Wakana

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【Wakana インタビュー】
“音楽はいつだって側にあるよ”
ということを伝えたい

聴けば心がほぐれ、癒されるWakanaの歌声。3年3カ月という長い年月を経て制作されたニューアルバム『そのさきへ』は、彼女の挑戦が詰まった渾身作となった。自ら作詞をした曲から、清塚信也や一青窈など個性豊かな楽曲制作陣と一緒に制作した楽曲について語ってもらった。

アルバムのコンセプトにしたいのは
光が差すイメージ

3年3カ月振りとなるアルバムが完成しましたね。

じっくり制作をさせていただきました。最初に今作のプロデュースをしていただいた武部聡志さんに、“このアルバムのコンセプトにしたいのは光が差すイメージだよ”と言っていただいたんです。確かにこの状況下で少しずつみんなが希望を持ち始めた頃だったから、そのメッセージはすごくいいと思ったんですよね。例え今の状況下じゃなくても、いつの時代もみんな光を求めていますし、ひとりだから怖くなったり、ひとりだと思うから寂しくなったりするけど、“決してひとりじゃないよ”と伝えたかったんです。“音楽はいつだってあなたの側にいるよ”ということを、私はずっと伝えていかなくちゃいけないと思っているので、改めてこのアルバムでそこをフィーチャーしていきました。

“伝えなくちゃいけない”というのが使命としてあるんですね。

はい。応援してくださるみなさんとライヴでお会いすると、とても楽しそうに聴いてくださるんです。私の歌う意味はそこにあるということを改めて感じますし、それが私の生きがいでもあるんですよね。それに、ライヴに来てくれるという過程がすごくありがたいんです。その日、ライヴに行くためにどれだけの努力をしているかと思うと、歌以上のものを返さないといけないと思うので、その気持ちは忘れちゃいけないと思っています。

タイトル曲の「そのさきへ」はとても美しい曲ですね。

ありがとうございます。最初にこの曲を聴いた時に涙が止まらなくなってしまったんです。“この曲を絶対に歌いたい”と思ったんですよね。でも、そこまで派手な曲ではないから、これを表題曲にするのはどうかとみんなで悩んだんですが、私は絶対にこの曲がいいと貫き通して、押しきっちゃったんです。それくらい、この曲には力を感じたんです。

デモを最初に聴いて涙が止まらなくなるようなことは稀ですか?

今まであまりなかったですね。この曲を作ってくれた松本俊明さんは「金木犀」(2019年3月発表のアルバム『Wakana』収録曲)を書いてくださった方なんですが、曲を聴くのと同時にイメージが降ってきたんです。きっと私の心に触れるもの、震わせるものを書いてくれる方なんですよね。この「そのさきへ」も歌詞は終始ずっと泣きながら書いていました。おかげで相当疲れました(笑)。

あははは。込み上げる気持ちを全てぶつけたんですね。

はい。一度衝動で書ききって、一晩寝かせて、細かいところを直していきました。ここで力を使ったぶん、歌詞はしっかりと身体に入り込んでいたので、歌う時は気持ち良く歌うことができました。それに、アレンジャーの方が“この曲の歌は明るく、笑顔がいい”とおっしゃってくれたんです。私はこの曲に対してシビアなイメージを持っていたんですが、笑顔で歌うことで中和されて、ちゃんと多くの人に届けられる曲になったんじゃないかと思っています。

ライヴでずっと歌っている「あとひとつ」が入るのも素敵ですね。

ありがとうございます。この曲の歌詞はだいぶ前のものですが、私が思っていることがずっと変わっていないことに気づくんです。武部さんがこの曲をくれた時に、“この曲は祈りだよ”とおっしゃっていたんですよね。それもあって、ライヴに来てくれるお客さんの曲にしようと思っていたんです。いつもアンコールでは、私にとっても“その先にライヴがあるから、あと一歩、頑張れる”という気持ちで歌っているので、みなさんにもその気持ちが伝わったら嬉しいです。

ライヴのために生まれた曲でもありますね。

はい。「明日を夢見て歌う」も一昨年のBillboardでライヴをやる時に、開催日の2週間前に武部さんから“せっかくなら新曲をやろうよ”と言われまして…

2週間前ですか!?

そうなんです!(笑) “これは大変だぞ”と思ったんですが、一昨年はまだコロナ禍真っ只中だったので、ライヴでみんなに伝える曲は作るべきだと思ったんですよね。この頃、ひとりで家にいて、ひとりぼっちの人もいただろうし、実家に帰れない人、家族に会えない人もたくさんいましたよね。そういった時間を経て、今ここにいられる喜びを書こうと思ったんです。“いつか必ず戻ってこられるよね”という想いを込めて作りました。

気持ちを吐き出すように歌詞を書いていったんですね。

そうですね。ライヴで歌うからこそ、メッセージが嘘になってしまったら絶対に嫌だと。だから、自分が言いたいこと、思ったことを書くしかないと思ったんです。“それがどれだけネガティブになってもいい”とも思って。なので、一番はどこか寂しい雰囲気が漂うんです。

でも、それが本当の気持ちですからね。

そうなんですよね。その気持ちをもっと素直に歌って、そこからポジティブに変えていこうと思ったんです。“みなさんにほっこりと温まってもらえたらいいな”という想いで歌ったので、今改めて聴いてもらえたら嬉しいです。

前作がコロナ禍に入る直前だったからこそ、今、制作するものには原点のメッセージが入るのかもしれないですね。

そうですね。この3年の想いが込められている曲や、世界の情勢を考えて書いていただいた曲もあるんです。ここまで世界規模で変化があった数年は初めてのことだったので、より希望や安心を求めていると思うんです。その気持ちに寄り添える曲になったらいいなと思っています。
Wakana
アルバム『そのさきへ』【初回限定盤A】(CD+DVD)
アルバム『そのさきへ』【初回限定盤B】(2CD)
アルバム『そのさきへ』【通常盤】(CD)

OKMusic編集部

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