フジファブリックが緑黄色社会と対バ
ン、「若者のすべて」をコラボーー「
こういう日を待っていた」『フジフレ
ンドパーク2023』大阪公演、観客とシ
ンガロングで感動的な夜に

『フジフレンドパーク2023』2023.3.21(TUE)Zepp Osaka Bayside
フジファブリックが、親交の深いアーティストと行う恒例の対バンイベント『フジフレンドパーク』。対バンアーティストとのコラボ曲を披露するなど、ほかにはないステージを展開し続け、発足から9年目を迎える。今年は、3月3日(金)Zepp Fukuoka公演にフレデリック、3月21日(祝・火)Zepp Osaka Bayside公演に緑黄色社会、そして3月29日(水)Zepp Diver City公演にくるりを迎えて開催となった。今回SPICEでは、声出し解禁となった喜びをかみしめた3月21日(祝・火)、緑黄色社会を迎えたZepp Osaka Bayside公演のレポートをお届けする。
緑黄色社会
緑黄色社会
長屋晴子(Vo.Gt)、小林壱誓(Gt)、peppe(Key)、穴見真吾(Ba)、そしてサポートドラムの比田井修がグリーンの色味で揃えた爽やかな衣装で登場。peppeのピアノにあわせてバンドがリズムを誘導し、徐々に照明が明るくなる。そんな高揚感がたまらないオープニングにピッタリな「Don!!」は、まさにこの季節に「よ~い、どん!」となにかを始める人を勇気づけてくれるよう。
緑黄色社会
「フジフレンドパーク、楽しもうね、よろしく!」と長屋が叫び、「始まりの歌」のサビでフロアいっぱいに手があがると、春の風が吹き抜けていくような爽快なサウンドで満たされる会場。ぐんぐんとバンドグルーブも加速度を増す中、長屋の伸びやかでタフな歌声がどこまでも遠くにつれていってくれそう。前半を終えたタイミングで、「最初から飛ばしすぎじゃない? そんなに歌って血管大丈夫? とか思うでしょ? わたしも思うわ!(笑)」と長屋が、オーディエンスが思っていたことを言ってくれた。「久しぶりの大阪がうれしくて」という理由に、歓喜の声が飛び交うと「この声! この声! 待ってたよ、こういうの!」と長屋。数年ぶりの観客とのコミュニケーションに喜びを爆発させた。
緑黄色社会
フジファブリックとは、2021年秋に開催した緑黄色社会主催の対バンイベント『緑黄色夜祭』で共演している。学生時代から大ファンでカバーの経験もあるという大先輩なだけに、「あのときは緊張であまり喋れなかった」と振り返る。今回はもっと仲良くなれるように、まずはミュージシャンにありがちな機材の話からコミュニケーションを図る作戦! 「帰るまでにはもっと踏み込んだ話ができるようにしたい!」と意気込むメンバーだった。

緑黄色社会

長屋がギターをかかえて歌う姿がキュートな「幸せ」から叙情的にスタートした中盤。温度感のあるボーカルをダイナミックなアンサンブルが包み込む。本番前にフジファブリック・山内総一郎(Vo.Gt)に「パワーアップしてるんでしょ?」とプレッシャーをかけられた(笑)らしく、「パワーアップしたところを見せなきゃ!と思ってる! もっともっといける!?」という長屋の言葉を合図に、アクセルを踏み込んで鳴らされたのは、いまや国民的ヒット曲となった「Mela!」。長屋のアカペラからはじまるライブアレンジが圧巻で、冒頭から大歓声が会場に響く。長屋がpeppeに寄り沿って歌ったり、比田井のドラムスティックを拝借したりと、各楽器とはしゃぐ見せ場たっぷりのパフォーマンスにも釘付けとなった。
緑黄色社会
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その勢いのままに「キャラクター」の心躍るようなポップネスで誰もが笑顔に。この日はいつにも増して自然体で歌う長屋の姿が印象的だった。ラストソングは、「今日は、なにかを取り戻した気がしてすごくうれしかった! ありがとう!」という感謝の気持ちとともに奏でられた、「これからのこと、それからのこと」で、力強く未来に音をつなげて締めくくった。
緑黄色社会
フジファブリック
フジファブリック
遊園地のメリーゴーラウンドで流れているようなSEがまさに『フレンドパーク』。大歓声に迎えられて登場したフジファブリックが1曲目に選んだのは、2015年の作品「Green Bird」だった。現在の3人体制になって初めてプロデューサーを迎え入れて制作されたこの曲。8年後の今も新たな表現に挑み続けるバンドの決意が伝わってくるようだ。金澤ダイスケ(Key)のピアノとストリングスがドラマチックに熱を帯びていくと、「Sugar!!」のお馴染みのイントロへ。なぜか「Sugar!!」のメロディにはいつも涙腺が刺激されてしまう。

フジファブリック

「最高ー!」「素敵ー!」という会場の声援は大きく拍手もあたたかい。それを受け、「なんや! なんや! 大阪、元気やん! めっちゃうれしいです!」と地元らしく大阪弁で返す山内。こんなふうにライブで会話ができる光景は尊く、「俺たちもこういう日を待ってたんだよ!」と喜びを隠せない様子。2階席から見守る緑黄色社会のメンバーも大きく手を振ってくれた。
フジファブリック
先ほど演奏された「Suger!!」は、『2009 WORLD BASEBALL CLASSIC ™』 (以下、『WBC』)で、J SPORTSの中継テーマソングだったのだが、この日はまさに、侍ジャパンが2009年同様に決勝戦にコマを進めた日でもあった。さらに新曲「ミラクルレボリューションNo.9」も『WBC』J SPORTS中継テーマソングに選ばれていることもあり、「(今日演奏することで)今回もイケるはず!」と野球愛たっぷりに山内も太鼓判(この翌日、見事に王座奪還となるとは!)。「ミラクルレボリューションNo.9」の演奏前は、独特のリフ部分の振り付けを加藤慎一(Ba)が指南した。MVでもおなじみの動きは、フォークボールとグローブを持つアクションをモチーフにしているという説明も楽しく、練習したあとは、ディスコ調のノリが楽しいフジファブ節炸裂のナンバーに合わせて会場が一体となった。
フジファブリック
山内が家族のことを思ってつくった「手」の歌唱中は、大阪の馴染みのある景色を頭に浮かべたという。そんな、そっと心に染み入るメロディと歌詞で癒してくれる中盤を経て、MCはいつもの和やかなムード。唐突に山内が「俺の服、野菜みたいな色してない?」と自身の衣装につっこみ、サポートドラムの伊藤大地も含め、メンバーの衣装を野菜の色に例えるという緑黄色社会にちなんだ(!?)ユルい野菜トークに発展(笑)。ここでも観客とのやりとりを楽しんでいた。
フジファブリック
「LIFE」「徒然モノクローム」「Feverman」とそれぞれの時代を振り返るようなセットリストで織りなす後半。祭囃子を思わせる「Feverman」は観るたびにライブ映えする楽曲へと進化していて、日本人の血がさわぐようなリズムに酔いしれた。本編ラストは、初期からのアンセム「星降る夜になったら」。「歌える人は歌ってください!」という山内の呼びかけに応じて、後半はみんなのシンガロングが感動的な景色をつくった。
フジファブリック
今回は、アンコールに緑黄色社会・長屋が参加。待望のコラボ曲は、「若者のすべて」だ。儚さの中に芯の強さがある長屋の前半部分の歌唱には、曲へのリスぺクトがあふれている。そしていつものキーに下げて披露した山内との貴重なハーモニーは、ここでしか見られない名演となった。
フジファブリック
最後は全メンバーがステージ上に集結し終幕。リスペクトするゲストとの一期一会のステージを心から楽しみ、それがバンドの進化へと結びつくこの対バンイベント。「まだまだこれから遥か彼方まで行きましょう!」山内のそんな言葉から、来年20周年を迎えるフジファブリックのこれからがより一層楽しみになった。
取材・文=岡田あさみ 写真=オフィシャル提供(撮影:ヨシモリユウナ)

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