藤田麻衣子

藤田麻衣子

【藤田麻衣子 インタビュー】
“側にずっといてくれたのに”って
いう人とタッグを組んだ作品

前作『忘れられない人』以来、1年7カ月振りのメジャー7thオリジナルアルバム『Color』が完成。配信リリースした「シンプル」や「漆黒」のほか、SUNNY BOYの提供曲やwacciの橋口洋平との共作など、多くの人との交流から生まれたタイトルどおりカラフルなアルバムとなっている。コラボ曲のことを中心に、アルバムへの想いなどを語ってもらった。

いろんな人といろんな作り方を
してみたいと思った

1年7カ月振りのアルバム『Color』が完成しましたが、前作は“原点に帰って恋愛ソングを作りたかった”とおしゃっていました。、今回はどんな作品にしたいと思っていたのでしょうか?

前作は15周年ということもあって、原点に帰って自分のその時の力を全部出して、“やりきったぞ!”って感じがあったんです。15周年のライヴが終わって、今の力を出しきってアルバムを作り終えたところで16年目に入り、40代も見えてきて。今、39歳なんですけど、38歳くらいの頃から“40代に向かっている今、どんな歌を作ったり、歌ったりしたらいいのかな?”と考えるようにもなって迷い始めたりもしました。

15周年という大きな節目を超えたところで、次は何をしようかと?

はい。でも、焦ってもしょうがないと思って、15周年も終わったことだし、ゆっくり決めたいと思って、観たいドラマを観たり、食べたいものを食べたりと、ライヴの予定もなかったので、ちょっとだけ仕事から離れて過ごしていたんです。そうしているうちに配信シングルを出すというお話になって、「前作の『忘れられない人』の時にクリス・ハートさんや平川大輔さんとコラボして、歌で参加してもらったんですけど、制作の現場でいつもと違う方と一緒に作業したのがすごく楽しくて、“長くやってきてもこんなに新鮮に感じられるんだ!?”と思ったんですね。なので、またコラボをやろうって。それで配信リリースしたのが、今回のアルバムにも入っている「シンプル」だったんです。

SUNNY BOYさんが楽曲を提供した曲ですね。

はい。『忘れられない人』は歌でのコラボだったので、今回は歌じゃなくて誰かに曲を書いてもらおうと。その時に思い浮かんだのがSUNNY BOYだったんです。インディーズ時代からの知り合いで、最近も活躍しているのを知っていましたし、時々スタジオですれ違ったりして挨拶くらいはしていたんですけど、ちゃんとコラボしたことはなくて。SUNNY BOYに曲を書いてもらえたら新しい自分を引き出してもらえるんじゃないかと。歌詞は自分で書けば、自分らしさがありつつ新しさもあるものができると思ったんです。そういう経緯があって出来上がったのが「シンプル」でした。曲もそうだし、レコーディングのやり方も含めて勉強になったことがいっぱいありましたね。SUNNY BOYには歌入れの時も来てもらいました。いつもやってもらっているディレクターの大槻さんにも来てもらって、エンジニアさんを入れて4人で録ったんですけど、いろんな歌い方を提案してくれたのがめちゃくちゃ新鮮で! まずメロディーへの歌詞の乗せ方が私とは全然違うんですよ。私とディレクターさんは日本語を大事にしていて、なるべく単語が分かるところでブレスを入れたりしているんですが、SUNNY BOYは英語でも歌詞を書いたりしてるので、メロディーに対してカッコ良いかどうかを重要視してるんです。“こっちのほうがカッコ良いから”と歌い回しを変えてくれたりして、それが面白かったです。

作り方の根本が違っていたと。

違いましたね。今までにないレコーディングだったから“どんなふうになるんだろう?”って思ったりしましたけど、完成したものを聴いたら自分が思ってたよりも藤田麻衣子だったので安心したところもあります(笑)。この曲を配信リリースしたあと、アルバムの制作を考えるようにもなって、せっかくだからアルバムもいろんな人といろんな作り方をしてみたいと思ったんです。曲を提供してもらったり、自分でも作ったりするけど、共作できるんだったら共作もするし…っていう感じでスタートしました。

「シンプル」が大きなきっかけになったんですね。

そうなんです。「ありがとう」という曲は柳田はるかちゃんが作詞をしてるんですけど、きっかけは2017年に『24時間テレビ「愛は地球を救う」』の中で放送された『はじめてのおつかい』でした。番組でおつかいした子のママがはるかちゃんだったんです。はるかちゃんは目の病気の影響で視力が少しずつ失われてしまい、今は周囲に光を感じる程度なので、娘さんが“お母さんの目になる”という想いでおつかいをされて。その時に私の「素敵なことがあなたを待っている」(2017年9月発表のシングル)という曲が初めてオリジナル挿入歌で流れたんですね。私の楽曲と柳田はるかちゃんが初めて会ったのが2017年で、2021年1月に放送された『はじめてのおつかい』で「あれから何年」という企画で番組スタッフの方がはるかちゃんの家を訪れた時、はるかちゃんがアコギの練習で「素敵なことがあなたを待っている」を弾いてくれていたんです! あれは感激しましたね。15周年のライヴではるかちゃんが住んでいる愛知県に行くことが決まっていたので、一緒に歌いたいとお願いして、お会いして、一緒に練習して、ライヴで歌ってもらったんです。

すごい運命的な出会いですね!?

“友達になりましょう”と連絡を取り合うようになったんですけど、電話で話していてもとにかく明るいんですよ。話していると私も前向きになれるんです。いろいろ話している中で、お子さんと公園に行った時の話をされたことがあって。公園に着いたら、他の子供たちは遊具とかに走って行くわけですよ。はるかちゃんのお子さんも走って行こうとしたんですけど、“うちの子だけ戻ってきてくれて、私の手を引いてくれたんです”って。日常での出来事なんですけど、その話を聞いただけで泣けちゃって。あと、彼女もアコギを始めて、自分で作詞作曲をやりたくなって曲を作るようになったと言っていて、シンガーソングライター同士の会話にもなりました。それで“はるかちゃん、はるかちゃん自身の話こそそのまま歌詞になるよ”と話したんです。仕事とか関係なく、せっかくだからやってみようと誘ってみたことがきっかけで「ありがとう」という曲ができたんです。彼女も自主制作でCDを出すと思うんですけど、私のアルバムにも入れたいと思った…今回のアルバムは“共作”がテーマになっていたりするので、ちょうどいいと思ったんです。

「シンプル」にしても「ありがとう」にしても、出来上がるまでのストーリーがあるというか、人と人との縁から生まれているんですね。

はい。2017年の番組がきっかけで、2021年に会って、そこから友達になって曲を作っていったので、時間はゆっくりだったけど、「ありがとう」に関してはそれが良かったのかもしれないですね。はるかちゃんと作ったことで、自分で作詞作曲することにこだわらなくもいいんじゃないかなと思えるきっかけをもらいました。
藤田麻衣子
アルバム『Color』【初回限定盤】(CD+カレンダー)
アルバム『Color』【通常盤】(CD)

OKMusic編集部

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