初武道館直前!クマリデパート長編イ
ンタビュー【前編】 ”これがクマリ
デパート”現在進行形を詰め込んだ2
年振りのフルアルバムを語る

クマリデパートは2016年に結成し、「世界のこころのデパート」をコンセプトに活動する6人組アイドルグループ。“ご来店いただいた全てのお客様に笑顔と幸せをお届け。”をもとに活動中。昨年末には中野サンプラザでの単独公演を大成功させたクマリは、1月31日に3rdアルバム『コスモデパート』リリース、そして3月30日グループ初の日本武道館にてワンマンライブ『クマリデパートのおいでよ!日本武道館!」を開催と2023年も止まらない。そんな絶好調な彼女らに、2年ぶりとなる3rdアルバムに込めた想いと、初の武道館ワンマンへ向けた心境を前後編となるロングインタビューで語ってもらった。
──本作『コスモデパート』はアルバムとしては前作『セカデパ!』から2年ぶり。山乃さんと七瀬さんにとっては、グループ加入から間もなくして発表されたアルバムでした。
七瀬マナ:『セカデパ!』と今回の『コスモデパート』では、結構心持ちが違いまして。『セカデパ!』のときはまだ「新メンバーだから」みたいな気持ちで参加していたんですけど、今回はしっかりとグループの一員として、より強い気持ちで臨めたなと感じています。
楓フウカ:確かに、今回は「アンサー!!」と「シャダーイクン」の6人バージョン以外はこの6人のために作っていただいた曲なので、そこは大きく違いますね。
──この2年でグループの中で一番大きく変わったなと感じる、何か象徴的なものってありますか?
優雨ナコ:例えば、以前はこういうことをするよと言われて「はい、頑張ります!」って気持ちで臨んでいたんですけど、ここ最近は「ここはこうなんじゃないかな?」とメンバーで積極的に話し合いをしてから、スタッフさんに「どう思いますか?」と投げたり、「これってこっちのほうがいいんじゃない?」っていう意見出しをみんなでし合ったり、自主的に何かを考えることが増えた気がします。
山乃メイ:だからなのか、アルバムの制作に関しても前作と今作とでは向き合い方が全然違いました。前作のときは目の前のレコーディングを頑張ることで精一杯で、余計なことを考える余裕がなかったんですけど、今回はアルバム全体を俯瞰で見て「どういう歌い方をしたらいいか」とか考えられるようになったし。それは私だけじゃなくて、メンバー一人ひとりが主体的になっていったと思いますし、その結果この2年をかけて少しずつ、グループとして全員が同じ方向を向いて進めるようになってきたのかなと思います。
楓:それと、武道館が決まったことで自分たちでも何か考えなきゃっていう気持ちが強くなったこともあると思います。
小田アヤネ:今までは自分たちで何かを提案するとか、自分たちの考えを伝えることが苦手だったし、機会もあまりなかったので、この2年は自分たちにとっても成長するチャンスだったのかもしれません。
早桜ニコ:もちろん、昔も何も考えていなかったわけではないんですけど、今はもっと具体的に話し合って、実践するみたいな、そういうことができるようになったのかなと思います。
──実際、最近のライブを拝見するとコロナ禍前と比べて見違えた感が強く伝わってくるんです。
全員:おー。
早桜ニコ
──ステージに立つときの意識も、ここ2年で変わったんでしょうか?
早桜:さっきも話題に出たメンバーでの話し合いの中で、「メンバー同士もっとライブを楽しもう。ライブ中にお客さんばかりを見るんじゃなくて、メンバーとももっと目を合わせたりしたら、メンバーが楽しんでいる姿をファンの方にも、空気感ごと楽しんでもらえるんじゃないか」という話題も上がって。それが自然にできるようになった結果、自然と意識が変わったのかな。
山乃:ステージ上でのメンバーに対する信頼も、数年前と比べたらめちゃくちゃ強くなっていて。だからなのか、次のライブに向けてレッスンをしているときも、「これ、できるかなあ? まあ、私たちならいけるでしょ!」っていうことがすごく増えましたし。そういうマインドを最近持てているのは、信頼から来ているのかなと思います。
──そういったいい空気は、今回の3rdアルバム『コスモデパート』からも伝わってきます。にしても、いよいよ今回は宇宙にまで飛び出しましたね(笑)。
全員:(笑)。
楓:思ってはいたけど、ついにね(笑)。
早桜:『ココデパ!』『セカデパ!』ときて、次は『◯◯デパ!』になるんだろうと想像していたら、その想像を遥かに超えたタイトルでした(笑)。
優雨:世界から次は宇宙。その先のことを考えると、ちょっと想像できませんよね(笑)。
山乃メイ
──タイトル含め、最初にこのアルバムのコンセプトを聞かされたとき、皆さんはどんなアルバムにしたいなと思いましたか?
山乃:武道館前に出るアルバムなので、初めてクマリデパートを聴く方にも「このアルバムを聴けばこんなグループなんだ」とわかってもらえる内容にしたかったですし、実際自信を持ってオススメできるアルバムになったかなと思います。
楓:純粋な1曲目にあたる「2060年チェリーブロッサムの旅」という曲を聴かせてもらうまで、私はどういうアルバムになるのかがあまり想像できなくて。でも、「この方が新曲を作ってくださるよ」とかいろいろ知っていく中で、グループとしての表現の幅がさらに広がるような気がしたので、それをクマリデパートなりに進化させなくちゃって思いました。
小田:今まで関わったことのなかった作家さんたちに新たに曲を書いてもらえることになって、6人それぞれの個性が出せるような歌とか表現を、前回のアルバムとは違った形でいろいろチャレンジしているところもあったので、本当に惑星感のある壮大なアルバムになったと思います。あと、メンバーでずっと前から欲しがっていた自己紹介ソング(「ククククマリデパート」)も含まれているので、これを聴いてもらえばみんなにクマリデパートを一瞬でわかってもらえるんじゃないかと思います。
七瀬:私は最初、全体のイメージがぼんやりしていたんですけど、「宇宙の果てで恋をした」とか「2060年チェリーブロッサムの旅」とか宇宙感のある曲をレコーディングしたことで、宇宙のイメージが強まりました。あと、クマリデパートとして大切にしている「シャダーイクン」と「アンサー!!」を、新たに6人バージョンレコーディングさせていただくことができて、個人的にもとってもうれしいかったです。
──「おいでよコスモデパート」から「宇宙の果てで恋をした」までのアルバム本編が起承転結しっかりしていて、そのあとに続く6人バージョンの「アンサー!!」と「シャダーイクン」はアンコールみたいな。ちょっとライブをイメージする流れだなと思いました。だから、聴いていると自然とライブが観たくなるんですよ。
全員:あー、うれしい!
楓フウカ
──ここからは新曲を中心にお話を伺いたいと思います。まずはオープニングで「おいでよコスモデパート」で度肝を抜かれるわけですが(笑)。
楓:『ココデパ!』はオープニングが「おいでよ!クマリデパート」、『セカデパ!』のときは「おいでよ!クマリデパート -世界ver」だったので、今度は「おいでよ!クマリデパート -宇宙ver」かなと思っていたら、全然違った(笑)。でも、これがアルバムのオープニングだと、すごくワクワクしますよね。レコーディングも6人で一緒にブースに入って、「せーのっ!」で歌ったのですごく楽しかったです。
──壮大さもありつつ、いい意味での脱力感もあり(笑)。だから、続く「2060年チェリーブロッサムの旅」で一気に心を掴まれてしまうんです。すごくいい流れだと思いますよ。「2060年チェリーブロッサムの旅」から新曲が2曲続きますが、特に「豆まきパラダイス」はこのリリースタイミングならではの1曲ですね。
楓:(作曲の)早川(博隆)さんが可愛らしい曲を書く方なので、どんな曲が届くのか楽しみにしていたんですが、まさか豆まきの曲だとは想像もしていなくて。逆に「早川さん、大丈夫ですか?」って心配になりました(笑)。もしかしたら(プロデューサーの)サクライ(ケンタ)さんが豆で推しちゃったのかな。
早桜:でも、事前に「クリスマスとかハロウィンとかバレンタインみたいに、季節のイベントって何かある?」みたいな相談をしてくれたんだよね。それでサクライさんに「う〜ん、リリース近辺だと節分?」って答えたら、そのあとに「豆まきパラダイス」が出来上がったという。
小田:季節柄チョコの曲とかはたくさんあるじゃないですか。でも、豆まきの曲はほか聴いたことないので、うちょっとれしいですね。
山乃:モチついて(「YESモチFEVER」)豆まいたら、もう最強だよね。
七瀬:でも、本当はクリスマスとかハロウィンが欲しかったです(笑)。
全員:(笑)。
早桜:この曲、豆をまく振り付けがあるんですけど、最初はちょっと可愛めの投げ方をしていたんです。でも、サクライさんに「振り付け、こんな感じなんですけど、どうですか?」って見せたら、「もっと本気で投げて!」と野球選手の投球画像付きで返信が来て。そこで、本気で投げる振り付けに変わったんです。
七瀬:ちゃんと振りかぶっているんですよ。
優雨:足を上げて、思い切り振りかぶって(笑)。
七瀬:それこそ「2060年チェリーブロッサムの旅」もサクライさんが好きな映画『2001年宇宙の旅』がモチーフになっているんですけど、「おいでよコスモデパート」の流れから『2001年宇宙の旅』をベースに表現していて、改めてこだわりがすごいなと思いました。「2060年チェリーブロッサムの旅」のMVの中でも宇宙の旅をモチーフに、みんながいろんなキャラクターを演じているんですけど、そこもサクライさんのこだわりが強くて。
楓:宇宙飛行士だったらただ宇宙飛行士の服を着るだけじゃなくて、ボリューム感までこだわった表現をしていますし。
七瀬:フウカは最初に登場する猿の役をやっているんですけど、手にしている骨もサクライさんが自作して。
山乃:あれは何で作ったの?
七瀬:麺を伸ばす麺棒に紙粘土を巻きつけたらしくて。
山乃:すごい!
七瀬:しかも、「もっとこう。そうそう!」と猿の動きの指導までしていました(笑)。
クマリデパート
──渾身の演技指導が(笑)。再びアルバムの話題に戻りますが、前半は新曲と既存曲を交えた構成で、曲が進むにつれどんどん熱量が上がっていき、中盤に入ると「“なっちゃうよ”になっちゃうよ?!」「サイエンス倶LOVE」で空気が一変します。
楓:サクライさんの話題にばかりなっちゃうんですけど(笑)、「“なっちゃうよ”になっちゃうよ?!」はかなりこだわっていたみたいで。昨年の11月27日に中野サンプラザでツアーファイナルをさせていただいたときに、本番前に「『“なっちゃうよ”になっちゃうよ?!』って曲を作る!」と急に言い出して。で、そのあとに曲が届いても「『“なっちゃうよ”になっちゃうよ?!』ってどういう意味?」とわからないままで、結局そのままレコーディングにも突入してしまったんですよ。この曲、サクライさんのお気に入りでして、ニックさんという外国人さんに一緒に歌っていただいているので、ファンの方の反応も気になります。
七瀬:「ライブはどうするんだろう?」っていう不安もあり(笑)。
小田:たぶん、みんなも「『“なっちゃうよ”になっちゃうよ?!』って何言ってんの?」って思うよね。私たちもサクライさんに「結局『“なっちゃうよ”になっちゃうよ?!』って、何になっちゃうんですか?」って聞いたけど、「それは……なっちゃうんだよ」って教えてくれなくて(笑)。
優雨:落ちサビで〈そろそろ なっちゃうっがわかるかな?〉って匂わせるのに、そのあとで〈なっちゃうよになっちゃうよ〉ってまた繰り返しで(笑)。
山乃:ちょっと童謡みたいだよね。
楓:サクライさんからこのアルバムを出しますと告げたときに、唯「この曲はヤバいです」って一コメントを残していて。
優雨:サクライさん、レコーディング中に思い出し笑いをしていましたから。ニックさんのことを思い出して、「これ聴かないほうがいいよ、笑っちゃうから」ってわざわざ言うくらい(笑)。
山乃:サクライさんはレコーディングでも、録り終わったあとに「じゃあ最後、通して聴いてみようか」ってことをあまりやらないんですよ。でも、この曲のときは「一回聴く? 聴いてみる?」って(笑)。ニックさんの声をどうしても聴かせたいくらい、お気に入りだったみたいです。
優雨ナコ
──プロデューサー渾身の1曲なわけですね(笑)。アルバムはそこから後半に向けて、またエネルギッシュさが増していきます。ここではやはり自己紹介ソング「ククククマリデパート」の存在が大きいですよね。
優雨:サクライさんから「どういう曲が欲しい?」っていう相談が来たときに、メンバーがいろんなアイデアを出していったんですよ。その中で、サクライさんに引っかかったのが、豆まきと自己紹介(笑)。
山乃:この曲はサビが面白くて、〈早桜ニコ 優雨ナコ 小田アヤネ 楓フウカ 山乃メイ 七瀬マナ〉ってメンバーのフルネームをひたすら連呼するという(笑)。なかなかないと思うんですけど、そこが可愛らしくて。しかも、そこから〈6人が揃えば クマリデパート!〉とつながっていて、この6人じゃないと絶対に歌えない歌詞になっているので、これから長く大切にしていきたいです。
早桜:この曲をいただいたとき、メンバーで「この曲の振り付け、絶対にこういう感じになりそうだよね」っていう話をしていたんですが、サビで自分の名前を歌うところはそのメンバーが手を挙げるんじゃないかなって想像していたんです。で、いざ振り入れ当日に臨んだら、想像どおりの振り付けになっていて。同じことを振り付けの先生も考えてくれていて、うれしくなりました(笑)。
小田:笑いを通り越して、みんな感動して泣いてたしね(笑)。ライブでもメンバーに合わせてファンの皆さんが手を挙げるのを見ると、すごくうれしくてニコニコしちゃいます。
早桜:自分たちが思っている以上にファンの方からもすごく好評で、安心しています(笑)。
小田:特に最近は、声出し可能ライブに向けて自分たちでコールをしているので、ぜひそこを参考にしてほしいです。
小田アヤネ
──そこから「宇宙の果てで恋をした」でクライマックスを迎えます。
優雨:この曲を最初にいただいたとき、メロディを聴いて一発で「めちゃめちゃいい!」と思ったんですけど、同時にすごく難しい曲だなとも思って。しかも、レコーディングのときにサクライさんが「この曲は珍しく真面目に詞を書きました」と言っていたんです。
早桜:「珍しく」って自分で言っちゃうんだ(笑)。
優雨:そう(笑)。それくらいサクライさんも気持ちを込めて書いてくれた曲なので、すごく大事に歌いたいなと個人的に思っていて。そのあとに振り付けも加わって、よりこの曲の世界観が広がった気がしているので、音もメロディも歌詞も振りも全部お気に入りです。
小田:サクライさんが珍しく振り付けのオーダーを、「大真面目にお願いします」と言っていたみたいで。
楓:ふざけないでくださいと(笑)。
小田:なので、真面目に取り組みました(笑)。
楓:歌詞も可愛くて、特にお気に入りです。
小田:レコーディングには(作曲・編曲の)NARASAKIさんが立ち会ってくださって。クマリデパートのレコーディングでは作曲家さんに歌唱指導してもらうことがなかったので、最初はすごく緊張したんですけど、NARASAKIさんの指導がめちゃくちゃ優しくて。歌詞のニュアンスに関しても「ここはもうちょっと優しい感じで」みたいに具体的でわかりやすかったので、そこに近づけられるように真剣に臨みました。そういう私たちの頑張りが、ファンの皆さんにも伝わっていたらいいなと思います。
山乃:私、この曲の間奏がすごく好きで。アルバムのコンセプトに合った宇宙っぽい音が入っているんですが、宇宙にちなんだ曲からアルバムが始まって、豆まきとか自己紹介とか「“なっちゃうよ”になっちゃうよ?!」ってしたところで(笑)、しっかり宇宙で締めくくる。アルバム全体として綺麗な構成で、初めて通して聴いたときはその流れに感動しました。
早桜:あと、このアルバムにはハモリのパートがたくさん用意されているんですけど、「宇宙の果てで恋をした」もフウカがずっとハモリをしていて。
優雨:普段はマナちゃんとフウカでハモったりすることがあるんですけど、今回のアルバムでは全員がハモリにチャレンジしていて。音源だと「ここは誰がハモっているんだろう?」ってわからないかもしれないけど、じっくり聴き込んで「ここは◯◯だ!」と気づいてほしいですね。
七瀬マナ
──前作『セカデパ!』リリース以降の2年を通じてグループとして急成長したいろんな側面が、このアルバムには凝縮されているんだろうなと、皆さんのお話を聞いて強く感じました。
全員:おー。
早桜:そう言ってもらえてうれしいです。
──そういうアルバムを完成させたことは、皆さんの自信にもつながったんじゃないでしょうか。
小田:1月のZepp DiverCity 3DAYS公演で毎日新曲を1曲ずつ披露したんですけど、そのたびにファンの方が「この曲もいい! あの曲もいい!」と喜んでくださっていることが、Twitterとかを通じて伝わってくるので、そういう反響も自信につながっているかなと思います。
早桜:新曲はもちろん、既存曲含めて新しい発見もあるはずなので、ぜひアルバムを通してたっぷり楽しんでほしいです!

取材・文=西廣智一 撮影=大塚秀美

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