12月31日@東京・初台DOORS

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毎年恒例、2022年12月30日、12月31日に初台DOORSで行うDASEINの年末公演。2022年度は、30日にBlack DASEINが登場。DASEINは、31日を担当する形で公演を行った。RickyとJOEによるDASEINのライブのサポートとして、SCOTTIE(Gu)、巧(Mnp)お馴染みのメンバーが出演。さらにこの日は、長野典二/リウ/華凛と3人のベーシストが登場。二部構成による「DAI-DAN-EN~二虎を追う者は 一兎をも得る~」公演の模様を、ここにお届けしよう。
12月31日@東京・初台DOORS

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厳かな幕開けだ。ベーシストに長野典ニを迎えた編成のもと、ゆっくりと熱を上げるようにミディアムメロウな『大切な人へ』を響かせ、DASEINのライブは幕を開けた。胸の奥から沸き出す思いを歌声に乗せ、Rickyは優しく、おおらかな声を持って歌っていた。彼の声やDASEINの演奏へ向け、伸ばした手を揺らす観客たち。キラキラとした穏やかな音色の波が押し寄せる空間の中、互いが、心を一つに結び始めていた。

「全員で幸せな時間を作りましょう」の声を合図に、楽曲は勇壮な音色を響かせる。祭り上がるのが好きなDASEINだもの、穏やかなままで進むわけがない。荒々しい演奏が駆け出した。フロア中から沸き立つ絶叫、数多くの拳が高く突き上がるフロアへ向け、DASEINは『ケリをつけろ』を叩きつけ、観客たちの理性を蹴り飛ばした。今にも客席へ飛び込みそうな勢いで煽るRicky。JOEの重厚な高速ツーバスのビートが感情を高ぶらす。観客たちの突き上げた拳が小刻みに揺れている。フロア中から上がる声・声・声。この日は、マスク越しなら声出しがOK。二人の求めた景色が今、目の前に広がっていた。

身体を大きく揺らし、派手なアクション交じりにパフォーマンスをするRicky。彼自身が、己の身体を奮わせ、沸き立つ熱を増幅しながら『金輪際』を歌っていた。Rickyに煽られ、飛び跳ねる観客たち。ライブはまだ序盤。でも、場内には汗が滲み出る熱気が渦巻きだしていた。
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ライブ空間に心地好いダンスの景色を作りあげる、心を酔わせるメロウな歌も印象的なDASEIN流のエレクトロなダンスロックナンバー『待宵影』の登場だ。誘いかける甘い歌声に少しでも心溺れたくて、フロア中からたくさんの手がRickyに伸びる。彼と同じ振りをしながら一体化した景色を作りあげるのも、今やお馴染み。ヤバい、ヤバいよ、歌と音に酔い乱れるこの感覚が…。

JOEの凄まじいツーバスの演奏が身体を熱く騒がせる。その上で、目の前の人たちへ告白するように甘い歌声の手を伸ばすRicky。『キ・ミ・ダ・ケ』でもDASEINは、フロア中にいる人たちを熱情した思いを通して口説き落とそうとせまる。熱いのに、でも、激しく揺れる楽曲に触れ、心も肌も嬉しい火照りを覚えていた。「君だけに歌い続けていたいよ」と、激しい音の中で抱きしめるように甘くせまるRicky。それって、落ちてしまえってこと?!

ここで、2人目のベーシストとして華凛が登場。奏でたのが、2022年に配信リリースした『歩』。ゆったりとした音の中へ切なさも匂わせた、スケール大きな楽曲だ。まるで広大なシルクロードを、胸に痛みを覚えながらも眩しい光に向かって歩み続ける気分。たくさんの出会いと別れ、さまざまな経験を積み重ねた今だからこそ、すべてを飲み込み、支えてくれる仲間たちへの感謝の思いも伝えながら、DASEINは、これからも共に歩み続けようと語りかけていた。
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『五月雨』も、今の二人の気持ちに似合う楽曲だ。重厚な演奏で身体を揺らしながらも、Rickyは、二人を支えてくれる仲間たちに伝えたい気持ちを、そして、千切れることのない二人の関係性を、改めて熱情した声と演奏に乗せて届けていた。楽曲に合わせて見せるRickyの繊細なアクションも、視線を引き寄せる嬉しい要素だ。

観客たちをDARK SIDEへ導くように、DASEINは荒々しい音を撒き散らす『闇』を演奏。黒い音が渦巻く闇の中、Rickyと観客たちの手にしたサイリウムの輝きがその先を示す光となり、道を照らしていた。人は、闇に落ちることだってあるだろう。二人は、その闇を知り、その闇の中で踠き足掻いた先に美しい景色が生まれるのを経験したからこそ、このような力強い光を放てるのだろう。

『~再生-prologue-~』という言葉が相応しい、JOEのドラムプレイだ。多種多彩な打楽器の音を鳴らし、JOEは一人オーケストラともいうべき、荒々しくも表情豊かな楽曲を描きだす。巧みに音数やリズムに変化を与え、JOEは表情豊かな物語を作りあげる。途中、観客たちとのコール&レスポンスも投影。やがてその物語は、ライブ本編へ受け継がれていった。

シンフォニック/雄大なエレクトロ音に導かれたメンバーたちが、荒ぶる音を響かせだす。楽曲は何時しか『唯、此処に在る事が愛しくて』に姿を変えてゆく。この曲でもRickyが、心の琴線を嬉しく鳴らす歌を通し、観客たちの気持ちを熱で満たしてゆく。心を高揚へと連れだす歌へ溺れるまま、『唯、此処に在る事が愛しくて』に温かく抱きしめられていた。
ふたたび黒い音がフロア中に染み渡る。DASEINは、『今に勝る時はナシ 今に敗けるよりはマシ』を通し、この会場を熱狂の宴の様へ染めあげる。激しく煽るメンバーらの演奏と観客たちをけしかけるように歌うRicky。その気迫へ挑むように、拳を突き上げ暴れる観客たち。まさに、今に勝る熱狂はない様がそこには広がっていた。ここで第一部は終了。この熱気が、どんな風に第二部へ受け継がれるのか楽しみだ。
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第二部は、ベーシストにリウを迎えてスタート。冒頭を飾ったのが、『流離人』。闇の中、Rickyとフロア中の人たちの翳したオレンジのサイリウムの光が大きく揺れている。第二部でもDASEINは、ゆったりとした、長大な旅路のドラマの幕開けを彩るに相応しい雄大な楽曲からスタートした。演奏はすぐに熱を膨らませるように重厚な音を増す。破裂寸前の衝動をRickyは両手でギュッと抱き抱え、言葉のひと言ひと言を大切に紡ぐように歌っていた。Rickyへ招かれるように、フロア中の人たちが「行く先のない風に吹かれ~誰も知らない旅路の果てに~蜃気楼のように」と歌う場面も印象的だった。

SCOTTIEのギターが哀愁を抱いた野太い旋律を奏でるのを合図に、楽曲は『君の街に降れるオリオン』へ。バンド演奏が始まったとたんに楽曲は一気に輝きをまとい、明るく華やぎだす。サビ歌では、腕を左右に大きく振りながら朗々と歌うRickyの動きと気持ちを重ね合わせ、フロア中の人たちも同じ動きをし、心を夜空へと羽ばたかせていた。なんて、心の琴線を嬉し涙のメロディーと旋律で鳴らす歌だろう。
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Rickyの朗々とした歌声が合図だった。「いこうぜ」の言葉をきっかけに、SCOTTIEのギターが唸り、楽曲は重厚な音を轟かせ、走り出した。激しさの中にも高揚感を覚える『BREAK←SHAKE→BRAIN』だ。輝きを持って力強く駆け続ける演奏が身体を直撃するたびに、気持ちが熱く奮い起つ。上がる熱情、突き上がる拳。もっともっと心を乱してほしい。そんな風に欲望が身体中を浸食していた。 

「頑張って生きてるかー、我思う故に我有り」のRickyの言葉とJOEの猛々しいドラムを合図に、楽曲は『COGITO ERGO SUM』へ。重さの中にも躍動する強靱なリズムを持ったダンスロックナンバーを魅力に、DASEINはフロア中の人たちの身体を激しく揺らし続ける。いや、身体と掲げた手をもっともっと大きく揺さぶり、熱狂に溺れてしまいなと誘いかけていた。それこそが、ここに生きている存在の証明だと言うように…。

本編最後を飾ったのが、今の二人の一番リアルな感情を詰め込んだ『泡沫なる夢幻』。まだ規制の多いコロナ過の時代の中で、この曲は生まれた。どんな逆境の中へ落とされようが、どんな遮る壁さえも壊し、向かい風にも逆らう強い意思を持って突き進む姿を、彼らは「今を辿る」と歌っていた。雄大かつ躍動した楽曲に刺激を受けた身体を熱く揺さぶりながらも、Rickyの歌う言葉のひと言ひと言をしっかりと胸に刻みたい。そんな思いをずっと抱きながら、熱狂に溺れていた。
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「みんなで笑いあいましょう」。アンコールでは、長野典ニがベースを担当。すべての煩悩を熱情したビートで吹き飛ばし、このまま祭り上がってしまえと、DASEINは笑顔の花をフロア中へ咲かせる『ワラウンダーランド』を演奏。歌のお兄さんになったRickyの腕の振りに合わせ、フロア中の人たちも真似、一緒に手を振りながら楽しんでいた。「もう誰も止められない」の歌詞のように、みんなが無邪気な笑顔を浮かべ、この時間中ずっと現実を蹴飛ばし、無垢な少女や少年に戻っていた。

ここでベースに、華凛とリウも参加。トリプルベースというスタイルで、演奏。この日を逃したら、果たして次はあるのかという、とてもレアな編成だ。まったくどうなってんだ。出演者全員で届けたのが『Do NoT TENdER!?』(実際に演奏していたのはリウのみ?)。たとえ2人は当てぶりでもいいじゃない。フロア中の人たちも身体を折り畳み騒げば、左右にモッシュし、声を張り上げてと、ここぞとばかりにみんなで祭り上がっていた。どうなってんだって?楽しく祭り上がってんだよ。

「在るがまま、定めのままにゆけ」。最後にDASEINは、仲間たちと生きている喜びを分かち合うように『我ここに在り』を届けてくれた。心に光と笑顔を降り注ぐ歌に触れたフロア中の人たちが、その輝きを舞台へ注ぎ返すように両手を大きく振り上げていた。汗振り乱して熱狂するのも楽しいが、優しい笑みを浮かべ、自然と身体揺れるままに沸くこの感覚も、とても楽しい。その気持ちが伝わったのか、一瞬、感動のあまり声を詰まらせるRickyの姿も。そんな感激屋な一面を、ここで見せてくれたのも嬉しかった。23回打ち鳴らすエンディングの音が、次の年へと思いを繋げていった。
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熱狂冷めやらぬSEINER(ファン)たちの熱を受け、最後の最後に、ベースを長野典ニが担当し、タオルナンバーの『明後日へ』を演奏。始まったとたんに、場内中の人たちが拳を突き上げ高く飛び跳ねれば、Rickyと同じ動きをしてゆく。サビ歌では、フロア中の人たちが手にしたタオルや腕を振りまわし、思いきり跳ねていた。DASEINの2022年最後を飾る歌として、心晴れ上がるアッパーチューンを演奏。最高で最強の笑顔の自分に一人一人を染めあげ、この楽しさを2023年へ繋げていった。

2023年のDASEINは、楽曲制作へ主軸を置き、年内中に新しい音源を出すための活動を行う。もちろん、ライブ活動だってしてくれるだろう。その頼りを、まずは楽しみに舞っていようか。
Live photo by Lestat C&M Project
Text by 長澤智典

『Shimekukul DASEIN 2022「DAI-DAN-EN」 ~二虎を追う者は 一兎をも得る~』
2022年12月31日(土)@東京・初台DOORS

■出演
DASEIN
Drums:JOE
Vocal:Ricky

■SUPPORT MUSICIAN
Guitar:SCOTTIE
Bass:リウ/長野典ニ/華凛
Manipulator:巧

【セットリスト】
ーBa:長野典ニ
『大切な人へ』
『ケリをつけろ』
『金輪際』
『待宵影』
『キ・ミ・ダ・ケ』
ーBa:華凛
『歩』
『五月雨』
『闇』
ードラムソロ~再生-prologue-ー 
『唯、此処に在る事が愛しくて』
『今に勝る時はナシ 今に敗けるよりはマシ』
ーBa:リウ
『流離人』
『君の街に降れるオリオン』
『BREAK←SHAKE→BRAIN』
『COGITO ERGO SUM』
『泡沫なる夢幻』
<ENCORE>
『ワラウンダーランド』 Ba:長野典ニ
ー華凛 リウ IN
『Do NoT TENdER!?』 Ba:リウ
『我ここに在り』Ba:リウ
ーおまけー
『明後日へ』Ba:長野典ニ

『DASEIN presents JOE Birthday LIVE EVENT「WELCOME TO THE FACE 2023」~祝・おJOEのお誕JOEだジョー!!!~』

3月12日(日) 東京・渋谷REX
OPEN/16:00 START/16:30

<出演>
■DASEIN
Drums:JOE
Vocal:Ricky

■SUPPORT MUSICIAN
Guitar:SCOTTIE
Bass:リウ
Manipulator:巧

■GUEST MUSICIAN
Guitar:PANTHER (ELLEGUNS)

<チケット>
スタンディング:前売券 ¥7,800(D別)
抽選先行受付:1月15日(日)12:00~1月22日(日)18:00
https://eplus.jp/sf/detail/3786040001-P0030001
一般発売:2月4日(土)10:00~
https://eplus.jp/sf/detail/3786040001-P0030001
お問合せ:SHIBUYA-REX TEL:03-5728-4911

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OKMusic編集部

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