L→R コーグチレイヤ(Gu&Cho)、Itsuki Kun(Dr&Cho)、川口淳太(Gu&Vo)、よしか(Ba&Cho)

L→R コーグチレイヤ(Gu&Cho)、Itsuki Kun(Dr&Cho)、川口淳太(Gu&Vo)、よしか(Ba&Cho)

【Fallsheeps インタビュー】
20代後半の岐路と決意のギターロック

独自のアティチュードで完成度の高いギターロックを作り出すFallsheepsが2nd EP『Cue』を完成させた。硬質なサウンドや轟音も交え、甘いことは言わず事実を述べることがやさしさにつながるような作品に至った経緯とは?

“やるしかないよね”という境地に
行った人の気持ちをパッケージした

まずは新メンバーのコーグチさん加入の経緯をご本人からお願いします。

コーグチ
入る前から一目置いていたというか、ロックの中でも若者にも刺さりそうな歌詞とかポップな部分が存在していたので、その影響もあってすごくカッコ良いと思ったんです。そんな中でFallsheepsのちょっとしたキャンプみたいなものに誘われる機会がありまして、そこで前のサポートギターであり、レーベルの社長である上田大輔さんがそろそろサポートを降りたいみたいな話があったんですよね。
淳太
社長の事務とかレーベル業に専念したいからってことだと思うんですけどね。レイヤはひとりで活動していて、いい曲を作るのは僕も知っていたから人間的に合うと思っていて。それに、Itsuki Kunの中学の後輩で、吹奏楽部で一緒だったし、そういうのもあってすぐに馴染むだろうと。ギターがうまいかどうかは分かんなかったんですけど、“まぁ、どうとでもなるでしょ!”と思って“いい曲書くからから入ってよ”と誘ったら、“入ります!”と言ってくれて、無事に(笑)。

なるほど、面白い経緯ですね。では、作品の話を。EP『Cue』はどういうところから始まったんでしょう?

淳太
最初にできてた曲が3曲目の「休日スタイル」なんですけど、これはレイヤがFallsheepsに加入する時に、デモとして最初に持ってきてくれた曲なんです。『Aid』(2020年3月発表のミニアルバム)に入っている「平日スタイル」って曲のアンサーソング的なものを勝手に書いてきた感じなんですけど。僕的にはその「休日スタイル」のバーンッて開けている感じを軸にして、いろんな曲を幅広く書いてみたい気持ちだったんですよ。なんですけど、まぁ僕自身の年齢とか環境の変化がすごくあって。28くらいの年齢ってこれからの人生を決めていかなきゃいけない歳な気がするんですが、人間関係とか仕事のあり方とか、悩む部分が多かったんですね。で、今回はそれを書き殴ったような感じな気がします。

曲としての「休日スタイル」のどんなイメージからこの歌詞が出てきたんでしょうか?

淳太
なんかもうどうでもよくなっちゃって、“やるしかないよね”みたいな境地に行っちゃった人の気持ちをパッケージしたいなと。才能とか感性だとかセンスとかもどうでもよくて、“もうやるしかないよね。進んでいくしかないよね”みたいな、絶望と希望ともとれる気持ちというか、そういうのを曲から感じたんで“やっちゃえ!”と。それを一番テーマとして書いた気がします。

コーグチさん自身は「平日スタイル」のアンサーみたいな曲書いたと。淳太さんの歌詞が乗った時にどう思いました?

コーグチ
メロディーのかたちや歌詞とか、さまざまな部分で「平日スタイル」の引用というか、もじって伝えてくれた部分があったので、“わぁ! 自分が書くよりももめっちゃいい!”って感じでした。
淳太
「平日スタイル」の歌詞をちょっと変えて乗せているところもあるからね(笑)。

確かに青春期の先の、いかんともしがたい時代が来ている感じがあります。1曲目の「Butt Out!」タイトルを直訳すると“突き出し”ですが、どんなニュアンスなんですか?

淳太
スラングで“消え失せろ”みたいな意味があるんですけど、いろんな角度に対してそう思うことがあって、それは自分の甘さだったり、最近自分に変な感じで寄ってくる人が増えてきたなぁとも思ったんですよね。“そんな中途半端な感じでなら近づいてこないでほしいわ”みたいな(笑)、そういう気持ちがすごくあって。それをちょっとソリッドに歌ってみたいと思って作りました。

「New Morning」は前半のギターはThe PoliceとかU2みたいな感じもありつつ、後半シューゲイザーになっていくっていきますね。

淳太
シューゲイザーパートに行くまでにすごく悩んでいて、あのアレンジがどうしても出てこなかったんですよ。僕とレイヤは一緒に住んでいるんですけど、家の目の前に海があって、“どうしよう?”と思った時に、ちょうど夏頃だったので“朝起きて一番に海に入ろう!”と。で、泳いでいたらあのアレンジが(笑)。

海っぽいっていうイメージが今つきました(笑)。歌詞で言うと、淳太さんもおっしゃっていましたけど、《消えない執着と逃避の合間縫って》というラインがリアルで。

淳太
そうですね。愛することと執着を持つこと、それから逃げることって同じセットで勘違いされがちで、愛しているということがただの執着だったり、愛しているのに逃げちゃう人もいるし。“そこって難しいよね”と思って綴りました。

しかも、「こころをだいじに」のように“何をなくしても自分でいて”という曲があるので、こういう音楽じゃないと励まされない人もいるなって。

淳太
自分が過去に音楽で心を保っていた時期があったので、自分もそういうことがしたいという気持ちがありました。

「こころをだいじに」はグランジとかマスロックの要素とかハードさもありますし、すごい音圧なんだけど、ジャンルを無化する感じもあります。

淳太
ありがとうございます。本気で殴りたいというニュアンスとは違うんですけど、たぶん殴らないと分かってもらえない、最終ジャッジの曲みたいな。殴る直前の歌みたいな気持ちはあります。

だから、この圧が必要なんですよね、きっと。

淳太
そうなんですよ。ぶん殴らないといけないんです。ぶん殴らないと分かんない奴が多いんですよね(笑)。

この曲にはコーグチさんは参加してらっしゃるんですか?

コーグチ
レコーディングには参加はしていないんですけど、今も絶賛「こころをだいじに」のマインドセットというか、淳太さんから“いいか? 「こころをだいじに」をやる時ってのはこういう気持ちで”みたいなことを教わっています(笑)。変に“やってやるぜ”という雰囲気じゃなくて、“素知らぬ振りで淡々と進めるんだ”というお話をされまして。“淡々と心を大事にするのか”みたいなマインドセット中って感じですね。
L→R コーグチレイヤ(Gu&Cho)、Itsuki Kun(Dr&Cho)、川口淳太(Gu&Vo)、よしか(Ba&Cho)
EP『Cue』

OKMusic編集部

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