時を超えて追い求める「仁義」とは—
—「東映ムビ×ステ」『仁義なき幕末
』松田凌・和田琢磨・矢崎広・本田礼
生インタビュー

「東映ムビ✕ステ」シリーズ最新作『仁義なき幕末』より、映画『仁義なき幕末 –龍馬死闘篇-』​が現在公開中だ。“タイムスリップ歴史スペクタクルムービー”と銘打った本作は、令和のヤクザが突如幕末にタイムスリップ、歴史が動く瞬間を目撃しながら命を張って戦う男たちの物語となっている。舞台『仁義なき幕末 -令和激闘篇-』へも繋がっていくこの一作について、村田恭次/坂本龍馬役の松田凌、大友一平役の和田琢磨、高梨明役の矢崎広、沖田総司役の本田礼生が、作品の魅力と共にヒリヒリとした世界でのそれぞれの生き様を振り返った。

※映画『仁義なき幕末 –龍馬死闘篇-』についてのネタバレがございます。気になる方はご注意ください。

ーー実際に完成した映画をご覧になった感想は?
松田:感想は……難しいですねぇ。本当に正直なところを言わせてもらうと、映画に主演させていただくのがすっごい久しぶりだったので、最初に見た段階ではまだちょっと作品として見ることが出来なかったんですよ。反省とか後悔とかではなく、ここはこうだったかなとか、ここはああなったんだなとかって……監督の編集の手腕ですごく躍動感のあるシーンになってるなぁとか、いろいろ見ながら思うことがたくさんあって、まだ観客としてこの作品を見ることが出来ていない。もちろんまだこれからも何度か見るつもりですし、感想を言えるくらいに実感持って作品と向かい合えるのは、もうちょっと経ってからって感じですね。
松田凌
和田:自分にとっては久しぶりの映画だったし、京都撮影所での初めての撮影だったので「あのセットの中に自分がいるんだ」というのが非常に感慨深かったし、とても嬉しい作品になりました。監督にもすごく感謝しています。内容も1時間30分ほどととてもテンポ良く見れるのもいいなぁと思っています。
ーーいい意味で昭和の映画の匂いやVシネマ黄金期を彷彿とさせる空気感がありますよね。冒頭から“仁義なき”の言葉通り、真っ直ぐに物騒な展開でドキドキしました。
和田:そうですね。監督も『仁義なき戦い』などの任侠映画や古き良き時代劇にインスパイアされながら撮っていたとおっしゃっていたので、そういうところもぜひお客さまに感じ取っていただけたら。
矢崎:任侠の世界と時代劇、そしてファンタジー要素が混じったこのバランスが僕は本当にいいな、好きだなぁと思っていて……あとこれは本当に僕の個人的な感想ですけど、「ムビ✕ステ」シリーズっていうのが続いてきて、なんか「ムビ✕ステ」色が……監督や脚本が違っていたとしても、そういうものが出てきてるなぁという感じがすごくしています。この僕らの作品で、ジャンルとしての「ムビ✕ステ」っていうものがいよいよ固まってきたんじゃないかなぁと思えるような感触なんですよね。見やすい長さで楽しめる作品だなぁとも思いましたし。でも確かに女性の方や任侠ものに慣れてない人が見たらちょっとびっくりするかもですけど(笑)、僕らを通してそういう世界にも触れていけるようなきっかけにもできてるんじゃないかなぁ。これを機にVシネにハマる方がいてもいいですしね。
和田:そうそう!
和田琢磨
本田:僕は個人的な感想で言うともう「すげぇ、すげぇ!」ですよ。
松田・和田・矢崎:(笑)。
本田:自分もこんなすごい人たちと一緒にやってるんだって……僕は少し後輩になるので元々出演者の方々のお名前を見た時から「この方たちとお芝居できるのか!」って嬉しかったですし、自分で見ていてもそれをずーっと感じてました。現実ではちょっとずつ後輩もできてきて、年齢も30歳になりましたけど——。
松田:礼生、30歳になったの!?
本田:はい、なりました。
松田・和田・矢崎:ええ〜っ!?
本田:……、これが答えです(笑)。
松田・和田・矢崎:(笑)。
本田:一番下でいられるし、いろいろお話ししたり勉強させていただいたりと、この現場ならではの部分でとにかく“うわぁ〜“というのがあって……って、これ、作品の感想じゃないですね(笑)。でもまずはそういう気持ちで完成した映画を見ました。
ーーヒリヒリと血生臭い世界でみなさんが生き生きと暴れている姿! 映像から伝わってくる“覇気”もすごかった。その中で松田さんが演じられたのは令和のヤクザ、主人公の村田恭次。
松田:任侠の世界で一旗あげたいと思っている若造ですよね。自分は若頭というポジションで、大友一平という幼馴染であり自分の分身のような存在の相棒と二人で天下を取ろうと目論んでいる。一方で坂本龍馬という人物に憧れを抱いているんですけど、ひょんなことからタイムスリップしてしまい、自分が坂本龍馬として生きることになってしまう。まだまだ野心だけの男なんだけど、でも自分の頭脳を信じている男ですね。
ーー二役の演じ分けも見事でした。
松田:坂本龍馬。もう日本人なら知らない人はいないっていうほどの人物も演じさせてもらいまして。でもそこはもう、語ることはないです(笑)。彼についてはみなさまのほうがよくご存知だと思うので。
ーー二役と言っても「龍馬」と「恭次」と「龍馬を演じることになる恭次」という構造。憧れの人物だからこそ恭次は言葉遣いも含め堂々と龍馬に成り切ることが出来ていく……という流れも面白いですよね。
松田:確かにそういうクレバーさを持っているところはありますよね。どちらかというとインテリヤクザ、ですかね。
ーー恭次の相棒、一平を演じられたのは和田さん。
和田:セリフにもあるんですけど、彼が“頭”で、僕が“腕”っていう関係。「二人で天下取るぜ」って生きてきたけれど、幕末に飛ばされてからはどうにかして恭次も自分も舎弟の高梨も一緒に元の世界に戻らなきゃってところからだんだん時代の波に飲まれていって、最終的には「まさか」という結末を迎えるわけで……。
ーー裏社会で生きる人間ならではの嗅覚や判断力を持った人物、という印象がありました。先を読みながら行動できているような。
和田:最初はそこにちょっと違和感持ったりもしてたんです。ある種一番自分の願望とか野望をずーっと内に秘めながら劇中を生き続けた人間、彼のバックグラウンドとかの描写もあまりない中で演じるのはちょっと難しいなと思ってたんですけど……現場では監督と相談してセリフを少し変えたりとか、こういう時はこういう表情をしてみようかってことをすごくやってました。結果、完成した映像を見るとそういう部分もちゃんと伝わってきていたし、監督を信じてよかったなって思います。
ーー松田さんとの共演も念願だったとか。
和田:そうなんですよ。しかもこの「ムビ✕ステ」で初共演できたっていうのもすごく嬉しいですね。普段我々がやっている舞台プラス、映像という作品でというのがまた嬉しかった。ただ、一緒のシーンは実はあまり多くなくて、最初と、あとクライマックスと……一平は常に恭次を探している状態ですからね(笑)。でもやっぱり通して見ると二人の関係にもすごく説得力があるし、凌くんは2役やって大変だったと思うんですけど、見ていて、主人公の村田恭次というキャラクターはすごく愛らしい人物だなぁと思っていました。
松田:僕も琢磨くんとの共演は念願でしたよ。以前ラジオでご一緒した時に琢磨くんが「共演したい」って言ってくれて、「いや、僕こそです」と話していた数ヶ月後にこの作品のお話が決まって。そういうの、ある種運命的なものを感じてしまうじゃないですか! それから撮影が始まるのも楽しみにしていましたし、撮影期間もほとんどのシーンは別々だったんですけど現場では顔を合わせていて。礼生も広くんも琢磨くんもみんなといろいろ話もできましたしね。僕はそういう時間の中で琢磨くんは信頼できる方だなぁって感じていた。だから恭次が一平を思っているように、僕も琢磨くんに委ねるところは委ねて大丈夫だって思うことができてたんで……一緒のシーンでも芝居についてはああしようこうしようっていうやりとりはあんまりなかったんです。本当にセッションに近い形でお互いにお互いの意見を受け取りながら作っていけて、安心できたというか、預けあえたなぁっていう感じで。
和田:(頷く)。
ーー矢崎さんは一平の舎弟・高梨明。ここは意外性の高いキャスティング、見ていて新鮮な関係性でした。
矢崎:僕はまず撮影の初日が和田くんと一緒のシーンだったんですけど、そこでもう和田くんと早々に意気投合していて……。
矢崎広
和田:うんうん!
矢崎:なんかもう会った瞬間のフィーリングというか、同じ山形出身っていうのももしかしたらあったかもしれないんですけど、そういうのも関係なく気が合う感じがすごくしたし、そこからもう一気に兄貴と舎弟って関係性が作れたのはものすごくデカかったなぁと思いました。高梨って、いろんなキャラクターがいる中で唯一人間味というか、実際に現代の人間が幕末にタイムスリップしたらどうなってしまうんだろうってところを体現できる、リアルを表現できる役だなぁと思ったんですよね。だからこそずっと「なんでここに俺はいるんだ」「俺は今一体何やってんだ?」「兄貴はどこにいるんだ!?」って思いながらひとりで勝手な行動をして、最後には大変なことになっちゃうんですけど(笑)。仁義を切って兄貴のため、頭のためって生きてきたから、それを見失ってしまった瞬間、もう彼は何もできない人間で。
ーータイムスリップは行った先に馴染んだモノ勝ちっていうセオリーがありますよね。でも高梨はそこでの戸惑いがすごかった。
矢崎:僕はそこを一番重視してました。彼の戸惑いや恐怖について現場でもずっと考えてて……そういうリアルが作品でもひとつのコントラストになればいいなというところから、ああいう高梨のキャラクターになっていきました。
ーー戦争の映画を見ているような気分にもなりました。戦場に放り込まれた戦士たちの恐怖や狂気も似た心情が。
矢崎:そうですね。いきなり前線に立って死んでいる人を目の前で見て、でも「自分も戦わなきゃ」っていうあの追い詰められた感覚は、確かにそれに近いですね。
ーー新選組に紛れ込んだ一平と高梨の切羽詰まった感も、まさに鬼気迫る状況。新選組のご法度に触れ、みんなの前で追い詰められていき……。
矢崎:見た人はほんと、びっくりするでしょうね。「え、ここがこうなの??」って。しかももう……ね、あれはそうするしかなかったよなぁという選択。兄貴のあの“目”でいよいよ高梨が吹っ切れるというか。あそこは兄貴が本当にいい目をしていて……いや、僕的にはめっちゃ辛いんですけどね(笑)。もう逃れられないな、と。
和田:セリフ、ほとんどなかったしね。
矢崎:「誰も助けてくんないじゃん」って、その思いのまま僕はまぁ……そこで退場するので舞台版には出ていなんですけど、もし魂が復活して出てきたら多分一番強いと思います……恨みが(笑)。
松田・本田:(笑)。
本田礼生
和田:いやぁ、もう、だってね、僕の目の前で高梨がダメダメになっているその場で、新選組が、沖田くんとかが、冷た〜い目で僕を煽ってくるわけですよ。
松田・矢崎・本田:(笑)。
和田:自分ひとりだったら今すぐ高梨を連れて逃げ出したいって考えたんだろうけど、まさに新選組の放つ圧がもう高梨に責任を取らせるしかない状況が一平たちを追い詰めていく。僕ももうああするしかないって思いながら高梨を見つめるしかなくて……。
ーーその沖田総司を演じたのが本田さんです。
本田:二人の覚悟の場面に立ち会っている。でもそれこそそうした制裁に対する距離感がそもそも違うから、一連の流れからの刀の取り方はすごく意識してました。
松田・和田・矢崎:ああ〜。
本田:雑に、というか「あ、終わったね」とさらっと受けるのが逆にまた新選組の怖さにも繋がるだろうし、日常とまでは言わないけれど、あの覚悟をあっという間にないがしろにしてしまう沖田たちというところは大事にしました。やっぱり現代の人たちが入ってきた時の僕らとの距離感というか……「刀」に対するものだったり、「血」に対するものだったり、「死」に関するものとかが、彼らと僕らでは圧倒的に違うはず。そしてその距離感の違いが見ている方にも怖さを生んだりもうどうしようもないと思わせる状況を生むんだと思ったので、人を斬るのはこっちでは当然のことという距離感をしっかり持たないと作品としても絶対ブレてしまうと思って。その中でも沖田はあの戦いの最中ずっと生きてる人ですからたくさんの死も見てきただろうし、人が死ぬというところに非常に近くいる人であり、どこか飄々としていているキャラクターだというイメージもありました。
(左から)矢崎広、和田琢磨、松田凌、本田礼生
ーー生きると死ぬが常にセットになっている時代の代表。
矢崎:怖い時代ですよね。切腹が「誉」。褒められちゃう時代なんだから。
本田:そうなんですよねぇ。自分ももし現代からあっちに行ったら、それはもうやはり恐怖にしか思えない。そこの感覚は大事にしていました。
ーーとは言え恭次は龍馬の影武者を務めたのを機に、次第に「帰る」より「ここで生きる」ことを選ぼうとしてしまう。剛力彩芽さん演じるおりょうとの出会いも大きかった。本当に素敵な女性で。
和田:剛力さん、和服がとてもお似合いでまさにおりょうさんでしたね。
矢崎・本田:(頷く)。
松田:おりょうさんは本当に現場でも唯一の癒しでしたね。
和田:“唯一の”癒しってどういうことだよ〜。僕たちの友情はどうなるんだ!
矢崎・本田:(笑)。
松田:(笑)。いや、違うんだよ〜。やっぱりもう……このみなさんとのシーンはどうしても「闘い」になるんですよ。でもおりょうさんとのシーンは穏やかでね。血糊とかあれこれ衣装チェンジもない、壮大なセットチェンジもいらない、じっくりとドラマが流れるわけですよ。なんていうか、おりょうさんの空気感も素敵ですけど、本当に京都撮影所の美術セットが素晴らしくて。照明で夕景にしてみたりとか、朝靄がかかったような陽の光を作ってくださったりとか、本当に落ち着くんですよ。そういう落ち着いた空間でじっくりとお芝居ができるのは心地よくて、ものすごく癒される時間でした。

松田凌

ーーそれこそ闘いの日々で唯一翼を休めることのできる“我が家”。
松田:いやぁ、もうね、おりょうさんみたいな女性はなかなかいないんじゃないかと……。
和田:そんなこと言うなよ! 日本中にいるよ!
松田:すいません。そうです、真逆でした。ああいう女性たちがいてくれるからこそ、今の日本が成り立ってるんじゃないか! うん、そうだそうだ。
和田・矢崎・本田:(笑)。
松田:(笑)。自分も含めてですけど、そういう強くて優しい女性が支えてくれているから男は外でいろいろできるし、そして自分も含めて弱っちいんですよね、ホントに。男はちょっとのことでピーピー言うし(笑)……あ、ちょっと鼻かんでいいですか?
矢崎:花粉? よわっちいなぁ〜。箱ティッシュ抱えてるし。
和田:なんかもう現代社会の男性代表みたいになってるよ。
松田:いやぁ、ホント、弱っちいんですよ。この通り。
和田・矢崎・本田:(笑)。
ーー橋本一監督とのセッションはいかがでしたか?
矢崎:僕らの芝居をテストとかで見て、カメラカットなんかもある程度そこから決めてくださっていたので、僕らの表現を最大限に活かしていただきつつ、編集でいる・いらないの判断をしてくださってああいう作品に仕上がったんだなぁと。ホントに“活かしていただいた”っていう感じですかね。僕はもういっぱいチャレンジさせてもらいました。切腹のシーンもすごく入り込み過ぎちゃってホントにやばかったんですけど、自分も新選組の作品をやることが多いので以前から「切腹ってどういう気持ちなんだろう」ってすごく想像してきたんですよね。それをすごくぶつけさせてもらいました。自分で腹を割くってどういうメンタルなんだろうっていうのが……血糊を吐くタイミングなんかも監督がすごく待ってくださったので、そういう、すごくありがたいと感じる場面がたくさんありましたね。
和田:監督はもちろんたくさんこだわりを持って挑んでらっしゃるんですけど、そのこだわりを僕らに押し付けるようなことはせず、あえて、一旦委ねてくださって、そこで僕らの芝居を見てからご自分の色を付け加えていくというやり方をとってくださっていた。どのシーンも我々としては本当にありがたく、やりやすく撮影させてもらいました。
和田琢磨
ーー矢崎さんの無様な男の姿、和田さんの非情な温度感、初めて見る“顔”がたくさんありました。新選組チームも一体感ありましたね。
本田:楽しかったですよ! 最初に監督のイメージしている新撰組はどういうものなのかってところだけはしっかり相談をして、あとはやはり僕らのお芝居を見て撮ってくださっていましたね。沖田はとにかく「無邪気で楽しく」と。もちろんそこにはさっき言ったようないろんな意味がこもった上での無邪気で楽しくで、この作品に彼の無邪気さが与える作用は何だろうというところもたくさん考えながら、監督も「まずは演じてみてから」という作り方でした。
矢崎:新選組は土方歳三役の石黒英雄くんを中心に、話が全く通じない感じの集団ってところがすっげえ怖かったですよ。現代の考えが全く通じないし、まるで外国にいるような感じ。あの新選組の“圧”に取り込まれていくような感覚がマジでめちゃめちゃ怖かった。
ーー幕末の新選組と令和の暴力団。それぞれの集団の在り方は似て非なるものながら、どこか重ねずにはいられないところも本作の大きな要素なのかと。
松田:そういう意味では僕はもう絶対的に幕末の方が「仁義」だと思いました。広くんが言うようなところもそうだし、現代においてももちろん仁義とか集団のルールとかを重んじる人たちが生きているのが任侠の世界だとも思うけれど、「切腹が誉である」みたいに自分の命を持って責任を取るとか、現代の自分達が啖呵切るように格好つけるように決めセリフで言うようなことが、あの頃の人は本当にやっていたわけですし。面白いのは、ヤクザの落とし前として「お前責任取らんかい!」と下の人間に指を詰めさせて「仁義とはこういうことだ」と冒頭で謳っていた高梨が、新選組では逆の立場になってしまう。直接自分の命に関わる場所に行くとそういう男でも「腹を切れ」と迫られるわけですからね。その視点って、僕はこの作品の妙だよなぁと思いましたね。
ーーアクションシーンも満載でしたが、殺陣の稽古期間などは?
松田:その場その場で撮影中に順次、という形でしたね。
矢崎:ですね。あまりにも大殺陣の場合はそれなりに準備もしましたけど。
矢崎広
和田:殺陣は舞台『刀剣乱舞』でもご一緒している栗田政明さんがつけてくださってたので、そういう意味では安心感というか信頼感もありました。
本田:確かに。
ーー殺陣ができるみなさんなので、映像的にも非常にスリリングで見応えが!
矢崎:新選組に巻き込まれて怖がって逃げるシーン、本当に怖かったし、テンション上がり過ぎて過呼吸気味になっちゃって。だからあそこは本当に普通に自分でこけてて、後で見たら手が砂利で血まみれでした(笑)。
松田:なってましたね〜。
ーー沖田の剣さばきも、さすが、速かった。
松田:そう、速いんだよ〜。ものすごい速い。
本田:それはもちろん最初から意識してたんですけど、でも一回凌くんに怒られて(笑)。
松田:「速いっ!(怒)」。
和田・矢崎:(笑)。
本田:通常よりも半間速いというか、それが時間軸が違う怖さになるというのもあるし……殺陣をやってると呼吸ってわかるんです。その呼吸よりも半間速くっていうのを意識してたら速過ぎちゃって(笑)。すいません。
本田礼生
松田:そりゃあそうなんだよ。沖田総司という人間を体現するにはそれくらいしないと……なんだけど、でも速すぎる! まぁ自分も殺陣での対応はできるんですけど、それがもう速過ぎてカメラの画角に収まらないんですよ。こうしてこうきて最後突いて、セットに崩れながら倒れる……いやそれ、速い速い! 撮るほうが間に合わないから! と。
和田・矢崎:(笑)。
松田:そこまでいったらもうそれお芝居じゃないじゃん! これお芝居だから! って(笑)。
本田:(爆笑)。
松田:でも礼生くんのあの身体能力と芝居の熱、俳優としての素晴らしさがこもったからこそ、とても良いシーンにはなりましたよね。
ーー本当に作品の端々からみなさんの入り込み度、そして、そこから放出される血気盛んな“圧”を存分に感じましたし、骨太な空気で物語をこちらに叩き込んでくるような見応えでした。そしてあのラストシーンの後日談が、舞台へと続いていくわけですね。
松田:映画をご覧になった方はお分かりかと思いますが、鍵を握るのは蘭月童子(荒川ちか)。彼?  彼女? そのあたりも本当に謎なんですけどね。そもそもあれはどういう存在なのか……。
ーータイムスリップの謎を紐解いていく物語にもなりそうです。
松田:ですね。今日の時点ではまだ僕らもどんな内容になるのかわからないんですけど。
矢崎:僕はとりあえず生き霊として舞台へ魂だけでも飛ばしますよ(笑)。
和田:そうだよ。お前が全然見つからないせいで高梨が舞台出られなくなっちゃったんだからな〜。
松田:僕?
和田:そうそう。
矢崎・本田:(笑)。
矢崎:『仁義なき幕末』、映画としても楽しめる作品になってるのはもちろんなんですけど、そうなんですよね。そもそもなんでこんなことになってしまったのかとか、恭次と一平の関係についてとか、まだまだもうちょっと知りたいぞってところもたくさんあるし、そこにまた新選組の人たちがどう絡んでいくんだろう?? っていう楽しみが舞台には用意されているなぁと。舞台に関しては僕は本当に「どうなってるんだろう?」って、普通に楽しみにしていますよ。みなさんに期待しています!
本田:ほんと、僕はどうやって出るんでしょうね? 後日談……沖田総司……の、生まれ変わり?? いやまさか(笑)。それも今はまだ全然わからないんですけど、でも映画の新選組は現代から来た人たちにどう影響を与えていくかというところを重要視していたんですけど、舞台では多分僕ら自身にももっと焦点が当たっていくんじゃないかと思ってたりもするので、そこもまたすごく楽しみなんです。みなさんも楽しみにしていてくださいね。
和田:水谷果穂さん、木津つばさくん、柏木佑介くん、吉田メタルさんと、舞台から参加してくれるメンバーもいらっしゃいますし、それこそ我々の関係性を深掘りできたりとか、新選組のみんなを深掘りできたりとか、きっと映画の答え合わせができる舞台にはなっていくんだと思いますので、是非両方見ていただきたいと思います。
松田:「ムビ✕ステ」は映画と舞台を掛け合わせるというコンセプトなので、願わくば両方見ていただきたい。まずはこの映画を楽しんでもらい……そうすればおそらく舞台も観たくなる気持ちが湧き上がることでしょうし、琢磨くんが言ってくれたさまざまな「答え合わせ」を楽しむべく、劇場に足を運んでいただけたらと思っております。映画は映像で、舞台では生で。我々は映画も舞台もしっかりと思いを込めて演じさせていただきますし、この先の展開も楽しみにしてください! の一点に尽きますね。引き続きよろしくお願いいたします。
(左から)矢崎広、和田琢磨、松田凌、本田礼生
取材・文=横澤由香     撮影=池上夢貢

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