相葉裕樹×小池竜暉、初ミュージカル
出演の小池が“大先輩”相葉に聞きた
いこととは? オフ・ブロードウェイ
ミュージカル『Ordinary Days』イン
タビュー

2009年にオフ・ブロードウェイで上演され話題を呼んだ、ソングスルーミュージカルの『Ordinary Days』が、相葉裕樹主演で日本初上演される。本作は、爽快で誠実な楽曲と共に、誰もが経験したことのあるような人を想い合う温かさや、うまくいかず葛藤することもある日々を、緻密に歌で表現し、心に寄り添うミュージカル。作詞・作曲は、新進気鋭のクリエイターのひとりとして注目されるアダム・グウォンが手がける。今回は、ミュージカル『レ・ミゼラブル』のアンジョルラス役を始め、ミュージカル界で頭角を現す相葉と、男女7人組ダンス&ボーカルグループ「GENIC」のメンバーとしても活動する小池竜暉に、本作への意気込みや役柄への思いを聞いた。
​(左から)小池竜暉、相葉裕樹
ーー出演が決まったときのお気持ちを聞かせてください。
相葉:出演者は4人のみ、そしてピアニストの方の生演奏のミュージカルと聞いて、濃密な作品になるだろうなと感じました。物語は普遍的で、共感性の高いものになると思います。まだ稽古はこれからですが、4人の運命がどう交わっていくのかをお見せできたらと思いますし、(相葉が演じる)ジェイソンに共感できるところをたくさん見つけて役を作っていけたらと思っています。今回は、共演者の方々も皆さん初めての方ばかりなので、どんな作品になるのか楽しみです。
小池:僕は、今回、ミュージカルに出演するのが初めてなんです。もっといってしまうと、役を演じるということ自体が初めてなので、お話を頂きすごく嬉しかったです。僕は普段「GENIC」というグループで歌って踊っていますが、歌が大好きですし、元々、演じることに興味を持っていたので、ミュージカルに出演できるのはとてもありがたいですし、頑張らなければいけないと身が引き締まる思いです。
ーーニューヨークを舞台に、30代カップルのジェイソンとクレア、そしてアーティストを目指すウォーレンと大学生のデイブの4人の人生が思わぬ形で繋がっていくという本作ですが、本作の物語についてはどう感じていますか?
小池:『Ordinary Days』というタイトルの通り、日常的なことをあまり飾ることなく表現している作品だと思います。自分を投影しやすいシーンも多いので、自分に置き換えながら演じられたらと思いますし、きっと観てくださる皆さんにも何か引っかかる部分があると思うので、楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
相葉:僕は、先ほども言いましたが、すごく普遍的なストーリーだと思います。等身大の大学生や青年が登場して、日々の中で葛藤が生まれ、交わらないけれど交わっているような4人の物語なので、そこが面白さになると思います。演出の田中(麻衣子)さんとお話ししたときに、ピアニストの方も舞台上でお客さまから見えている場所にいらっしゃるとおっしゃっていたので、それもまたおしゃれなんじゃないかなと想像しています。2月という人肌が恋しくなる季節に、ちょっとした恋の悩みやすれ違い、価値観の違う男女のドラマが歌で紡がれるので、冬にぴったりな物語ですし、きっとお客さまにも共感していただけるところや新たな発見があると思っています。
​(左から)小池竜暉、相葉裕樹
ーー4人だけの芝居で全編ピアノというシンプルなスタイルだからこその緊張や、逆に楽しさややりがいはありますか?
小池:僕にとっては何もかもが初めてなので、“なんでもこい”というスタンスでいます(笑)。GENICとしても生演奏で歌ったことがなかったので、今回はそれが体験できるいい機会でもあるかなと思います。生のピアノと息を合わせて歌うというのは、すごくワクワクしますし、きっと臨場感も違うと思います。毎回、テンポが少しだけ変わったり、変化が出てくると思いますが、それが生演奏の良さだと思いますし、僕自身、すごく楽しみです。
相葉:4人で2時間を持たせないといけないということなんで、責任重大ですし、一人ひとりの負荷も大きいとは思いますが、皆さんがどうお芝居を作っていかれるのかすごく楽しみです。田中さんは、セッションしながら作っていく方だと聞いていますので、それがありがたいと思うのと同時に、(デイブとウォーレンが)Wキャストなので大変なことも多いと思います。しっかりと準備をして臨みたいと思います。音楽の力と生演奏の力でお客さまをストーリーに引き込みやすいところもありますし、きっと濃密な時間をお届けできると思っています。
ーー小池さんは「元々演技に興味があった」とおっしゃっていましたが、具体的に何かきっかけがあったんですか?
小池:どの作品ということはないですが、昔から家族と一緒にドラマを観ながら、俳優さんたちが言っているセリフを真似したり、「僕だったらどう言うだろう」みたいなことを考えてました。その頃から、演技をしたいという強い思いがあったわけではなかったですが、誰かになりきって演じるのは楽しそうだなとは思っていたので、そういう意味で興味はありました。
相葉:この作品が役者デビューになるの? それとも映像作品には出演している?
小池:全く初めてです。
相葉:完全役者デビュー? すごいね。
ーー大先輩から何かアドバイスありますか?
相葉:アドバイスということではないですが……僕が(今の小池と同じ歳の)22歳の頃は、こんなに真っ直ぐじゃなかったなと思って(笑)。彼の素直さがきっと(今作で小池が演じる)ウォーレンという役に生きてくるだろうなと感じました。あれこれ考えてしまうかもしれないけれど、自分の持っているものを素直に出して演じていけばいいんじゃないかなと思います。
​(左から)小池竜暉、相葉裕樹
ーー相葉さんが今だからこそ言える、初舞台の時にこれをやっておけば良かったということは何かありますか?
相葉:その頃は、目の前のことに全力で、必死で、迷いながら、考えながらやっていましたが、楽しむことが大事だと思います。特にアーティストの方が初めて舞台に立つ時や、初めて演技のお仕事をする時に、その作品があまり楽しくないと演技が嫌いになってしまうと思うんですよ。でも、素晴らしい才能があったり、向いていたりするかもしれないので、「役者はもういいや」と思われてしまうのはもったいない。なので、この作品で、「楽しかった」「もっと役者をやってみたい」「お芝居をやりたい」と思ってもらえたらと思いますし、そんな作品や空間を一緒に作れたらと思います。
ーーせっかくの機会なので、小池さんから大先輩に聞いておきたいことはありますか?
小池:基本的な質問かもしれませんが……稽古初日に、セリフは全部覚えていきますか?
相葉:ああ、それね(笑)。覚えなくて大丈夫だよ、初日に間に合えばいいんだから。もちろん、早く(セリフを)入れるに越したことはないけれど……という感じです、多分(笑)。田中さんが何とおっしゃるかわからないけど。
小池:それで、相葉さんが初日から(台本を)持ってなかったらどうしよう(笑)。
相葉:僕、(セリフを覚えるのが)遅い方なので。入れようという努力はしますが。無理せずでいいと思いますよ。
ーーということなので、安心して稽古に入ってください(笑)。では、演じる役の印象もお聞きしたいのですが、今はどのようにそれぞれの役をとらえていますか?
相葉:素直なところもあるけれど、女々しい部分もあり、本当にごくごく普通の青年です。「こういう人いるよね」と納得してしまうようなキャラクターだと思います。その中で、自分の色を見つけて出していければと思いますし、もっと親和性を高めていけたらと思いますが、クレア役の夢咲さんとのお芝居の中で生まれてくるものがたくさんあると思うので、稽古がスタートしてから(役を)作っていくのかなと思います。きっと稽古初日と開幕する時では役の印象も変わってくると思うので、もがきながらそれを見つけていけたらと考えています。
小池:僕とウォーレンは、アーティストというところは一緒ですし、目指しているものも一緒だとは思いますが、ウォーレンはあまり先を見据えていない人物なのかなと思います。今、目の前にあることに、がむしゃらに泥臭く向かっていっている。そのがむしゃらさには、僕もそういう時期があったなと共感するところがあります。そんなウォーレンが、デイブと出会うことで少しずつ考え方も変わっていくというのがこの作品の面白さでもあると思うので、演じさせていただく僕もすごく楽しみにしている部分ですし、観てくださる皆さんにも楽しんでいただけるところになるんじゃないかなと思っています。
​(左から)小池竜暉、相葉裕樹
ーー2組のカップルが描かれる本作ですが、相葉さんは恋人・クレア役の夢咲さん、小池さんはデイブ役の斎藤瑠希さんと浜崎香帆さんの印象を教えてください。
相葉:まだお会いできていないのですが、お会いしたことがないからこそ、まっさらな気持ちでクレアとして見れたらいいなと思います。そこで化学反応が起きれば面白いと思いますし、稽古場でコミュニケーションをとっていければと。
小池:ミュージカルにたくさん出演されているお二人なので、僕も負けじと全力でぶつかっていきたいと思います。お互いの歌のぶつかり合いのようなものができたら楽しいんじゃないかなと。それから、それぞれが持っている空気感が全く違うと思うので、作品としても違うものが生まれると思います。
ーー小池さんは、舞台のお稽古も初めてのことだと思いますが、今、どんな期待や不安がありますか?
小池:稽古をしていく中で色々なものが変わっていくことがあるのかなと想像しているので、楽しみでもありドキドキもしています。セリフって変わることもあるんですか?
相葉:今回、脚色も演出の田中さんが務めていらっしゃるので、稽古をしていく中で、ちょっとした言い回しが変わることはあるかもしれない。演技レッスンはしたことあるの?
小池:演技レッスンもほとんどないんです。今、心配になりましたよね、僕で大丈夫かなって(苦笑)。
相葉:そんなことないよ。これほどまっさらな状態で演じるのはすごいことだから、きっと素直に何でも吸収していくんだろうと思うと、楽しみですね。
小池:スポンジのように何でも吸収していきたいと思います。
相葉:きっとこの作品でお芝居に対する印象が変わると思うので、大事な作品、大事な一歩になると思います。
ーー相葉さんは稽古場での過ごし方やルーティーンはありますか?
相葉:稽古前ですが……最近は、起きたらまずプロテインを飲んで、10分から15分、軽くトレーニングをして、少し声を出してというのが、普段の流れです。ですが、最近、引っ越したばかりで、あまり声を出せる環境ではなくなってしまって……(苦笑)、それが今の悩みでもあります。
​(左から)小池竜暉、相葉裕樹
ーー何とか、声が出せる環境になることを祈っています。ところで、今作は「自身のかけがえのない大切な時間」を探す物語ですが、お二人にとっての「かけがえのない大切な時間」を教えてください。
小池:実家に帰るということが、僕にとってはかけがえない大切な時間ですが、日常生活の中では、曲が出来上がった時やコーヒーを挽いている時や抹茶を立てた時、パスタを作ってうまくいった時とか……。
相葉:なにそれ、カッコ良すぎる(笑)。
小池:多趣味なだけです(笑)。お酒も飲めないですし、インドアタイプなので、家の中での趣味がどんどん増えていて……。でも、一番は家族の元に帰った時です。
相葉:僕は、友人と過ごす時間が楽しくてかけがえのない時間ですね。何か特別なことをするわけではないのですが、ご飯を一緒に食べたり、銭湯に行ったりするのも楽しいですし、仕事の疲れが癒やされて、リラックスできる時間です。そんな時は、仕事の話をすることは少なくて、他愛もない話をしていることが多いですが、それが自分にとってはリセットされる大切な時間なんだと思います。
ーーでは、劇中では、デイブとウォーレンが「夢」について語るシーンがありますが、お二人の「夢」は?
小池:グループとしての最終的な目標は、日本を代表するアーティストになるということです。ドームツアーをやりたいですし、スタジアムを埋められるようになりたいです。
相葉:僕は、日々、楽しく、笑顔で、健康でいられればいいなと。心身ともに。
ーーこの役をやりたいとか、こういう作品に出たいとか、そういう具体的な目標はあまり考えないタイプですか?
相葉:もちろんありますよ。ありますが、「夢」と言われると、それよりも心身健康でいないとなと(笑)。それがあった上での、役だったり作品だったりすると思うので、まずは毎日楽しく過ごしたいです。
ーー最後に、改めて本作の魅力と公演への意気込みをお願いします。
相葉:2月の寒い時期、人肌恋しい時期に、かなりエモい気分になりながら観ていただけると思います。目の前にある大切なものに改めて気づかせてくれる作品になっていますので、ぜひ遊びに来てください。濃密な時間を一緒に過ごしましょう。お待ちしてます。
小池:穏やかなストーリーではありますが、刺激的な部分もある作品になるんじゃないかなと思っております。日常に寄り添った物語なので、自分に置き換えて感じてもらえるところも多いですし、自分と重ねながら楽しんでいただければと思います。僕個人としては、初めてのミュージカル出演になりますので、その姿をぜひ見届けて欲しいです。俳優座でお待ちしております。
​(左から)小池竜暉、相葉裕樹
取材・文=嶋田真己     撮影=池上夢貢

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