手越祐也、「ソローアーティストとし
ての自信を得た」ツアーライブを映像
化ーー音楽と向き合う姿勢、ステージ
での輝きが収められたBlu-ray/DVD『
Music Connect』発売記念インタビュ

2021年7月7日にソロデビューした手越祐也。デビューから6か月連続デジタルシングルをリリースしたり、オリジナルアルバムを引っ提げてのライブツアーを行ったりと精力的に音楽活動を繰り広げるなか、昨年は2度の全国ツアーを実現した。3月15日(水)に発売されるBlu-ray/DVDは、2022年10月12日の横浜からスタートし全国7カ所、12公演を巡った自身2度目の全国ツアー『手越祐也 LIVE TOUR 2022 Music Connect』を切り取ったもの。手越自ら「アーティスト・手越祐也の音楽の入り口になるような作品」と自信をみせる本作について、ツアーを振り返りながら語ってもらった。
『手越祐也 LIVE TOUR 2022 Music Connect』
──『手越祐也 LIVE TOUR 2022 Music Connect』はダンサーなしのバンドのみで「歌うこと」という原点に回帰したツアーとなりました。なぜ「歌うこと」に特化しようとし考えたのでしょうか?
2022年が始まったときに、年内にツアーを2回やろうというのはすでに決まっていたので、「春のツアー(『NEW FRONTIER』)はしっかりと踊りながら歌う、エンターテインメント色の強いものにしよう。秋のツアー(『Music Connect』)はボーカリストとしてより精度の高いパフォーマンスを見てもらおう」と大まかには決めていたんです。1年に2回ツアーができたからこそ、魅せるポイントを変えてソロアーティスト・手越祐也を表現することができました。
──これまで歌い続けてきて、ライブでも必ず盛り上がる「LUV ME, LUV ME」などをセットリストから外す判断をされましたが、迷いはなかったですか?
「歌にフォーカスする」と決めた時点でセットリストに迷うことはなくなりました。性格なのかもしれませんが、僕はわりと即決できるタイプだと思います(笑)。ファーストインプレッションで「こういうライブにしたいな。じゃあこの曲を歌おう。ここで一度アコースティックを入れて、最後はこの曲かな」とかって、おおよその流れをパーンと決めてしまうんです。早く決めないとバンドメンバーにも迷惑をかけてしまいますからね。もちろん、リハーサルをやってみて曲順を変えることはありますが、基本的には最初に思い描いたものから大きく変わることはありません。
──Blu-ray特典には12公演それぞれのバックステージやオフショット映像が収録されています。
自分自身、好きなアーティストのリハーサル風景やステージ制作の過程を見るのが好きなので、僕のBlu-ray特典にもたくさん入れたいと思いました。もちろん、そういった裏側を一切見せないというブランディングも素敵だとは思いますが、いまの僕は演出や曲順、リハーサルに至るまで細かく指示を出しているので、「こういう風にステージを作っているんだな」と知ってもらえるんじゃないかと思いました。ライブに来てくれた人やオンラインで見てくれた人たちも、舞台裏を見てから改めてステージを見直すときっと新たな気づきもあると思うので、何度も見て楽しんでもらえたらいいなと思います。
──おっしゃるように、リハーサル時にバンドやスタッフのみなさんに「今日はこうしてみよう」と細かいところまで提案されている姿が印象的でした。そういった「ステージごとの違い」は見る側・やる側双方のモチベーションになる反面、調整が難しいとも思いますが、チーム手越はどのようにそれを乗り越えていますか?
「ARE YOU READY?」、「NEW FRONTIER」、そして今回の「Music Connect」と、チーム手越としてツアーを回るのはまだ3回目なんですが、「あれ? 昔からこのメンバーでやってたっけ?」と思うぐらい、すごくやりやすい環境をみなさんで作ってくれるんです。Sinさん(橋本しん/バンドマスター)、notchさん(パーカッション)、村瀬和広さん(サックス)のように以前からご一緒している方は僕の歌をよくわかってくれていますが、ソロになって初めてご一緒する方たちもツアーを重ねていくなかで僕のことを深く理解してくれているなと感じることが多くて……。
──バンドメンバーだけでなく、演出チームも同様に?
そうですね。照明チームは「手越はこのタイミングでこういう照明がほしいんだろうな」、音響チームは「こっちのほうが歌いやすいよね」といった感じで、あうんの呼吸でわかってくれている。そうやって各セクションが僕のことを深く理解してくれているので、パッと最初に通した時点でクオリティがかなり高いんです。それで1日目をやってみて、スタッフが撮ってくれた定点カメラの映像を夜に見ながら「ここの照明は青より赤がいいな」とか「ここで音楽がピタッと止まるから、その瞬間に横からの照明がほしいな」とかって思いついたことをメモして。翌日もステージを控えているので、内容がまとまった段階でなるべく早く現場に送ります。当日の朝にいきなり言われても、みんな大変ですからね。
──それらの指示を次のステージに反映するのですね。
翌日に現場入りすると、もう修正ができているんです。それを「じゃあ、もうちょっとこのタイミングに合わせていこうか」とかって、さらに細かく詰めていく。ただ、そういった修正はスタートから2、3公演くらいまでですかね。それ以降は直すところがほぼないくらい高い完成度まで持っていってくれるので……ただ、福岡公演からはまた少し細かいところを変えました。
──福岡公演以降「制限つき」ではあるものの、客席での声出しが解禁されましたから。
そうなんです。「Ready Steady」もみんなで歌えるようになったので、歌い出しの声がけを「いつか一緒に歌おうね」から「みんなの歌声を聞きたいな」に変えたり、ステージ側に当てていた照明を客席に向けたりと、ファンの子が歌うことを前提に演出を考えることができたのは嬉しかったですね。
──ソロデビューからこれまで、ステージ上でずっと言い続けていた「HONEYYY(手越ファンの愛称)の声を聞きたい」というのがようやくかなったツアーでもありました。ステージにファンの方たちの声が届いたとき、どのように感じましたか?
オープニングの「OVER YOU」はライブで声出しできないことを前提に、事前にファンの子たちから送ってもらったコーラス音源を流す演出にしていたんです。それが途中から声出しできるようになって、コーラスに会場の声が重なるのを聞いたときには……ステージに登場する前からぞわぞわっとしていました。ソロになって初めてみんなの声が聞けた瞬間だったので、めちゃくちゃ鳥肌が立ちました。
──声出しできない期間中にソロデビューされた手越さんだからこそ、想いもひとしおですね。
コロナ前は当たり前だった声出しができなくなって、その間に僕のなかで一番大きな環境の変化があったので……みんなの声が届くことのありがたさを改めて感じた瞬間でした。「一緒に歌おう」と言ったら歌ってくれる。MCで滑っても笑ってくれる(笑)。問いかけたら応えてくれる。コロナという危機のなかで、改めて「自分にとって大切なもの」に気づけたことはポジティブに捉えようと思っています。
『手越祐也 LIVE TOUR 2022 Music Connect』
──『手越祐也 LIVE TOUR 2022 Music Connect』を完走したことで得たものとは、なんだったでしょうか?
たくさんありますが、一番大きいのは「自信」です。前回の「NEW FRONTIER」と今回は……ソロアーティストとして当然のことですが、2時間のステージをひとりで歌いきらないといけない。とくに今回は歌に特化するということで、1曲1曲のクオリティをさらに上げながら、スーパーミュージシャンから成るバンドメンバーたちと突き詰めていったステージになりました。
──バンドのみなさんとツアーを回るなかで、「自信」につながる発見があったのですね。
そうですね。一流のミュージシャンたちと全国を回りながら「ボーカリストとしての手越祐也ってどう? 俺は変なプライドとかないし、成長できるなら何でもやるから、改善点があったら遠慮なく教えてね」とかって話すんですが、みんな「デビューからずっと成長してきてるし、声のアタックが全然違う」と言ってくれて……それって自分ではわからないけれど、一番近くでずっと僕の歌を聞いて支えてくれている彼らの言葉だからこそ信じられるし、大きな自信になりました。
──まだ手越さんのライブに触れたことがない方に「手越祐也のステージの魅力」を伝えるならば?
もちろん歌、演奏、エンタメ、すべてにおいて絶対に満足してもらえる自信はあるんですが……それは大前提として、一番は「自由なこと」かもしれません。今回のツアーは男性の姿も客席に多く見られたんです。どこで知ってもらったのかわからないけれど、フェスや対バンにも出演する機会を多くいただいて、そこでは僕が音楽と真摯に向き合っている姿を見せることができたと思うんです。そういった僕のステージがちょっとでも刺さって「行ってみるか」と来てくれていたのなら嬉しいですよね。
──気楽に来てもらえるような自由さが手越さんのライブにはある?
ありたいと思っているし、それが魅力になっていれば嬉しいです。男性・女性関係なく、それぞれが好きなように僕のステージを見てほしい。ペンライトやうちわを持っていてもいいし、手ぶらでもいい。ロックみたいに手を突き上げたっていいし、カップルがイチャつきながら見てたっていい(笑)。「こうしなきゃダメ」というルールは作りたくないので、「手越祐也のライブに行ってみたいけど、ルールとかあるのかな?」と尻込みしている人にもどんどん来てほしいし、それぞれのスタイルで音楽を楽しんでほしいです。僕のライブはそれができると思っていますから。
──2023年初ツアー「CHECKMATE」は4月12日(火)のZepp Hanedaを皮切りに、5都市10公演を予定されています。どんなものになりそうですか?
セカンドアルバムを冠したツアーになりますが、ちょうどいまアルバムの曲選びがほぼ終わったぐらいの段階なんです(※取材当時)。だからまだ何ともいえないところはあるんですが……「Music Connect」と「NEW FRONTIER」の良いところが融合できたらいいなって、なんとなくは思っています。それと、これもふんわりしたイメージでしかないんですが、ピースフルなライブにしたいなと。音楽には国や人種をこえて世界をつなげる力がある。そういう素敵な部分をエッセンスとして入れることができると嬉しいですね。でもまだほとんど決まってません!(笑)。
──2022年は2度のライブツアーや『スぺプラ手越フェス』を開催し「人生のなかで一番歌っていた年」とお話しされていましたが、2023年はどんな年になりそうですか?
歌の活動としては去年と同様かそれ以上に、今年もガンガンやっていくと思います。ソロデビューから音楽を通じて仲間がどんどん増えているので、今年もみんなと面白いことができたら嬉しいですし、さらに新しい仲間も増やしていきたい。音楽を愛する人たちと音楽を愛するファンが集まって、またフェスのようなイベントを開催できたらいいですよね。それともうひとつ。国内にかぎらず、国外でも手越祐也のパフォーマンスを披露したいです。
──昨年はタイで番組出演やフェス出演をされましたね。現地ではどんなことを感じましたか?
僕のパフォーマンスを初めて体験する人たちを見ながら、「実際に現地に行って歌を届けないといけないな」と痛感しました。コロナもあって、アーティストが国外でパフォーマンスをする機会が減ってしまったのは日本の音楽界にとっても大きな打撃になっていると思うんです。そんななかで、ひとりでも多く、一か所でも多く、日本のアーティストが海外に出て行くことが必要だと僕は思っているので、今年もどうにか実現したいですね。
──改めて『手越祐也 LIVE TOUR 2022 Music Connect』Blu-ray/DVDはどんな作品になりましたか?
僕にとって、自分が一番輝ける場所というのはステージ上だと思っています。それをこうして余すことなく映像にできたことを嬉しく思っています。加えて、Blu-rayのほうに入っている特典映像には、自分自身が一番大事にしていて、一番自信がある歌とパフォーマンスを見てもらえる場(=ステージ)を、僕がいまどうやって作っているのか。どんな風に音楽と向き合っていて、どんな表情をしているのか。ウソ偽りのない素の姿を撮っているので、ひとりでも多くの方に見ていただきたいです。
──本作で初めて手越さんのライブの様子を見る方もいると思います。
これを見て僕のステージに興味を持った人がいたら、ぜひ生の姿を見に来ていただきたいです。毎公演、歌い方や踊り方を少しずつ変えているので「映像で見たのと違うな」とかって楽しんでもらえると思うし、なによりも音楽を愛している人たちが集まっている場所なので、幸せな気持ちになれると思います。そういう意味でもこのBlu-ray/DVDは「アーティスト・手越祐也の音楽の入り口」になるような作品になっていると思うので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。
取材・文=とみたまい 写真=オフィシャル提供

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