進化を続ける、弦楽アンサンブル「石
田組」 組長・石田泰尚に聞く、アル
バムや発売記念ツアーへの思い

石田泰尚率いる弦楽アンサンブル「石田組」が2023年4月26日(水)にアルバム『石田組 2023・春』をリリースする。ライブ盤の発売を記念し5月3日(水・祝)の兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールを皮切りに、北海道から九州まで全国28公演を行う『石田組2023/2024アルバム発売記念ツアー』を開催。8月13日(日)の東京・サントリーホール、同月16日(水)の大阪・フェスティバルホールのステージには、石田組初の女性メンバーが登壇することも決まった。来年迎える結成10年を前に、進化を続ける石田組の活動や、最新アルバムの聴きどころ、全国ツアーへの意気込みを石田に語ってもらった。
ーー4月26日に10曲入りの最新アルバム『石田組 2023・春』をリリースされます。バルトークの「ルーマニア民俗舞曲」、エンニオ・モリコーネの「ニュー・シネマ・パラダイス」などバラエティーに富んだ選曲は、石田組ならではですね。
そうですね。聴いてくれるお客さんに楽しんでもらえるように、クラシックはもちろん、映画音楽やロックなど幅広いジャンルから曲を選んでいます。
ーーアルバムは2022年8月19日に、ミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市幸区)で行ったステージの音源を収めたものです。当日はどんなステージでしたか。
平日の公演だったのですが、どこからお客さんが来たのか、満席だったことが何よりうれしかったですね。360度、降ってくるような拍手をいただき、最高の気分でした。泰尚熱狂という感じです(笑)。アルバムを聴いてくれた方が、この日の様子を感じられるように、拍手の音もちゃんと入っているので、ライブ感を味わってもらえると思います。
ーー観客も石田組のメンバーも燃え上がっていました。アンコールも含めて、2時間半を超えるステージでしたね。
さすがに疲れました。次の日に大阪のザ・シンフォニーホールで(﨑谷直人と結成した)DOS DEL FIDDLESの公演があったのですが、正直「行きたくねぇ」と思いました(笑)。
ーー石田組の公演は、前半でしっかりクラシックを聴かせ、後半はロックや映画の劇中歌などを演奏するというプログラムで構成されています。クラシックと、それ以外の楽曲について弾き分けをしておられますか。
意識はしていませんが、自然にそうなっていると思います。それは僕だけじゃなくて、石田組のメンバーもそうだと思います。ロックを弾き終えた後は、息が上がるので、エネルギーを使っているなと感じています。
ーー現在、石田組には、60人ほどのメンバーが在籍しています。組長自ら組員の紹介をなさる時間は、所属オーケストラと肩書、フルネーム以外に、愛を感じる組長からのひと言コメントがファンの方に好評です。どのようなタイミングで情報を集めておられるのでしょうか。
リハーサルのときや、休憩時間に話をして、言えそうなことを言っている感じです。
ーー身長について「ほぼ2メートル」と紹介したり、「とにかくNHK」と連呼されたり、また「息子さんがオレのファン」などたくさんの“語録”が生み出されてきました。組員の方はコメントについて何かおっしゃいますか。
多分喜んでいると思います。「それ言わないでよ」ということを言っていることもあったみたいですが。
ーーどんなことですか?
誰だったか、「引っ越しの真っ最中」と紹介したら、それは言ってほしくなかったみたい。お客さんが笑ってくれたから、良かった。まだクレームが来たことはないですね。
石田泰尚
ーー石田組の公演は、アンコールが毎回充実しています。本編でお疲れのところ、何曲も演奏なさるのには理由がありますか。
やっぱり、お客さんへのサービスですよね。アンコールは最低3曲はやろうと思っています。ソロのリサイタルでは、最大6曲やったことがありました。数やればいいっていう訳ではないけれど、演奏をたくさん聴いてほしいという思いはあります。
ーー8月13日の東京・サントリーホール、同月16日の大阪・フェスティバルホールのステージには初めて女性メンバーが参戦します。
はい。東京フィルハーモニー交響楽団で首席を務めているヴィオラ奏者の須田祥子さんです。「石田組」のメンバーは男だけというこだわりがありましたが、でも須田ちゃんは別格なので、須田ちゃんにだけは、どこかのタイミングで参加してほしいという思いが以前からありました。実は東フィルから奏者が参加するのは、今回が初めてなので、それも楽しみなんです。
ーー石田組は、組長から直接出演交渉の連絡が行くことがお決まりです。まさかのオファーに、須田さんは驚かれたのではないでしょうか?
須田ちゃんからは「いつでもスタンバイOK!」と言われていたので、連絡をしたときはとてもよろこんでくれました。須田ちゃんと一緒に加藤大輔(東フィルでヴィオラを担当)も初出演するのですが、加藤は須田ちゃんの“舎弟”だと思うので、その感じも楽しんでほしいですね。
石田組
ーー石田組は来年結成10年の節目を迎えますね。
はい。石田組を結成した理由のひとつに、「普段の活動で溜まったものを発散する場にしたい」という思いがありました。オケって大所帯じゃないですか。会社も大きいところだと、上司の顔色をうかがったり、周りを立てたり気をつかいますよね。オケも同じようなところがあるので、日常の中で抱えたものを石田組で発散してほしいと思っています。ステージで演奏している顔を見ていると、みんな楽しそうなので石田組は長く続けていきたいと考えています。
ーーバイオリニストの高嶋ちさ子さんが、石田さんのヴァイオリンの音色について「見た目とのギャップがすごい。日本の七不思議のうちのひとつ」と絶賛されていました。
尊敬している高嶋さんに、お褒めの言葉をいただき光栄です。同じバイオリニストではあるけれど、テレビなどに出演してクラシックの普及に努めている高嶋さんからコメントをいただいてうれしく思っています。
ーー石田さんも音楽番組昨年『ららら クラシック』で演奏をしていたり、3月まで放送されていたドラマ『リバーサルオーケストラ』では俳優デビューも果たされましたね。
ドラマはクラシックをベースにしたもので、(所属している)神奈川フィルのメンバーも出演していました。父親はドラマを見ていたのですが、僕は(出演依頼が来るまでは)見たことがなくて。出演はドラマの最終回に、審査員役で出演しました。本人役だったので、役作りはバッチリでした。
ーー昨年は初の書籍「音楽家である前に、人間であれ!」を上梓されました。石田イズムが満載でしたが、改めて石田さんにとってヴァイオリンとはどんなものだと思われましたか。
ヴァイオリンは僕にとってなくてはならないもの。ヴァイオリンの演奏を続けていたから、広がった世界もありますし、辞めないで良かったと思っています。親に感謝ですね。ほかの楽器ということは考えられないですし、ほかの楽器だったら続けなかったかもしれません。
ーー最後に公演を楽しみにしているファンの方にメッセージをお願いします。
昨年は初めて石田組として、大阪で公演をしました。そのときは補助席が出るほどの人気で、ホールの人も『こんなこと初めてだ』と驚いていました。今回のツアーでは、石田組として初めて北海道に行きます。北のお客さんにも石田組の音を届けることができてうれしいです。色んなジャンルを演奏することをコンセプトにしているので、クラシック初心者の方でも楽しめると思います。ぜひ一度聴きに来てください!
取材・文=翡翠

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