『ディズニー・オン・クラシック~夢
とまほうの贈りもの 2023』に出演の
ヴォーカリスト4人に聞く、ディズニ
ー音楽の魅力や公演の見どころとは

夢とまほうに満ちたディズニーの音楽を、物語を紡ぐ映像と共に、二期会に所属する実力派ヴォーカリストの歌と、オーケストラの生演奏で上演する感動のエンターテインメント『ディズニー・オン・クラシック ~夢とまほうの贈りもの 2023』が2023年5月13日(土)、J:COMホール八王子を皮切りに全国16都市18公演が行われる。プログラムは2部構成で、第1部では『ズートピア』、『ベイマックス』を約10分間にまとめたオリジナル映像に合わせて、特別に編集・編曲した組曲を披露。第2部ではアニメーション映画『ライオン・キング』の世界を彩った名曲を映像と共にガラコンサート形式で届けるという。出演する8人の日本人歌手の中から、初出演する重田 栞(ソプラノ)、牧野元美(ソプラノ)、新堂由暁(テノール)、菅原洋平(バリトン)に聴きどころなどを語ってもらった。
ーー今年もディズニー音楽に込められた夢や、魔法の世界を楽しめる音楽会が開かれます。
牧野:はい。昨年はプリンスとプリンセスがフィーチャーされていましたが、たくさんの動物たちが登場する今年は「仲間を信じること」の大切さを感じました。私たち8人のヴォーカリストも、お互いを信じてひとつのステージを作り上げていくので、そのよろこびを感じたいと思っています。私と新堂さんは今回が4度目、菅原さんも3度目の出演なので、チームワークの良さも発信していきたいです。
牧野元美
新堂:僕はプログラムを見たとき、大きな命のサイクルが巡っていくことを感じました。2部で披露させていただく『ライオン・キング』の「サークル・オブ・ライブ」ではないですが、描かれている命の営みなどは、コロナ禍を経て、未来へと進んでいく僕らとも重なりますね。
ーー第1部では『ズートピア』、『ベイマックス』の2作品がオリジナル組曲で世界初演されます。見所を教えていただけますでしょうか。
牧野:第1部では『ズートピア』や『ファンタジア/2000』など4作品を中心に展開してきます。2つの組曲に合わせた映像も見所です。オリジナルの映像に合わせた演奏は、オーケストラによる生のパフォーマンス。『ディズニー・オン・クラシック』でしか見ることができなステージになります。
新堂:僕はウォルト・ディズニーのアニメーション・スタジオで活躍したアニメーター集団「ナイン・オールドメン」が直接手掛けた長編アニメーション映画『バンビ』(1942年アメリカ公開/51年に日本公開)で「メイン・タイトル(愛のうたごえ)」などを歌わせていただきます。オリジナルの映像には、かわいらしい動物たちがたくさん登場しますが、当時、リアルな動きを表現するためにスタジオに本物の鹿を連れてくるなどして、スケッチをしたそうです。
牧野:クリエイター精神を感じますよね。1940年代にそのような努力をなさっていたことにも感激します。
新堂:そうですね。『リメンバー・ミー』に登場する犬のダンテも、メキシコ生まれなのでスタジオの中に犬を連れて来たという逸話があるのですが、モノづくりへのこだわりを感じるエピソードですよね。僕ら8人のヴォーカリストとオーケストラも、それに負けないように風や雨、いかずちの音などを全身で表現したいと思っています。
(左から)牧野元美、新堂由暁
ーー自然の音などを声で表現することは、ミッキーマウスが主人公の短編トーキーアニメーション『蒸気船ウィリー』でもなさっていましたよね。とても楽しい時間でした。
新堂:ええ。僕らも楽しい時間でした。『バンビ』にも期待していただきたいです。
ーー続いて第2部の見どころもお話しいただけますか。
新堂:僕は2020年に、『ディズニー・オン・クラシック』に初参加したのですが、そのときに務めさせていただいたのが『ライオン・キング』でした。今回はシンバとして「サークル・オブ・ライフ」などを歌うのですが、「前の方が良かった」と言われてしまうと悲しいので、「期待していた以上だった」と思っていただけるように頑張りたいです。
牧野:私はソリストを務める『トイ・ストーリー2』を楽しみにしていただきたいです。『トイ・ストーリー』は幼いときからセリフを覚えてしまうほど大好きな作品なのですが、歌う「ホエン・シー・ラヴド・ミー」は、おもちゃ目線で描かれた歌詞がとってもかわいらしいんです。子どものころ、大人たちに「大きくなったね」とほめられると嬉しくて、成長することはとても良いことだと思っていたのですが、この曲に出会ったとき、一緒に遊んでいた子が大人になっていくことは、おもちゃたちからしたら寂しいことなんだと知って、心に突き刺さったんです。ステージでは、そんなおもちゃたちの切なさも伝えられるように歌いたいです。
重田:『ライオン・キング』で子シンバとして出演することが決まっています。世界的に人気のアニメーションでしたので、「王様になるのが待ちきれない」など、観客の方がご存じの曲も多いと思うので、好奇心旺盛で元気いっぱいのシンバをお届けできればと思っています。無邪気で純粋な子シンバを身体の動きでも表現したいですね。
重田 栞
新堂:子シンバが、成長するとシンバになるのですが……。かわいらしい重田さんから、僕……になってしまうとは、ちょっと申し訳ない気持ちです。なので、少しでもかわいいなと思ってもらえるように、重田さんに寄せていきたいです。
重田:笑。
菅原:僕は実写版の『美女と野獣』で野獣が苦悩する場面で歌った「ひそかな夢」でソリストを務めます。楽譜はもちろんですが、描かれたシーンについてしっかりと読み解いて、絶望の中に見つけた希望をしっかり伝えたいです。野獣の心の動きや、複雑に変化して行く様子も声に乗せられたらと思っています。

(左から)菅原洋平、重田 栞

ーー第2部の『ライオン・キング』では新堂さん、菅原さん、鹿野浩史さん(テノール)の3人が、日替わりでヴォーカリストを務める場面があると聞きました。
菅原:はい。「サークル・オブ・ライフ」の冒頭で「♪ナーンツィゴンニャー!」と叫ぶ部分なのですが、毎回シークレットで務めることが決まっています。これは初めての試みですね。
新堂:三者三様、テンポ感も違うので、最初の一声で同じ曲でも全然違う表現になると思います。
菅原:生のオーケストラと共演するからこそできる醍醐味ですよね。僕は大自然の中で昇っていく太陽のような、命のエネルギーを込めたいです。
新堂:テノールは、甘い印象を持っていただくことが多いのですが、ここはエネルギーが爆発するような歌声で圧倒できたらと思います。
ーーディズニー音楽を歌われて、改めて気付いたその魅力と、好きな曲を教えていただけますか。
菅原:聴いている人の感情に訴えかけてくるところが、ディズニー音楽のほかにはない魅力だと思います。嬉しいときは、幸せが満ちていくような。悲しいときは、寄り添ってくれるように。感情が豊かになる音楽でもあると感じます。好きな曲は「リメンバー・ミー」(映画『リメンバー・ミー』)です。会えなくなってしまった人のことも、思い出すことで忘れない。思いを繋いで行くという優しさを感じる大好きな曲です。
菅原洋平
重田:作品ごとに名曲が生まれていることに、ディズニー音楽の表現の幅広さを感じます。曲を通じて、自分が経験したことがない新しい感情をおぼえることもありました。好きな曲はシンデレラの「夢はひそかに」です。つらい境遇にあっても、希望を捨てずに前を向いていく。わたしも頑張ろう! と聞くたびに、背中を押してもらっています。
牧野:子どものときも、今も、そしておそらくこれからも、ディズニーの音楽に魅了され続けて行くと思っています。感動する曲や、同じ曲でも響き方は年代によって違って、自分を成長させてくれるものでもあるので。勇気をもらったのは『アナと雪の女王2』の中で歌われた「ショウ・ユア・セルフ」です。この曲には心を開くこと、そして自分の気持ちを言葉で伝えることの大切さを教わりました。
新堂:3人がおっしゃったことを、頷きながら聞いていました。牧野さんと重なってしまうのですが、僕も幼少期、壮年期、老年期などどの世代でも、刺さる曲があることがディズニー音楽の魅力だと感じています。僕と牧野さんは実は大学で同期だったのですが、学生時代に親交はありませんでした。でも2020年の『ディズニー・オン・クラシック』で再会をして、そこから毎年一緒にパフォーマンスをするようになりました。今では曲の表現などについて、最初に相談するのも彼女です。ディズニー音楽を通じて、こんな風に交流できたことをうれしく思っていますし、常に成長させてくれる『ディズニー・オン・クラシック』に感謝しています。大切にしている曲は『ノートルダムの鐘』でカジモドが歌う「僕の願い」です。希望を捨てず、自分の力で道を切り開いていく姿に、励まされます。この曲はいつか『ディズニー・オン・クラシック』のステージで日本語で歌いたい。僕の夢でもあります。
新堂由暁
ーー初出演される重田さんへ、先輩方からアドバイスなどはありますか?
牧野:マイクを忘れないことと、もう一方の手にファンシーカラー★ダイヤモンド・ライト(サイリウム)を持っているので、ライトで歌わないことですね。
重田:私たちオペラ歌手は普段マイクを持って歌わないので、やりかねないです。気を付けます。
新堂:うんうん。音量とかを調整する意味もあって、マイクも誰のものか決まっているので、ほかの人のものを持って行かないようにね。そうしないと、舞台裏の音が客席に聴こえて、「あれ?」ってなっちゃうから。
重田:楽しみだけど、ドキドキがいっぱいですね。
(左から)新堂由暁、牧野元美、重田 栞、菅原洋平
取材・文=翡翠

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