写真/ワイドショーイメージ

写真/ワイドショーイメージ

僅差でサンジャポがマシかーー『サン
デー・ジャポン』と『ワイドナショー
』実力比較【後編】

【前編記事「どっちもコメントがアホすぎ?ーー『サンデー・ジャポン』と『ワイドナショー』実力比較【前編】」はこちら】
コメンテーター群の能力対決 多少の無知や的外れは織り込み済みだが、やはり番組の「顔」の言葉には一定の説得力を持たせたい。そんなときに重宝するのが、次元の違う暴言やトンデモ持論を口走ってくれるコメンテーターだ。
 2020年、ピエール瀧の映画復帰の折、『サンジャポ』から出演依頼を受けた石野卓球に「マ○○チと同じ画面に映りたくない」(※文字伏せは編集部)と共演NGを出されたのは、薄口政治評論家の杉村太蔵。杉村の「薬物一発アウト論」には共感の声もあるが、更生の道を閉ざすことが再犯に繋がりかねない面などへの考慮は見られない。
 杉村といえば、猪瀬直樹のセクハラ騒動の際にも、「相手が嫌だと思ったらセクハラになる。今回は相手がセクハラじゃないと言っているので違う」と猪瀬を擁護。被害者が表立って抗議できない点にセクハラ問題の根深さがあることも理解しておらず、ネット上は猛批判の嵐となった。
 番組の重鎮として桁違いの放言を繰り返し、太田を真人間寄りに見せる役割を長く担ってきたのがテリー伊藤。
 2021年、韓国でいじめ告発運動が盛んになると、「(いじめをした側も)必死になってやっているのに、過去を引っ張り出すようなのは、僕はルール違反だと思いますね」と、あろうことか被害者側を非難。さすがに「加害者を肯定し守ろうとするのは異常」「いじめられた側に『忘れろ』と迫っているも同然」「気分が悪すぎてチャンネル変えた」といった声で大炎上。
 自由な意見交換と活発な議論が『サンジャポ』のよさではあるものの、これらの常軌を逸したコメントや、「北海道警察がヤジ排除事件で敗訴したことが(安倍元首相の)警備をしづらくさせた」(宮崎謙介)、「野党は統一教会問題を政権攻撃のネタにしているだけ」(ロボット博士・古田貴之)など、根拠乏しい暴論が飛び交っているようでは、不必要に社会を混乱させるSNS上のデマやフェイクニュースと大差ない。
 一方の『ワイドナ』では、石原良純、指原莉乃武田鉄矢、長嶋一茂、ヒロミ、古市憲寿、三浦瑠麗あたりの出演が多い。
 このなかで、指原やヒロミは当たり障りのないコメントで、炎上騒ぎをうまく避けている。ただ、松本が「大喜利」に例えている番組で当たり障りがないのは、彼の言葉を借りれば「ギャラ泥棒」も同然。
 最近、特にいい働きをしているのは、武田鉄矢だ。
 昨年11月13日の放送回で、同じくコメンテーターとして出演していた西川貴教が日米の若者の政治参加意識の違いについて熱く語っているのを強引に遮り、視聴者から「西川さんに失礼すぎる」「放送事故かと思った」と批判が殺到。
 西川の弁に対して持論をぶつけるのならともかく、話している真っ最中に「ちょっとすみません」と制した武田は、リモートで繋がっているアメリカの野沢直子に「直子さん、やっぱ物価は高いの?」と唐突すぎる質問。しかも、野沢から「その話、(前回の出演時に)しましたよね」と突っ込まれる始末。
 昨年6月19日の放送回では、18歳の女子大学生とのパパ活を報じられた吉川赳議員に関し、「この人には人生のなかでムラムラするときがなかったんですよ」「お金で自分をやり取りすると、ムラムラがどんどん落ちていく」などと、しきりに「ムラムラ」を連呼。
 ネットでは、「この人、さっきからなに言ってんの?」「若い女の子にムラムラとか気持ち悪い言葉使わないで」とプチ炎上。そのほかにも、「学校の皆勤賞は、頭の悪い子が唯一取れる賞」「(子供に対して)『盗むな』と言うのでさえ、正しくないこともある」などの発言で、出演するたびに番組の炎上商法に貢献している。
 武田の活躍で最近はやや影が薄いが、「(北朝鮮の)テロリスト分子が日韓に潜んでいる。今は大阪がヤバい」と発言し「根拠を示せ」「公共の電波でデマを流すな」「在日コリアンへの差別を助長する」などの猛バッシングを受けた三浦瑠麗や、「子供大っ嫌いです。だって汚いじゃないですか」と極々個人的な偏見で共演者をドン引きさせた古市憲寿らも、十分にネクストレベルのトンデモコメンテーターだ。
 両番組のコメンテーターに優劣をつけるのは非常に難しいが、あのデーブ・スペクターが良識派に見えるのだから、世間の常識からより逸脱しているのは『サンジャポ』の方だろう。

両番組の思想&報道対決 ワイドショーは報道番組ではない。ただ、報道要素が欠片もなければ、それもワイドショーとは言えない。
 右寄りor左寄り。安易な二元論的視点で番組の報道姿勢が図れるわけではないが、『サンデー・ジャポン』は左寄り、『ワイドナショー』は右寄りと見る向きは少なくない。
 確かに、『サンジャポ』MCの太田光はネトウヨからめっぽう嫌われているし、左翼思想が極めて強い『サンデーモーニング』から視聴者を引き継いでいる点でも、『サンジャポ』に左寄りのムードが漂うのは自然な流れだ。
 2017年12月、安倍晋三首相(当時)と会食した松本人志、東野幸治、指原莉乃、古市憲寿らワイドナメンバーの面々。また、旧統一協会のイベントに祝辞を送った元自民党議員に対し、東野が「別に悪いことじゃないわけでしょ」と擁護したことからも、『ワイドナ』を「政権寄り」の番組と見ることはできる。
 しかし、だ。いささかマッチポンプ的になってしまうが、両番組の報道姿勢の最たる違いに、右だの左だのは関係がない。
 旧統一教会問題の報じ方に、両番組の違いが如実に現れている。
 長くカルト問題に取り組んできたジャーナリストの鈴木エイトを出演させるなど、独自の取材含めて報じている『サンジャポ』に対し、『ワイドナ』では独自取材は一切行わず、すでに報じられた情報を並べてコメントするだけだ。
 2022年7月24日の放送で「キリトリ記事禁止」の札を置き、昨今蔓延する「コタツ記事」(取材を行わず一次情報をもとに執筆した記事)に釘を差した松本人志だが、そもそも『ワイドナ』がコタツ番組であることには気が回らないのだから、なんとも滑稽な話だ。
 番組制作への労力や熱の違いが視聴者にも伝わっているのか、世帯・個人ともに視聴率で『ワイドナショー』は『サンデー・ジャポン』に大きく水を開けられている。今年4月から隔週出演になっていることから、看板であるはずの松本のモチベーションがダダ下がりなのも明々白々。打ち切りの噂も聞こえてきている。

【前編記事「どっちもコメントがアホすぎ?ーー『サンデー・ジャポン』と『ワイドナショー』実力比較【前編】」はこちら】

写真/ワイドショーイメージ初出/実話BUNKAタブー2023年2月号「実話BUNKAタブー」は毎月16日発売です。コンビニ・書店・ネット書店でお求めいただけるほか、発売半月後には電子書籍としても販売。一部読み放題サービスなどでもお読みいただけます。

ブッチNEWS

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着