『るるぶ東京 ’22』(JTBパブリッシング)

『るるぶ東京 ’22』(JTBパブリッシング)

ゴールデンウィークに旅行すると地獄
を見る理由

あなたの代わりにシュミレーション ゴールデンウィークは家でダラダラするに限る。
 わかっているのに、なぜか外出してしまうのが日本人である。
 今年は4月29日から5月7日までがゴールデンウィークといわれている。
 とはいえ、9連休できる者はさほど多くない。最も多いのは土日休みの週休2日制の人がカレンダー通りに休んだ場合の、5月3日から7日の5連休か。
 では、その5日間の休みをどのように過ごすか?
 日々、身を粉にして働いている者としてはゴロゴロ過ごしたいところだろうが、家族が許してくれない。そこで5月3日から5日までは2泊3日の家族旅行して、残りの2日間は自宅でゆっくりと過ごそうという人も多いのではなかろうか? 
 というわけで、国内の人気スポットと韓国を加えた4カ所を実際に旅行した場合にどうなるのかを、過去のゴールデンウィーク時の状況を踏まえてシミュレートしたので見ていただきたい。
 それでもアナタはゴールデンウィークに旅行へ行きますか?

ケース1「東京」旅行 妻と自分と小4の娘、家族3人で2泊3日の旅行は東京にした。直前に特急のチケットを取ろうとしたが、満席。仕方なく準急電車で東京を一望できるスカイツリーへ向かった。到着したのは午前11時頃。
 東京スカイツリーには、天望デッキと天望回廊という2つの展望台があり、両方行こうとすると当日券で大人が3400円、子供が1550円。3人で8350円の出費は痛いが払おうとすると……19時からの整理券しかないだとぉ!
 仕方なく整理券を受け取り、昼時の浅草雷門辺りへ。すき焼き、洋食は予算オーバーなので老舗の天丼屋に並ぶ。1時間ほどでようやく入店……天丼が1500円! 
 さぞかし美味いだろうと頬ばる。うーん、どこを食べてもタレの味オンリー。
 しょっぱい口のまま、雷門へ向かうと外国人と日本人の芋洗い状態で、土産物屋だらけの参道は見る気も起きず、どうにか浅草寺に到着し、おみくじを引いたところ……3人とも凶!
 浅草寺のおみくじは100本中、凶が30本も入っているらしい。盆暮れ正月、ゴールデンウィークも比率変わらず……真面目かっ!
 その後、仲見世で人形焼をつまもうとするも長蛇の列。花やしきに向かうも、張りぼてのレトロ感に娘が嫌がって泣き出したので、スカイツリーに戻るも、人が多すぎてぐったり。19時なってようやく展望台に登るも、そこは雲の上。東京一望改め、曇り空を上から一望という残念すぎる体験を経て、宿泊先のアパホテルに辿り着いた。
 シャワーを浴びてベッドでうとうとしていると娘に起こされる。何やら本を片手に語りかけてきた。「パパ、これ、何て読むの?」
 そこには「南京大虐殺」の文字。黙って取り上げて、金庫に放り込んだのは言うまでもない。
 2日目。早起きしてディズニーリゾートへ。混みすぎると入場制限になることがあるということだったが、どうにか入れたものの……人気アトラクションの入場に3時間待ち。グッズショップ入店に2時間待ち。レストラン入店に2時間待ち。チュロス注文に1時間待ち。パレードは遠くて見られず……ほぼ、待ち時間だけで日が暮れた。
 3日目。もう帰りたかったが予定通り、お台場へ。肉好き妻の希望で『肉フェス』へ向かって、いくつか買ってみたものの、どれもこれも見本と違い過ぎて妻はガチギレ。通りすがりの人の「『肉フェス』って食中毒出してたよね」という声を聞き、全部捨てて、原宿へ向かった。
 ここで買い物を済ませれば帰れると思いきや、どうやら代々木体育館でライブがあるらしく、人が多すぎて駅から出られない始末。
 ゴールデンウィークの東京旅行、完全なる地獄絵図。

ケース2「北海道」旅行 妻と自分と小4の娘、家族3人で2泊3日の旅行は北海道にした。人混みを避けて、自然満喫!
 新千歳空港でレンタカーを借り、『北の国から』で有名な富良野へ。妻がラベンダーで有名な、ファーム富田へ行きたいというのでナビに入れてみたところ……片道2時間30分!
 ぐずる娘をなだめつつ、ようやく到着! 一面のラベンダーがあったよ!!
 ビニールハウスの中にね。
 ラベンダーの見頃が7月だと調べなかった己を呪いつつ、ひたすら運転して札幌のアパホテルに。シャワーを浴びてベッドでうとうとしていると、片手に本を持った娘に(略)。
 2日目。札幌の時計台へ行くも……小っさ!
 羊ヶ丘展望台へ行くも、クラーク博士像とか、石原裕次郎歌碑、日ハム誕生記念碑など、像や碑ばっか! 3日目。小樽へ。そこには石原裕次郎記念館……。
 裕次郎頼みが過ぎる!!

ケース3「沖縄」旅行 妻と自分と小4の娘、家族3人で2泊3日の旅行は沖縄にした。沖縄はゴールデンウィークでも泳げるという話なので水着持参で! 那覇空港からレンタカーの営業所へ連れて行かれる。駐車場から免税店の中をグルッと回らないと辿り着かない場所にあるのに疑問を持ちつつも、借りたらすぐにビーチ検索! とにかくすぐに海へ入ろうと向かった先は、波の上ビーチ! 
 青い海! 青い空!……の手前に高架橋!? まあ、水着に着替えて海へレッツゴー! ……って、肌寒っ!!
 5月の那覇、平均気温が26度なのに4月には海開きしてるとは、これいかに。
 それでも無理して遊んだ結果、震える娘を抱えて、国際通りへ。寒いので温まろうとその辺のラーメン屋に入って食べたら……不味い上に、一杯1600円! 身体に代わって懐が寒くなった状態でアパホテルへチェックイン。『本当の日本の歴史』と書かれた本が置かれていたので、慌てて金庫に隠した。
 2日目。うっすら体調の悪い娘の希望で美ら海水族館へ。高速で向かおうとしたが、沖縄を満喫すべく下道で行ったところ、渋滞だらけ。帰りは高速にしたところ、これまた大渋滞。
 3日目。渋滞を避けるべく、空港のある南のほうへ観光に向かうと、あるのは平和祈念公園にひめゆりの塔と、悲惨な戦時中のものばかりでゲンナリしまくる。特に旧海軍司令部壕という大きな防空壕の中には将兵が手榴弾で自決した痕跡があったりして……。
 そりゃあ、娘も泣くわ!!

ケース4「韓国」旅行 妻と自分と小4の娘、家族3人で2泊3日の旅行は韓国にした。家族で海外に行くのは初めてなので、楽しみニダ!
 ツアーをいろいろと調べたところ、カジノツアーというのが安そうだった。ただ、18歳未満はカジノに入れないので娘がダメなのと、あとカジノが組み込まれているツアーだと、カジノに行きたくなくても連れて行かれることがあるらしく、それは嫌なので別ツアーに。
 仁川空港からソウルまではワンボックスカーで送迎してもらったが、とにかく運転が荒い。高速道路も渋滞だらけでグッタリしながら、ようやく到着したホテルが……完全に廃墟!
 なんで韓国にアパホテルがないんだ!……と思ったが、慰安婦を否定する書籍を客室に置くようなホテルに営業許可が出るはずなし。
 2日目。薄気味悪い部屋で眠れず、寝不足のままホテルを出る。昨晩、適当に入ったダッカルビの店が不味すぎたので、美味しいものを探しにソウル市内を散歩することにした。
 戦時下では戦闘機の滑走路にもなるという光化門広場を進み、光化門に突き当たった先を右に曲がって歩いていると、何やら拡声器で叫ぶ声が……反日デモだ。
 娘が「パパ、あれは何を叫んでいるの?」と聞くので、「うーん、サッカーの試合か何かをやっていて、みんなで応援しているんだよ」と伝えた。すると娘が今度は「じゃあ、あの女の子は何?」と指差した先には従軍慰安婦像。「あれはね……伝説の女子サッカー選手の銅像だよ」と適当なことを言って、その場を立ち去り、逃げ込むように近くの冷麺屋らしき建物に入った。
 周りの人が食べているのを見ると、やはり冷麺屋。メニューを見るとハングルの後ろに拙い日本語も書かれている。日本では見かけない「エイの冷麺」というものを頼んでみたのだが……すごいアンモニア臭でとても食べられたものではない! 韓国人、正気か!?
 昼がそんな感じだったので、夜は本場で焼肉を食べようということになったのだが……正直、美味くない。特に骨付きカルビが不味すぎる。あまりにも不味いのでグーグルで調べたところ、バラ肉を食用接着剤で付けて作った偽カルビが出回っているらしい。ちゃんと調べてくれば良かった……。
 3日目。テレビを点けたら、アナウンサーが何やら捲し立てている。外も騒がしいので見てみると、人々が逃げ惑い、兵士の姿も。「何が起きているんだ」と思った次の瞬間、窓の向こうで爆発が……。
 ソウルは北朝鮮の国境から、わずか40キロほど。もし北朝鮮が攻撃をしたらひとたまりもない……そんな想像はさすがに心配しすぎだとしても、じゃあ日本だから安全かといえば、そういうわけでもない。毎年ゴールデンウィーク中に交通事故で亡くなる人は、全国で100人を超えており、留守中は空き巣も増える。
 ゴールデンウィーク中は家で過ごすのが一番!!
写真/『るるぶ東京 ’ 22』(JTBパブリッシング)
初出/実話BUNKA超タブー Vol.21

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