寺脇康文インタビュー~水谷豊×段田
安則×高橋克実×堤真一が兄弟グルー
プを演じる舞台『帰ってきたマイ・ブ
ラザー』に出演

シス・カンパニー公演『帰ってきたマイ・ブラザー』(作:マギー 演出:小林顕作)が2023年4月1日に世田谷パブリック・シアターで初日を迎える(~4月23日。その後、名古屋・大阪・福岡・西宮・新潟・札幌・仙台・京都を巡演)。
かつて大ヒット曲を放ちながら、あっという間に表舞台から姿を消した兄弟グループ「ブラザー4(フォー)」を巡る物語。今はそれぞれに離れて生活する四兄弟役を 水谷豊段田安則高橋克実堤真一 が演じる。そして、その再結成に尽力する熱きマネージャー役として、寺脇康文が登場。今回、寺脇の出演は、舞台出演が23年ぶりとなる水谷からの誘いもあって決まったそうだ。
開幕まで稽古場から配信されているTikTokでは、出演者らの楽しそうな様子が見られて人気だ。その稽古や、作品の魅力、見どころなどを寺脇に聞いた。

■長男役・水谷豊さんをはじめ、名優ぞろいの「ブラザー4」に強く憧れるマネージャー役
──この企画の一番の楽しみは?
かなり前ですけども、僕が『相棒』に復帰することが決まるより先にこの舞台の話をいただいていて。水谷さんから「一緒にやってくれない?」と。舞台が先に決まっていたんです。「豊さんとまた一緒に仕事ができる。今度は舞台だ!」ということで「ぜひやらせてください」と回答させていただいたスタートでした。
その後に『相棒』が決まって、豊さんに「どうします?『相棒』が終わってすぐに舞台が始まるから、もし違和感があるようでしたら僕は舞台を諦めても構いません」と言ったら「いやいや大丈夫。全然違う関係性を作って楽しくやろう」と言っていただいて。とにかく豊さんは本当に呼吸の合う方ですし、豊さんに憧れて俳優を目指したので、絶対にやりたかった。『相棒』の二人とはまた違うキャラクターなので、皆さまには是非そこを楽しんでいただきたいです​。
それに、もちろんこのメンバー! 熟練の名優たちが揃っています。もともと仲は良いけれど初共演の人も多い。(高橋)克実さんとは映像での共演があって普段から仲が良いのですが、段田(安則)さんとは舞台初共演です……ただ、段田さんの草野球チームには入らせてもらっていました。堤(真一)くんも昔からの知り合いで、映画でご一緒したときは、それほど絡みがなかったので、今回とても楽しみです。一方、舞台で何度か共演しているのが、腕のある二人の女性陣、(峯村)リエちゃん、(池谷)のぶえちゃんです。
──マギーさんの脚本の魅力や見どころ、気に入っているところは?
当て書きのようなので、それぞれがピッタリで面白いですよ。マギーさんから見る僕たちを面白く書いてくれているので、登場人物それぞれの個性が良く出ています。しかも、さすがは俳優の皆さん、テンポが良くて、流れるように進んでいきます。克実さんが台詞をスポーンと忘れさえしなければ(笑)。物語の根本は、家族・兄弟。センセーショナルな事件が起きるわけでもなく、舞台もずっと同じ場所のままですから、ちょっと地味だと感じるかもしれません。でも、大きな出来事が起こらなくても、登場人物たちの心の動きには大きなドラマがある。今の時代は、戦争が起きたり、コロナが流行ったりで、混沌としていますが、だからこそ、なんでもないことが幸せなんだと語ってくれているような作品です。
──この四人の兄弟のように、久しぶりに会うことで変化したり、変わらなかったりすることってありますね。
そうですね。僕の場合、中3の時の同窓会が10年ごとにあるんですよ。その時は、往時に戻ったような感覚になりますね。同じ時代を過ごした仲間たちというのは、久しぶりだけど緊張なく仲良しに戻れる。それは兄弟と似ているところがあるかもしれないですね。もちろんみんな歳をとって変わったところはあるけれど、中学3年生の時にタイムスリップできる。
──演出は小林顕作さんです。いかがですか?
ちょっとね、可哀想ですよ、この先輩たちを演出するんですから(笑)。でも勇気を持って「ここはこうしてほしい」と伝えてくれるし、みなさんも小林くんを尊重しているので、良い稽古場だと思います。
──寺脇さんはこの兄弟グループ「ブラザー4」に憧れているマネージャー役です。この豪華メンバーの兄弟感、近くで見ていていかがですか?
兄弟感はありますね。それぞれの生き方によって個性が違っているけれど、仲良しの部分は残っていて、どこかで信頼し合っている。僕にとっては俳優として大好きな四人なので、彼らに愛を感じて「ファン第一号」とまで言いきるマネージャー役は、何の問題もなく自然に共感できます。四人が笑っている姿を見ているだけで泣けてきちゃうような熱い思いを持っていて、台詞の中でも「お前は熱いし、重い」と言われる。そんな男をまっすぐに演じたいですね。
──では今作での課題や、大事にしたいところは?
何年間も会っていなかったこの四人の“潤滑油”的な役割を務められればいいですね。四人だけの関係よりも、僕がいたことで何かうまくいくようなことが起これば嬉しいです。兄弟同士って、近いからこそうまくいかないこともあるのかなと思うので、そこを取り持てるようになれたらいいなと。

■寺脇康文にとって、憧れの存在は
──寺脇さんにとっての「ブラザー4」のような憧れの存在は実際にいますか?
それはもう、豊さんのドラマや映画を見ていたので、今一緒に仕事ができていることは奇跡のようです。ドラマ『熱中時代』を熱心に見ていた高校生くらいの頃に、俳優を目指したくらいですから。俳優になる前はお会いできるなんて思ってもいなかったですし、俳優になってからも「頑張ったらいつかは共演できるかな」という遠い存在でした。でも、わりと早めの29歳の時にドラマ『刑事貴族2』で共演がい、その後も『相棒』でご一緒させてもらったのは、本当に嬉しかったですね。しかも今また戻ってきて『相棒』で共演できて、舞台もある。これだけ人生に関わらせていただいたことは、僕にとって、とても大きな存在ですね。この世界に入っても、テレビや映画で見ていた方と全員に会えるわけじゃないので、その中でも特に憧れていた人と会えて共演できていることはすごいことだなと。その一方で、何回も共演する人もいる。その巡り合わせばかりは、運命的なものですよ。
──そうですね。しかも水谷さんとは、ご本人が23年ぶりの舞台ということもあって舞台では初共演となります。今作での関係性や、水谷さんとの共演の楽しみは?
豊さんの演じるハジメは、『相棒』の右京さんとは真逆の性格。ふだんの豊さんに近いんですよ。「とっぽい兄ちゃん」といった感じですね。ふだんの豊さんは本当に面白いことばかりおっしゃっているので、その豊さんと対している感じがします。まぁ、僕の役はあまり僕自身には似ていなくて、亀山(『相棒』での寺脇の役名)の方が近いんだけどね。とにかく『相棒』とはまったく違った二人ですから、僕と豊さんに持っているイメージがある方は、それを飛び越えて新たな二人として見てもらえたら嬉しいですね。
──『帰ってきたマイ・ブラザー』は全国9か所で上演され、いろんな場所へと「ブラザー4」が帰ってきます。その見どころは?
自分のことはさておき、熟練の名優ぞろいなので、その俳優たちを観るだけでも本当に貴重です。とくに殺人事件が起きたりとかドラマティックなことはありませんが、日常の中のドラマがたくさん詰まっていますので、楽しい時間を過ごしに来てください。たくさん笑って、時にちょっとほろっとくることがあればいいですね。あたたかい気持ちになって、嬉し涙のようなものが流れる時間になれば、人間の生き方としてもすごく素敵なんじゃないかな。
取材・文=河野桃子
写真撮影=池上夢貢
ヘアメイク=白石義人(ima.)

アーティスト

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着