甘くずっしりカツの罠にハマる:税抜
299円『ロースかつ重』:激安スーパ
ー「OK」弁当を食べ続け日記【第3回

油にまみれ輝く三つ葉の威容 首都圏に展開する大人気のスーパーマーケット「OK」(オーケー、人によっては何故かオーケーストアと呼称)。その圧倒的なお値安感に魅了されるファンは数え切れず、歓喜の声に誘われた私もあれこれ弁当を食べることにした。
 というわけで、カツ丼である。
 なんでもこのOKのカツ丼は大ヒット商品。2022年度には550万食を売り上げたという。しかしそんな前評判を抜きにしても、ただただ期待が募る。
 なぜか。
 それは、堂々たる三つ葉が鎮座しているからだ。
……………………………
ロースかつ重(カナダ産三元豚使用)
322円(299円+税)
(※オーケークラブ会員は上記から3%相当額割引)
カロリー:950kcal
タンパク質:31.4g
脂質:43.9g
炭水化物:107.1g
食塩相当量:3.2g
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 コロモの茶。玉子の黄色。そこに鮮烈な緑である。
 正統なるカツ丼には必須の三つ葉。なのに、いの一番にコストカットの犠牲になりがちなアイテムでもある。これを省略せずに安価なカツ丼に採用するとはなんとも心憎い。店の心意気が染み渡る。
 そして見てほしい。
 ドン!! こいつはまるで山脈だ!
 あまりの迫力に、つい重量を計ってみる。遠心力を加えれば武器になるだろう重量に震え上がる。 
 話が逸れた。さあ、食べよう。
 おおっ! こいつは甘い。
 甘さが味の重量感となって迫りくる。
 そして言うまでもなく、空腹に「重い」は超ポジティブワード。
 うまいうまい、とガツガツ食らう。
 玉子は甘く、コロモも、米飯も甘い。肉が一番甘くないとはこれ不思議。そんなことを考えながらどんどん食べる。しかし、ふとした瞬間に箸が止まる。来てしまった。この時が。
 そうなのだ。「中年男は一気呵成に食べられない」。これは残酷なテーゼである。
 例えば「大盛り無料」のラーメン屋で、おっさんらがラーメンを大盛りにすることもなく、「味玉もやしラーメンね」などと妙なトッピング付きメニューを頼む風景を、若者たちは奇異の目で眺めていることだろう。
 しかし、おっさんは押しなべて、咀嚼力や嚥下力が低い。集中力も低い。よってトッピングで自分の機嫌をとり、途中でコショウを振って自らを鼓舞。そうしてはじめてガッツリ系フードを最後まで美味しく食べられるのだ。
 思うに今の私に必要なのは三つ葉じゃない。OKの弁当には必ずといっていいほど入ってる、何味なのかいまいち判然としない、あの紫の漬物の酸味を求めている。味にアクセントが欲しいのだよ。
 とはいえ、そんなことを言うのも贅沢。望みすぎってもんだよなぁ。
 頑張った。
文・撮影/東山セレクトショップ
ーー〈OK弁当を食べ続け日記〉ーー
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