kiki vivi lily

kiki vivi lily

【kiki vivi lily インタビュー】
今までよりも一歩踏み込んだ表現が
できたらと思っている

ちょうどいいくらいのペースで
活動できている

「39 Minutes」や「Paper Drive」とかもそうですけど、kiki vivi lilyさんの曲は生活の風景の中に自然と溶け込む感じがします。

嬉しいです。夜にどうしようもないくらいにいろいろ考えてしまう時に感じる、“車を飛ばしてどこかへ行きたい!”という気持ちを「Paper Drive」では歌いました。

この曲の構想もずっと温めていたそうですね?

はい。この曲に入っているシンセとかはデモのものをそのまま使っているのですが、私の中で音のイメージも結構固まっていました。

デモをもとにしながら、荒田さん、MELRAWさんとアレンジしていったんですか?

そうです。ふたりと話しながらブラッシュアップしていきました。私ひとりでアレンジをするのはスキル的に無理なので、いつもみんなの才能を借りています(笑)。

DTMで自分で100パーセント仕上げたくなることはないんですか?

やってみようと思ったことはあるんですけど、自分の音では満足できないんです。荒田くんのプログラミングとかを聴いちゃうと、本当に素晴らしいですから。私の周りにこんなに才能がある人がいるので、確実にいいものを作ってくれる人と一緒にやっています。何でも言える仲間同士だからこそできているんですよね。

ミュージシャン同士のコミュニケーションは音楽理論に基づいた伝え方だけでなく、“ここはもっとジャーン!って感じで”とか感覚的な言い方になることもありますけど、kiki vivi lilyさんはどっちなんですか?

“なんか違う”みたいな伝え方が多くて、どちらかと言うと感覚的ですね。一緒にアレンジする人を困らせているかも(笑)。

(笑)。一緒に曲を仕上げる仲間がいるのも作風の幅を広げることにつながっているんじゃないですか?

そうだと思います。

「Invisible」みたいなサウンドもありますからね。これは少し懐かしいテイストのR&Bをイメージさせる音です。今作の中でも独特な位置づけの仕上がりだと思いました。

80年代っぽい音も入っていますからね。でも、そういうものに寄りすぎない感じのミックスで作っています。

歌詞の中で出てくる“Arie”ってインディア・アリーですか?

そうです。インディア・アリーの曲を聴いて感じるものがあってこの曲ができたので、彼女の名前を出させていただきました。

《I’m the only one in this world.》は彼女の曲の歌詞のフレーズですか?

これは歌詞の一節ではなくて、私がアリーの曲を聴いて受け取ったメッセージです。

外見ではなく、目に見えない本質的な部分を大切にしたいと願う気持ちが伝わってきました。

そういうことをあからさまではなくて、さり気なく伝えたかったんです。ハッ!としてもらえたらと思っています。

目には見えないものと向き合うのは、実はすごく大切ですからね。

『星の王子様』ですね。本当に大事なものは目に見えないんです。私がずっと思っていたことをこの曲では表現してみました。私がアリーから受け取った感情を聴いてくれる人にも受け取ってもらえたら嬉しいです。

kiki vivi lilyさんが歌詞に《Arie》と入れたみたいなオマージュの曲を作る新世代のアーティストが、いつか現れるかもしれないですよ。

歌詞に《Lily》って? それを待っています(笑)。

「星喫茶店」はカフェの風景を切り取った曲ですね。かつては飲み物の温度が変わるのも忘れるくらいに語り合ったカップルの関係性の変化を描いているのが印象的でした。

韓国人の友達が韓国ではスターバックスを“星喫茶店”と言うことがあるって教えてくれたんです。もしかしたら“星コーヒーショップ”って言っていたのを聞いて、“星喫茶店”っていうのを自分で作った可能性もあるんですけど(笑)。この“星喫茶店”というワードから物語を広げて書いていきました。カフェのお客さんはカップルが多くて、観察しちゃうことがよくあるんです。“どういう関係性なんだろうな?”って想像してみたりもして。

このEPをリリースしたあとは、6月23日に恵比寿LIQUIDROOMでライヴをする予定が決まっていますね。新型コロナウィルスの影響でライヴがなかなかできない状況が続いていましたが、今年はどんどんやっていくことになりそうですか?

どんどんやるかは分からないですが、ひとつひとつを大切にやっていこうと思っています(笑)。

(笑)。マイペースな活動をしていくということですね?

はい。曲作りも自然なペースに身を任せています。いろんな意味で健康に活動したいので(笑)。でも、より多くの人に聴いてほしい気持ちはあります。

締め切りは嫌いですか?

嫌いです(笑)。でも、ないとできないですからね。

自然なテンポ感を大事にしているのは曲からも伝わってきます。穏やかなトーンが一貫してありますから。

毎回、締め切り間際は大変なことになっていますが頑張っています。今回も乗り越えました!(笑)

取材:田中 大

配信EP『Blossom』2023年5月10日リリース 日本コロムビア

ライヴ情報

『kiki vivi lily「Blossom」Release One Man Live』
6/23(金) 東京・恵比寿LIQUIDROOM

kiki vivi lily プロフィール

キキヴィヴィリリー:福岡県出身。スウィートで魅惑的な歌声と類稀なるメロディーセンスで彩度の高いポップネス・ソウルを奏でる注目のシンガーソングライター。軽やかにジャンルを横断しながらさまざまなアーティストとコラボレーションを行うスタイルは、シーンの中でも特異な存在感を放つ。2019年6月に1stフルアルバム『vivid』を発表、音楽専門誌『MUSIC MAGAZINE』のレビューでは10点満点を獲得するなど話題を呼び、玄人のみならず幅広い音楽愛好家を魅了。同年12月にビートメーカーSUKISHAとの共作「Over The Rainbow」を発表、Apple Music R&Bチャートでは2年に渡りランクインを記録し続けるほか、スペインでの海外初公演を行うなど、グローバルに活躍の場を広げつつある。20年12月にデジタルEP『Good Luck Charm』をリリース。収録曲の「ひめごと」が三井アウトレットパーク『SURPRISE SALE』のCMソングに抜擢され、ロングセールスを記録。また、nobodyknows+との「ココロオドル」のコラボレーションも大きな話題となった。21年10月に待望の2ndフルアルバム『Tasty』をリリースする。kiki vivi lily オフィシャルHP

OKMusic編集部

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