英国ロイヤル・バレエ団、4年ぶり来
日公演の公演概要が決定 大阪、姫路
での上演も

英国最大の規模と世界的名声を誇る英国ロイヤル・バレエ団が、旬のスターたちをそろえて4年ぶりに来日する。
ロシアからもたらされた古典バレエを西欧でいち早く導入するいっぽう、英国人振付家を育て、“ロイヤル・スタイ”と呼ばれる気品ある様式、演劇的なレパートリーなど独自の伝統と特色を育んできた英国ロイヤル・バレエ団。この屈指の名門を慕って世界各地から優秀なダンサーが集まってきており、日本人ダンサーも数多く活躍している。
今回上演される〈ロイヤル・セレブレーション〉は、創設振付家フレデリック・アシュトンの傑作中篇「田園の出来事」、ジョージ・バランシンの華やかな“ダイヤモンド”(「ジュエルズ」より)ほか、新作2篇を上演。高いテクニックと幅広い表現力を誇る近年のロイヤル・ダンサーたちの活躍を、1回の公演でまとめて堪能できるプログラムだ。
「FOR FOUR」photo:Andrej Uspenski/ROH
まずクリストファー・ウィールドンがかつてコレーラ、スティーフェル、ツィスカリーゼ、コボーという4大スターのために創作した「FOR FOUR」。シューベルトの「死と乙女」にのせて4人が静かに火花を散らす踊り比べは圧巻だ。これに対して新進振付家ヴァレンティノ・ズケッティの「プリマ」は、4人の女性ダンサーのための作品。サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲にのせて、カラフルな衣裳を身に着けた生きのいいソリストたちのキュートで軽快なダンスが楽しめる。
「プリマ」Kaneko Fumi (photo:Andrej Uspenski/ROH)
「プリマ」Yasmine Naghdi (photo:Andrej Uspenski/ROH)
フレデリック・アシュトンの「田園の出来事」は、ツルゲーネフの戯曲をショパンのピアノ変奏曲にのせて描く、詩情漂う一幕の物語バレエ。上流階級の一家の別荘でのひと夏に、息子の家庭教師としてやってきた青年をきっかけに家族の間にさざ波がたち、やがてほろ苦い結末を迎える。人間の抑制された態度の裏に潜む情熱や心の機微を演技派ダンサーたちが余すところなく表現する。
「田園の出来事」photo:Tristram Kenton/ROH
最後は、宝石をテーマにしたジョージ・バランシンの3部作「ジュエルズ」より“ダイヤモンド”のパートの全編。チャイコフスキーの音楽にのせた本作は、「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」など煌めく古典を生みだしたロシア・バレエへのオマージュでもあり、実力派の主役を筆頭に群舞を含めたパフォーマンスで華麗に締めくくる。
「ダイヤモンド」photo:Andrej Uspenski/ROH
「ロミオとジュリエット」はシェイクスピアの国のバレエ団の金看板と呼べるレパートリー。ルネサンス期イタリアの2大名門家の抗争を背景にした、その息子と娘であるまだ10代のロミオとジュリエットの、出会いから死までの1週間足らずの物語だ。2022年に没後30年を迎え、その優れた創作の魅力が改めて認識されたケネス・マクミランはこれを、「宿命の恋」というテーマに焦点を当てながら現代的に描いた。
「ロミオとジュリエット」Photo: Helen Maybanks/ROH
舞踏会で、そこだけ時が止まったようなロミオとジュリエットの出会い。スピード感溢れるバルコニーの踊りで、ロミオに掲げられたジュリエットが弧を描くように背中をしならせる美しさ。寝室での別れから、墓室で互いの死に絶望する最終場まで、無垢で激しい情熱にかられた恋人たちの、歓喜から死に至る疾走が大きな感動を呼ぶ。また重厚な舞台美術とドラマティックな照明、オーケストラの生演奏とともに、壮麗なキャピュレット家の舞踏会や広場での若者たちの躍動感あふれるシーン、脇の登場人物に至るまでのこだわりの演技など、ステージには見るべきものが満載だ。過去最強ともいえるスター陣の競演を連日見比べることができると同時に、ソリストから群衆までが物語の中で生きぬくこのバレエ団の演劇性を余すところなく味わえるプログラムとなっている。
東京文化会館での東京公演(〈ロイヤル・セレブレーション〉とケネス・マクミラン振付「ロミオとジュリエット」を上演)のほか、大阪で「ロミオとジュリエット」、姫路で〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉が開催される。

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