竹達彩奈

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【竹達彩奈 インタビュー】
未来に対する淡い希望が伝わって、
なんかキュンとしませんか?

実に4年振り12枚目となるニューシングル「明日のカタチ」。TVアニメ『ノケモノたちの夜』のオープニング主題歌でもあり、竹達彩奈は主人公のウィステリアに寄り添いながら、やさしく凜とした歌声を聴かせている。そんな楽曲に込められた想いなどを語ってもらった。

ドラマ『世にも奇妙な物語』の
タモリさんのような立ち位置

「明日のカタチ」はジャケット写真などに藤の花があしらわれていて素敵ですね。

『ノケモノたちの夜』の主人公の女の子が“ウィステリア”という名前なんですけど、藤の花を意味する言葉なんです。アニメには藤の花がまったく出てこないのですが、ちょっとした遊びみたいなことをやってみました。

『ノケモノたちの夜』で竹達さんは、そのウィステリア役を演じています。作品についてどんな印象をお持ちですか?

すごく面白くて、オーディションを受けさせていただく時に原作漫画を読んだのですが、ページをめくる手が止まらず全8巻を一気に読んでしまったほどです。原作に魅了されて、“絶対にウィステリア役をやりたい!”と思いました。“こんな作品をアニメ化するとは目のつけどころがいいじゃないか!”と…何様だって感じですけど(笑)、実際にポニーキャニオンの担当さんに言いましたもん。“さすがポニーキャニオンさんですね!”みたいなことを(笑)。

(笑)。ウィステリアは自分の視力を代償にして悪魔のマルバスと契約するのですが、ハンデを持ちながらも前向きで明るくて、観る人に勇気を与えてくれる存在ですね。

そうですね。たぶん彼女は自分のことを可哀想だとは思っていなくて、それが勇気をくれるし、応援したくなるところなんだと思います。実はウィステリアを演じるにあたって、目が見えない感覚はどんな感じなのかと思って、実際に目をつむって過ごしてみたんです。家の中とか、マンションのエレベーターホールまで歩いてみたりしたんですけど、些細な段差に躓いたり、何がどこにあるかとかの距離感がまったく掴めなくてすごく怖かったです。棚とか椅子に足の小指をぶつけてめちゃめちゃ痛かったし(笑)。ウィステリアはこんなに危険で怖い世界の中でも怯えず、前向きに生きているということを実感することができて、私自身も勇気をもらえたし、“ああいう素敵な子になりたいな”って背中を押されましたね。

「明日のカタチ」には、そのウィステリアの心情がすごく反映されていると思いました。最初に「明日のカタチ」を聴いた時はどんな印象を持ちましたか?

しっとりと夜の感じから始まって、だんだん疾走感というか、力強く駆け出していく様子が感じられ、『ノケモノたちの夜』にぴったりだし、ウィステリアの心情にもぴったりだと思いました。それでいて、今を生きている私たちの心の奥のどこかにある孤独に寄り添ってくれるような、やさしくて力強い曲だとも思いました。

《ハロー、ハロー》と呼びかけるように始まるのが、すごくいいなと思いました。

呼びかけてはいるんですけど、具体的な誰かに呼びかけているわけではなくて。独り言というか、ここにいない誰かに希望を込めて呼びかけている感じがあって、すごくキュンとします。部屋でひとり、まだいないけどいずれ出会うかもしれない誰かに向かって、“私の声が聞こえますか?”“届いていますか?”“誰かに聞こえているといいな”と言っているみたいな。そういう未来に対する淡い希望が伝わって、なんかキュンとしませんか?

竹達さんの歌声もやさしく語りかけてくるような雰囲気でキュンとしました。

ありがとうございます(笑)。ただ、楽曲として『ノケモノたちの夜』の雰囲気やウィステリアの心情などが描かれているし、とても素敵に作っていただいて嬉しくて幸せなのですが、あまり感情を込めて歌うとウィステリアのキャラクターソングになってしまうので、そのバランスがとても難しかったです。

そこはどのように解決したのですか?

あくまでも私個人が歌うというところで、表現の仕方としてはストーリーテラーであることを心がけました。例えば、ドラマ『世にも奇妙な物語』におけるタモリさんのような(笑)。話は全部知っているけどあまり主張せず、でも主役としてポンとそこにひとり立っていて筋が通っている。そういう立ち位置で歌うのはとても難しかったです。

作詞作曲、編曲の毛蟹(LIVE LAB.)さんと現場で話し合いながら作っていったのですか?

はい。毛蟹さんが現場に来てディレクションしてくださって。毛蟹さんの楽曲を歌うのは初めてだったし、作ってくださったご本人を目の前にして歌うのは緊張しました。そもそも楽曲を制作するにあたってどういう作家さんにお願いをするのか、私もスタッフと一緒にいろいろ調べていたのですが、ポニーキャニオンのプロデューサーから勧められたのが毛蟹さんだったんです。そこで毛蟹さんが過去に作られた楽曲を何曲か聴かせてもらったところ、私が声優として出させていただいているアニメのテーマソングも書いていらしたんです。ReoNaさんの「ANIMA」という曲なのですが、《魂の色は 何色ですか》という歌詞で始まるのが印象に残っていたんですね。当時は毛蟹さんのことを存じあげていなかったのですが、単純に“いい曲だな”と認識していて。それで今回、“あの曲を作ったのが毛蟹さんだったんだ!”とつながって、ぜひにとお願いをさせていただきました。

「明日のカタチ」の《ハロー、ハロー》もそうですけど、「ANIMA」の《魂の色は 何色ですか》とか毛蟹さんの手がける曲は言葉に力がありますね。

メッセージ性が強いというか、たったひと言に込められた言葉のパワーがすごく強いと思います。

ちなみに、毛蟹さんというお名前からはどんな人なのか想像がつきません。竹達さんから見た毛蟹さんの印象を教えてください。

毛蟹さんの作られた曲は、どれも歌詞や楽曲から繊細さが感じられて。心の中の陰と陽の部分をちゃんと自分の中で言葉にできる人だなと。だから、きっと気持ちが強い人なんだろうなと思いました。繊細だけど芯が強い人というのが、私の毛蟹さんに対する印象ですね。
竹達彩奈
竹達彩奈
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OKMusic編集部

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