ハンブレッダーズ、『ヤバすぎるワン
マンツアー2023』が開幕 初日・名古
屋市公会堂公演のオフィシャルレポー
ト到着

ハンブレッダーズのワンマンツアーが2023年3月11日に名古屋市公会堂よりスタートした。本記事では同公演のオフィシャルレポートをお届けする。

せーの!声が出せるって最高!もうこれ、これに尽きる。「ハンブレッダーズ“ヤバすぎるワンマンツアー2023”」の何がヤバすぎるかって、ツアー初日名古屋公演に足を運んだ人なら身を以って実感しているはず。時を戻すと、まずコロナ。もう言い飽きたけど、コロナのあんちくしょうにこの数年間、ライブハウスシーンはそれはもうボッコボコにされてきた。ボッコボコどころかフルボッコ。モッシュ、ダイブはまあ元から禁止だったとして、声が出せないことが本当に辛かった。とはいえ、未曽有のウィルスと戦うため、止む無しでしたよね。まずは戦い抜いたこの数年間を称えましょうよ。拍手。自分に拍手。みんなに拍手。勿論まだ何が起きるか分からないし、油断は出来ないんだけれど、何かが動き出したのは、厚生労働省によるマスクのルールが改定される直前、2023年3月11日の名古屋市公会堂で行われたハンブレッダーズのライブでこれでもかと感じることが出来た。もう1回言うけれど、そしてこの後何回も言うかもしれないけれど、声が出せるって最高だ。
ハンブレッダーズ“ヤバすぎるワンマンツアー2023” 名古屋市公会堂公演
ハンブレッダーズ“ヤバすぎるワンマンツアー2023” 名古屋市公会堂公演
ハンブレッダーズがずっと叫び続けてきたことだけど、ロックンロールの騒音は俺たちの為にあると割と本気で思っていて、ロックンロールが鳴りやまないのは俺たちがずっと無敵の青春の真っ只中にいるからだと思っている。今日ここに集まっているみんなは何歳?俺は明日44歳の誕生日を迎えるよ。それでもまだ、青春が目の前にあるんだ。音楽で雷が落ち続けているんだ。コロナだろうがなんだろうが、いつまでも寝てなんかいられない。今日ここに集まった人は、毛布を蹴とばして、飛び起きて、ハンブレッダーズのライブに来ているんでしょ。何かが動き出したって言ったけど、動かしたのは紛れもなく俺たちだ。まだまだ終わらない。終わらせない。自由になるためのアイデアとやり方を探し続けてきたこの数年を物凄い勢いで回収していこう。スクールカースト最底辺からひっくり返そう。とてつもなく大きな何かが起きたとき俺たちは無力だけど、ありもしない「当たり前」も、幻の「しきたり」も、ひらめきで飛び越えることは出来る。理屈よりリズムだってムツムロも歌っているよ。
ハンブレッダーズ“ヤバすぎるワンマンツアー2023” 名古屋市公会堂公演
ハンブレッダーズ“ヤバすぎるワンマンツアー2023” 名古屋市公会堂公演
「俺たちのライブにルールはないけど、このツアーだけは声を出してほしいかもしれない」とステージから投げかけるムツムロに応えるように会場に鳴り響くシンガロング。これをずっと待っていたんだよ。目の前で起きるライブにズドーンとやられて溢れるこの衝動を声で表現出来るって、なんて最高なんだ。ずっとそうしてきたはずなのに改めて感動しちゃう。ツアー初日、声出し解禁の興奮からか、この日のムツムロは序盤の曲で歌詞を飛ばしまくっていたけど、大丈夫、俺が歌う。みんなで歌う。そうやってみんなで生きていきたい。大袈裟な話に聞こえるかもしれないけど、生きることってそういうことな気がする。僕らはみんな生きているし、僕らはみんなで生きている。名古屋市公会堂に春風が通り過ぎていく感じ。やっぱり今日、何かが変わったと思う。
ハンブレッダーズ“ヤバすぎるワンマンツアー2023” 名古屋市公会堂公演
音楽が鳴るその瞬間、俺たちはいつだって14歳になる。明日44歳になる俺が言うんだから、見た目的に説得力ないかもしれないけれど、こうやって今この瞬間ここにいる俺が何よりの説得力だ。何でも手の中で完結する今、CDもレコードも時代遅れなのかもしれない。ライブに足を運ぶことだってそう。それでも俺たちはここにいる。かっこ悪くたっていいよ。そんなこと問題じゃない。音楽を体感することは、体験となって俺たちを豊かにする。隣の人も後ろの人も歌っている。俺も歌っている。そんなの家じゃ味わえないことだから。居心地が悪い部屋を抜け出して、フェンスを掻い潜って外の世界へ。俺たちの大脱走、エスケープ・フロム・ウンザリな日常。大丈夫、俺たちにはハンブレッダーズがいる。それだけはマジ最高だから。

ハンブレッダーズ“ヤバすぎるワンマンツアー2023” 名古屋市公会堂公演

ハンブレッダーズ“ヤバすぎるワンマンツアー2023” 名古屋市公会堂公演
しかし何度もライブで観てきたはずのどの曲も、イントロのギターが鳴った瞬間に全部今日のこの瞬間の為に作られたように聴こえるんだから、音楽って、バンドって、ライブって面白い。「好きなことを3つ挙げろ」と問われたら「ギター!ギター!ギター!」と答えちゃうような青春時代を送ってきたであろうバンドだから、令和の時代を、そのギターを片手に怪獣退治しているんだと思う。ヒーローでも革命家でも何者でもない、普通の星の下に生まれて普通の星の下を歩く普通の人間が鳴らす特別なミュージック。響かないわけないし刺さらないわけない。ハートのビートが加速するのはハンブレッダーズのせいだ。この胸の高鳴りを、ロックンロールと言わずなんて言う?ありとあらゆるネガティブをメロディにしてでっかい音でぶん投げてくるハンブレッダーズの音楽が俺たちの心を走らせるんだ。過去現在未来、色々あるけど、きっとあの頃より今が最高で、その今ですら未来が超えていく。武器はギターとベースとドラム、そして俺たちの声。それだけあれば充分で、今日その奪われていた最後の武器も取り戻すことが出来たんだ。どう?未来にワクワクしない?復活の狼煙を今日、ハンブレッダーズが上げたのを見たでしょ?沈黙はこの瞬間を以てお終いだ。
ハンブレッダーズ“ヤバすぎるワンマンツアー2023” 名古屋市公会堂公演
もうひとつ。このコロナ禍を一緒に戦ってきたukicasterが正式メンバーとなって、アルバムを作って、4人でのツアーが始まったこと。これまでだってうきくんは3人の横でずっとギターを弾いていたけれど、理屈を追い越して今日、物凄く感動したこともこのレポートに残しておく。そしてこの感動もまた、明日が、明後日が、超えていく。こんな時代なのに世界が輝いて見えるのはロックバンドがロックンロールしているからだ。ロックンロールは魔法なんかじゃない。魔法なんかじゃないけど、今日みんなで大きな声で歌った瞬間、叫んだ瞬間に感じた何かが動き出したあの感覚を、俺はロックンロールの魔法だと思っている。そんな夢みたいなことを本気で信じてしまうのは、他でもないハンブレッダーズの4人のせいだ。

Text by 柴山順次(2YOU MAGAZINE)
Photo by タカギユウスケ

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