つばきファクトリー、「メンバーの気
持ちが1つになって勢いに乗っている
」現体制ラストシングルへの想いを語

メジャーデビュー6周年記念日の2月22日にリリースされるトリプルA面シングル『間違いじゃない 泣いたりしない/スキップ・スキップ・スキップ/君と僕の絆 feat.KIKI』。浅倉樹々が今春に卒業することが発表されているので、現在の12人体制でのシングル作品は、今回がラストとなる。切ない感情表現の中に力強い意志が宿っている「間違いじゃない 泣いたりしない」。明るいキャッチーな仕上がりの「スキップ・スキップ・スキップ」。メンバー同士の温かな関係性を伝えてくれる「君と僕の絆 feat.KIKI」。この3曲に込められている想いとは? 4月から5月にかけて8都市で10公演が開催されるホールツアー『つばきファクトリー CONCERT TOUR ~シュンカン~』への意気込みも含めて、新沼希空、秋山眞緒、八木栞に語ってもらった。
――「間違いじゃない 泣いたりしない」は、どのような曲だと感じていますか?
新沼:つばきファクトリーはたくさんの恋愛の曲を歌ってきたんですけど、今までで一番大人っぽいなあと感じています。失恋しても前を向こうとしている歌詞ですけど、恋愛以外にも置き換えられると思います。私が歌っている2番の《あんな嫌いだった 自分も好きになれたの》というパートは、研修生として活動していた頃のことを思い出しました。なかなか自信を持てない時期を経て、こうして今、つばきファクトリーとして活動しながら私も自分のことが好きになっていけているんです。そういう自分自身を重ねながらこの曲を聴いています。
八木:英語のラップが入っていたりするのも、今までのつばきファクトリーの曲にはなかった新しさですね。『行くぜ!つばきファクトリー』という私たちの冠番組で、作詞をしていただいた西野蒟蒻さんが解説をしてくださったんですけど、お友達の実話をもとにしたとおっしゃっていました。好きだったアイドルが結婚をしてしまったけれども、西野さんのお友達は推していた時に「かわいくなろう」という気持ちを持つことができて、かわいくなることもできて、「推していて良かったな」と思うことができたそうです。この曲を歌う時は、そのことを毎回思い出していますね。
秋山:私もこの曲に、今までのつばきファクトリーにはなかった大人っぽさを感じました。レコーディングでみんなの声が加わって曲が完成した時、「リトルキャメリアン(2021年に加入したメンバー)の4人、成長したなあ」って思いました。彼女たちの大人っぽさが先輩のメンバーたちに全然負けていなくて、表現力の高さを感じました。洋楽っぽい雰囲気もあって、ダンスもとてもかっこいいので、たくさんのみなさんに聴いていただきたいです。
――つらい体験を前向きな気持ちに変えていく姿が伝わってくる曲ですよね。新沼さんがおっしゃったことにも繋がると思いますけど、恋愛に限らず、こういう気持ちを抱いて生きていくのは、とても大事だと思います。
新沼:そうですよね。つばきファクトリーは結成時、6人で活動していたんですけど、インディーズの期間が他のグループと較べると長かったんです。「このままで、私たちはメジャーデビューできるのかな?」って、不安な気持ちになる時もたくさんありました。でも、3人のメンバーが加入してメジャーデビューすることになった時は、嬉しかったと同時に、「さらに頑張っていこう!」と思えたんです。活動していると嬉しさ、楽しさもたくさんある中で、悔しいこと、不安なこともたくさんあるんですよね。いろいろな感情になりながら毎日こうしてお仕事をしていますけど、そのおかげで今の自分がいるんです。「当たり前のようで当たり前ではない日々が私を強く成長させてくれているんだなあ」って毎日思っています。
――みなさんがお仕事をされている世界は、様々な悔しさや不安を乗り越えないといけないですからね。
新沼:はい。ハロー!プロジェクトは全メンバーがフルで1曲を歌ってレコーディングをして、そこから歌割りが決まっていくんです。みんなたくさん練習してくるし、「歌割りが欲しい!」という気持ちが強いからこそ、「もっと頑張らないと」っていう気持ちにもなります。ダンスも大変ですし、何年活動していても、いつも課題がたくさんあります。経験しながら学んでいくことばかりです。
新沼希空/八木栞/秋山眞緒
――八木さんも、様々なことを乗り越えながら活動していますよね?
八木:はい。私はもともと劇団四季やミュージカルが好きで、ミュージカル女優を目指していたんですけど、オーディションを受けてつばきファクトリーに加入することになったんです。ミュージカル女優になるという夢は一旦は止まりましたけど、バレエや声楽を習っていた経験は、今のお仕事にも活かすことができています。だから、「ミュージカル女優を目指していて良かったなあ」って思うことができているんです。夢を諦めたわけではないので、これからも声楽やバレエは続けていきたいです。
――秋山さんも、この曲と重ねられる経験をしてきたんじゃないですか?
秋山:そうですね。日々、葛藤する場面がたくさんありますから。研修生時代に、周りのいろんな人たちがデビューしていって、歌割りをたくさん頂いているのを見て、「負けたくない。このままではいけない」って思ったんです。そういう気持ちになれたからこそ今があるんですよね。
――みなさんが体験してきたことも思い出される曲ということですね。
新沼:はい。歌っている時に感情を思いっきりのせることができる曲です。この曲のMVの撮影の時に演技指導の方が来てくださったんですけど、そういうのも初めてでした。「もっとこうした方がいいよ」とか、たくさんアドバイスをしてくださったおかげで、メンバーひとりひとりの良い表情が撮れているMVにもなったと思います。
秋山:「間違いじゃない 泣いたりしない」は、ダンスがすごくかっこいいです。MVのダンスシーンは屋上で撮影をしたんですけど、「つばきのみんな、こんなに踊れるんだ?」って映像を観ながら思いました。ひとりひとりの際立つポイントがある曲は、今までに意外となかった気がするので嬉しかったです。ぜひこのMVでメンバーそれぞれのダンスをじっくり観ていただきたいですね。あと、ダンスシーンの撮影の時は、すごく寒かったです(笑)。
――(笑)。つばきファクトリーの進化も感じられたMVですか?
秋山:はい。八木栞ちゃんはプライベートでもダンスレッスンに通っているんです。加入した頃と較べても、どんどん上手になっているのを感じます。
八木:ありがとうございます(笑)。いつかハロプロダンス部に入れるように、レッスンに力を入れて頑張っていきたいです。
秋山:おっ! 最高じゃん。
八木:ミュージカルの歌やダンスも、アイドルの活動と通ずるものがあると思うんです。つばきファクトリーで培う歌唱力、ダンスの技術は、いつかミュージカルで活かしていきたいです。私はまだ「全力で踊って動こう」っていうくらいですけど、成長していきたいです。初めてパフォーマンスで参加したツアーで、私は「続・花鳥風月」の風チームに参加して、半分くらいはステージ袖で見学していたんです。風チームのメンバーの方々は秋山さんを含め、ダンスが上手な方々が多くて、「私もこんな風に踊れるようになりたい。かっこよくなりたい」って思いました。それがきっかけで、プライベートでもダンスレッスンに通うことにしたんです。
秋山:そうだったの? 初耳。
八木:そうなんです。大きなきっかけを頂きました。
――メンバーと一緒に踊って表現する楽しさも、どんどん感じるようになっているんじゃないですか?
八木:そうですね。ダイナミックさとかは技術がつけばひとりでも出せるようになるのかもしれないですけど、メンバーのみんなと踊るならではのものもあるんだと思います。例えば「間違いじゃない 泣いたりしない」の冒頭のダンスは、ひとりひとりの動きはシンプルなんですけど、全員が合わさることによってかっこいいものになっているんです。大人数で踊るならではの楽しさってありますね。
新沼希空
――グループのダンスは、全員の動きが融合することによって綺麗な空間や世界が作り上げられますからね。
新沼:そうですね。振り入れは4、5時間をかけて教えていただいてから、みんなで1回合わせてみるんですけど、最初はやっぱりグダグダなんですよ。でも、レッスンを重ねる毎に少しずつ完成していくんです。そういう過程を動画で観ると感動します。メンバーが12人いるからこそできるフォーメーションもたくさんありますから、ホールの2階席、3階席から観ても楽しんでいただけるようになっていきたいです。
――会場によってステージの大きさも変わりますから、そういうことに合わせたフォーメーションの調整は大変なんだろうなあと想像しています。
秋山:調整はしていますね。でも、自分たちで修正するのは、意外と慣れてきています。それは改めて考えると成長を感じるところです。
新沼希空/八木栞/秋山眞緒
――今回のシングルはトリプルA面ですけど、他の曲にもみなさんの進化が表れていますね。「スキップ・スキップ・スキップ」は、明るい躍動感が気持ちいいです。
八木:ありがとうございます。この曲はおそらく彼氏さんであろう方と待ち合わせをする曲だと思うんですけど、私は例えば新沼さんや秋山さんと遊びに行く時の待ち合わせを想像しています。誰かと待ち合わせをすることを想像すると、より情景が思い浮かびますし、気持ちも入るんですよね。
――今後、新沼さんと秋山さんは、スキップしながら待ち合わせ場所にやって来る八木さんを見られるかもしれないですね。
秋山:そうかもしれないですね(笑)。
新沼:楽しみです(笑)。今まで、アルバム曲ではこういう明るいポップな感じはあったんですけど、シングルでは珍しいですね。「スキップ・スキップ・スキップ」というタイトルなだけあって、リズムも跳ねています。やはりハロー!プロジェクトといえば16ビートのイメージが強いので、それをまさに体感していただける曲だと思います。《キュン》《スキ》《ワクワク》とか、かわいらしい表現も私の好みで、歌っていても踊っていても楽しいです。
秋山:明るくて楽しい曲ですよね。レコーディング前に練習で録音したものを久しぶりに聴いてみると、2番の《すれ違う声 「愛してるよ」》の「愛してるよ」は、もともとはセリフじゃなかったんです。でも、レコーディングの時にセリフに変更になったんですよね。「ここのパートは岸本ゆめのちゃんかな?」と思っていたんですけど、音源を聴いたら河西結心ちゃんでした。男前にかわいく言っているのが印象的です。河西結心ちゃんの今までにない感じのセリフを聴けたのが嬉しかったです。ライブで聴いても毎回ドキッとします。
秋山眞緒
――レコーディングの現場で変更するのは、よくあるんですか?
秋山:ありますね。セリフに変更になることはよくあるので。「イマナンジ?」のセリフも、もともとはセリフじゃなかったよね?
新沼:うん。あそこも、もともとは歌でした。
――なるほど。そして「君と僕の絆 feat.KIKI」も、素敵な曲です。もうすぐ卒業する浅倉樹々さんをフィーチャーした曲ですが、去年の夏に河口湖ステラシアターで行われた『つばきファクトリーの夏祭り 2022~灼熱~』で披露した曲を、リニューアルしたんですよね?
新沼:はい。もともとはライブのための新曲として作られたものを、樹々ちゃんをフィーチャーしたバージョンにしたんです。歌割りが加入順になっています。つばきファクトリーが最初は6人で結成されたという歴史も振り返ることができる曲になっていますね。私は加入当初からいたので、こういう歴史も含めてつばきファクトリーを愛していただけたらとても嬉しいです。
八木:MVでも、加入した順で浅倉さんにハグしたり、今までの思い出の写真をメンバー全員で見たりしているんです。つばきファクトリーの温かさを感じられる、浅倉さんの卒業にふさわしいMVになっていると思います。
秋山:去年の夏にレコーディングした時も歌いながら感情が溢れ出てしまって、泣きそうになりました。樹々ちゃんのフィーチャー曲になってからは、また別の感情になっていますね。たくさん出てくる《ひとりじゃないよ》が、すごく好きです。みなさんもそれぞれに大変だと思うんですけど、この曲によって勇気づけることができる人がいるんじゃないかなと思っています。「心は繋がっているよ」って感じられて、前向きな気持ちになれる歌ですね。
――新沼さんは、樹々さんとずっと一緒に活動してきたわけですよね。
新沼:はい。もう9年とかですから。もしかしたら家族よりも一緒にいる時間が長い仲です。だから「卒業する」っていう実感が湧いていなかったんですけど、MV撮影の時に実感しました。もちろん寂しい気持ちもあるんですけど、新しい目標を見つけて決断した樹々ちゃんってかっこいいいなあって思っています。彼女が抱いている夢を応援したい気持ちでいっぱいです。
秋山:最近の樹々ちゃんは、すごくハグをしてくれるようになったんです。私は昔からハグをするのが好きなんですけど、彼女がしてくれることってあんまりなくて。でも、最近はお仕事終わりとかにバイバイする時に「またね!」ってハグしてくれるようになって、「嬉しい!」って思っています(笑)。そういうのがあと少しで終わっちゃうことを考えると、本当に寂しいです。
新沼:樹々ちゃんは美味しいサラダとか、ご飯をよく教えてくれるんです。
秋山:そうなの?
新沼:うん。体型管理や、食事に気をつけたりすることに関して、樹々ちゃんは特にしっかりしているメンバーなんです。私はそういうのが得意なタイプではないので、「このサラダ美味しいよ」「このチキンスティック、美味しいよ」とか教えてもらえるのが嬉しかったです。「いいお姉ちゃんだな」って思っていました。樹々ちゃん、年下ですけど(笑)。
八木:私にとって、初めて話しかけてくださった先輩が浅倉さんだったんです。『行くぜ!つばきファクトリー』の収録の前に先輩のみなさんと初めてお会いして、私は萎縮してしまっていたんですけど、浅倉さんが優しく話しかけてくださったおかげで、収録も幸せな気持ちで終えることができました。浅倉さんは、直すべきところはしっかりと優しく注意してくれますし、とても素敵な先輩です。
八木栞
――今回のシングルがリリースされる頃は、『Hello! Project 2023 Winter 〜TWO OF US〜』もいよいよ終盤ですね。2月23日には『つばきファクトリー メジャーデビュー6周年記念ライブ ~Moment~』もありますし。
新沼:はい。4月からは、春のツアーも予定されています。
――春のツアーは『Hello! Project 2023 Spring CITY CIRCUIT』という括りでありつつ、単独のホールツアー『つばきファクトリー CONCERT TOUR ~シュンカン~』という形で行なわれることになります。どのようなものになりそうですか?
新沼:春ツアーは樹々ちゃんが卒業した後なんです。11人体制のつばきファクトリーのツアーは、これが初となります。樹々ちゃんの卒業や、メジャーデビュー6周年を迎える中で、メンバーの気持ちが1つになって勢いに乗っているのを感じるので、この勢いを止めたくないと思っています。春ツアーのサブタイトルは「シュンカン」ですけど、つばきファクトリーの一瞬一瞬をぜひ観ていただきたいです。今回、初めて行かせていただく場所もありますし、みなさんにその瞬間のつばきファクトリーをお届けしたいです。
秋山:つばきファクトリーの楽曲は、本当にジャンルが幅広いんです。曲毎に変化するメンバーの表情、ダンスと歌の表現をみなさんに楽しんでいただけるライブになると思います。
八木:つばきファクトリーのライブは、メンバーの豊かな表現力も魅力だと思っています。「乙女心を歌わせたら右に出る者はいない」って、よく言っていただけているんですけど、それはそういう楽曲を頂いているからなのはもちろん、メンバーの表現力があるからこそでもあるのかなと。「かっこいい」から「かわいい」までの振り幅がある楽曲を、ぜひライブでも聴いていただきたいです。
――メンバーのみなさんの豊かな個性も、つばきファクトリーの魅力ですよね。秋山さんは、お花が好きで、「お花大臣」と呼ばれているとお聞きしています。
秋山:はい。お花、大好きです。よくご存じですね。
――スタッフさんから、みなさんについて事前に教えていただきました。
新沼:私はなんて言われていました?
――特技はあいうえお作文の「あいうえおきそらん」「ABCきそらん」、趣味は御朱印集め。あと、着物の着付けをお勉強中だとお聞きしています。
新沼:ありがとうございます(笑)。
――八木さんは劇団四季がお好きだというのと、ビミョーな手料理、通称「八木メシ」をブログで紹介していますね。
八木:私はビミョーな手料理ですか?(笑)。
秋山:「ビミョーな手料理」っていう言い方(笑)。
新沼:でも、合ってます(笑)。

取材・文=田中大 撮影=大塚秀美
新沼希空/八木栞/秋山眞緒

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