米津玄師「Flamingo」歌詞の意味を考察!“フラミンゴ”は憧れの象徴?

米津玄師「Flamingo」歌詞の意味を考察!“フラミンゴ”は憧れの象徴?

米津玄師「Flamingo」歌詞の意味を考
察!“フラミンゴ”は憧れの象徴?

花魁に恋する男の心情を徹底解釈!

米津玄師のCM初出演作となったSONY完全ワイヤレスイヤホン「WF-SP900」CMソングに起用された2018年リリースの『Flamingo』。
和のテイストを取り入れたエキゾチックな世界観と独特な歌い方が注目を集め、MVは自身最速で100万回再生を突破しました。
▲米津玄師 - 『Flamingo』【OfficialMusicVideo】
米津玄師はこの楽曲で「みっともなさ」を表現したと語っています。
古めかしい言葉を用いて冴えない男性の恋愛模様を描いた歌詞の意味を考察していきましょう。
Flamingo 歌詞 「米津玄師」
https://utaten.com/lyric/sa18091401
「宵闇」は夕方になっても月が出ず薄暗い様子を指す言葉です。
薄暗くなってきた街に佇む主人公は、自分だけが夜に溶け込めていないような気がして「爪弾き」にされている気分になっています。
「花曇り」は桜の咲く時期の曇った天気のこと。
桜の咲く美しい季節でありながらどんよりと曇った空に憂うつな気持ちが増し、悲しみという心の雨にさらされて苦しんでいる様子が伝わってきます。
「にべもなし」という言葉はそっけなく冷たいことを表すため、「枯れた街」として表現される周囲の人々が主人公に冷たい態度を取っていると解釈できるでしょう。
そんな人々に対し、主人公は「佗びしげに鼻垂らしへらへらり」とわざと何も分かっていないような振りをしてやり過ごしています。
主人公がここまで寂しげなのは、う見込みのない恋をしているからのようです。
その女性は遊女で、当時愛を伝える手段として贈られたかんざしの中でも高価な「唐紅の髪飾り」を差していることから位の高い花魁だと思われます。
主人公は彼女の「ベルベット」のように柔らかく滑らかな目尻に触れたい、自分に向けられる感情の伴わない「薄ら寒い笑み」にでもいいから近づきたいと願っています。
しかし相手は手の届かない花魁で、さらに自分には到底敵わない荒々しい恋敵が大勢いるため、自分の恋を「チンケな泥仕合」と卑下する様子が切ないですね。
男と女の思惑が入り乱れる
Flamingo 歌詞 「米津玄師」
https://utaten.com/lyric/sa18091401
タイトルでもある「フラミンゴ」は主人公から見た花魁のこと。
ほかの鳥とは一線を画すフラミンゴの繊細な美しい姿に妖艶な彼女の姿を重ねていることが分かります。
また、フラミンゴの白い体色が餌となる藻の色素によって赤く色づいてくように、幼くして売られた無垢な少女が遊郭の世界にどんどん染まって花魁に変貌していく様子も示していると考察できるでしょう。
遊郭で遊んでいる時だけは彼女を独占できるものの、時間が終われば彼女は主人公の心に「寂しさと嫉妬ばっか残して」去ってしまいます。
普段は周囲に合わせて笑っている彼も、そんな心持ちでは笑ってなどいられません。
「毎度あり」という言葉が使われていることで、主人公がお金を払うことでやっと繋がれている関係であることが強調されているように思えます。
「次はもっと大事にして」のフレーズは主人公から彼女への労いの言葉のようであり、彼女が主人公にこの恋を諦めてお金と時間を大事に使うべきだと諭している言葉のようにも感じました。
Flamingo 歌詞 「米津玄師」
https://utaten.com/lyric/sa18091401
ますます人気の花魁になった彼女は主人公が滅多にお目にかかれない存在のようです。
しかしようやく彼女に会えたために心が舞い上がりすぎて失敗してしまいました。
「虚仮威し」は見せかけだけで中身がないことを表す言葉です。
彼女に少しでもよく思われようとして見栄を張った会話を続けた結果、自身の阿呆さを露呈することになってしまったのです。
とはいえ主人公は失態を犯してもほかの遊女には目もくれず「愛おしいその声だけ聴いていたい」と彼女への恋心を加速していきます。
しかし相手は遊女の中でもトップクラスの花魁。
「泡銭」は働かず不正なことで儲けた金のことで、不正を冒してまで彼女に会うためだけに稼いでいることが分かるでしょう。
「昼鳶」は昼間に人家に忍び込んで金銭を盗む者やスリのことを表す言葉で、ここでは主人公の金に群がる女たちのことを指していると考えられます。
「あなただけでもいい」という描写から、時には手の届かない彼女ではなく群がる手近な女たちを相手にすることもあると推察できます。
好きな女性に入れ込んでいながらその人一筋にもなれない様子はまさにみっともない男の典型です。
手の届かない相手に歪んでいく愛
Flamingo 歌詞 「米津玄師」
https://utaten.com/lyric/sa18091401
2番のサビの「フラミンゴ」は、恐ろしくて「ふわふわ浮かんで」消えてしまう存在として登場しています。
人の心を惹きつけてやまない彼女の魅力は恐ろしいほどの力を持ちます。
彼女が一夜の夢を見せるから男たちは必死に追いかけますが、楽しいひと時はすぐに終わって時間と金を搾取されるばかりです。
「そりゃないね もっとちゃんと話そうぜ」と持ちかけても、客を相手にしているだけの彼女はつれない態度を取ります。
「吐いた唾も飲まないで」という言葉は前言撤回しないでいるということと解釈できます。
思わせぶりな態度を取っていた彼女に自分の発言に責任を持てと暴言を吐いている状況なのではないでしょうか。
理不尽な怒りですが、彼女に本気でのめり込んでいるうちに愛情が歪んでしまったことが感じられます。
Flamingo 歌詞 「米津玄師」
https://utaten.com/lyric/sa18091401
晩秋から初冬にかけて降る冷たい雨を指す「氷雨」は、主人公が彼女から浴びせられた拒絶のことを意味していると考えられるでしょう。
失敗ばかりの未熟な自分にがっかりしながらひとり寂しく帰路に就きます。
「ねこじゃらし」という子供騙しのおもちゃで猫の気を引くようにお金で彼女の気を引こうとしましたが、自分が持っているのは猫を騙せる程度の泡銭。
トップクラスの花魁相手では「今日この程度じゃ騙せない」ことをやっと理解しました。
すると主人公は「地獄の閻魔」に「あの子を見受けておくんなまし」と申し出たいとさえ考えます。
自分には彼女を見受けする金も甲斐性もないけれど、彼女を今の状況から救ってあげたいという気持ちは愛でしょう。
しかし神にではなく閻魔に願い出ているところを見ると、美しい彼女を汚したい、見上げて追いかけるばかりだった彼女を自分よりも下の存在にしたいというような不純さが感じ取れます。
「張り子」は竹や木で組んだ枠に粘土と紙で成形する造形技法のひとつで、はりぼてとも言われます。
主人公はこんなみっともない自分のことを、中が空洞で見た目よりも軽い張り子のように中身のない存在だと言っているのです。
そしてどうせ張り子のような自分からは変われないのだから「死ぬまで猿芝居」を演じていようじゃないかと開き直っています。
“みっともなさ”という個性も大事にしよう
『Flamingo』はみっともない男の恋愛ソングでしたが、見方を変えると誰しもが心に抱えている未熟さや湧き上がる感情を認める曲でもあるように思えます。
自分のみっともない部分を受け止めた時に初めて、人は成長し輝くものなのかもしれません。
音楽界で異彩を放つ米津玄師の想いと個性が詰まった『Flamingo』をじっくり堪能してください!

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