【竹達彩奈 インタビュー】
未来に対する淡い希望が伝わって、
なんかキュンとしませんか?
私はクリエイティブなことが
好きなんだと実感した

竹達彩奈
また、ミュージックビデオがYouTubeで公開されています。モノクロからカラーに移り変わるところが素敵だと思いました。
ありがとうございます。また『ノケモノたちの夜』の話になってしまいますが、ウィステリアにしてみれば目が見えていた時よりも、目が見えなくなってからマルバスと過ごしている時間のほうが、彼女の中ではとても色づいた世界なんですね。孤独だった世界をモノクロで表して、マルバスと出会えたことで世界が、目が見えていなくてもとてもカラフルに色づいた。それをMVの中でじんわりと表現しています。本当はこのことはあまり話したくなかったんですけど…。
どうしてですか?
アニメや原作を知らない方には伝わらない部分だし、作品を好きな人が“実はこれって?”と気づいてくれたほうが、私としてはニヤリとできるので(笑)。でも、ニヤリポイントは他にもいろいろあるので、それは各自で探してみてください!
今作のカップリングには昨年10月に配信リリースした「Endless Symphony」を収録しています。この曲はアーティストデビュー10周年を記念した楽曲として、デビュー曲「Sinfonia! Sinfonia!!!」(2012年4月発表のシングル)を手がけた沖井礼二さんが作詞作曲を担当されているという。
「Sinfonia! Sinfonia!!!」の中の人たちが10年経って、どう成長したのかを表現してほしいとお願いをして出来上がった曲なんです。実は「Sinfonia! Sinfonia!!!」、「時空ツアーズ」(2013年1月発表のシングル)のカップリング曲「Hey! MUSIC BOYS & MUSIC GIRLS!」、1stアルバム『apple symphony』(2013年4月発表)のラストに収録している「リズムとメロディの為のバラッド」という3曲は三部作になっていて。「Endless Symphony」は「リズムとメロディの為のバラッド」のあとの世界ということで書いていただきました。その三部作ではイアフォンがキーワードになっていて、「Sinfonia! Sinfonia!!!」に《イアフォンの中ミックスして》という歌詞があってイアフォンをつけているのですが、「リズムとメロディの為のバラッド」で《イアフォンはもう投げ捨てて》という歌詞になっているんですね。それで沖井さんが“イアフォンは投げ捨てちゃったから、「Endless Symphony」では“イアフォン”という言葉を使えなくなってしまった。どうしよう~”と嘆いている姿が印象的でした(笑)。そこで私も10年の歳月を実感したというか(笑)。沖井さんの遊び心も詰まった一曲なので、「Sinfonia! Sinfonia!!!」から順番に聴いていただくと、すごく面白いんじゃないかと思います。
竹達さんから提案したアイディアは他にもありますか?
声だけで曲をスタートさせたいと提案させていただきました。沖井さんは困ったお顔をされていましたけど(笑)、アカペラ始まりで、想像していた以上に印象的な始まりになったと思います。
「明日のカタチ」は《ハロー》でしたけど、この曲は《おはよう》で始まるんですね。
確かに! 挨拶が好きな人みたいですね(笑)。でも、この世界に入った時に挨拶は大事だと教わったので、これからも挨拶は大事にしていこうと思います!
昨年のアーティスト活動10周年を記念した曲ということですが、改めてどんな10年でしたか?
10年続けてこれたのは、本当にすごいことだと改めて思います。何度も挫けそうになったし、辞めようと思った時もありました。それでも続けてこられたのは応援してくださっているみなさんのおかげだし、愛を持って作品を作ってくださった作家の方々のおかげです。
辞めたくなった時もあったんですね。
私、そもそも人前に立つことが苦手だし、目立ちたくないタイプですから。あまりそう見られないですけど(笑)。すごく怖かったし、友達とカラオケで歌ったくらいの経験しかなかったから、そんな私が歌をやるというのはとても勇気のいることでした。レコーディングやライヴがあるたびに、“私なんかでいいのだろうか?”と自問自答し続けた日々でした。それに私は作詞作曲なんてできないから、私が音楽をやるためにはいろんな人の力を借りなければいけなくて。大勢の人がかかわってくださることに対する責任が、プレッシャーになって押しつぶされそうだったんです。そんな私の背中をいつも押してくださったのが、ポニーキャニオンさんだったり、リリースやライヴを楽しみにしてくださっているファンのみんなでした。
11年目に入っていますけど、もう辞めたいなんて思わないですよね。
どうですかね?(笑) でも、すごく前向きではありますよ。今回は音楽を作ることが今までになくとても楽しくて、結局私はクリエイティブなことが好きなんだと実感した制作だったんです。原作を読み込む時間はもちろん、ひとつひとつ丁寧に作らせていただいた過程が全て楽しくて。主役を演じさせていただいたのもあったので、作品のことを考える時間がいっぱいあって。そういった今回のような作品作りをもっとやりたいと思いました。次いつ出せるかは何とも言えませんが、また4年後じゃないけど、みんなが忘れた頃に出せたらいいなと思っています(笑)。
取材:榑林史章
「明日のカタチ」MV
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