大沢伸一、Licaxxx、DÉ DÉ MOUSEら
ゲストとともに渋谷スクランブルスク
エアが湧いた夜 『PREMIUM FASHION
NIGHT』の公式レポート到着

Shibuya Fashion Week ✕ SCRAMBLE MUSIC / SHOW 『PREMIUM FASHION NIGHT』

2023.03.18 SHIBUYA SCRAMBLE SQUARE 12F イベントスペース Scene 12
この日のテーマは“GOOD MUSIC ✕ FASHION”。外はあいにくの雨にもかかわらず、開場の16時からテーマカラーのグリーンを身に付けた多くの人々が集まった。上階とは吹き抜けの構造になっている広々とした空間。ガラス張りの向こうには、渋谷のシンボル・スクランブル交差点を中心とした景色が広がるグッドなロケーション。フリーエントランスで、ドリンクの購入者には限定のオリジナルフィンガーフードが無料で提供され、来場者はそれぞれ談笑したり、撮影をしたり、思い思いに楽しみながら、この後の催し/アクトを待つ。
17時になり、まず初めに“ファッションと音楽のイイカンケイ”をテーマにしたトークセッションが行われた。MCは菅野結以。モデル、ラジオDJといった顔を持ち、自身のブランド・Crayme,も運営する、まさに今回のテーマを体現する人物だ。トークゲストにはスタイリストのRIKU OSHIMAと、モーガン蔵人、ローズ、深水光太によるOUR'sが登場。OSHIMAは二階堂ふみ、池田エライザ、仲野太賀、坂口健太郎といった俳優や、水曜日のカンパネラKID FRESINOらのスタイリングを手掛け、ファッションという視点からさまざまなカルチャーに触れてきた。OUR'sはファッションをメインテーマにしたYouTubeチャンネル「OUR's/ 僕らのチャンネル」で注目を集めている新世代のアイコン。菅野とOSHIMA、OSHIMAとOUR'sは兼ねてから交流があったこともあり、序盤からテンポよく濃密なトークが始まる。
菅野結以
まずはそれぞれが普段聴いている音楽の話から。OSHIMAが気分や天気によって聴く音楽が変わると話し、この日のような天気の悪い日はザ・エックス・エックス、晴れた日はハリー・スタイルズの名前を例に上げた。OUR'sのモーガンはブラックミュージック、深水はダフト・パンク、エイフェックス・ツインといったエレクトロニックミュージックを好み、ローズはポップスやロックをよく聴くのだそう。「3人とも趣味はバラバラ」と話すが、彼らの様子を見ていると、だからこそ互いが価値観を刺激し合い、チームとしてのアウトプットにシナジーが起きているのではないかと感じた。音楽の掘り方については、OSHIMAが「サブスクで関連アーティストを辿どったり、気になるアーティストのインタビュー記事を読んで影響を受けたアーティストの曲を聴いたり」と話すと、菅野が「私もまったく同じ。好きな音楽を作っている人のルーツが気になる」と同調する。
OUR's
続いては今回のテーマカラー、グリーンにフォーカスを当てたトークへ。事前に撮られていた来場者のスナップが画面に映し出され、その本人にインタビュー。グリーンををメインに置く人、ワンポイントで採り入れた人、普段はグリーンの服を着ることはないがこの日のために購入した人らによる、ハイセンスなコーディネートの連続に壇上の4人からもフロアからも関心や驚きの声が上がる。
終盤は音楽やファッションと渋谷のこれからについての話が繰り広げられた。昨年SOUND MUSEUM VISIONとContactという二つのクラブが閉店したことは、「生活に支障をきたすほどの出来事だった」と話すOSHIMA。しかし、「Spotify O-EASTがいい感じで、クラブとライブハウスを繋ぐんじゃないか」と前向きな具体例を続ける。「ファッションや音楽には人を集める力がある、人が集まるイベントをやりましょう」と深水。今回のイベントもそうだが、コロナ禍の先が見えだした2023年、渋谷に集まる、渋谷で何かを仕掛ける人々の熱量が新たなフェーズで発揮されていくであろう予感を残して4人はステージを降りたが、その後もフロアで踊りながら来場者とコミュニケーションをとる姿が印象的だった。
矢部ユウナ
トークセッションの次は矢部ユウナのDJ。出番前のスナップでも紹介されていたグリーンのジャケットとDJブースとのマッチがクールだ。R&B、ヒップホップを基調にしながら120BPM台のハウス/UKガラージのビートから入り、後半はテンポと落とし心地よい横ノリをキープしつつポイントでバウンシーなビートなどを挟み上げてくる。絶妙な塩梅で次のライブアクト、15MUSにバトンを渡した。
15MUS
15MUSのライブは「今日は生憎の天気で星は見えないけど、星空みたいな街が見えるので、そんな曲から始めます」と最新シングル「星空が見えるなら」からスタート。メロウでアップテンポなナンバーに酔いしれながら踊る来場者の姿がガラスに映る。その向こうの夜空が差し掛かった渋谷の景色が、悪天候にも関わらずキラキラしているように見えた。TikTokでブレイクした「Your Song」のフックでは前方から起こったハンスアップの波が後方にまで広がり、一体感を生み出す。ラストは「伝えなくちゃいけない」。ビートはチルだがメロディーと歌詞は熱い。短い時間だったが場内をばっちり盛り上げステージを後にした。
YOSA &TAAR
15MUSのライブが終わると「This Is Modern Disco」というフレーズが光るSEからYOSA & TAARのDJが始まる。現在活動休止中のAttractionsからTaro Abeが駆けつけマイクを持つ。そしてAbeを迎えたオリジナル曲「T.B.T.」が流れると場内は一気にヒート。『MODERN DISCO』というパーティを中心に渋谷でディスコ/ダンスミュージックの真ん中を更新し続ける二人のプレイに、イベント目的ではないであろうスクランブルスクエアの買い物客もどんどん集まってきた。
Taro Abeの紹介で続いて登場したのはDÉ DÉ MOUSE。YOSA & TAARのディスコグルーヴを引き継ぎながらもよりフィーチャリスティックなナンバーをプレイする。ブースに目をやるといつ次の曲をセットしているのかわからないくらい踊り続けるその姿に応えるオーディエンス。間にダフト・パンクの「One More Time」やABBAの「Gimme! Gimme! Gimmi!」といった特大アンセムを入れ、フロア全体に大きな唸りが起こった。
イベントもいよいよ終盤。ハッピーでアッパーなディスコの陽なムードから、Licaxxxがクラブカルチャーの深みへと誘う、腰と肝の据わったプレイを披露する。テックハウス、トライバルテクノ、グライムなどを織り交ぜながらのセット。筆者はそのビートマジックに思わず息を飲んでしまう緊張感と、頭より先に身体が動く衝動が交差し、気が付けば我を忘れていた。これはもうクラブの深夜。圧倒的な時間だった。
ラストは大沢伸一。重くダークなインダストリアルから入り、そのダークな空気からグラデーションでじわじわ景色を開いていく。エレクトロありアシッドハウスあり、クラブカルチャーの今と現在を繋ぐプレイに、吹き抜けの上階で踊るオーディエンスもどんどん増える。途中関西弁で「目を瞑って踊ってもいいですよ」と、クラブの深い森をオープンマインドで見せていく、スクランブルスクエアというモールならではのユーモラスで粋なMCも印象的だった。ラストは大沢のソロプロジェクト・Mondo Grossoとどんぐりずによる「Rave(Hungry Driver)」をプレイし、歓喜の渦と共にイベントは終了した。
ファッションと音楽をテーマに、スクランブルスクエアという渋谷の真ん中に誕生した大きな施設でのトークセッション、DJ、ライブを開催したことによる、多種多様な人々のクロスオーバー。これもまた渋谷の新しいかたちではないだろうか。ここから始まるムーブメント、『SCRAMBLE MUSIC / SHOW』の今後の動きから目が離せない。
SCRAMBLE MUSIC / SHOW
撮影=Yu Nakamura

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