑顔でファイティングポーズ。長時間に及ぶ豪華ステージがいよいよ本格スタートした。

1組目のライブアクトは、声優としても活躍するKISHOW(Vo)とサウンドクリエイターe-ZUKA(Gu)によるロックユニットGRANRODEO。客席に予め配布されていたLEDリストバンド、FreFlowが一斉に赤く灯され、スリリングなムードの中、幕が上がる。「偏愛の輪舞曲」「アウトサイダー」と疾走感漲る楽曲を連打、KISHOWは大きく脚を振り上げるダイナミックなアクションを交えて熱唱、e-ZUKAはヘヴィーメタル調の超絶テクニックを駆使し、会場を圧倒。かと思えば、MCでは「GRANRODEOでは主にボケを担当しております」(e-ZUKA)と名乗り笑わせるなど、KISHOWとの漫才コンビのような掛け合いでも存分に楽しませてくれた。「SUPERNOVA」でKISHOWは、ファルセットを駆使した難易度の高いメロディーを歌いこなしながら、間奏では花道へとダッシュ。華やかで動きのあるステージングで観客を引き込んだ末、「Can Do」ではいよいよSID・Shinjiを呼びこんだ。ギターを弾きながら登場したShinjiはe-ZUKAと交互にソロを奏で、熱いバトルを披露。観客は拳を突き上げて盛り上がった。終始笑顔を浮かべていたShinjiは、「e-ZUKAさん最高! GRANRODEO最高!」と讃え、「ちょっと遅いけど、メリークリスマス!」と言い添えてステージを去った。この日が年内最後の“RODE納め"ライブだと表現したKISHOWは、2015年が10周年を迎えると明かし、「またこのイベントに呼ばれるように頑張りたい」と宣言。最後は、会場中をコーラスに巻き込むアンセム「The Other self」で締め括り、ステージを後にした。この後のVJ・Booとのインタビューコーナーでは、Shinjiから出演オファーをされた際の感想を、「いきなりギターの話をしたかわいい子でした」と振り返ったe-ZUKA。ゲストとSIDのやり取りの空気感を垣間見ることができる貴重な時間となっていた。

2番目のアクトはTOTALFAT。「武道館、上がって行きましょう!」(Shun/Ba・Vo)の第一声に続き、いきなりSIDの明希が黒いTシャツ姿で登場。激しさの中にも温かさを宿すパンクナンバー「Room45」をコラボレーションし、シンプルなベースラインを太い音で鳴らし、雄々しい姿を見せた。ShunはJose(Gu・Vo)のハイトーンヴォイスを交互に歌い繋ぎながら、「Good Bye,Good Luck」では真っ直ぐなメッセージを響かせていく。MCでShunは、武道館のステージに立つのが初めてであることを語り、「夢が叶った1日」と表現。「心の底から出て来るメロディー、歌詞が届かないと行けない。(観客から)跳ね返って来なきゃいけません。短い時間ですが、仲間になりましょう」(Shun)と語った通り、祭囃子を取り入れたミクスチャーナンバー「夏のトカゲ」で観客をグッと引き込んだ。続いて、明希からのリクエストだという「Space Future」を披露。シンプルながらもセンチメンタルなコード進行が胸を打つ名曲で、TOTALFATというバンドの真っ直ぐな生き様、そして、メッセージを届ける説得力を体感することができた。MCでは、ジャンルの壁を越えた出演オファーを「涙が出るぐらいうれしかった」と振り返ったShun。ラブソング「Call It Love」では観客もハンドクラップに参加し、Joseは衰え知らずの高音を艶やかに響かせる。やがて、「人生にとって大事な人間」(Shun)と最大級の賛辞を贈った明希を再び招き入れると、肩を抱き合い、お互いのベースを交換して「PARTY PARTY」をプレイ。胸の熱くなる場面だった。最後は、Shunが最も伝えたいメッセージである「君は一人じゃない」というフレーズを刻んだ「Place to Try」を届け、会場中での一斉ジャンプでフィニッシュ。彼ららしく出番を締め括った。直後のインタビューの中でShunは、MUCC・逹瑯を介して明希と出逢ったとの秘話を開陳。明希は、イベント先の仙台から、Shunと飲むためにわざわざ帰京し、音楽談義をして朝まで飲み明かした、というエピソードにも会場が湧いていた。

ファンファーレが鳴り響く中、“BUTTERFLY"の第一声で歓声を巻き起こしたのは、DAIGO。【HALLOWEEN PARTY 2013】で度肝を抜いたゴージャスな蝶の羽を背にした彼がダンサーを従えて登場すると、その圧倒的な華やかさに会場がどよめく。MCでは親しみやすいキャラクターが健在で、「皆が思いのほか湧いてくれて、“人気あるのかな?"って。夢見させてもらいました(笑)」とあくまで謙虚だ。清々しく疾走する「無限∞REBIRTH」やダークなデジタルビートの効いた「REVOLUTION EVOLUTION」など、ニューアルバム『DAIGOLD』からの楽曲を畳み掛け、強い眼力と妖艶さを増した表情で魅了する。その余韻の中、“ステイダイゴールド"と名乗るキュートな馬のキャラクターがダンサーと共に登場、振付練習タイムが繰り広げられるというシュールな場面も。続けて、ロングジャケットに着替えたDAIGOを招き入れて「ジェラルミン」がスタート、会場が一体となって歌い踊った。ノリのよい観客に「俺、ガチでKD(感動の略)しましたね」とDAIGO。「2番目でもいいので、俺のファンになってもらえませんか?」と、やはり、謙虚なのだった。ここで、DAIGOに出演オファーした張本人であるマオを呼び込み、コラボレーション。食事をしながらのミーティングでコラボ内容を決めたと2人で語らいつつ、「是非マオくんの声で歌って欲しくて」とDAIGOの「いま逢いたくて…」をデュエット。切々と歌い上げる高音パートが美しいラブバラードに哀愁を滲ませた。更に、「4つ(のコラボが)ある中で一番コラボ感を出したい」(マオ)との想いから、DAIGO作曲・マオ作詞による「今日だけのスペシャルな曲を持って来ました!」(マオ)と発表すると、会場は騒然。マイナーコードで色気のある艶っぽいロックナンバー、「ヒトリジメ」を歌い上げると、会場は拳を振り上げて湧きに湧いた。最後は2人で台に立ち肩を組んで両手を広げると、後奏に乗せてマオを送り出すDAIGO。ここまでで既に熱気に満ち溢れていた武道館だったが、追い打ちを駆けるようにしてDAIGOは、SIDの「嘘」を様々なアーティストの物真似ヴァージョンで披露。GACKT→RYUICHI(LUNA SEA)→福山雅治→桑田佳祐→hyde(L'Arc~en~Ciel)という豪華ラインナップに、会場は笑いと驚嘆の渦に包まれた。最後は、「君ならできる」と観客を指さしながらポジティブなメッセージを届けるパンクナンバー「CHANGE !!」を投下し、「Collabo BANG!最高うっしゅ!」でフィナーレ。「あー、楽しかった」と素のテンションで呟きながらステージを去ったDAIGOだが、生粋のエンターテイナーぶりに観客は大いにノセられ、楽しんでいた。ステージ終了後のインタビューでDAIGOは、マオを「同じライブハウスでやっていた同期。お互い夢を持っていて、皆が辞めてしまうなかやり続けて、同じ時代を闘ってきた戦友」と評していたのも印象深かった。

時刻は午後7時目前、バンドセッションで幕開けたのは、LINDBERG。2009年の1年限定の再結成を経て、デビュー25周年となる2014年、本格再始動したベテランだ。渡瀬マキ(Vo)は、その溌剌としたキャラクターを象徴するような赤いパンツ姿で高らかに声を上げ、自ら頭上でハンドクラップを促すと、「恋をしようよYeah! Yeah!」を明るく元気に歌い始める。10代、20代の若い観客も多いことを気遣って、渡瀬が「初めて観る・聴く人がほどんどやと思うんさ。それでもええんさ。いろんなタイプの曲持って来たから、身体動かして!」と語り掛けた言葉通り、ロックンロールなリフを押し出しながら切ない心情を歌った「君のいちばんに」や、振付練習の末にダンスタイムを繰り広げたファニーな楽曲「もっと愛しあいましょ」、'90年代の大ヒット曲「今すぐKiss Me」などを惜しみなく放ち、観客の気持ちをグイグイと引き込んでいく。会場に向かって頻繁に「SIDベイベー!」と呼び掛けながらコミュニケーションを深めて行き、温まったところで遂に、ゆうやを呼び込み。コミカルなマーチに乗せて、ゆうやは舞台袖から足踏みしながら登場、最後は渡瀬と2人でキメのポーズすら披露。「キャラをぶち壊すテーマやった?」と心配そうな渡瀬だったが、「ぴったりだと思います!」と答え、感涙のジェスチャーをするゆうや。渡瀬は、2009年、LINDBERGの渋谷公会堂公演に、マオと共に自らチケットを買って観に来たことをうれしそうに回想。ゆうやはドラムセットへと緊張の足取りで移動し、「BELIEVE IN LOVE」をツインドラムでパフォーマンスすることとなった。選曲はゆうやからのリクエストだと渡瀬は明かし、「ゆうや!」コールを盛り込みながら歌唱。情熱的なドラムバトルの末、チェリーとゆうやは呼吸を合わせてスティックを振り下ろし、キメの末にエンディングへ。6人でステージ前列に並び挨拶した後、感慨深げに天を仰ぐゆうやの表情が胸を打った。インタビューコーナーでは、ゆうやが「この曲をやってください」という願望セットリストを持ち込んでいた、という秘話も明かされ、想いの強さを再確認させられた。

いよいよイベントは終盤を迎え、SIDのステージが開幕。「コナゴナ」「V.I.P」とアッパーな楽曲を連打しアグレッシヴに疾駆、メンバーは動き回って立ち位置を頻繁に変えながらも、音の軸はピクリとも動かさず、呼吸のピッタリと合った演奏を提示した。続けて、星が瞬くようにFreFlowが色を変える中、4つ打ちのダンスチューン「歌姫」で会場の空気を掻き混ぜていく。「今日はCollabo BANG!(銃を撃つ仕草に歓声が湧く)ということで。出演者の皆さんが協力的で、感謝しています」とマオ。企画性の高いイベントではあってもお祭り気分に終わらず、「SIDはSIDでビシッと決めて帰るんで」という頼もしい声明も飛び出した。「懐かしいやつ行っちゃおうかな、“御手紙"」とタイトルをコールすると悲鳴が湧き起こり、会場のFreFlowが真っ赤に染まる中、曲がスタート。ステージ上方には霧のような映像が渦巻き、和の風情を湛えたこの美しい楽曲を効果的に彩る。表現豊かなマオの歌声、メンバーの鳴らす一音一音には心を射抜こうとするような気迫が感じられ、寸分狂わず揃うキメも痛快だ。大きな拍手に包まれる中、ステージ上にいくつもの炎が順に燃え上がり、「影絵」を披露。SIDのディープサイドへと引き込んで行った。炎の残像も余韻も冷めやらぬ中奏で始めたスローバラード「sleep」は、コーラスするという意味だけではなく、4人全員が声を、心を合わせて歌っているようなエモーショナルな表現に酔いしれた。深遠なシークエンスを終えると、MCでは次回の「BANG!」企画案を巡るざっくばらんなメンバートークが展開。「水着BANG!」がいい、とマオがアイディアを出せば、Shinjiは「ブーメランパンツBANG!」と返し、「明希のビキニが見たいな」とマオが振ると、「俺さっきビキニがBANG!した」と明希。ゆうやの「俺、一番いいBANG!見つけちゃった。SIDBANG!(笑)」との案には、「普通のワンマンじゃん(笑)」との異口同音にツッコミが。和気あいあいとしたムードのまま「サマラバ」、続けて「妄想日記」を投下。更に、インディーズ時代の名曲「循環」を畳み掛けると会場のボルテージはこれ以上ないほどに上昇、歌詞通りクルクルと体を回しながら曲の世界に身を捧げていた。「もっと高いとこ連れてくぞ!」(マオ)と更に煽ると、「Dear Tokyo」では金銀のテープが噴出、観客は声を合わせて歌い、拳を振り上げた。「皆と年末を過ごしていることが、当たり前じゃなく、幸せなんだなと改めて感じています」とマオ。最後は、粉雪が舞い散る中、初めてのクリスマスソングである新曲「White tree」(12月10日リリース)で甘くロマンティックに。メンバー全員と会場中が♪ラララとコーラスした後、マオが思いきり長く声を伸ばし、想いを遠くへ届けようとする姿が瞼に焼き付いた。マオは最後、1人ステージに残り、「皆と俺たちのコラボが一番でした」と観客を讃え、またこうした企画をどんどんやって行きたいと意気込みを語ると、最後は「愛してます!」とマイク無しで叫び、舞台を去った。

スクリーンには、2015年3月18日にLIVE DVDが発売そしてオフィシャルファンクラブID-S発足10周年を記念したライブハウスツアーが開催されるとの、情報が映し出され、会場は再び大きな歓声に包まれる。「つづく」の文字が映し出されたのを最後に、イベントは終了。コラボステージの一つ一つに、音楽が繋ぐ人と人との縁を実感し、心に残る場面に満ちた6時間だった。

TEXT:大前多恵
PHOTO:今元秀明

【セットリスト】

■クマムシ(あっためAct)
あったかいんだからぁ♪ -スーパーキューティクルダンス-

■GRANRODEO
1 偏愛の輪舞曲
2 アウトサイダー
3 silence
4 カナリヤ
5 SUPERNOVA
6 Can Do ※with Shinji
7 The Other self

■TOTALFAT
1 Room45 ※with 明希
2 Summer Frequence
3 Good Bye, Good Luck
4 夏のトカゲ
5 Space Future
6 World of Glory
7 Call It Love
8 PARTY PARTY ※with 明希
9 Place to Try

■DAIGO
1 BUTTERFLY
2 無限∞REBIRTH
3 REVOLUTION EVOLUTION
4 ジェラルミン
5 いま逢いたくて… ※with マオ
6 ヒトリジメ  ※with マオ
7 CHANGE !!

■LINDBERG
1 恋をしようよ Yeah! Yeah!
2 GAMBAらなくちゃね
3 Over The Top
4 君のいちばんに
5 もっと愛しあいましょ
6 POWER
7 Easy Go Easy Love
8 今すぐKiss Me
9 BELIEVE IN LOVE ※with ゆうや

シド
1 コナゴナ
2 V.I.P
3 歌姫
4 御手紙
5 影絵
6 sleep
7 サマラバ
8 妄想日記
9 循環
10 Dear Tokyo
11 White tree

~ID-S発足10周年記念YEAR~「会員限定
ライブハウスツアー 2015」

5月08日(金) Zepp Tokyo
5月09日(土) Zepp Tokyo
5月17日(日) Zepp Nagoya
5月18日(月) Zepp Nagoya
5月26日(火) 仙台Rensa 
5月27日(水) 仙台Rensa
5月31日(日) 札幌PENNY LANE 24 
6月01日(月) 札幌PENNY LANE 24
6月11日(木) 福岡DRUM LOGOS
6月12日(金) 福岡DRUM LOGOS
6月20日(土) Zepp Namba
6月21日(日) Zepp Namba
6月27日(土) Zepp Divercity Tokyo
6月28日(日) Zepp Divercity Tokyo
12月27日(土)@日本武道館(シド マオ(Vo))
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12月27日(土)@日本武道館(シド)
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OKMusic編集部

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