『夕暮れに、手をつなぐ』で[Alexan
dros]川上洋平が2年ぶりのテレビドラ
マ出演。 広瀬すず主演・永瀬廉出演
の青春ラブストーリーで表現者として
進化を遂げる

TBS系で放送中の火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』。広瀬すず演じる九州の片田舎で育った野性的な浅葱空豆(あさぎ・そらまめ)と、永瀬簾(King & Prince)演じる都会育ちで音楽家を目指す海野音(うみの・おと)という23歳の2人の青春ラブストーリーだ。1月31日に放送された第3話では、空豆と音が暮らす下宿先の大家である雪平響子(夏木マリ)の一人息子・雪平爽介(川上洋平)の知られざる秘密が明らかになった。
起業家である爽介は結婚相手を探すためにニューヨークから一時帰国中で、自らの実家に下宿する空豆と音との交流が始まるのはごく自然なことだ。第2話で爽介は、幼馴染である婚約者の矢野翔太(櫻井海音)を追って上京するが翔太に「好きな人ができた」と言われ振られた空豆を誘い、婚活パーティーに参加。2人で婚活パーティーを抜け出し、爽介の運転する高級車でドライブを楽しみ、距離を縮めた。
第3話の序盤は、婚約破棄を知った祖母に「東京で翔太よりいい男見つけて結婚する!」と宣言した勢いで空豆が爽介に「私と結婚しませんか?」とプロポーズ。爽介は一瞬間を空けて、「……しますか」と答え、空豆が「マジですか?」と驚くと、少しはにかんだ表情を浮かべながら、また少し間を空けて、「…うん」と頷き、「あのボーッとした子(爽介)にはイノシシ(空豆)くらいがちょうどいい」という響子のセリフが重なるという急展開。
そこから二人は響子の計らいもあって水族館デートへ。婚約破棄の痛手から結婚願望を増大させる空豆の勢いがきっかけのデートとはいえ、「ここから始まる恋もあるのかも」「空豆と音はどうなる?」と思った視聴者も多いはず。
「夕暮れに、手をつなぐ」(c)TBS
空豆と爽介は水族館デートを楽しみつつも、お互い「デートなのにドキドキしてない」と指摘し合って笑い合い、そこにはまだ恋心がないことが描かれながらも、爽介は空豆を優しく見つめたり、どこかまんざらでもない様子。デートの終盤には、爽介が水族館でクラゲを夢中で見ていた空豆にどこかクラゲを思わせる指輪をプレゼントした。
その後爽介は一人息子のデートの結末が気になる響子に呼び出され、「仕事の電話」と称して出た電話の会話がきっかけで、ニューヨークにいる彼女・メアリーがなかなか別れてくれず、メアリーを納得させるために空豆を連れてニューヨークに行くつもりだったということが明らかに。企業家として成功し、高級車に乗り、終始ジェントルな振る舞いを見せていた爽介は白馬の王子様ではなく、かなり優柔不断で他力本願な男だったというわけだ。
自分からプロポーズをしたにもかかわらず、遠慮なく「歳が違い過ぎるからドキドキできない」と本音を言う空豆に対し、少しも気分を害した表情を見せずに、「失礼じゃない?(笑)」と柔らかい表情で問いかけ、空豆に振り回される状況を楽しんでいるようにも見えた爽介。これは大人の余裕からなのか、それとも資産家の一人息子として育てられた育ちの良さからくるのか……そのどちらもありながら、空豆への恋心が芽生えているのかも……と、その繊細で奥深い表情は様々なことを想像させた。そこからのメアリーという彼女の存在発覚である。
「夕暮れに、手をつなぐ」(c)TBS
爽介を演じているのは川上洋平。ロックバンド[Alexandros]のボーカル&ギターとして、ライブでは数万人を集めるアリーナクラスのアーティストだ。映画好きとしても知られ、当サイト「SPICE」では映画連載「ポップコーン、バター多めで PART2」でもお馴染み。
そんな川上の本格的な役者デビューは2021年1月期のテレビドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』だった。『夕暮れに、手をつなぐ』と同じく、北川悦史子が脚本を手掛けた。元々あった役を「役者というより、雰囲気や佇まいで魅せられるミュージシャンに演じてほしい」と思った北川が映画監督の岩井俊二に「誰か適任はいないか?」と相談したところ、岩井監督が友人の川上を推薦。川上にピンときた北川は、川上をイメージしながら脚本を肉付け。その熱意に打たれた川上が出演を決めたという経緯があった。
『夕暮れに、手をつなぐ』の爽介は、川上が楽曲制作やプライベートで何度も訪れている縁の深い場所、ニューヨークで暮らし、元々音楽家を目指していたというバックグラウンドの持ち主だ。流暢な英語を喋るシーンや、アコースティックギターを弾くシーン、音楽家志望の音にアドバイスをするシーンもあった。[Alexandros]の活動のみならずアコースティックギターでのソロライブも行い、また中東のインターナショナルスクール育ちで英語が堪能な川上と重なる部分は非常に多い。
「夕暮れに、手をつなぐ」(c)TBS
『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』では、クールなルックスに反して情熱を持って担当作家を支える文芸誌の編集者・橘漱石役が話題になったが、今回の爽介もまたなかなか味わい深い役柄だ。メアリーと別れるために空豆を利用しようとしたことが発覚した後も、空豆に対して、「その割には、水族館デートは楽しすぎた」と言い放ち、空豆に「別れるときにそういうことを言う男は好きじゃない」と言ってつねられる等、若干クズ男の雰囲気を漂わせながらも、人の良さや品の良さもあって憎めないキャラである。爽介のこれからの展開が気になりつつも、表現者として新たな振れ幅を見せた川上洋平の今後の活躍にも期待が膨らむ。
文=小松香里

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