タイ版『チェリマホ』など、見逃した
くない2023年スタートのGMMTV制作ド
ラマ5選ー-『レオレオ、タイタメ』
Vol.14

タイの俳優やアーティストの来日が途切れない昨今。東京だけでなく、北海道や富士山、奈良に大阪など日本のあらゆる場所に訪れているのをSNSで見て、「家の近くまで来ている!」とソワソワする毎日を過ごしているファンも多いことだろう。特に日本をにぎわせ続けているのは、タイの大手テレビ制作会社のGMMTV。2023年に19本のドラマと1本の映画を制作するとのことで、タイからの供給過多状態はさらに拍車をかけそうだ。今回のタイのエンタメを紹介する連載『レオレオ、タイタメ』では、11月に実施された制作発表会『GMMTV 2023』の模様もあわせて、見逃したくない5作品をピックアップ。後半には筆者がアメリカで食べたタイ料理も紹介する。
2020年に世界におけるタイドラマブームを巻き起こした『2gether』シリーズを輩出したGMMTVは、毎年11月ごろに翌年のドラマや映画の制作発表会『GMMTV 〇〇(年)』を開催している。今回は実施場所のユニオンホールに足を運んだファンだけでなく、YouTubeとFacebookでの配信にて国内外のファンも視聴し、ピーク時には136,450回を記録したという注目っぷりだ。
サターポーン・パニッラクサーポン社長 (c)GMMTV
冒頭サターポーン・パニッラクサーポン社長は「2022年は強いエンターテインメント・エコシステムを得ることができた」とし、Instagramではフォロワー数、フォロワー数の成長スピード、1年間におけるいいね数の3つにおいて、TwitterではRT数とツイート数、フォロワー数の成長スピードの3つにおいて、タイで1位を獲得したと発表した。さらにタイ版『花より男子』の『F4 Thailand』を含む8つのコンテンツが世界中の29の賞にノミネートし、ボーイズラブ(BL)ドラマ『A Tale of Thousand Stars』や『Bad Buddy Series』はLGBTQ+分野で受賞。日本をはじめとするアジア圏で俳優陣のファンミーティングも成功したと自信満々に語る。コロナ禍の中で成長したという話もあったが、これらの実績から、2020年からの一過性のブームではなく確実にファン層を拡大し続けていることがひしひしと伝わってきて感慨深い。
作品を絞りきれず一覧表を作成してみた。自由に活用して欲しい。
勢いが止まらないGMMTVが2023年に放送するドラマのうち、今から注目しておきたい5作品を紹介する。固有名詞が多くなるため、過去に紹介した作品には該当記事に飛べるようリンクをつけておく。併せてチェックしてみてほしい。
●『Enigma』
『Enigma』 (c)GMMTV
『GMMTV 2023』でまず最初に紹介されたのは、ウィン・メータウィン主演の『Enigma』。異常現象が発生する学校を舞台に、その現象と何かしらの関わりを持つミステリアスな先生アー・ジン(Ar Jin)と、その危なげな雰囲気に惹かれていく女子高校生ファー(Fa)の恋愛スリラーストーリーとなっている。
アー・ジンは『2gether』シリーズやタイ版『花より男子』の『F4 Thailand』で知られるウィン、ヒロインのファー役は『BLACKLIST』、『The Gifted: Graduation』にも出演したプリム・チャニカンが演じる。ふたりは『F4 Thailand』でカップル役を演じたこともあり、ガラッと雰囲気を変えた同作での再演に、会場でも大きな歓声が沸いた。さらに『F4 Thailand』と『The Gifted』シリーズを手がけたオー・パッターが監督を務めることも発表。BLを除く作品の中で最もティザー映像の再生回数が伸びていることからもわかるように、三人の再タッグに期待が寄せられている。
真ん中:ウィン、右から二番目:プリム (c)GMMTV
ちなみに『The Gifted』は、超能力を得た学生がおかしな学校制度を撤廃させるべく暗躍するサスペンスドラマ。超能力といっても「命令に従わせる」、「電子機器に触れるだけでハッキングができる」など、それぞれの個性の延長線上にあるような能力で、CGに頼り切らないバトルが繰り広げられているので見応え抜群だ。そんな『The Gifted』のオー監督がメガホンを取る『Enigma』で、どのように異常現象が表現されるのかも楽しみにしたい。
●『Wednesday Club』
『Wednesday Club』 (c)GMMTV
シリアスでドロドロした展開の中にコメディ要素あり。そんな作品が好きな人には『Wednesday Club』のティザー映像を観てほしい。ロシアンルーレットの危険な雰囲気から始まったかと思えば、某ダイビング漫画のようなコメディに切り替わるなど、たった3分弱の間にいろんな顔が見え隠れしている。
ロシアンルーレットを囲うのは、上にも下にもきょうだいがいる真ん中っ子の七人の学生。彼らは連行された警察署で出会い友情を築いていくが、金、恋愛、秘密などさまざまな要因が絡まり合い、関係は瓦解していく。
右から三番目:ケイ、以降右からプーウィン、オーム、ジェーン、ナニ、ジュン、ピプローイ (c)GMMTV
出演はオーム・パワット(映画『デュー あの時の君とボク』、『Bad Buddy Series』)、ナニ・ヒランクリット(『F4 Thailand』)、ジェーン・ラミダー(『The Gifted』、『The Player』)。さらにピプローイ・カンヤラット(『The Shipper』、『55:15 Never Too Late』)、ジュン・アーチェン(『2 Moons 2』、『Star and Sky』)、ケイ・ラットシティチャイ(『Who Are You』、『55:15 Never Too Late』)、プーウィン・タンサックユーン(『Fish Upon the Sky』、『Never Let Me Go』)という顔ぶれ。魅力的な俳優陣がどのようなケミストリーを起こすかが楽しみだ。
次のページ:タイ版『チェリまほ』や3月放送のドラマなどを紹介!
●『Cherry Magic』
『Cherry Magic』 (c)GMMTV
「DO YOU BELIEVE IN MAGIC?」の文字とともにニュー・ティティプーンが現れ、人に触れては思い悩んだ表情を浮かべる。さらにテイ・タワンも登場し、背面に映される『Cherry Magic』と「30」の文字に会場はざわめき立ち、SNSのコメントも混乱を極めていた。
記事のタイトルにもしているので勘づいているかもしれないが、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(通称:チェリまほ)がタイでリメイクされる。タイトルの通り30歳まで童貞を貫き人の心が読めるようになったアーチ(Achi)と、アーチに密かに恋をするカラン(Karan)の物語。赤楚衛二と町田啓太で演じられた日本ドラマ版は、タイでファンミーティングを開催するほど人気の作品だ。
『Cherry Magic』 真ん中:テイ、右から三番目:ニュー (c)GMMTV
そのリメイク版が制作されるというだけでなく、『Kiss The Series』以降7年近くペアとして人気を誇るテイとニューのふたりが再共演する。それも2年も前から構想されていて、ニューがちょうど30歳の年に放送されるという二重にも三重にも嬉しい知らせが会場を沸かせた。
●『23.5』
『23.5』 (c)GMMTV
『Cherry Magic』をはじめとして、2023年も数々のBL作品を制作するGMMTV。そんなGMMTV初のガールズラブ作品『23.5』が誕生する。
太陽のように明るいサン(Sun)に恋心を抱く、冴えないオンサ(Ongsa)。拒絶されることを恐れて自らをアース(Earth)と名乗り、サンとチャットで仲を深めていく。次第にサンもアースが気になるようになり、いつの日か地球の地軸が23.5度傾いて、太陽と地球が近づく日を夢見るようになる。
真ん中左:ミルク、真ん中右:ラブ (c)GMMTV
オンサとサンを演じるのは『Bad Buddy series』で女性同士のカップル役を演じた、ミルク・パンサ(『F4 Thailand』)とラブ・パタラーニット(『2gether』、『BLACKLIST』)。さらに『2gether THE MOVIE』や『Who Are You』などのカニタ・クワンユーが監督を務める。美しい二人と、毎度美しく説得力のある映像を届けてくれる監督から生み出される映像に期待が高まる。
●『Midnight Museum』
『Midnight Museum』
最後に3月6日(月)から毎週月、火曜日に放送される、『Midnight Museum』を紹介したい。放送目前に『2gether』や『F4 Thailand』などで主演を務めたブライト・ワチラウィットらの出演が発表され、さらに注目度が高まっている。
[Official Trailer] Midnight Museum พิพิธภัณฑ์รัตติกาล
物語は職を失ったカフェのバリスタが、ある学芸員に奇妙な美術館での仕事に誘われるところから始まる。ちょうどその頃殺人事件が連続で起こり、美術館も事件に関わっている様子。さらに最新映像ではゾンビと黒幕らしき人物が描かれており、GMMTVとしては珍しいホラーテイストの作品になりそう。
(c)GMMTV
同作にはガン・アタパン(『NOT ME』、『The Gifted』)を筆頭としたGMMTVの俳優だけでなく、トー・タナポップ(『Hormones』、映画『プアン/友だちと呼ばせて』)や、サーイパーン・アピンヤー(『Project S: SPIKE』、『An Eye for an Eye』)など、タイの国民的俳優たちがメインとして出演することが見どころのひとつ。今年の作品は特にGMMTV以外の俳優の出演が目立つが、その中でも要チェックだ。
◇アメリカのタイ料理は甘い!◇
今年こそはタイに行きたいと強く思わせてくれた『GMMTV 2023』。久しぶりの海外旅行はタイランドだと信じて疑わなかったが、なぜか先にアメリカに行った筆者の話を少しだけさせてもらいたい。ちょうど連載のVol.13を公開した頃、3週間ほどアメリカで過ごしていた。拠点としていたシアトルでは意外にもジャンクフードは少なく、日本食や中華などアジア料理が立ち並ぶ。もちろんタイ料理も多く構えられている。
春巻き、カオ・パット、タイ風BBQ、パッタイを注文
この店では春巻きとパッタイ、タイ風BBQ、カオ・パットを注文。写真で見ると伝わりづらいが、アメリカンサイズで半分も食べきれないほど大量の料理が運び込まれてくる。さすがアメリカ。残った分はどこの店舗でも持ち帰りできるが、ふたりで行くなら3品目程度に抑えておく方が良いかもしれない。味は全体的に砂糖の甘味が強く、パクチーの匂いも控えめ。好みにあわせてスパイスを後付けする方が、日本人の舌には合いそうだ。同じ国が発祥の料理でも国によって味付けの傾向が異なることがおもしろく、機会があれば食べ比べてみてもらいたいと思う。
久しぶりの更新となった今回は、2023年に制作されるGMMTVのドラマを紹介してきた。まだタイドラマを視聴したことがなくとも、これから放送される作品であれば共に楽しめるだろう。この記事がタイドラマへの最初の一歩になれば、そしてタイの情報を追いかけきれていないという人の一助になれば嬉しい。
文=川井美波

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