【小林柊矢 インタビュー】
愛をもらって、愛を与えて、
みんなで作り上げたアルバム
聴く人を少しでも哀しみから守れたら…
『柊』にはそんな想いを込めている
ソリッドなアコースティックギターが印象的な「惑星」は個人的にとても好きな曲なのですが、いつ頃生まれた曲なんですか?
ありがとうございます。「惑星」はファンのことを思い描いて書いた曲なんですよ。《どれだけ抗ったって/どれだけ嘆いたって/どれだけ工夫してみたって/哀しみってやつは必然にやってくる》って歌っていますが、別れも死も哀しみは絶対にやってくるんですよ。“それをどう乗り越えていくの?”って。克服するには、みんなと埋め合っていくしかないと思うんですよね。僕も弱いけど、ライヴに来てくれる人たちと一緒に助け合っていけるんじゃないかと思って書きました。
“二つの惑星”という表現が出てくるし、恋愛ソングにもとらえられますよね。
とらえられますよね。惑星たちがみんなで引き合うイメージです。
サウンドのアプローチも興味深いです。冒頭で話してくれた「愛がなきゃ」は8ビートのバンドサウンドですが、これは新境地ですか?
本当に新しいアプローチですね。ドラマ『今野敏サスペンス 機捜235×強行犯係 樋口顕』の主題歌として書き下ろさせていただいたんですが、サスペンスドラマは祖母が好きでよく一緒に観ていたので、勝手にクールでカッコ良いロックサウンドのイメージがあったんです。疾走感あふれる、今までになかった魅力が引き出せた曲だと思っています。
小林さんのちょっとハスキーな声が活きる曲ですね。
ありがとうございます。鳥山雄司さんと二人三脚で作った曲です。アルバムの1曲目のインスト「はじまり」も鳥山さんが作曲してくださったんですが、他の方に曲を作っていただくのも初めての経験で、初めてのフルアルバムだったり、いろいろな小林柊矢の“はじまり”をイメージして作ってくださったので、ライヴのSEにも使いたいですね。
先行配信もされたドラマ『なにわの晩さん!美味しい美味しい走り飯』の主題歌である「笑おう」についても教えてください。
遊具で遊ぶ公園の子供たちを見ていたら浮かんできた曲です。僕はまだ22歳なんですが、“あの頃みたいに無邪気に笑えたらな”なんて思ったりして。“大人”という人間が決めた区切りであって、それがなければ線引きされないのに、ある時から“君は大人だ”って世知辛い世の中に放り出されて、お金の怖さを知ったり、努力に裏切られたり、いろんな嫌な想いを味わうことで、友達と分け隔てなく笑えていた頃の心を忘れてしまうのかなって。
大変なことやつらいことがあるのが前提で“笑おう”と歌っているからグッとくるんですよね。
僕もこの曲のMVを観ていると自分でも泣いちゃうんですよ。後半の《LaLaLa… 》というコーラスは子供たちに歌ってもらっているんですが、マスク越しで歌えるようになったらライヴで一緒に歌ってほしいですね。サウンドは温かく包み込むような感じにしていただいたんです。デモは弾き語りなんですが、シンセを入れていただいて誰もが身体を揺らして踊りたくなるようなアレンジに仕上げていただきました。
素敵なアルバムが完成しましたね。
アルバムのタイトルの“柊”は親がつけてくれた“柊矢”という名前から取ったんですが、“柊”って昔から災いから守ったり、魔除に使われている木なので、少しでもみんなを哀しみから守ってあげられるような作品にしたかったんですよね。本当に名刺代わりというか、このアルバムを聴いたら小林柊矢の人間性も全部分かるものになっています。
それぐらい自分を包み隠さずに出したということですか?
出しました。等身大の飾らない自分ですね。ステージの上からみんなを引っ張ることはできなくても、客席に飛び込んで肩を組んで一緒に進んでいくことならできる。
3月から始まる東京と大阪でのライヴもそんなイメージですか?
そうですね。ステージ上では華やかに観えるかもしれないけれど、僕はみんなと同じで、だからこそ同じ目線で歌いたいし、楽しみたい。フルアルバムをリリースすることで歌える曲数が格段に増えたし、表現の幅も広がったと思うんですよ。みんなのいろいろな思い出や感情に重なるライヴができると思いますので、ぜひ観に来ていただきたいですね。
他に今年、実現させたいことはありますか?
大きなステージに立ちたいっていう目標はあるんですけど、家族に一番喜んでもらえるのはテレビだと思うので、活躍している姿を観せて、安心させてあげたいです。とはいえ、急にバーンと人気が出るより、一歩、一歩、階段を踏み締めて歩んでいきたいという気持ちが一番大きいですね。
取材:山本弘子
「笑おう」MV
「白いワンピース」MV
関連ニュース