日本に影響を受けた海外勢が優勝。最
高のセッションが繰り広げられたマイ
ナビDANCEALIVE 2023 FINAL HIPHOP&
HOUSE ハイライトレビュー!

2005年に「DANCE@LIVE(ダンスアライブ)」として日本で誕生し、18年の歴史を持つ世界最大規模のストリートダンスバトル「マイナビDANCEALIVE 2023 FINAL」。今年もバトルを中心に豪華なブースやショーケースが用意されダンスフェスとして盛大な盛り上がりを見せた。メインコンテンツとなるダンスバトルでは、6つのカテゴリーで熱いドラマや名勝負が繰り広げられた。今回はマイナビDANCEALIVE 2023 FINALを振り返り、HIPHOP&HOUSE SIDEのハイライトを紹介していく。
HIPHOP文化が誕生して今年で50周年。日本に本格的に伝わって40周年と言われている。バレエやジャズなど伝統あるダンスと比べればまだ若いが、HIPHOP文化に根を持つダンスはストリートダンスと呼ばれ、バレエやジャズ、アニメやテクノロジーまで様々な要素を栄養として吸収し、枝分かれしながら今もなお進化し続けている。
その中でも楽器や音楽の進化に合わせてスタイルを多様化させながら成長してきた太い枝がHIPHOPダンスとHOUSEダンスだ。ダンスアライブも黎明期はHIPHOP SIDEとHOUSE SIDEの2つのカテゴリから始まっており、思い入れがあるダンサーも多いのではないだろうか。
HOUSE SIDEでは緻密なステップとアクロバティックなムーブを武器に、ジャンルの枠にとらわれないミックススタイルで他ダンサーを圧倒したFrankie J(InDaHouse UK / Sour Patch Crew / Deep Manners)が優勝。イギリス出身のダンサーで、SUMMER DANCE FOREVER 2017優勝をはじめヨーロッパを中心としたバトルで活躍し続けている。日本のダンスカルチャーに影響を受けて成長してきたという彼は、今回SEEDダンサーとして初来日、リスペクトを抱える日本での優勝を掴みとった。
HIPHOP SIDEでは音楽に溶け込むような細やかな音の揺らぎを体現するスタイルに、遊び心あふれるジェスチャーを盛り込み会場を魅了したBATALLA CL(Cipher Dojo)が見事優勝を手にした。コロンビア出身のダンサーで、Summer Dance Forever 2018 “HIPHOP Forever Warrior Edition” 優勝などの実績を残し、現在もグローバルに活躍を続けるダンサーだ。自分はその瞬間(モーメント)をどう表現するかに重きを置いたアーティストだという彼は、予測不能かつハイスキルな表現をバトルで見せてくれた。
shu_hei、Frankie Jがジャッジ全員から支持され勝利
MYNAVI STAGEで行われたHOUSE SIDE BEST8はどれも白熱した試合が展開され、可能なら全て紹介したいところだ。TsUmU VS shu_heiでは、小さな体から溢れ出るエナジーと出し惜しみなしの大技でフロアを沸かせたTsUmUに対し、大技返しはもちろん、引き出しの多さと玄人が唸るような音どりと遊び心を見せつけたshu_heiが7対0で勝利。TsUmUが勝ち進めばKAZUKIYOとの師弟対決の可能性もあったが、実現には至らなかった。
また、HERO VS Frankie Jの試合では、ウェーブを多用し正確なステップを武器に攻めるHEROに対し、ヴォーグやコンテンポラリーなどの表現を巧みに取り入れたバイブスを見せるFrankie J。両者とも音ハメは当たり前といったレベルで音に入り込み、会場全体のボルテージが上がっていく中、アクロバットの爆発力で会場を飲み込んだFrankie Jが7対0で勝利。改めてSEEDダンサーFrankie Jのレベルの高さを知る試合となった。
HOUSEの楽しさを再認識する最高のセッション
準決勝ではKENJI VS KAZUKIYOの対戦カードが実現した。18年前、DANCE@LIVEの初代チャンピオンに輝きながら、今もなお自分の限界に挑戦し続けるKENJI。前日予選を優勝しFINALへ進出を決め、レジェンドと呼ばれる世代にも関わらず全く疲れの見えない動きで2日連続優勝を狙う。
対するは2022年にバトル、コンテストともに最も勢いのある活躍をみせたダンサーの一人であるKAZUKIYO。今年はSEEDダンサーとしてFINALの舞台へ上がる。セコンドにTsUmUを引き連れ、入場したKAZUKIYOは、KENJIとリスペクトを込めて握手を交わし、バトル前とは思えないリラックスした様子を見せていた。
先攻となったKENJIの細かな音も取り逃がさない高い身体能力と磨き上げられたセンス。後半の連続ターン→キックアウト→トゥーアップへ変化させながらおよそ8回転、目を回すこともなく、ドルフィンを決めていく。KENJIが得意とするセット(一連の流れ)であり、この試合への本気度が見て取れる。
KAZUKIYOも体を大きく使ったターンからリバースターン、ステップを刻んでいくが、レゲエやニュージャックなどのエッセンスを取り入れながら自分にとっての一番心地よい音どりを探してるように見受けられる。セオリーを崩していく独自のセンスから放たれるダンスは独創的だ。
2ndムーブでは、ピアノのメロディが入ったクラシカルなHOUSE MUSICが流れ、そのオシャレさやムードも含めどう表現するかも注目される。
HOUSEのバトルは相手のステップを受け取ってフロアに入るセッション(掛け合い)も魅力の一つで、KAZUKIYOもKENJIのステップに合わせ、ゆったりとした2ステップ、3ステップから始める。KENJIとはまた違ったオシャレさに会場が注目し始め、滑らかなフロアムーブと抜け感のあるステップで、自分の音楽の楽しみ方を表現しているようなムーブだ。最後はKENJIも楽しそうに一緒になってターンを決めるピースなバトルとなった。ジャッジは3対4の僅差でKAZUKIYOが勝利、ハウスの奥深さと根源的な楽しさを感じられる名勝負だった。
「KAZUKIYOとショーを作ろうと思った」手にした優勝の価値は?
Frankie JとKAZUKIYOの決勝戦は、音楽を身にまとい楽しむことを得意とする二人によるバトルとなり、入場楽曲のWe Will Rock Youからノリノリな様子が見てとれた。
1stムーブではバウンスやストップ、ウェーブやストンプ、同じビートにもこれだけのテクスチャー(質感)があるのだと見せてくれたKAZUKIYOに対し、Frankie Jは同様にタメやシェイクから入り、HITやツイストのアレンジなど、音のコントロールの多様性を表現した。対話をするかのようなバトルは瞬きが勿体無いと思えるほどハイレベルだ。

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