Def Tech、Creepy Nutsとコラボも披
露ーーキャリア初の対バンツアー大阪
公演レポート

Def Tech "Double Up" Tour』2023.4.7(FRI)Zepp Namba
Def Techが22年のキャリアで初となる対バンツアー『Def Tech "Double Up" Tour』を開催。愛知、福岡、大阪、東京のZepp4会場のゲストはそれぞれNulbarichyamaCreepy NutsSKY-HIという強力なラインアップとなった。ツアータイトルの「Double Up」には、Def Techとゲストアーティストの「2つの波」が重なり合うことによって起こる「想像以上のブレイク」をオーディエンスに感じてほしい、という想いが込められている。SPICEでは、Creepy Nuts を迎えた4月7日(金)Zepp Namba公演をレポート。
ロビーに設置されたサーフボードのフォトスポットには長蛇の列ができていて、開演前からみんなのワクワクが伝わる。会場後方にはキッズエリアも設けられ、20年来のファンや親子連れの姿も。若い世代も多く、ヒップホップという共通項で交わる2組のファン層も重なり、とにかくお客さんの年齢層が幅広い。
Creepy Nuts
Creepy Nuts 撮影=Hiroya Brian Nakano
Def Techとは、過去にフェスでの共演歴はあるが、対バンは初となるCreepy Nuts。この日は約4年ぶりの声出しOKライブに喜びを爆発させたステージとなった。R-指定の「踊れーー!」を合図に宴の狼煙があがるとDJ松永のスクラッチが炸裂! Zepp Nambaが一瞬でダンスフロアと化し、続く「堕天」では、声出しを満喫。「yeah!yeah!yeah!」のコール&レスポンスが楽しい。
「夜は始まったばっかやぞ!よふかしできるヤツ手あげろ!」とキラーチューン「よふかしのうた」のお馴染みのイントロで、さらにブチ上がる会場。余白を遊ぶようなラップスタイルの進化も感じられ、<Def Techに手を引かれて>と歌詞を変えると両者のファンが歓喜。R-指定は「大阪ヤバいやんけ! さすが俺の地元」と満足気に会場を見渡すと、「声出し全開で、箱(ライブハウス)で(お客さん)ギュウギュウの中、ライブやるの何年ぶり?」「2019以来? こんな感じだったな! タイムスリップしたみたい」とDJ松永と顔を見合わせ、コロナ禍以前の光景を思い出すふたりだった。
撮影=Hiroya Brian Nakano
そして、中学生のときから聴いてきたDef Techと同じステージに立てる喜びと感謝を語ると同時に、「地元・大阪で負けるわけにはいかない」と宣戦布告したR-指定。中盤は、呼んでくれたDef Techへの恩返しに、ラッパー、DJとしての成長を見せるべくスキルフルに畳み掛け戦闘モードへ。クールなトラックを巧みに操るDJ松永、ブレスなしで繰り出すR-指定の怒涛のラップに圧倒される。
撮影=Hiroya Brian Nakano
オレンジの照明の中、ハンドクラップが強く鳴り響く「Bad Orangez」は、誰もが胸に秘める強い信念をエモーショナルな歌詞に重ね合わせる。「ライブってこんなに気持ちよかったんや。4年前と比べものにならないくらい楽しい」(R-指定)。「4年間よく我慢したよね」(DJ松永)という言葉を聞いたとき、しんどかった時間も悪くなかったと思えた。MC中は、「R-指定、結婚おめでとう!」「ラジオお疲れ様!(「Creepy Nutsのオールナイトニッポン」を2023年3月末に卒業)」などお客さんからの声かけに「ありがとう」と応えるふたり。こんなやりとりもライブの醍醐味だ。
撮影=Hiroya Brian Nakano
コロナ禍を経て成長したライブ業界全体がこれからもレベルアップしていけるように、と祈りを込め、「のびしろ」へ。ポジティブでリズミカルなビートに心が踊る。「大阪!お前ら!のびしろしかないわ!」と華麗にキメるとラストナンバーは、「かつて天才だった俺たちへ」。後半で長尺スクラッチをかますDJ松永に「今の天才でしたわ!」と誇らしげなR-指定。たくさんのGUN FINGERがかかげられる中、噛みしめるように「楽しかった」とステージを去ったふたりの姿が印象的だった。
Def Tech
撮影=umihayato
特大のハンドクラップに迎えられ、バンドメンバーともにShenとMicroが登場。四つ打ちビートにスクラッチが重なり、挨拶がわりの1曲目からすでに鳥肌なオープニング。イントロで「懐かしい!」とファンから声があがったのは、彼らのスタイル・ジャワイアンレゲエを象徴するような2005年の「Jah Live」。まるで現代の世界情勢を予言したかのような「Emergency」も一部歌詞を変えメッセージを込める。
Def Tech 撮影=umihayato
2020年にYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で、Def Techの代表曲「My Way」(2005年)が再ブレイクし、彼らのエバーグリーンな魅力が幅広い世代に周知された。前半は約18年前の初期曲を中心に展開され、まったく古さを感じさせないサウンドとキャリアに裏打ちされたグルーヴで、DJ HIRAKATSU、MPC 熊井吾郎、ギター Nagacho、磯貝一樹による鉄壁のアンサンブルとともに新旧ファンを虜にしていく。
撮影=umihayato
「ようこそ『Double Up Tour』へ! ほんまおおきに!」とフレンドリーに挨拶するMicro。たくさんの声援が飛び交う中、「Creepy Nutsは、大阪が生んだ天才!すげえよ!」とCreepy Nutsのアツいパフォーマンスに賛辞を贈り、触発されたかのようにふたりの無二のハーモニーをエモーショナルに響かせた。
撮影=umihayato
波音のSE~優しいギターのフレーズが胸をくすぐる「Catch The Wave」から「Surf Me To The Ocean」の流れで、頭の中のスクリーンに夏のサンセットビーチが映る。ふたりのリラクシンで包容力のあるヴォーカルが懐かしいあの日を思い出させてくれるよう。みんなで肩を並べて歌うようなピースフルな空気が会場を包んだ。
撮影=umihayato
「この数年間、みんな旅行に行けなかったと思うから、Def Techと一緒に音楽で旅しましょう! まずは大阪からハワイへ」というMCから、ふたりがウクレレとギターを奏でたりと季節は夏!レゲエサウンドがどこまでもトリップさせてくれる。ハンパない多幸感だった。

撮影=umihayato

本編ラストはもちろんこの曲「My Way」。ふたりがセンターで向い合うだけで神々しい。冒頭のアカペラからアコギの柔らかな調べに癒され、シンガロングで会場が一体化。久しぶりの生声による「アンコール!」の大歓声が今日のライブの素晴らしさを物語っていた。
撮影=umihayato
アンコールでは、DJ卓が用意されたステージにCreepy Nutsが呼び込まれ、「Konomama」を初コラボ! 全力のフリースタイルラップをかましたR-指定に「リハと違う!」「すごい! 鳥肌立った!」と興奮を隠せないShenとMicroだった。MCでは2組で曲を作ろうと意気投合。意外にも季節曲がないというCreepy Nutsは、「Creepy Nuts初の夏曲になるかも」「ハワイでみんなでMV撮りたい」とヤル気マンマン。お客さんが証人となって、いつかDef Tech✕Creepy Nutsでコラボ曲を作ろうと約束した。ラストはShenとMicroで「おんがく ♬ MUSIC」を披露し、ラララの大合唱で大団円。まさに音楽でひとつになり、ガッツリと抱擁をするふたりの姿に、この先も前に前に続いていくDef Techのストーリーを感じた夜だった。
撮影=umihayato
撮影=umihayato
取材・文=岡田あさみ 写真=オフィシャル提供(撮影:umihayato、Hiroya Brian Nakano)

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