【ヒヨリノアメ インタビュー】
生きるために
一緒にバンドをやっている
“この3人だったらできるな”と思って
外に出ていくことを決めた
しかしそんな矢先で、AKIさんが縦隔気腫発症と皮下気腫を併発し一時ライヴ活動を休止することになったり、萩谷さんはガンの疑いがあるということで手術を行ない、難病に指定されているサルコイドーシスであると診断されたんですよね。
でも、バンド活動は止めずに続けていこうと?
萩谷
3人ともバンドがなくなったらダメな人たちというか。すごく音楽に支えられているし、ヒヨリノアメにも支えられていて、俺は闘病をしているけど、ライヴをやっている時とか曲を作っている時はすごく元気になるんですよね。それを自覚していて、バンドをやっていると他のバンドマンにも会えたり、ライヴハウスの人に会えたり、人とのかかわりもあるし、温かさとかやさしさに触れる時間が自分たちにとって必要なんです。それがあるから頑張れているっていうのがバンドを続けている一番の理由なのかな? 生きるために一緒にバンドをやっているって感じですかね。
ウツイ
僕も同じです。音楽をやっていないとみんな元気がないし、僕にとっても生きる活力だから、ふたりが闘病していても、音楽を続けていくことが僕には重要なんですよね。
AKI
僕はライヴが好きなんですよね。観るのも好きですし、ライヴハウスで会える人のことも好きだし、メンバーもそうだけど、バンド活動をしていないと会えない人ばっかりで。僕にとっては人に会うことが大事で、闘病している時期だからこそ好きな人に会うべきだし、会いに行きたいと思う。コロナ禍の時に自分でレコーディングをして、家にこもる生活をしていた時に、音源を出すという活動はできていたけど、人に会わないことによって気持ちの面でも閉じこもっちゃっていたところがあったので、またそうはなりたくなかったんですよね。りんちゃんも支えてくれるし、おはぎさんも俺も頑張って、この3人だったらできると思って、外に出ていくことを決めたんです。ヒヨリノアメが外に連れ出してくれて、人に会わせてくれているので、これからもバンド活動は止めたくないです。
ウツイ
ヒヨリノアメは本当に自分の人生を変えてくれたバンドで、自分が生きている中で一番の親友に出会ったみたいな感じなんですよ(笑)。プライベートでも会うし、音楽以外の時間でも一緒に過ごしていることが音にも出ていると思う。本当に自分の人生を通してすごく大きなものに出会ったと思っています。
今年1月にYouTubeにアップされた「声」のライヴ映像も拝見しましたが、生き生きとしていていい雰囲気でしたね。
AKI
ライヴ映像をYouTubeに上げたのはこの曲が初めてなんです。またライヴハウスに出るようになってから、前にお世話になっていた人たちにも再会するようになって、“音源とは違う空気が味わえるライヴハウスって最高だよね”って、もっと遊びに来てほしいという気持ちがあって。ライヴを観てもらいたいんです。
それにこの映像は萩谷さんの弟さんが撮影されているんですよね?
萩谷
はい。普段は友達のバンドを撮っているみたいなんですけど、この日は“撮らせてほしい”と言われて、めちゃくちゃ嬉しくて急きょ撮影に入ってもらいました。弟は家族の中でも一番ヒヨリノアメを応援してくれているんです。弟だけど仲間というか、助けられている存在です。
3月24日(金)からは『ヒヨリノアメ×新宿SAMURAIヒビキpresents「また君に会えるように」』と題した6カ月連続企画ライヴも決まっていますし、現在はアルバムも制作中ということで、今のヒヨリノアメが作り出すものが楽しみです。
AKI
アルバムを作るために曲を作っているわけではないというか。セッションをしたり家で弾き語りをしていたら、どんどん曲ができちゃったからアルバムにするという流れなんです。キーボードがいない3ピースって慣れない状況なので、メンバーもそうだと思うんですけど、曲を作る上でどうギターを鳴らしたらいいかってところが今までとまったく違うので、正直言って作れると思っていなかったんですよ。でも、3人で音を出した時に急に浮かんできたりとか、俺は即興でメロディーと歌詞が出てくるタイプなんですけど、ライヴハウスに帰って全部振りきってみたら、それこそ降ってきて、メンバーの演奏も合致していて、一回目のセッションで“これ、いいんじゃない?”ってなるから、DTMで作っていた時よりも新しい曲ができるペースがすごく早いです。
特にAKIさんは実際に起きたことや思ったことだけを歌にする方だから、どんどん言いたいことがあふれ出てきているような感じですか?
AKI
そうですね。言いたいことがないと曲ができないので、普段考えていることとか、頭の中で思っている“ありがとう”とか“ごめん”ってことがパッとメロディーと同時に出てきます。今のことだけじゃなくて、前に考えていたことも出てきたりするんですよ。やっぱり積極的に人に会うようになって良かったと思います。直接会って話さないと心も動かないというか。
ウツイ
昨年も少ない本数でライヴをやっていたんですけど、今年はライヴハウスに帰るつもりで、もっといろんな人に会うが目標ではありますね。今までお世話になった方に恩返しもしたいです。
萩谷
まずはたくさんライヴをしたいですし、ライヴと通して新しい音楽にも出会っていきたいです。ライヴはライヴハウスに集まった人としか体感ができないので、観ている人と演奏をしている人っていうことは関係なく、一緒に笑ったり感動できたらいいなと思っています。
AKI
昨年はおはぎさんが復帰したことや、病気のこともそうだし、同期をやめて3ピースになったこともそうですし、本当に変化があって、それを一個ずつ整理していく期間だったんですよ。今年は整理して準備してきたことを出していくだけだと思うので、変わらずに3人でどんどん曲を作って、ライヴをしていきたいです。
取材:千々和香苗
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ミニアルバム『また君に会えるように』2023年6月7日発売
YouSpica
- YSPC-0005/¥2,750(税込)
- <収録曲>
- 1.声
- 2.SONIC
- 3.光
- 4.雨
- 5.あいのうた
- 6.傘とシンデレラ(19years old)
- 7.傘とシンデレラ
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『ヒヨリノアメ×新宿SAMURAIヒビキpresents「また君に会えるように」』
※終了分は割愛
4/21(金) 東京・新宿SAMURAI
5/26(金) 東京・新宿SAMURAI
6/23(金) 東京・新宿SAMURAI
7/21(金) 東京・新宿SAMURAI
8/25(金) 東京・新宿SAMURAI
ヒヨリノアメ:2015年夏、茨城県にて結成。幾度の困難にも負けず、今を生きるロックバンド。19年7月に初の全国流通ミニアルバム『記憶の片隅に』を発表し、同年11月よりウツイリント(Dr)の加入で現体制となった。2022年以降、それでも世界が続くならの篠塚将行をプロデューサーに迎え、2023年6月にそれでも世界が続くなら主催レーベル・YouSpicaより2ndミニアルバム『また君に会えるように』をリリース。さらなる変化を現在進行形で遂げている。ヒヨリノアメ オフィシャルHP
「声」ライヴ映像
「SONIC」ライヴ映像
「声」MV