L→R RONZI(Dr)、TOSHI-LOW(Vo&A.Gu)、KOHKI(A.Gu)、MARTIN(Vo&Violin&A.Gu)、KAKUEI(Percussion)、MAKOTO(Kontrabass)

L→R RONZI(Dr)、TOSHI-LOW(Vo&A.Gu)、KOHKI(A.Gu)、MARTIN(Vo&Violin&A.Gu)、KAKUEI(Percussion)、MAKOTO(Kontrabass)

【OAU インタビュー】
一曲一曲が次の段階へと
進んでいる作品になった

TOSHI-LOWも家族を大事にする
やさしいおっさんになった(笑)

メンバーの個性を引き出すために作った曲は他にもあるんですか?

ありますよ。TOSHI-LOWはBRAHMANでアツく歌っているイメージがあるけど、自分が思うに、あの人って本当は暗い曲が好きなんですよね(笑)。暗くてバラードな感じで、歌詞が心にキュッとくる感じが好きなんだと思います。もちろん、ハードコアも好きだけど、お酒を呑みながら、ひと息ついてリラックスできるような曲。アルバムの最後に入っている「懐かしい未来」は彼がメロディーと構成を持ってきたんですけど、最初はもっと違っていたんです。ちょっとBRAHMANっぽいところがあったから、リアレンジして聴き終わったあとに考えさせる感じ…はぁ(嘆息)、(感心するように)へぇ~ってなるような曲になればいいなと思いながらTOSHI-LOWと一緒にイメージを固めていきました。

「懐かしい未来」はMAKOTOさんによるコントラバスの弓弾きと、迫力のある音でドーンと鳴るRONZIさんのドラムも含めリズム隊の重厚な演奏が印象的です。

RONZIは低音が鳴るドラムの音が好きかな。そういう意味ではRONZIの好きな感じも入っていますね。1曲目の「Old Road」はパーカッションとドラムがメインになっていますけど、RONZIがそういうの好きだから作ったというところもありますね。

今回、「世界は変わる」のようなシンプルなバンドサウンドを生々しく聴かせる曲がある一方で、「Old Road」「夢の続きを」「懐かしい未来」のアンビエンスを意識したサウンドも聴きどころではないかと思います。

音の幅が広いですよね。大きなステージが似合う曲をもうちょっと作りたくて。「This Song -Planxty Irwin-」「Without You」もそうですね。そういう曲は『OAU』でちょっとやり出して、今回はもうちょっと欲しかった…ちょっとって言いながら、結構入っていますけど(笑)。「月だけが」も音がでかい感じですよね。小さいステージでしっとりとやるんだったら、そういう曲も全然あるし、でかいステージでやっても映える曲もあって。今回のアルバムでそのバランスはすごく取れたんじゃないかな?

OAUとしてもっと大きなステージに立ちたいという気持ちもあるんですか?

もちろんあるけど、意外とすでに立ってるんですよね。大きなステージは気持ち良いですよ。昨年、急遽『FUJI ROCK FESTIVAL』のメインのGREEN STAGEに出演させてもらったんですけど、これからはずっとここがいいなと思いました(笑)。いろいろなステージに立っているから、大きなステージと言ったら、あとはアリーナぐらいじゃないかな? そうなったら最高じゃん! いろいろな人に届いてほしいと思って、OAUというアンブレラの下でさまざまな曲を作っているわけですからね。

「Homeward Bound」と「Peach Melba」を一緒に作ったということは、『New Spring Harvest』を作り始めた時には、今回のアルバムのことをすでに考えていたわけですか?

そうですね。今回の曲はパンデミックが流行する中でほとんどのデモは作っていました。

パンデミックを振り返っていかがです?

怖かったですよね。特にパンデミックが流行り出した時は人に全然会えない状態だったでしょ? 「Without You」はその時に思ったことを歌った曲なんですけど、その中で誰に会いたいかがすごくはっきりとしたんです。《All I need is all I want》とサビで歌っているんですけど、その考え方はすごく強くなったかな。

歌詞を書く上でアルバム全体に共通しているような大きなテーマはありましたか?

歌詞はつながっているかということですか? 全部がつながっていると思います。いろいろなテーマで書きましたけど、特に自分の歌詞は「Without You」でまとめられるんですよね。TOSHI-LOWが書いた日本語の歌詞については彼に訊いてみないと分からないところもあるけど、TOSHI-LOWにはTOSHI-LOWでつながっている部分があると思います。あまりメンバー同士でそういう話はしないんですよ。でも、「世界は変わる」はTOSHI-LOWが初めて書いたぐらいのラブソングだと思ってます。彼も家族を大事にするやさしいおっさんになりましたからね(笑)。

17世紀に多くの曲を残したアイルランドのハーピスト、ターロック・オキャロランの「Planxty Irwin」を“This Song”というタイトルでカバーしたのには、どんな理由があったのですか?

僕の母はケルトのハープを弾いているんですけど、ケルトのハープを習っている人はだいたいがオキャロランの曲を覚えるんです。「Planxty Irwin」は僕が子供の頃に母がずっと弾いていて、一緒に僕もバイオリンで弾いたことがあるんですけど、子供の頃の子守歌みたいなんですよね。ある日、“この曲のメロディーを口ずさみながら歌詞をつけて歌にしたらエモそうだな? 今のOAUでやったらすごく大きな感じの曲に仕上がるかも!”と閃いて。400年ぐらい前の古いメロディーに日本語の歌詞をつけて、日本でリバイバルさせるってすごく面白いし、OAU以外にはそんなことをやるバンドはいないと思いました。

それでTOSHI-LOWさんに歌詞を書いてもらったと。

やっぱり日本語がポイントなんですよね。英語にしたら普通だしね。日本語の歌と西洋の古いメロディーのつながりが面白いんです。ポップスなんだけど、メロディーが400年前って、まさにOAUのイメージにぴったりだし、いい曲だし、早く聴いてほしくてこの曲は先行配信しました。

歌詞を書いてもらうにあたっては何かリクエストしたのですか?

言っていないですね。前のアルバムではちょこちょこと言ったけど、この曲も含めて今回は何も言っていないです。前のアルバムは僕がデモの段階ですでに結構作り込んだんですけど、それに比べると今回はベーシックな部分からメンバーのアイディアがすごく入っていますね。

TOSHI-LOWさんが書いた「月だけが」の歌詞は、現在の世界情勢を連想させます。歌詞からの連想なのか、「月だけが」のマーチ風のベースとドラムが軍隊の行進を連想させるんですよ。

3拍子の1拍目にアクセントを置いているから、行進みたいな“前に前に”というふうに聴こえるんだと思います。先に出来上がっていたトラックがそうだったから、TOSHI-LOWはそういう歌詞をつけたんじゃないかな?

さて、最後にリリース後の活動について聞かせてください。

6月から全国8カ所のホールツアー『OAU Tour 2023 Tradition』を開催します。2019年にライヴハウスツアーをやったあとに追加公演でホールを回ったんですけど、ホールのめちゃくちゃいい音ときれいな照明が今のバンドに合っていると気づいたんです。だから、今回もそこを活かしつつ、ホールで新しいOAUの曲を思う存分響かせます。ライヴハウスも楽しいですけど、僕は子供の頃に地元の3,000人くらい入る大きなホールでバイオリンのイツァーク・パールマンとか、チェロのヨーヨー・マとか、アイリッシュのレジェンドバンドであるチーフタンズとかを観に行った思い出があって。その記憶と重なって、ホールのステージに立つと、僕もステージに立つ側になったんだと嬉しくなるんですよ。

取材:山口智男

アルバム『Tradition』2023年4月12日発売 NOFRAMES/Toy’s Factory
    • 【初回生産限定盤】(CD+DVD)
    • TFCC-81013~4
    • ¥4,400(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • TFCC-81015
    • ¥3,300(税込)
    • 【完全生産限定盤】(2LP)
    • TFJC-38116~7
    • ¥5,500(税込)

ライヴ情報

『OAU Tour 2023 Tradition』
6/03(土) 北海道・札幌サンプラザホール
6/07(水) 大阪・サンケイホールブリーゼ
6/09(金) 岡山・ルネスホール
6/14(水) 愛知・名古屋市芸術創造センター
6/23(金) 宮城・トークネットホール仙台 小ホール
6/30(金) 福岡・電気ビルみらいホール
7/05(水) 新潟・新潟市音楽文化会館
7/08(土) 東京・昭和女子大学人見記念講堂
<チケット情報>
・封入シリアルナンバー・チケット先行
4/12(水)12:00〜4/19(水)23:59にて期間限定受付
※CD盤/LP盤ともに封入あり
詳細:http://oau-tc.com/
『New Acoustic Camp 2023』
9/16(土)〜9/18(月・祝)群馬・水上高原リゾート200
詳細:https://newacousticcamp.com/

OAU プロフィール

オーエーユー:2005年に結成されたアコースティックバンド。ハードコアパンクバンド・BRAHMANのメンバー4人に、ヴァイオリニストでフロントマンも務めるMARTIN(Vo&Violin&A.Gu)とパーカッショニストのKAKUEI(Percussion)が加わった6人構成で、
欧米をはじめとしたトラッドやルーツミュージックを巧みに織り込んだ有機的な音楽性に、繊細さとダイナミズムとを併せ持ったパフォーマンスで多くのオーディエンスを魅了している。国内最大級のフェスをはじめ海外でもライヴを重ねるほか、10年からは、すべてのアーティストがアコースティック限定の編成で出演するキャンプフェス『New Acoustic Camp』のオーガナイザーを務めている。19年4月よりOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDから現名義へ改称。20年12月にセルフカバー作『Re:New Acoustic Life』をリリース。22年2月にミニアルバム『New Spring Harvest』を発表し、23年4月に2年半ぶりとなるアルバム『Tradition』を発売。6月からはホールツアー『OAU Tour 2023「Tradition」』を開催する。OAU オフィシャルHP

「Tradition」Teaser

OAU「Time's a River」
-New Acoustic New Year-/
Billboard Live TOKYO(2023.01.21)

OAU Tour 2023「Tradition」Teaser

OKMusic編集部

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