L→R 桐木岳貢(Ba)、柳田周作(Vo)、黒川亮介(Dr)、吉田喜一(Gu)

L→R 桐木岳貢(Ba)、柳田周作(Vo)、黒川亮介(Dr)、吉田喜一(Gu)

【神はサイコロを振らない
インタビュー】
この戦場のような世界で戦っている
全ての人たちに向けて歌いたい

孤独じゃないから
孤独が成立している

スケールの大きなプロジェクトですから相応の困難もあったと思うのですが、どのように戦い抜いたのでしょうか?

柳田
黒川が“びっくりするくらいのバージョン数”と言っていましたけど(笑)、試行錯誤してたくさん作っていく中で、やっぱり“この歌詞のこの部分がいいね”とか些細なことでも褒められるとやる気が出るんですよね。デモの段階で聴ける人は限られていて、もちろんファンの人たちに聴かせるわけにもいかないし、だからこそチームってすごく大事だなと改めて感じて。もし誰も何も言ってくれないチームで曲をひとりきりで作っているとしたら、すごく孤独だと思うんですよ。メンバーもスタッフももちろんですが、今回特に一番多くやりとりしていた亀田さんが、いい時は“いいね!”と褒めてくださったのが嬉しかったですね。そうではない時は“もっといいのが出てくると思うよ”とバシッと正直に言ってくださったし。そういうところでモチベーションを保つことができて救われました。

ひとりきりの孤独な制作ではなく、チーム戦だったんですね。

柳田
まさにチーム戦でしたね。僕はK-1選手の武尊くんと仲が良いので格闘技を観る機会が増えたんですけど、観ていると一対一の試合のようで実は団体戦だと思うんです。セコンドの方がいろいろアドバイスもしているし、チームで考えて闘っている。ただ肉の塊で殴り合っているわけじゃなくて頭脳戦なんだと最近感じていて、それと近いんですよね。確かに曲を作っているのは僕ひとりかもしれないですけど、音楽はそれだけでは成立しないというか。演奏するメンバーがいて、音を録るエンジニアさんがいて、ともに編曲するアレンジャーさんがいて、それをどう売り出していこうかと考えるマネージメントとレーベルのみなさんがいて。さらにライヴで披露するとなったら、ライヴハウスの方がいて、ホールの方がいて、イベンターさんがいて、最終的には聴いてくれるお客さんがいて。音楽…芸術においては“孤独”ってよく表現されますけど、孤独じゃないからこそ孤独が成立しているんだと感じる制作期間でした。

ドラマで福山さんが演じる皆実広見はひとりで何でもできてしまう完全無欠な存在ではなく、周りの人たちに助けを求め、感謝をし、チームで難題を解決していきます。多様な人々が共生する社会における新しいヒーロー像であり、柳田さんの孤独観ともリンクする気がします。

柳田
皆実は目が見えないFBI捜査官ですが、魅力的な人物ですよね。突っ走るところもあるけど、その無謀とも取れる動きにもついていきたくなるようなリーダーシップがあって。そういう人って、実は音楽業界にもたくさんいるんです。チームのみんなが“頑張ろう!”というポジティブな気持ちになれるように、空気作りをするのも大事なことで。何でもないひと言でやる気にもなることもあれば、逆にやる気がなくなる瞬間もあるし、それぐらい人の言葉には魔法があるので。自分も皆実のような人になりたいですよね。そのぐらい周りを引っ張る力のある、渦を作れるような人間にならなきゃと感じています。

メンバーのみなさんは、この曲の歌詞についてはどうとらえましたか?

黒川
自分に刺さったのは《無様にいこうぜ》から始まるサビの最初の2行です。ライヴもそうですけど、“取り繕ってうまくやろう”というよりも、今ある全てを曝け出したほうが観ている人には刺さると思うんです。例えカッコ良くなくても、その姿はやっぱりカッコ良いじゃないですか。自分の中にある“ちょっとカッコつけたいな”という気持ちが、柳田がサビに持ってきた2行で吹っ切れたというか。“いいところも悪いところも、もう全部出していこう”と考えるようになりました。
吉田
《一か八か丁か半か/神のみぞ知る運命》というフレーズは、先が何も見えない状況で運命に抗っていく皆実の姿とリンクして、個人的に好きですね。
桐木
《ブラックアウト暗い視界に》からのくだりは、皆実とすごくリンクしているところですよね。個人的には柳田のプライベートな心情も聞いていたので、それともリンクして心に迫るものがあるというか…言葉で表現するのがちょっと難しいですけど、“分かる!”という気持ちになりました。

ドラマに寄り添いつつ、柳田さんの個人的な想いを重ね合わせて描いた部分もあるのでしょうか?

柳田
ドラマやアニメの主題歌や挿入歌を書き下ろす時は“寄り添いすぎないようにしよう”と、実は気をつけているんです。今回はドラマサイドからの要望としても、がっつり寄り添いすぎなくてもいいということだったので、自分の書きたいものを書いていこうというスタンスで歌詞は書いていきました。でも、ドラマのストーリーと自分の人生や日々思うことはどこかつながるはずだという想いもあって、そこから広げていったりするので、いつもどおりちゃんと自分の書きたいこと、伝えたいこともちゃんと書けたし、ドラマが伝えたいテーマもちゃんと入れ込むことができたと思います。僕は歌詞を書いている時は、めちゃくちゃ苦悩するんですけど、書き終わった瞬間はやっぱり最高なんですよね。自分が書いたものなんですけど、第三者視点で読み返した時にすごく面白いというか。タイトルのワードが入っている落ちサビ…《自由も正解も/安らぎもない修羅の巷で》というフレーズは、本当に最後の歌録りの日の朝に急遽歌詞を変えたんですよ。亀田さんが“きっともっといいものが出てくるよ。周作くん、頑張ってもう1個ちょうだい”と言ってくださって生まれました。それを入れることで、最後のサビがより映えるかたちになったので良かったと思います。最後の最後までずっと挑戦し続けて、高みを目指し続けることができた作品ですね。

そして、9月27日には2ndフルアルバムをリリースすることが決定しましたが、どのような作品になりそうですか?

柳田
Rin音くんとのコラボレーションシングル「六畳の電波塔」(2022年6月発表の配信シングル)をリリースして以降の曲を収録しつつトータルで何曲になるかもまだ分からないんですけども、新録曲を加えたフルアルバムになります。未発表曲では神サイらしくまた新たな挑戦をしていきたいと思っていて。もっともっと音楽の幅を広げたいし、メンバーそれぞれがマルチプレイヤーとして成立するような曲もやってみたいなと。『エーテルの正体』のツアーで桐木がピアノを弾いていたように、ベース以外の楽器もライヴで披露したり…それは桐木だけではなく黒川にせよ、吉田にせよ、そういう新たな見せ方ができたらいいなと思っています。昨日メンバーとチームのみんなでThe 1975のライヴを観に行ったばかりで、その影響もあるんですけど、あの人たちはさまざまなジャンルの音楽を噛み砕いて表現しているんですよね。僕らももっともっと日々音楽を研究して、それを吸収して、“神サイはそういうこともできちゃうんだ!?”と驚かすようなことがしたいんで、音楽性の幅をもっともっと広げたすごいアルバムになるんじゃないかと思います。

アルバムを引っ提げて、10月からは全国8都市を回る初のホールツアーもスタートしますね。コロナ禍の真っ只中でメジャーデビューしたみなさんは、前回のツアーで初の声出し解禁ライヴを成し遂げたわけですが、それを経て次はどのようなライヴを目指しますか?

黒川
前回のツアーでは“お客さんにすごく助けられているんだな”“ライヴを一緒に作るというのはこういうことか”と実感しました。次はホールツアーですけど、神サイはライヴバンドなので、ライヴ感をしっかりと出していきたいですね。
吉田
前回のツアーでは声出し解禁を目指して“雪融けを願う飛行船”というタイトルを掲げていたんですが、自分としては本当の“雪融け”は次のツアーからだと思っているんですよ。まだ声出しには抵抗があったり、ライヴに行くこと自体を躊躇したりするお客さんもいると思いますが、自分たちのライヴの芯をしっかりと伝えていきたいですね。
桐木
日々生きていく中で、大人になるにつれて感情を揺さぶられることってどうしても少なくなっていきますよね。だから、神サイのライヴでは感情を揺らすことを目指したいです。それが例えマイナスな方向でも良くて、何かひとつのきっかけになれればと。
柳田
神サイは若いファンの子たちが多いんですけど、僕の親世代のお客さんも増えてきていて、年齢層が幅広くなってきているんです。The 1975のライヴでも40代や50代の大人の方たちも踊り狂っていて、シンプルに音楽が好きで、音を聴くのを楽しみに来ているお客さんがめっちゃいたんですよ。神サイも若い子はもちろん、40代、50代、60代、全ての世代がノリノリになるようなライヴにしたいし、本当にたくさんの人に聴いてほしいからこそ、バンドの規模をもっと大きくしていきたい。だからこそホールツアーに挑戦するという決意の意味合いもあります。ちゃんと音そのものでお客さんをノらせることのできる、説得力のあるバンドになりたいですね。

取材:大前多恵

L→R 桐木岳貢(Ba)、柳田周作(Vo)、黒川亮介(Dr)、吉田喜一(Gu)

L→R 桐木岳貢(Ba)、柳田周作(Vo)、黒川亮介(Dr)、吉田喜一(Gu)

配信シングル「修羅の巷」2023年4月30日リリース Virgin Music
アルバム『タイトル未定』2023年9月27日発売 Virgin Music
    • 【初回限定盤A [雪融けを願う飛行船 Live盤]】(CD+Blu-ray) 
    • TYCT-69268
    • ¥5,500(税込)
    • 【初回限定盤B [最下層からの観測 & 事象の地平線 Live盤]】(CD+2Blu-ray) 
    • TYCT-69269
    • ¥6,600(税込)
    • 【完全数量限定Goods盤 [UNIVERSAL MUSIC STORE限定発売] 】(CD+T-shirt) 
    • PDCV-1205(Mサイズ)
    • ¥6,600(税込)
    • PDCV-1206(Lサイズ)
    • ¥6,600(税込)
    • PDCV-1207(XLサイズ)
    • ¥6,600(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • TYCT-60209
    • ¥3,300(税込)

ライヴ情報

『神はサイコロを振らない Live Tour 2023』
10/28(土) 大阪・オリックス劇場
11/04(土) 北海道・札幌道新ホール
11/11(土) 福岡・福岡市民会館 大ホール
11/18(土) 宮城・仙台電力ホール
11/23(木) 岡山・岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場
11/25(土) 新潟・新潟市音楽文化会館
12/01(金) 愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール
12/17(日) 東京・東京国際フォーラム ホールA

■抽選で1名様に直筆サインをプレゼント!
詳細は【music UP’s Vol.223】読者プレゼントをチェック!
https://okmusic.jp/news/521054
※応募締切は2023年6月19日(月)23:59まで
神はサイコロを振らない プロフィール

カミハサイコロヲフラナイ:福岡発4人組ロックバンド。2015年結成以降、ライヴシーンのど真ん中で経験値を積み上げる中、19年発表の「夜永唄」が20年にバイラルヒットし、同年7月に配信シングル「泡沫花火」でメジャーシーンへ進出。11月には配信 EP『文化的特異点』をリリースし、12月にはSpotify年間バイラルチャートのTOP10入りを果たす。そして、21年3月にメジャー1st シングル「エーテルの正体」をリリースし、オリコン&ビルボード、ウィークリーチャートでTOP10入りをするなど、シーンでの存在感を目覚ましい勢いで高め続けている。22年3月にはメジャー1stフルアルバム『事象の地平線』を、23年9月には2ndフルアルバム『心海』リリースし、国内有数のフェスラインナップにも名を連ねる。神はサイコロを振らない オフィシャルHP

「修羅の巷」
【Official Lyric Audio 】

OKMusic編集部

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