「ベルガモちゃん」(デザイン:内藤泰弘)

「ベルガモちゃん」(デザイン:内藤泰弘)

【かねやん的アニラジの作り方】最終
回 リスナー・パーソナリティ・スタ
ッフ、みんなの「顔」がよ~く見える
アニラジブランド

「ベルガモちゃん」(デザイン:内藤泰弘) 先日、ある新聞記事を読んで大いに納得した。「消費は新・タテ型社会」(2月11日付「日本経済新聞」)とあるこの記事は「若者と大人が溶け合うタテ型消費」を説く。伝統的価値観を重んじる「すべき」ことが減少し、またデジタル化の進展により老若男女・地域を問わず「できる」ことが増加。さらにこの30年間、経済の低成長期を経て、20~60歳代の思考や行動が共通化してきたことも「タテ型消費」を加速させているという。

 僕もアニラジに関わって30年近くになるが、1990年代、宮村優子さんや國府田マリ子さんの番組で爆発的に高い聴取率を得たものの、その中核は12~17歳に限られていた。今ベルガモのYouTubeチャンネルの年齢のボリュームゾーンが18~44歳と幅広くなっている。株式会社ベルガモが配信エンジニアを育成する「ベルガモ配信アカデミー」にも会社を定年退職された方が新たなスキルを得るためにチャレンジされている。もちろん、ベルガモの番組をお聴きいただいているリスナーでもある。
 「新タテ型消費」は何を生み出すか? これまでは若者向け、ファミリー向けとターゲットを定めたマーケティングが利かなくなる。一昔前なら若者向けビジネスを展開してきた我々はおそらく、Vtuberやゲーム実況に飛びつき、それなりの成果を得ていただろうが、世代レスに加え、所得格差、消費志向の多様化が加速して、成果を得ることを難しくしている。ただその一方で、世代・男女のとらわれがない分、新たなチャンスもあるはずだ。
 2023年春、株式会社ベルガモは新しいキャッチフレーズとして「リスナー・パーソナリティ・スタッフ、みんなの顔がよ~く見えるアニラジブランド」を掲げる。マーケティングとして、コンテンツをとらえるのではなく、1人1人と向きあいながら、コンテンツを制作していこうという戦略です。
 19年に会社を創業し、ほぼ同時にスタートしたこのコラムも今回が最後になります。
 いちサラリーマンだった私に、このようなコラムを書く機会を与えてくださったアニメハックの関係者の皆さんに感謝申し上げます。そして、このコラムが実は結構多くの方に読まれており、意外な方から感想をいただいたりして、それを励みに書きつづけてきました。このコラムを読んでいただいた方にも感謝です。
 思えば、この4年は新型コロナウイルスによる大社会変革に身をおいて零細企業を運営していくスリリングな期間でした。よく「唯一生き残るのは変化できるもの」というダーウィンの進化論に例えて企業のトップなどは話をされますが、僕はこの変革のなか、まがりなりにもベルガモが運営できているのはひとえに「運がよかった」ということに尽きると思っています。そして、運はこれまでの出会いとご縁によるものです。これからも皆さんとのご縁を大切に、真摯にコンテンツ作りに邁進していきます。
 「皆さんあってのベルガモです」

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