【DEEN インタビュー】
オーケストラコンサートは
絶対にCDでは体感できない
デビュー30周年を記念して開催される初のフルオーケストラコンサート『30th Anniversary Celebration 「DEEN Premium Symphonic Concert -WINGS TO THE FUTURE-」』。「このまま君だけを奪い去りたい」をはじめとする、90年代の代表曲がオーケストラアレンジによってどう変化するのか? 新たな挑戦に向けての想いを池森秀一(Vo)と山根公路(Key)に語ってもらった。
2公演しかないから
30周年に相応しいスペシャルなものに
『DEEN Premium Symphonic Concert -WINGS TO THE FUTURE-』は初のフルオーケストラ公演となりますが、30周年にして新しいことにチャレンジする気持ちは?
山根
30周年ということで“特別なことができたらいいね”ということは話していたんです。そんな時にオーケストラでのコンサートというお話をいただいて、ぜひやってみたいと思いました。僕たちも初めてのことなので楽しみですし、観にきてくれる人たちにも新鮮だと思うんです。これまで何回演奏してきたのか分からないくらいライヴでやってきた曲たちがオーケストラアレンジで完全に新しく生まれ変わるわけですから。
池森
普段からオーケストラの楽曲とかを聴いているわけではないので、まったく想像できないんですけど、それが楽しみなんですよね(笑)。埼玉と大阪の2公演しかありませんから、まさしく30周年に相応しいスペシャルなものになると思っています。
オーケストラアレンジに関してはどんな感じで?
山根
オーケストラアレンジに関しては専門の方にお願いしています。こればっかりはすぐにできることではないですからね(笑)。どんなふうにオーケストラの楽器を使ってサウンドを作ってくれるんだろうって楽しみというか、ワクワクしています。キャッチボールのようにして、少しずつ出来上がっていくのを確認させてもらって完成していくんだと思うんですが、こういうことも含めて初めてなので楽しみなことだらけです。
“30周年”という年月をどう感じていますか? 重みもある歳月だと思いますが。
池森
それはなかなかですよね。1993年に生まれた子が30歳ですから(笑)。
30周年などの“アニバーサリー”は活動を振り返るタイミングだったりするんですか?
池森
こういうふうに取材を受けたりして、答えたり、話したりしているうちにいろんなことを思い出したりして、活動を振り返ることになるので、“こういうことをしてきたから続けてこられたんだな”という気づきがあったりします。でも、DEENは特に何か先の目標を立てて活動をしているわけじゃなく、毎年作品を作って、コンサートをして、また作品を作るということをずっとやってきているので、そのルーティンを続けられているのがすごいことなんだと改めて感じたりします。なんせ30年ですからね。
今できることをやり続けてきた30年だったわけですね。
池森
はい。まさにそうです。
山根
あとは、聴いてくれる人がいたから続けてこられたんだと改めて感じます。自分たちが曲を作り続けていても、それを聴いてくれる人がいなかったら続けられないですからね。毎年ルーティンのように曲を作って、ライヴをしてきて、それを楽しみに待っていてくれる人がいて、ライヴ会場に来てくれる人がいるっていうのが自分たちの原動力になっています。本当にありがたいことだと常日頃思いながら活動しています。
30年とは言いませんが、ここ数年の間でも制作などにおいて変わった部分はありますか?
山根
役割分担的なものは昔から変わっていないですね。アルバムを出すにあたって、いつもある程度コンセプトを決めて作っていくんです。例えば“AORをやろう”とか“シティポップでいこう”とか。実は次のアルバムのコンセプトもすでに決まってたりするんですけど、そういうものに向かって曲作りをしていくのが楽しいので、変わった部分はあまりないですけど、変わらずに続けていることは意外と多いかもしれないです。
池森さんはどうですか? 歌詞の題材が変わったとかの何か変化は?
池森
やっぱり日常で使っているものが歌詞にも自然と表れたりするので、そういう変化はありますね。それこそ電話がメールになったり、さらにLINEになったりとか。“ダイヤルを回す”なんて言葉も、今は電話をかける時にダイヤルを回さないですし、若い人は知らない人も多いと思いますし、そういう変化はいろいろあると思います(笑)。
ライヴの観せ方や、ライヴへの意識の変化はどうですか? ここ数年はコロナ禍ということもありますが。
池森
そうですね。でも、僕らはタイミングも良かったんだと思うんですけど、コロナ禍に入ってからもライヴを行なうことができていて。ガイドラインに沿ってお客さんの数を半分にしたりと、そういう制限はありましたけど、中止になったことはないんです。なので、止まった感覚もないので、何か大きな変化があったということはありませんね。
山根
結成した当初は訳分からず、年上のスタッフのみなさんに教えてもらうことばかりでしたし、言われるままにやっていた時期もありましたけど(笑)、だんだん歳を重ねるにつれて自分たちでいろいろ考えられるようになりました。それに、来てくださる方たちが、このコンサートに来るためにお金を貯めたり、いろんな準備をしてきてくれているというのをちゃんと意識するようになったので、そういう気持ちの変化は大きいです。毎年制作ができて、毎年ライヴができて、それを観に来てくれる人がいる…その毎年やってきていることは決して当たり前のことじゃないと思いますから、今は感謝しかないです。
毎年、制作して、ライヴをして…というルーティンが出来上がっているからこそ、大きな変化はなくても、自分たちのペースで前進し続けてこられているんですね。
山根
そう思います。
池森
30周年と言っても自分たちではそんなに意識することはないんですけど、周りからの見られ方の変化に気づくことはありますね。今年3月にベストアルバム(『DEEN The Best DX 〜Basic to Respect〜』)を出したんですが、バンドメンバーにひと世代若い子が入ってくれていて。今回のベストはオリジナルアレンジのまま全曲新録音したので、スタジオライヴのかたちで録る時に、彼らが“絶対にこの仕事に傷をつけてはいけない!”と言ってて、すごく愛を感じました。“自分たちが若い頃に聴いていたヒット曲を、今、レコーディングできる喜びを感じて演奏します!”と言ってくれたのがすごく嬉しかったです。
山根
そのアルバムのDISC-2はカバーベストになっているんですけど、こっちは僕らが小さい頃に聴いていた曲をカバーして、自分たちの曲として世に出せる喜びがあったので、その下の世代の人たちのそういう気持ちもよく分かります(笑)。