久本雅美や柴田理恵らが明るく楽しく
“大福神”を送りだす「劇団葬」を開
催 WAHAHA本舗全体公演『シン・ワハ
ハ』記者発表イベントレポート

2017年に惜しまれながらも最後の全体公演を行い、2021年にはコロナ禍において多くの制約がある中でもできることを考えて多くの人に笑いを届けたWAHAHA本舗。2023年は、6月の東京公演を皮切りに全体公演 『シン・ワハハ』を全国10ヶ所で上演する。それに伴い、恒例の記者発表イベントが行われた。毎回出演者が自由なアイデアで展開する記者発表イベントだが、今回は昨年9月に亡くなったワハハ本舗取締役・村井昭彦を悼む“劇団葬”を開催。長年にわたりワハハ本舗を支え、全体公演に「おやじバンド」で出演もしていた村井とのお別れに、劇団員をはじめとする親交の深い面々と多くの観客が駆けつけた。
イベントは久本雅美と柴田理恵による挨拶でスタート。二人が漫談で村井との思い出を語り、客席に座るメンバーやファン、関係者を笑わせていると、MCを務める喰始と大久保ノブオが「待ちきれない」と乱入。テンポのいいやり取りでさらなる笑いを誘う。
続いて、おやじバンドの曲に合わせて村井の活躍やワハハ本舗のこれまでの活動を振り返る映像が流れ、客席からは笑い声や歓声、拍手が起きる。稽古場の様子なども流れ、時に大笑いしながら懐かしむように映像に見入るメンバーと観客の姿が印象的だった。
昼公演では、60歳以上のメンバーによる「ローハイド(老年)」や、おやじバンドのメンバーとタマ信也、旅流と事務所の仲間隊による「スタンドバイミー」、浅野祥の三味線による「風に吹かれて」の弾き語り、3ガガヘッズと楽珍トリオ、ラジークイーンらが集結した「ラバンバ(中途半端)」など、村井がアレンジした曲や縁の深い曲が次々にカバーされた。今回は観客に鈴が配られており、「御焼香や黙祷の代わりに鈴を鳴らして」という喰の言葉を受け、曲に合わせて軽快な鈴の音が鳴り響く。
明るくにぎやかな一体感の中、あたたかい雰囲気で進んでいく劇団葬だが、後半に進むにつれ、笑いながらジーンとくる場面も。メンバーにとって村井の存在がいかに大きかったかを知るとともに、村井からの様々なメッセージを改めて受け取ることのできる、良い“式典”になっていた。
イベント終了後、改めて囲み会見が行われた。
ーー今回は「劇団葬」と言うことでしたが、開催してみていかがでしたか?
久本:ワハハ本舗の経理部長の村井さんのためにこんなにたくさんの方が集まってくださったことに涙が出ました。改めて感動と感謝を覚えました。
柴田:すごく楽しかったけどジーンときました。良い会になったと思います。村井さんはみんなに愛される人柄だったんだと感じましたね。
久本:いつも穏やかであったかくて優しい人でした。「上を向いて歩こう」を歌いながら本当に思い出してやばかったです。
柴田:本当に優しく、みんなのワガママに付き合ってくださる良い方でした。
ーー2023年の全体公演について、構想を教えていただけますか?
喰:タイトルの「シン」は、色々なものにあやかっています。以前は「ラスト」と言っていましたが、僕が最年長でいつ最後になるか分からないのもあって、毎回最後のつもり。毎回全力投球、本気でやろうと思っています。内容については、ビジュアルの真ん中にいるのが赤塚不二夫さんのキャラ、ゲイのカオルちゃん。赤塚先生のキャラクターをどう使ってもいいという許可を得ました。ひとつ考えているのは「赤塚歌舞伎」。梅垣がウナギ犬、久本がニャロメ、柴田がバカボンのパパ……とか、赤塚さんの漫画の世界を歌舞伎でやったら面白そうでしょ? 中身は何も書いてないけど(笑)。ある種アバンギャルドというか、「これウケるの? ウケないの?」っていう過激さを目指したいですね。昔は裸になったり、テレビではできない部分で笑いをとっていましたが、今は「それをネタにするの?」というところを笑いに変える。難しいところに挑みたいです。
ーー初めて見る・これから見ようと考えている方に向けて、ワハハ本舗の良さを教えてください。
久本:笑いのためならなんでもやるところですかね。過激だとか下ネタのイメージが強いかもしれませんが、それだけじゃなくてシュールなネタやファンタジーなネタ、見応えのあるものもある。玩具箱をひっくり返したような感じで、飽きることなく楽しんでいただけると思います。
柴田:踊りがあったりひとり芝居があったり、バラエティーショーのような感じです。一度見れば分かります。若い人からご年配の方まで、みんなに笑ってもらえるものを用意しています!
喰:舞台というよりテーマパークみたいな感じですよね。ワクワクしたりドキドキしたり、アトラクションのようなものを次々に楽しんでいただけます。
ーーコロナ禍で公演の機会も減ったりしましたが、その中で改めて感じた、ご自身にとっての「ワハハ本舗」とは。
久本:私の血であり肉でありそのものです。ワハハ本舗では、自分のところは自分で本を書いたりアイデアを出したりしなきゃいけない。自分が今一番何を面白いと思っているか、何を皆さんに伝えたいのか突きつけられるんです。ハードだけど、これがあるから自分の世界が広がる。修行の場でもありますね。これがないと前に進めないし成長できないし人生が楽しくないだろうなと思います。
柴田:他の劇団公演などに出演しても、ワハハ本舗みたいなところってないんです。ここではみんなであーだこーだ言って公演ができあがる。ひとりだけの考えでは辿り着けない、想像できないものが完成する面白さがあります。さらに、ただ笑って終わり。これは唯一無二だと思いますね。ここでの芝居は絶対にやめないと思います。
ーー梅垣さんをはじめ、コロナ禍では難しい芸もありますが。
梅垣:豆は飛ばせませんからね。豆に代わる芸を考えています。
喰:今回は梅ちゃんが引退します。
梅垣:え?
喰:2代目を今年の公演で決めますと言うことで、襲名するために若手が色々挑戦します。もちろん梅垣のいつものネタもあるけど。今まで何度も「引退します」と言いつつしてないけど、今度こそは、本人は辞める気ないけど僕がやめさせます。
一同:!? そういうのもあるんですか(笑)!?
久本:2代目を競い合うって言ってますけど、若手が目指すかどうか……。
喰:やめるとは言っても、芸能界を引退するわけじゃないからね(笑)。
2023年6月の全体公演は「アート」をテーマに、様々なパフォーマンスを繰り広げる予定とのこと。多くの規制がある中でも常に笑いとエンターテインメントを追求するワハハ本舗の新たなチャレンジに期待が高まる。
取材・文・撮影=吉田沙奈

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