石丸幹二、井上芳雄、安蘭けいが夢の
共演 藤田俊太郎演出でミュージカル
『ラグタイム』を9月に上演

2023年9月、日生劇場にてミュージカル『ラグタイム』が上演されることが決定した。
本ミュージカルは、『ライオン・キング』『キャバレー』といった名作による激戦の1998年トニー賞において、ミュージカル部門13ノミネート 最優秀脚本賞・最優秀オリジナル楽曲賞など4部門受賞。ドラマ・デスク賞ミュージカル最優秀作品賞・最優秀脚本賞・最優秀作曲賞 他多数受賞した、名作品。
舞台は、20世紀初頭のニューヨーク。アメリカの移民の約9割がやってきたといわれる激動の時代。ユダヤ人、黒人、白人。それぞれのルーツをもつ3つの家族が固い絆で結ばれ、差別や偏見に満ちた世界を変えていこうとする——という物語だ。
この物語の中心を担う3人を務めるのは、娘のためにラトビアから移民としてアメリカにやってきたユダヤ人のターテ役に石丸幹二。新しい音楽“ラグタイム”を奏で、新時代の到来を目指す黒人ピアニストのコールハウス・ウォーカー・Jr.役に、井上芳雄。正義感にあふれ人種の偏見を持たない、上流階級に属する白人女性マザー役に、安蘭けい
石丸幹二    (c)HIRO KIMURA
井上芳雄
安蘭けい
本作のブロードウェイの初演を観たターテ役の石丸は「観たときの深い衝撃は忘れられない。うねるような物語の壮大さ、そして、多彩なメロディーが飛び交う音楽の豊かさ。楽曲の一つひとつが持つ強烈なエネルギーに打ちのめされ、音楽的に難しい曲が多いからこそ、『挑みがいがある、歌ってみたい!』と願ったそうだ。上演については、「井上芳雄さん、安蘭けいさんをはじめとする心強い仲間たちと共に、異なるバックグラウンドの者たちがひと所に共存する難しさ、大切さを描いていきます。今の世界情勢をみると、その道は厳しく困難なものかもしれません。けれども、小さくともひとつになれた瞬間のきらめきが少しずつ積み重なり、いつの日か大きな輝きになると信じたい。まずは、冒頭の大合唱を聴いてください。さまざまな民族を演じる出演者全員が心を合わせて歌います」とコメント。演出の藤田に対しては、15年ほど前に蜷川幸雄さん演出の『コースト・オブ・ユートピア』で演出スタッフ時代の彼と一緒していたことに触れ、再会が楽しみだと語った。
本作の出演について、コールハウス・ウォーカー・Jr.役の井上は、「ブロードウェイミュージカルのあの傑作を、遂に日本でもやるのか! という、興奮と喜びがあった」と言い、大学の同じ門下の大先輩である石丸について「作品でご一緒させて頂くのは初めてなので、まずそれが何より嬉しいです。やっと共演できる! という喜びでいっぱいです」とコメント。そして安蘭には「ミュージカルでの共演は初めてなので、ワクワクしています。(石丸も含め)お二人ともストレートプレイもミュージカルも両立されている憧れの先輩なので、一緒にお芝居させてもらう中で得られるものがたくさんあると思います」と。また、「いろんな価値観が変化している今、僕たちがこの物語をどうお客様にお届けできるか。大きな意味があるチャレンジだと思います。僕自身も初めての役柄ですし、想像できないことに挑戦できる幸せを感じています」と熱い思いを告げた。
マザー役の安蘭は本作について「人種差別や階級差別を描いたストーリーと、ラグタイムという軽やかな曲調との違い、ギャップがとても興味深いと思った」と言う。共演する石丸と井上については「石丸さんとは3作目の共演です。役に対して真摯に向き合っている姿はとても尊敬できますし、舞台人としてもとても信頼している石丸さんと、また一緒に作品を創れる事がとても嬉しく光栄です。井上くんとは2作目ですが、前回はミュージカルではなかったので今回初共演のような感覚で、とても楽しみです」とコメント。蜷川幸雄さん演出の『アントニーとクレオパトラ』に出演した時に演出助手をしていた藤田の姿を見ていた安蘭は、「今回初めて演出を受けるのがとても楽しみ」だと語る。そして、「今までなぜ日本で上演されてこなかったのか、不思議でならないミュージカルです。満を持して上演される『ラグタイム』カンパニーの一員として携われることを本当に光栄に思っています」と本作に出演することの喜びを告げた。
現代日本ミュージカル界で「BEST=最高」と呼ぶに相応しい3人が、本ミュージカルにて、夢の共演を果たす。
そして、今回、日本初演の演出に挑むのは演出家、藤田俊太郎。
藤田俊太郎   (c)KEI OGATA
藤田は「世界中で上演を重ね、各国の劇場で大きな感動を与え続ける傑作ミュージカルの日本初演を演出できることに心から幸せを感じています。まさに2023年の「今」上演するのに相応しい多様な価値観を持つ、名曲揃いの壮大な作品に立ち向かい挑戦できることを誇りに思います」と意気込みを語る。また、「史実とフィクションが見事に交錯した原作の小説を執筆した E・L・ドクトロウ、1998年のブロードウエイでの公演を創った素晴らしいクリエイター達に想いを馳せると胸が熱くなる」とも。そして、日本のミュージカルに力を尽くし、輝き続ける、石丸、井上、安蘭を心から尊敬していると言い、「彼らと共に、様々な出自、ルーツを持つ魅力溢れる多彩なキャストと一緒できることに今から興奮している」と語る。本作については「上演中に何度も歌われるフレーズ、『The Wheels of a Dream』があります。夢の乗り物、もしくは夢の車、もしかしたら夢の地球号という乗り物に私たちは同じ想いを抱きながら乗って、一緒に進むことができるのか。およそ100年前を生きた人々の物語は、100年後を生きる私たちに、その夢はったのか、と問いかけます。『ラグタイム』は遠い国の遠い過去の話なのではなく、特に2020年以降を生きる私たちの現在形の作品なのだと感じています。決して悲しいシーンばかりではなく、未来への夢が詰まったエンターテインメントを楽しんでいただけたら」とコメントとした。
どんな作品になるのか。日生劇場60周年イヤーを飾る、ミュージカル『ラグタイム』の上演に期待しよう。
【あらすじ】
1902年。ユダヤ人のターテ(石丸幹二)は、娘の未来のために移民となり、ラトビアからニューヨークにやってきた。
黒人のコールハウス・ウォーカー・Jr.(井上芳雄)は才能あふれるピアニスト。恋人は彼に愛想をつかし、二人の赤ん坊を、ある家の前に置き去りにしてしまう。
赤ん坊が置き去りにされたのは、経済的に豊かな白人家庭の母親 マザー(安蘭けい)の家だった。偏見を持たず、正義感にあふれるマザーは、夫が出張中で不在ではあったが、赤ん坊を拾い上げ家に迎え入れる。
そんなある日、街でターテとマザーは偶然出会う。マザーのターテへの敬意にあふれた対応に、ターテはマザーに対して好感を抱くのだった。
恋人を取り戻すために彼女の元に通い詰めるコールハウスは、今や“ラグタイム”を奏でるピアニストとして注目され始めていた。フォード車を買うことができるくらいまで稼げるようになったが、黒人であるがために、車を焼き討ちされてしまう。人種差別に対する窮状を訴えるコールハウスではあったが、誰も彼の話に耳を貸さないのだった……。

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