徹底検証:ハロプロ楽曲って全部で何
曲あるの?

 その間に発表された楽曲の総数は1500曲とも2000曲とも言われているが、それはあくまでおおよその数値であり、正確に「○○○○曲」とカウントされたことは、これまでなかっただろう。本記事では、「(2014年9月現在)ハロプロの曲って全部で何曲あるの?」という命題に挑む。
◆ハロプロの定義

 楽曲数を数える際、いくつかの段階を踏まないと正確な数値を出すことはできない。まず最初に「ハロプロの定義」、つまりハロプロ所属アイドル(そして楽曲)の線引きについて考えてみよう。

 ハロー!プロジェクトの始まりは、1998年1月に平家みちよモーニング娘。の合同ファンクラブ「Hello!」が発足したことがきっかけである。ここに太陽とシスコムーンココナッツ娘。カントリー娘。などのグループが加わり、ファンクラブ名も「Hello! Project」に改称され、1999年7月に初の合同コンサート「Hello! Project '99 at 横浜アリーナ」が開催されている。

 同時期にテレビ番組「ASAYAN」などで各グループの動向が毎週放送され、ハロプロの実体が形作られたと言えるだろう。1999年9月9日発売のモーニング娘。『LOVEマシーン』が大ヒットとなり、さらに翌2000年3月の黄・青・あかの「シャッフルユニット」企画によって、ハロプロの認知度は全国区のものとなった。

 この「Hello! Project」に参加しているのは、いくつかの例外はあるが、基本的には芸能事務所アップフロントプロモーション(旧名称はアップフロントエージェンシー)所属のアイドル。また、モーニング娘。を筆頭に、グループの音楽面および総合プロデュースをつんく♂が担当しているのも大きな特徴。ただし、こちらもいくつかの例外がある。

 そして、「ハロプロ公式サイト(およびサイト内のディスコグラフィページ)に掲載されているかどうか」も、ハロプロの線引きを考える上での判断材料となるだろう。ハロプロ公式サイトは今年4月23日にリニューアルされたのだが、そのタイミングで、掲載グループが「モーニング娘。'14」「Berryz工房」「℃-ute」「スマイレージ」「Juice=Juice」「光井愛佳」「ハロプロ研修生」という、現行活動している7組に絞られ、それ以外のものが削除された。

 また、リニューアル前のディスコグラフィページには、現行グループの他に、ハロプロを卒業したり活動休止したグループ・ソロ歌手のCDリリースデータも含まれていたのだが(例えば松浦亜弥など)、リニューアル後は、見易さを優先しての処置と思われるが、7組に関連するもの以外は削除されてしまった。本記事ではリニューアル前掲載のものも「ハロプロ楽曲」と考えていく。

 もうひとつの判断材料として、「毎年正月と夏に開催されるハロプロ合同コンサート(通称ハロコン)に出演しているかどうか」も挙げられる。さらに言えば、その際にライブカバーされるハロプロのグループの過去楽曲は「ハロプロ楽曲」として認知されている、と判断することもできるだろう。

 以上、「アップフロント(系列事務所)所属」「つんく♂プロデュース」「公式サイト掲載」「ハロコン出演」という4大要素が、ハロプロ足り得る条件と言えそうだ。これら全てに当てはまったり、複数個しか当てはまらなかったりというケースが混在するので、ハロプロという枠組み、およびハロプロ楽曲の線引きについて多少の揺らぎが生じてしまうのが現状である。解釈によってハロプロと捉えることもできるし、厳密に考えればハロプロから外れてしまう、というケースが多々存在するのだ。

 例えばBuono!は? SATOYAMA関連は? コピンク*は? ドリーム モーニング娘。は? THE ポッシボー吉川友アップアップガールズ(仮)は? 個々の案件についてはその都度検討していく必要があるが、本記事ではその過程は長くなるので省略し、筆者の解釈の結果のみ記す。

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◆これがハロプロ楽曲リストだ!

 筆者が今回まとめた「ハロプロ楽曲」リストが、以下リンク先のエクセル表である。
(タブ01 楽曲リスト)
※本記事の掲載サイトによっては記事中のURLが削除されてしまうことがあるため、URLを全角表記したものを付記します。
http://www.esrp2.jp/hpm_list/201409.htm

【備考1】
※製品としてリリースされた楽曲が対象。
※1997年11月3日発売のモーニング娘。『愛の種』から2014年10月15日発売予定のモーニング娘。'14『TIKI BUN / シャバダバ ドゥ~ / 見返り美人』まで。
※歌唱楽曲以外のトラック(シングルのカラオケVer.、サントラのBGM、CDドラマ等)は除外。
※アルバム収録のシングル曲は、同一Ver.の場合は除外。
※アルバムVer.等のバージョン違いは残してある。


【分類】
各楽曲はハロプロ史の文脈に沿って分類し並べた。以下はその小見出し。

<モーニング娘。>
・モーニング娘。シングル|アルバム

<モーニング娘。関連>
・モーニング娘。ソロシングル
モーニング娘。さくら組 / おとめ組シングル
・モーニング娘。誕生10年記念隊シングル
・アフタヌーン娘δシングル
・ドリーム モーニング娘。シングル|アルバム

<モーニング娘。ソロメンバー関連>
中澤裕子シングル|アルバム
飯田圭織シングル|アルバム
安倍なつみシングル|アルバム
後藤真希シングル|アルバム
・辻希美シングル
高橋愛シングル
藤本美貴シングル|アルバム
久住小春シングル|アルバム
・きらりん☆レボリューション関連シングル|アルバム

<ハロプロ第1世代(モーニング娘。関連以外)>
・平家みちよシングル|アルバム
・太陽とシスコムーン / T&Cボンバーシングル|アルバム
・ココナッツ娘。シングル
・カントリー娘。シングル|アルバム
里田まいシングル
・三佳千夏シングル
メロン記念日シングル|アルバム
前田有紀シングル
・シェキドルシングル
・松浦亜弥シングル|アルバム

<モーニング娘。メンバー参加ユニット>
タンポポシングル|アルバム
・プッチモニシングル|アルバム
ミニモニ。シングル|アルバム
・Wシングル|アルバム
美勇伝シングル|アルバム
・GAMシングル|アルバム
・音楽ガッタスシングル|アルバム
・その他ユニットシングル

<ハロプロ第2世代(ハロプロキッズ由来)>
・Berryz工房シングル|アルバム
・氷室衣舞 (CV 菅谷梨沙子 / Berryz工房)シングル
・℃-uteシングル|アルバム
Berryz工房×℃-uteシングル

<アニメ『しゅごキャラ!』関連>
・Buono!シングル|アルバム
ガーディアンズ4シングル
・しゅごキャラエッグ!シングル
・しゅごキャラ!関連アルバム

<ハロプロ第2世代(ハロプロエッグ由来)>
真野恵里菜シングル|アルバム
・スマイレージシングル|アルバム|関連シングル
・Juice=Juiceシングル
・宮本佳林シングル|アルバム
・ハロプロエッグ / ハロプロ研修生関連シングル
・THE ポッシボーシングル|アルバム|関連シングル

<シャッフル関連>
・シャッフルユニットシングル
・SATOYAMA / SATOUMI movementシングル
・ご当地キャラクター イメージソング

<その他>
・プッチベスト
・ハロー! プロジェクトの全曲から集めちゃいました!
・コーラス参加シングル
・FOLK SONGS
・童謡ポップス
・セルフカバー系シングル|アルバム
・ハロカバ
・映画サントラ
・ミュージカルサントラ


【備考2】
※2009年3月31日に、エルダークラブに所属しているメンバーが一挙にハロプロから卒業した。卒業後にCDを発売したメンバーもいるが、今回は「ハロプロ在籍時にリリース」という点に重きを置き、2009年4月1日以降のリリースに関してはリストから外した。
例:2010年9月15日発売の安倍なつみシングル『雨上がりの虹のように』等。

※矢口真里および里田まいの「クイズ!ヘキサゴンII」関連のCDは、リニューアル前のハロプロ公式サイトのディスコグラフィには掲載されていたので(例:矢口真里 / エアバンド『青春 僕 / 青春 俺』、Pabo『恋のヘキサゴン』等)、ハロプロ楽曲と解釈することも可能だが、今回は「ヘキサゴン楽曲」だと解釈して、これらは全て外した。

※久住小春『アサアサンバ』はモーニング娘。およびハロプロ卒業後に配信限定リリースされたが、元々は娘。在籍時の「おはスタ」レギュラー出演の時期に歌われていた楽曲なので、今回のリストには含めた。

※氷室衣舞 (CV 菅谷梨沙子 / Berryz工房)『エレガントガール』は、北神未海 (CV 小川真奈) with MM学園 合唱部『おしゃれ マイドリーム』とのスプリットシングルとしてTNXからリリースされたので、本来は「NICE GIRL プロジェクト!楽曲」なのだが、特殊例として今回のリストには含めた。

※THE ポッシボーは、デビュー当時から2007年10月1日まではハロプロ在籍、以降はNICE GIRL プロジェクト!に所属という経緯があるので、今回のリストではハロプロ在籍時のリリースのみを含めた。

※「シャッフルユニット」という企画自体は2005年のセクシーオトナジャン / エレジーズ / プリプリピンクが最後だが、同様の性質を持つリリースに関してはここに含めた(例:ハロプロワンダフルオールスターズ『LALALA 幸せの歌 (ハロプロワンダフルオールスターズVer.)』、ベキマス『負けるな わっしょい!』、ハロー! プロジェクト モベキマス『ブスにならない哲学』)。

※ジュリン『ほたる祭りの日』などDVDシングルとしてリリースされたものについては、楽曲リリース自体はされたと解釈してリストに含めた。

※配信限定リリースの小倉唯 with ぷるぷるいゃ~ん (能登有沙&三澤紗千香)『盗んだハートはココですよ?』については、田中れいな歌唱の別バージョンが『プッチベスト11』に収録されたので、関連付けて「プッチベスト」の項に分類した。

※「ハロー! プロジェクトの全曲から集めちゃいました!」シリーズについては、ここで初出のバージョン楽曲のみリストに含めた。

※『チャンプル(1) ~ハッピーマリッジソングカバー集~』は「FOLK SONGS」の項に分類した。

※アイスクリー娘。は「セルフカバー系」の項に分類した。

田﨑あさひ、Bitter & SweetなどのSATOYAMA関連。吉川友、アップアップガールズ(仮)、THE ポッシボーなどのチーム負けん気関連。LoVendoЯ、HANGRY & ANGRYなどの元モーニング娘。メンバー関連については、今回のリストからは外した。


 さて、上記の「ハロプロ楽曲」リストを単純に数えると2216曲ある。つまり、「ハロプロ楽曲は現時点で全2216曲です!」と言ってしまうことも別に間違いではない。ただし、上で述べたようにバージョン違いはそのままにしてあるし、その他にも精選できる余地がまだ残されている。

 より実感に近い形で「ハロプロ楽曲は全部で○○○○曲!」と言えるようにするため、もう少し厳密に考えてみよう。

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◆Ver.違いなどの属性も考慮してリストを精選!

 リスト上には、通常の楽曲以外の異なるタイプのものがいくつかある。それらに「準楽曲」「Ver.違い」「非つんく♂」という3つの属性を加えたリストが以下である(各属性は重複も有り得る)。
(タブ02 属性付)
※全角表記 http://www.esrp2.jp/hpm_list/201409.htm

【属性その1:準楽曲[286曲]】

 ポップスの基本的な構造は「前奏」→(1番)「Aメロ」「Bメロ」「サビ」→(2番)「Aメロ」「Bメロ」「サビ」→「間奏」→「大サビ(落ちサビ)」→「後奏」だが、この構造から外れているものを便宜上「準楽曲」と呼ぶことにする。ここからさらに5つに分類したのが以下の項目だ。
(タブ03 準楽曲)
※全角表記 http://www.esrp2.jp/hpm_list/201409.htm

・非楽曲[25曲]:アルバムの最初と最後に配されたインストやインタールード的なトラックなど。
・ミニ楽曲[16曲]:例えばAメロとサビしかないような短めの小品。
・ミニ楽曲(ミュージカル系)[146曲]:ミュージカルサントラに収録の小品。
・ミニ楽曲(童謡系)[93曲]:童謡ポップスに収録の小品。
・メドレー・メガミックス[8曲]:メドレーやメガミックス。

【属性その2:Ver.違い[381曲]】

 元は同じ楽曲だが、ボーカルやバックトラックの違い、リミックスなどのケースにはこの属性を付した。ここからさらに6つに分類したのが以下の項目となる。
(タブ04 Ver.違い)
※全角表記 http://www.esrp2.jp/hpm_list/201409.htm

・別レコーディング[102曲]:新たにレコーディングし直したバージョン違い。元曲とはボーカルおよびバックトラックが異なる。
・リミックス[75曲]:バックトラックを作り替えたり再構成したもの。ボーカルは元曲のものを活かしてそのまま。曲名に「Remix」と銘打たれてなくても、ボーカルはそのままでバックトラックが変更されたものについてはここに分類した。
・別ボーカル[166曲]:ボーカルは再レコーディングされたが、バックトラックは元曲と同一のもの。
・別ミキシング[9曲]:新たにトラックダウンされ、音量のバランスなどが異なっているもの。
・ライブ[6曲]:ライブ録音。
・その他[23曲]:以上の分類に当てはまらないもの。細かい箇所だけ違っているものなど。

【属性その3:非つんく♂[798曲]】

 基本的にハロプロ楽曲はつんく♂による作詞・作曲が大半を占めるが、そうじゃないものもある。ここからさらに6項目に分類したのが以下の各項となる。
(タブ05 非つんく♂)
※全角表記 http://www.esrp2.jp/hpm_list/201409.htm

・共同作詞(作曲:つんく♂)[5曲]
・作曲のみつんく♂[34曲]
・作詞のみつんく♂[19曲]
・作詞のみつんく♂(日本語詞)[3曲]
・共同作詞(作曲:別)[3曲]
・その他[734曲]:作詞、作曲どちらもつんく♂以外の人が担当したもの。

 これら「通常曲以外の異なるタイプの曲」を、リスト総数の2216曲から引き算することで、「ハロプロ楽曲の実数」を導き出すことができる。どの要素を引き算するかは、各人の「ハロプロ楽曲範囲の定義」の解釈によって異なってくるだろう。

 とりあえず、「準楽曲」「Ver.違い」を引いて、「非つんく♂」は残した場合の曲数を出してみよう。単純に計算すれば「2216−(286+381)」なのだが、注意したいのは、各要素は重複している場合もあるということだ。「準楽曲」「Ver.違い」で重複しているのは17曲なので、「2216−(286+381−17)」で、その解は1566曲となる。

 各要素のサブ要素(「ミニ楽曲(ミュージカル系)」等)を細かく差し引くことでより正確な数値は出せるが、曲数の少ない要素によっては、あまり結果が変わらないということになりそうだ。

 また、「ハロプロ楽曲は何曲あるか」という命題は、イコール「つんく♂はこれまで何曲作ってきたのか」という問いにも繋がる。総数2216曲から「非つんく♂」を引いて、「Ver.違い」も除くように計算すると「2216−(798+381−56)」で、1093曲となった(56は重複分)。

 総数2216曲と比べると半分よりちょっと少なく、1566曲と比べると3分の2という結果になった。現行のモベキスJだけで考えると9割ぐらいはつんく♂曲だというのがファンの実感だろう。それにしても、17年で1000曲以上のオリジナル曲という数はやはり圧倒的である。


◆まとめ

以上、ここまで調べてきたことを最後に短くまとめると、

ハロプロ楽曲は
「バージョン違いなどを考えずに単純に数えると全部で2216曲」

「ミニ楽曲やバージョン違いなどを差し引くと1566曲」

「つんく♂が作詞・作曲を担当したものは1093曲」
(2014年9月現在)

となる。

 実際には今後リリースが控えている楽曲は何曲もあるし、この数値はすぐに更新される類のものだろうが、こうして一旦検証してみるのも十分意味のあることだと筆者は考える。さて読んでくれた方はどう思っただろう?

 今年11月26日のモーニング娘。'14・道重さゆみの卒業、来年春のBerryz工房の無期限活動停止と、ハロプロ激動の歴史は今後も続いていくが、そこには常に楽曲の存在があった。そしてこれからも楽曲は増え続けていく。


ピロスエ 編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主宰。

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