【kobore インタビュー】
“何かを抱きしめる”という表現が、
この作品には詰まっている気がした
1曲目が「TONIGHT」になったことで
“koboreだ！”と認識してもらえる
「ひとりにしないでよね」も今作の中で好きな曲で、特にアレンジが華やかですね。
佐藤
あれは勝手に僕が遊びで詰め込んだら意外と良くなって。シンセや鉄琴みたいな音色も入れたら響き的にも良くなりました。
アルバム前半3曲目まではライヴ感が出ていますよね。「TONIGHT」のアウトロではポップパンク的なフレーズも入っていますし。
佐藤
はい（笑）。ジャカジャカと刻むとkoboreらしくないし、細い音で鳴らしてもkoboreらしくないから、リフを作る上では難しかったですね。
田中
“ザ・kobore”という感じですね。最初のデモをもらった時に“いい曲だな”と思い、「ひとりにしないでよね」みたいな曲調ばかりだとどうしようかと思っていたんですけど、「TONIGHT」「リバイブレーション」のデモが届いて“あぁ、koboreだな”と。逆に、こういう曲がなかったらバランスが悪くなると思う。前作（2022年3月発表のアルバム『Purple』）は出だしから新しい挑戦をしていたけど、今作は1曲目が「TONIGHT」になったことで“koboreだ！”と認識してもらえるので、いい始まり方だと思いますね。
「STRAWBERRY」はTVアニメ『デジモンゴーストゲーム』エンディング主題歌曲ですが、わりとストレートな曲調ですね。
佐藤
子供でも簡単に口ずさめる、どシンプルにいいメロディーの曲を作ろうと。自分が小さい頃に観ていたアニメの主題歌も口ずさんでいましたからね。歌詞もそういう世代に分かるような内容にしました。
田中
デモの段階でめっちゃ良くて、体感的には10秒くらいでできた印象です（笑）。ベースもよく聴いてもらえたら動いているんですけど、曲に寄り添うことを心がけました。
《君の事 壊してしまうかもしれない》という歌詞も甘酸っぱくて（笑）。
佐藤
アニメの内容を踏まえて…目に見えない恐怖もあるけど、目に見えないものほどやさしいという意図も汲み取れたから、それを自分の甘酸っぱい青春に例えて、歌詞を書きました。
そして、ラスト曲「この夜を抱きしめて」は今作の肝になる楽曲だと思います。起承転結のある展開を含めて、ジェットコースター的な聴き応えがありました。
佐藤
このテンション感の曲にしては長いですよね（笑）。ライヴですでにやっているんですが、なかなかのカロリー消費量ですね。
田中
自分発信の曲で唯一ライヴの景色を意識しました。最初の1分ぐらいはデモとして5年前ぐらいからあったけど、うまくまとめることができなくて。いつか絶対にかたちにしたいと思っていたんです。
泥臭いパンク感が前面に出ているところも新しいなと。
佐藤
青春パンク寄りなのかな？
00年代前半に出てきたSTANCE PUNKSとかの匂いを感じました。
佐藤
そうですね。STANCE PUNKS、ガガガSP、ザ・マスミサイルとかめっちゃ聴いていました。サビのメロディーをそらに決めてくれと言われた時に、Aメロ、Bメロが決まっていない段階で歌詞を書くのは難しい作業でしたけど、意外とすんなり書けました。サビはAメロみたいな感じで、シンガロングパートが大サビになればいいなと。
この曲は佐藤さん、田中さんのふたりでの作詞なんですね。
佐藤
最初はメンバー4人でやりたいと思っていたんですが…
田中
丁重にお断りされました。なので、赳だけでもと思って。伝えたい対象はお客さんだから、これは4人で書きたかったんですけどね。
《ステージを降りると／死ぬのが怖くなる／またみんなに会いたいから／寂しい気持ちがあってよかった／この気持ちが君と僕をつなげた／いつでもいいここで待ってる》の歌詞が印象的で。「TONIGHT」の冒頭でも《探していたものは／ここにはきっと無いと思うけど／また探そうと思えるような／そんな光を僕にくれるんだ》と歌詞にあります。何かを失った寂しさを痛感すればするほど、それが前に進む原動力になると、この2曲で言っているように受け止めました。“コロナ禍で失ったものをもう一度抱きしめよう!”という気持ちがアルバム名にも表れているなと。
佐藤
まさにそういう感覚ですね。“もう離さないぜ!”って。「この夜を抱きしめて」でそれを強く感じたんです。で、この曲が終わって、また1曲目の「TONIGHT」に戻るのもこのアルバムの良さだなと。koboreは後づけがうまいので、それが曲順にも活きていると思います。“何かを抱きしめる”という表現が、この作品には詰まっている気がしたから。
そして、5月からレコ発ツアーも始まりますね。
田中
挑戦的な曲が入っているので、まだ想像できないんですよ。でも、今の段階から仕上げて、ちゃんと魅せつけることができたらいいなと。
佐藤
汗、笑顔、涙…って感じで、今までお客さんがライヴハウスを守ってくれたぶん、“もう大丈夫だよ！”ってバンド側から提示できたらいいなと。“俺たちの出番だ！”と。取り戻せたらいいですね。
取材：荒金良介
「ジェリーフィッシュ」MV
「STRAWBERRY」MV
「HUG」Teaser映像
関連ニュース
