Superfly

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【Superfly インタビュー】
この時代だからこそ、
こういうアルバムができた

3年4カ月振りのニューアルバム『Heat Wave』が完成! コロナ禍になって人々が引き離された世界で《一緒にいたい》と歌った「Together」のニューバージョンに始まり、レコード会社を移籍して発表した「Voice」以降のシングル曲、そして5曲の新曲で構成された渾身の一作だ。そこに込めた想いを越智志帆に語ってもらった。

完全にSuperflyの状態で
アルバムを作り上げた

既発のシングル曲に加えて新曲が5曲。この5曲は最近録ったものなんですか?

以前録っていたものもありますが、ほぼ2月、3月、4月で集中して録りました。曲は作り溜めてあったんですけど、歌詞はほとんどない状態から一気に書いて。アレンジも1コーラスだけしかできていないとか、そういうものがほとんどだったので、その3カ月間は記憶にないくらいハードでしたね。

完成して聴いた時、どんなふうに感じました?

“これ、本当に私が作ったのかな?”って(笑)。そのくらい集中して作ったものなので。例えばライヴでステージに立つとものすごくアドレナリンが出て、ステージを降りて素の状態に戻った時に“さっきまでの自分は別人だったんじゃないかな?”と感じることが何度もあったんですけど、制作期間の自分が別人のように思えたのは今回が初めてだったんですよ。それくらい集中していたし、アドレナリンが出ていたし、感度も高かった。完全にSuperflyの状態でアルバムを作り上げたって感じたのは初めてでした。

それもあってか、通して聴いて、ものすごく熱を感じました。アツいアルバムだなと。それも若い頃のエネルギーとはまた種類が違って、内側でグツグツ煮えたぎっているものが抑えきれずに湧き上がって出ているというような。

おお! でも、本当にそういう状態でしたね。なんか、燃えたぎっていました。

それがジャケットのアートワークにそのまま反映されているようです。このアイディアはどのように出てきたものなんですか?

ジャケットを決める段階でまだアルバムタイトルが決まっていなくて、どういうふうにするかをアートディレクターの木村 豊さんに相談しようってことで打ち合わせに行ったんです。そこで私がコロナ期間を経て聴く人を癒したい気持ちが芽生えたということと、すごくアツい気持ちが今、心の中にあるということをお話して。“癒しと情熱という、ある種両極端なそのふたつをひとつの絵に収めたいんですけど、それにはどうすればいいですかね?”と。そうしたら木村さんが“焚火じゃない?”って。“そうだ! それだ!”ってなって。で、こうなりました(笑)。

アーティスト写真として使われているものは焚火で温まっている感じですけど、ジャケット写真のほうは炎と一体になっているようですよね。まるで火の化身のような。

火と一体化していますよね(笑)。他の写真はそんなことなかったんですけど、この一枚だけいろんな奇跡が起きて、まるで合成かのような写真になって、“これだよね!”と満場一致で決まりました。私の中の情熱と癒したい気持ちの両方を物語っている写真だなと。

“情熱”と“癒し”。まさしくその両方が同居したアルバムだと僕も聴いて思ったんですが、それは昨年11月に開催された『Superfly 15th Anniversary Live “Get Back!!”』で受けた印象にも近いものでした。そのライヴレポートに“熱さと、温かさ。Superflyのライヴは基本的にそのふたつの温度感で成り立っている”というようなことを書いたんですが、それはこのアルバムにも言えることだなと。

あぁ、確かにそうですね。制作を始めた当初から“情熱”と“癒し”というキーワードがあったんです。特に“情熱”というのは今回大きかった。

その“情熱”とはどういうもので、どうしてそれが湧き起こってきたんだと思いますか?

「Voice」を作っていたあたりぐらいから、久々に自分の中の正義感が発動して、なんか心の中が燃え始めたんです。あの曲は私に近いところである女性が人間関係におけるトラブルに巻き込まれ、“嫌なことは嫌と言っていいんだよ”と励ましたくなったのと同時に、人権を守るための社会のルールがまだまだ機能していないことを肌で感じてしまったことから、“もっと感情に正直になろう。声にしよう”という想いで書いたものなんです。そういう自分の中の正義感が私の表現のひとつの原動力になっているところがあって。この3年の間にはそれが発動するようなことが度々あった。世界でもいろんなことが起きていて、こういうことってまだまだ続くだろうと思ったりもしたし。で、アツいアルバムにしたいと思ったんです。

自分の中の正義感と向き合いながら、アツくなっている自分を自覚した?

そうみたいですね。『0』(2020年1月発表のアルバム)の時は、自分の気持ちを整えること、フラットな状態でいることが私にとってすごく大事だったんですけど、たぶんそれがうまくいったというか、ひとつ納得できたところがあったので、今度はもっと健全な状態で歌える気がしていたし、ヴォイストレーニングもするようになって、自分の中にどんどんエネルギーが溜まっていってるのを感じていたので。

それがアツさとなり、“もっといくんだ!”というモードにつながっていったわけですね。

そう。“いくんだ!”って。
Superfly
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アルバム『Heat Wave』

OKMusic編集部

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