アニマルズ解散後、
エリック・バードンが挑んだ新境地

閑話休題「Tobacco Road」に
まつわる悲話

アルバムから話がそれるが 「Tobacco Road」にはこんな逸話がある。アルバムの成功で意気揚々とバードンはウォーとともに英国へ凱旋する。ずっと活動拠点を西海岸に移していたから晴々しかったはずだ。彼らはロンドンのロニー・スコッツ・ジャズクラブでライヴをやることに。1970年9月15、16日の両日だ。ちょうどタイミングよくロンドンで休暇を取っていたジミ・ヘンドリックスにバードンは声をかけた。ふたりは友人関係にあり、ジミもバードンとウォーの成功を喜んでいたのでセッションを快諾。16日にそれは実現する。ジミは過労で体調が悪そうだったが続けるうちに調子が上がり、最後に「Tobacco Road」を演奏してセッションは終わったという。その2日後、ジミはガールフレンドのモニカ・ダンネマンのアパートで急死してしまうのだ。窒息し仮死状態のジミに気づいたモニカが真っ先に電話したのもバードンだったと言われている。結果、ジミを救うことは叶わず、27歳で彼は亡くなったのだ。「Tobacco Road」はウォーとともにジミが生前最後に演奏した曲というわけだ。音源が残っているので聴くことはできるが、気のせいかジミの演奏は精彩を欠いている。

曲に戻ろう。先に触れてしまったが「Spil The Wine」が3曲目で、LP時代はB面の冒頭を飾った曲だった。続く「Blues For Memphis Slim Medley: Birth / Mother Earth / Mr. Charlie / Danish Pastry / Mother Earth」も再びブルースピアノで知られるメンフィス・スリムの「マザー・アース(原題:MOTHER EARTH)」をテーマにメドレー式に展開した曲。ロニー・ジョーダンのオルガンでスロースタートし、ここでは本領発揮とばかりリー・オスカーが名人級のハーモニカを聴かせる。チャールズ・ミラーのサックス、バードンのヴォーカルも冴える。ラスト「You’re No Stranger」はウォーのメンバーで合作したとおぼしき、短いエンディングコーラスのような曲でこれはバードンのことを指しているのだろうか?

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着