cali≠gari V系とエイトビートの美
学を継承、“原点回帰”な多面的なポ
ップセンスが露わになった新作と未来
を語る

2023年で結成30周年を迎えるcali≠gariが、アニバーサリーイヤーのキックオフとなる新作『16予告版』を2023年1月18日にリリースする。追って届けられるであろうフルアルバム『16』への導入部となる本作には、メンバー3人がそれぞれに作曲を担当した新曲3曲を収録。奇形メルヘン時代を思わせる毒気とメロディアスな疾走感が同居する、このバンドならではの多面的なポップセンスが露わになった一枚となっている。

そんな『16予告版』の発表直後には、東名阪を回るツアー『cali≠gari TOUR 16 -The Case of the Invisible Crime-』もスタート。今回の新作の背景についてはもちろん、“原点回帰”がキーワードになるかもしれない(?)『16』の構想や今後のライブに向けた抱負も含め、3人に話を訊いた。
──今回の『16予告版』は、来年に控える結成30周年イヤーの第1弾リリースということになりますね。
桜井青(Gt):そうですね。去年は研次郎君(村井研次郎:Ba)の発案で『15予告版』を久々に出していて、あのときは最後に予告版を出した『第6実験室』からちょうど20年だったんですよ。で、今年はメジャーからの最初のリリースだった『第7実験室予告版~マグロ~』と『第7実験室』から20年なので、今度はスタッフから“当時のジャケとかオマージュしたらどうですか?”ってアイデアが出て。それで、「良心盤」のジャケのデザインは懐かしい感じのものにしてるんですよね。「狂信盤」のほうはエグい感じ(笑)。
──本作は、青さんが担当されたソリッドでエグ味の強い「狂う鐫る芥」、対照的にポップな仕上がりとなった研次郎さん作の「都市人」、石井さん(石井秀仁:Vo)作の「燃えろよ燃えろ」と、お三方の個性が並び立つ一枚になりました。
桜井:思いのほかアッパーな予告版になりましたね。ただ、詞の世界に関しては全然前向きじゃないんだよなっていう(笑)。石井さんの書いた「燃えろよ燃えろ」の歌詞を読んでいても、突き抜けてはいるんだけれど、諦め感みたいなものがあるっていうか。それは、「そのまんま、KISS」(2022年発表のシングル。同年のEP『A.B.C.』にも別バージョンを収録)のときも感じたんですよ。“死なないようになんとなく生きている”って、昔だったらこの人そんなこと書かなかったよな~と思って。
石井:みんなから心配されるようなことをね(笑)。
桜井:「夜陰に乗じて」(『A.B.C.に収録』)だってキレイに言ってるけど、“これ、どさくさにまぎれてどうしたいんだ?”っていう。不穏な空気感しかなくて、“大丈夫かな?”って。この手の曲も、昔だったら……例えば「ウォーキング!ランニング!ジャンピング!フライング!」(2013年)みたいな躁状態? “I can fly”みたいな、“よーし、飛んじゃうぞ!”みたいな感じでもないんですよね、今回の「燃えろよ燃えろ」は。石井さんもこの10年でいろいろあったのかなって、ジャケを作るときに歌詞を読みながら思っちゃいました(笑)。
石井:単純に、書き方が変わったんじゃないですかね。創作じゃなくて、自分の内に在るものを書いたりするからそういう感じになるというか。若いときには抉ってもたいしたものが出てこないけど、歳を取ってからのほうが説得力もあるだろうしっていうのがあるんでしょうね、きっと。
桜井: :作品の解像度みたいなものなんですけどね。石井さんの昔の作品って、歌詞も含めてすごく抽象的だったイメージなんですよ。絵で言うなら(ピート・)モンドリアンみたいな。でも最近のものは解像度が上がったというか、絵で言うと印象派みたいな感じ? 描いてるものが何なのかはわかるんだけどパッと見ボヤけてて……何を言いたいかわかります?
──ぼやっとしているけど、でも何について書いているかきっちりわかるということですかね。
桜井:言葉の使い方ひとつ取っても、圧倒的にわかりやすくなったぶん、ちょっと怖いっていう。
石井:言ってることはわかります。確かに怖いです(笑)。でも逆に、そういう表現や文章を読んで前向きになれるような人もいるじゃないですか、きっと。だいたいの人が死なないようになんとなく生きてると思うんですよ(笑)。
桜井:世の中、“俺たちがついてるよ! 元気に行こうぜ!”っていうよりも、“同じ痛みを感じてるんだよ、俺たちも”っていうほうが意外とウケたりするじゃないですか。今回の石井さんの曲はそういうのを地で行ってるんだなって最初にわかってればこちらもそれに沿った歌詞にしたのに、なんで突き抜けちゃったかなって。“これじゃ奇形メルヘンじゃん”って感じで書いちゃったから(笑)。僕は“30周年記念だし、なんとなく暗めのドロッとした感じのものを出したいな~”って感じで勝手に「狂う鐫る芥」を作って、それに合わせて2人もいい感じで作ってくれるのかなって思ったら、“どっちも突き抜けてるぅ~”って(笑)。
石井秀仁(Vo)
“都会”と“都市”を検索して違いを理解すると、青さんと俺の違いに似てるんですよ、すごく。(石井)
──(笑)今回はお三方が1曲ずつ手掛けていらっしゃいますが、「狂う鐫る芥」のようなサウンドを青さんが編曲されているのが意外でした。こういうアレンジは、これまでは石井さんが担当されていたような気がします。
石井:それは、打ち込みがすげえ入ってて、その打ち込みを俺がやってるからじゃないですかね。青さんのイメージはこういう打ち込みじゃなかったっぽいんだけど(笑)。
桜井:もっとドロッとしてた(笑)。
石井:俺は聴いて、ドロッとしてる感じがしなかったんですよ。ビートも結構スクエアだったから、初期のKMFDMみたいな感じで。
桜井:それで、できてみたらサウンド的にそんな感じだし、研次郎君のベースも“こんなスラップ久しぶり”って感じのものがドバッと入ってたから、自分はちょっと「-踏-」(2009年)ができたときみたいな感覚でいたんですよ。そういう意味では、“石井さんが作るような”って言ってる意味もすごくわかるんです。ただ、僕が最初にイメージしていたのはもっとゴスっぽい感じでしたね(笑)。
──仕上がったものはインダストリアルファンクといったような雰囲気ですね。
桜井:ですね。アルバムのほうはたぶん、さらにインダストリアル寄りのアレンジになってます(笑)。
──この曲、歌詞もかなりぶっ飛んでますよね。先ほどおっしゃっていた奇形メルヘン時代を彷彿とさせます。
桜井:呪いの曲だったので。呪いというか、最初の作りはもっと呪術的な感じだったのに、気が付いたらしっかりしたメロディーができちゃって、歌詞もあんなんなっちゃったからまあいいかなって。歌詞に関してはあんまり突っ込まないでくださいね。
──まあ、相当暴力的ですよね。文字にしづらいです(笑)。
桜井:“人はいつ死ぬかわからないから、気をつけよう”っていうね。
──えっ、そういう内容ですか?
桜井:そういうのも入ってますよ。
──そうなんですね。そこに、全体としては完全にタイトル通りといいますか、「狂う鐫る芥」=“cruel act”=“残虐行為”の数々が描かれていて。
桜井:そうそう。タイトルはもう当て字なので。詳しくは載せられないけど、プロパガンダに関わる残虐行為を調べる機会があったんですよね。日本でも名うてのエグい事件っていっぱいあるけど、それがもう裸足で逃げ出すぐらいのエグさで調べなきゃよかったっていう(苦笑)。
──そして、次の「都市人」はなんてお読みするんです?
桜井:80'sの読み方ですよ。あるじゃないですか、杏里の有名な曲が。「CAT'S EYE」の歌い始めは何ですか?
──“都会(まち)はきらめく passion fruit”?
桜井:ほら、そういうこと。
石井:その“まち”って“都会”じゃないの?
桜井:ほんとだ、“都会”だ(笑)。でも、“都市”で“まち”だそうです。
──ああ、“まちびと”ですか?
石井:そうです。最初は“都会”だったんだけど、“都会”で“まち”は青さんだなと思ったから“都市”にしたんですよ。“都会”と“都市”を検索して違いを理解すると、青さんと俺の違いに似てるんですよ、すごく。歌詞には関係ないけど、おもしろいなと思って。ちょっとgoogleで調べてみてください。
桜井:なんか、“都会”のほうがざわめいてたり、感情的な感じがしますよね。“都市”って空虚感があるというか、冷たいイメージ。遠くから俯瞰的に、客観的に見てるようなイメージがあるかな。
桜井青(Gt)
迷走してるなかで出来上がった曲っていうのはやっぱり、思い出深いんですよね。「嘔吐」だったりね。(桜井)
──“都会”と“都市”の違いは各自でググってもらうとして、そんな「都市人」は研次郎さんが作曲を、石井さんが作詞・編曲を担当されていて。
村井:ちなみに俺は都内です(笑)。ずっと都内人。だから都市とか都会とかそういういい表現はないんですけど、今回はなぜか秀仁君の曲と雰囲気がちょっとかぶちゃって(笑)。(アレンジのために)この曲を先に秀仁君に渡してたのに、秀仁君もポップなものを書いてたんですよね。なんでかぶったの?
石井:たぶん、もともとはかぶってなくて。この曲、元はBPMが215あったんですよ。すんげえ速い曲で、ドラムもツーバスでドコドコ鳴ってるような、そういう曲だったんですけど、それを俺が自分の曲と近いほうに寄せちゃったんですよね。BPMを10とか20ぐらい落として、そこからレコーディングの現場でもさらに5ぐらい落として。
──最初はもっとメタリックだったってことですか?
石井:ドラムに関しては。
村井:全部打ち込みで作ってるんですけど、ちょっとロックンロールな感じだったのかな?
石井:それにしても215って速いですよね(笑)。なんか、最初は落としどころが難しい、普通のバンドが普通にやってる曲っぽい感じがあって。それをcali≠gariでやるには何かしらの変換が必要だな、ただ、その変換の仕方は構成とかコード進行とかそういうものじゃないなと思ってたところで“ドラムをササブチ(ヒロシ)に頼みたい”って話が出たから、ちょっといなたいエイトビートをかっこ良く叩ける人だし、これはいいぞと。
──私が聴いた印象ですと、BOφWYにフュージョン味を加えた感じといいますか。
石井:間奏部分とかはそうですね。でも、研次郎君からの仮タイトルは「ZIGGY」でしたよ。
村井:ZIGGYは通ってないんですけどね。
──では、研次郎さんの思うZIGGYはBPMがとても速くて……。
石井:ZIGGYってどっちかっていうとゆっくりですよね(笑)。
村井:なんか、“これ”っていうのはないんですけど、イメージしたのはロックな感じですよね。最近は作り方を打ち込みに変えてて、ギター演奏のいいソフトを買ったんですよ。それにリフ特集みたいなのが入ってたんで、鳴らしながら楽しんで作った感じです。そしたらZIGGYの「I'M GETTIN' BLUE」って曲に似てたから、仮タイトルを「ZIGGY」にして秀仁君に送って。
──石井さんは原曲にZIGGYを感じました?
石井:なんとなくわかりました。曲は普通のポップソングですけど、ストレートなもの……できたものも十分ストレートだけど、そういうのをcali≠gariでやろうとすると結構悩むなっていう。エイトビートって青さんのイメージがあるから悩んじゃうんでしょうね。BPMが速いエイトビートなら、「スクールゾーン」とかああいう曲だったらイメージできるけど、それともまた全然違うものを研次郎君が出してきて、それを俺がいじって、それでこんな真っ直ぐな曲でいいのかなと思って。
──歌詞に関しては、「狂う鐫る芥」と同じくタイトル通りのことが書かれている感じですか?
石井:タイトル通りのことですね。
>>次のページは、ライブでの盛り上がりに期待が高まる新曲「燃えろよ燃えろ」について、そしてニューアルバム『16』とライブの構想について訊いています。
──タイトルを“まちびと”と読むんだなと思うとわかりやすいですよね。そしてラストは石井さんが担当された「燃えろよ燃えろ」。先ほど、“聴き方によっては元気づけられる人もいるかも”とおっしゃってましたが、こういうある種の大団円的な曲って、これまでは青さんが担当されることが多かった気がします。
桜井:そうですね。
石井:たぶん、そういう曲順だから大団円的に聴こえるんでしょうね。俺のイメージ的にはアルバムの1曲目でいいやって感じのもので、突然“ドコドコドコドコ! 燃えろ!”って始まったらおもしろいなと思ってたんですよね。フリっぽい感じで。
──“いきなりどうしたんですか?”って感じもありますけどね(笑)。
石井:“どうしたんですか?”っていうのは毎回思われてるから大丈夫です(笑)。
桜井:もうね、世良(公則)かと思いましたよ。
──(笑)先に青さん、研次郎さんの曲があったうえでのこの曲調なんですか?
石井:いや、違いますね。青さんが作ってるときと一緒ぐらいに作ったんで。
──では、特にバランスは考えずに。
石井:逆にバランスは取ったつもりだったんです。青さんがああいう感じの曲だったんで、俺は少し明るい感じのものにしようって。今回は予告版にすることが決まってたんで、カップリングとかじゃなくて、もう全部リードみたいな曲がいいのかなと思ってたら、青さんが“原点回帰”だとか“初期の頃を”ってことを言ってきて、もう遅いっていう(笑)。
──ちなみに、その原点回帰という意識は、『16』のほうには……。
桜井:入ってます。
──アルバムでは、石井さんと研次郎さんにも原点回帰で作ってもらおうかなっていう?
桜井:まあ、“暗め”とかそこまで気にしなくていいし、自由に作ってもらったらいいんだけど……そういうふうに考えて作ってもらうと発想を狭めちゃいそうで怖いから、頭の片隅にでもちょっと置いといてよって。こないだもちょっと話したんですけど、cali≠gariにおける原点回帰って、3人それぞれできっと違うんですよ。例えば僕が原点回帰って言ったら、やっぱり「嘔吐」とか「発狂チャンネル」ができたあたりなんです。こういう曲、他にないよなっていう。で、石井さんが入ってからのcali≠gariの原点回帰っていうとやっぱり「エロトピア」だったり、エログロみたいなああいう感じですよね。復活してからだと「─踏─」とかのイメージが強いし、僕のなかでは。
村井研次郎(Ba)
俺がcali≠gariに入ったときは青さん迷走してて。新宿の人が無理に下北へ行ってみようとしてた時期。(村井)
──ちなみに、研次郎さんは原点回帰って言われるとどのあたりを思い出しますか?
村井:うーん、俺は地理オタなんで、土地に例えて言うなら新宿とか下北とか。俺がcali≠gariに入ったときは青さん迷走してて、“ちょっと下北とかでやってみようかしら”とか言ってて。そこが原点かもしれないですね。新宿の人が無理に下北へ行ってみようとしてた時期。
石井:俺、その当時は青さんとの交流はなかったけど、響いてましたよ。俺も知ってましたもん、そういう活動してるのは。軍モノっぽい感じの時期ですよね?
村井:そうそうそう。ミリタリーっぽい格好だったり、なんとかしようとしてる感じ。
桜井:ただ、結果的にそういったもののなかからなぜか火が点いたんですよ。ときはまさに『Break Out』の時代で、メイクがすごく薄くなって、夢や希望があるようなV(系)が増えた時期なんです。そんななか、うちみたいな白塗りでスキンヘッドのボーカルがいて、血まみれで、みたいなバンドが受け入れられるわけがないんですよ。異端中の異端だったんですけど、でもそういったものが好きな人たちはやっぱり一定層いて、そこから口コミで、なぜか熱狂的に求められはじめたんですよね。特に『第3実験室』を出してから、倍々ゲームのようにお客が増えていったんですよ。あれはびっくりしました。
──いったん寄り道したものの、そこから本来の路線でリリースしはじめたらリスナーが増えたっていう。
村井:電車移動ならほんとに微々たる距離なんですけどね。JRか京王かで迷走してた(笑)。
桜井:その迷走してるなかで出来上がった曲っていうのはやっぱり、思い出深いんですよね。「嘔吐」だったりね。
──では、時代としては青さんと研次郎さんは合ってるんですね。石井さんはどうです?
石井:ま、「エロトピア」とかっていうところですね。
──そこも先ほどの青さんのお話通りなんですね。とはいえ、『16』にそのあたりが反映されるかはわからないってことでしょうか。
桜井:ただ、「狂う鐫る芥」はリフ発信でやってるから、「エロトピア」だったり「-踏-」だったりの系譜は感じますよね。あとは「都市人」と「燃えろよ燃えろ」はエイトビートじゃないですか。いま、こんなエイトビートのビートパンクをやるバンドって少ないですよね?
──そうですね。cali≠gariにはこれまでにもそういう曲がありましたけど。
桜井:うちはあえてやってるんですよ。だって、どんどんなくなってくんですもん。例えばBOφWYだったり、初期のBUCK-TICKだったり、PERSONZだったり、ああいうかっこいいエイトビートっていまホントにないじゃないですか。あれは文化としてなくしちゃだめだと思うんですよ。ロックを知った多感な頃を殆どエイトビートで過ごして、エイトビートの産湯につかって産まれたような今の自分にとって、ビートロックをやり続けるのは最早使命ですよね(笑)。
──そういったルーツ的な意味での原点回帰も含めて、今後どういう“原点”が出てくるかわからない感じですね。
桜井:現時点で出してる曲は、テーマ的に暗めの曲ばっかりですけどね。前作のときにも話しましたけど、50越えてからは終活、死についてずっと考えていて。前は、“死って何があるかわかんないし怖い”“空虚”“未知のものに対する畏怖”みたいな感覚だったのが、いまは、もうどうせ死ぬし、アトラクションみたいに捉えてるところがあるというか、“次のステージへの旅立ちだよね”っていうふうに思えてきて。ワクワクまではいかないけれど、少しだけ死に対しての希望を考えてみようかなって思うんですよ。
──生きるということは死に向かう行為であって、そういうことを書いてこられたのが石井さんだと思うんですけど、先ほどの話だと、そのあたりの石井さんの表現が最近心配だってことなんですか?
桜井:それもありますね(笑)。
──今回なら「燃えろよ燃えろ」とか。
石井:それも、どっちにも捉えられるんですよ。ライブフロアのお客さんに対して、“もっと盛り上がって、熱くなっていこうぜ”っていうような、そう捉えてもらってもいいし。
桜井:“燃えろ!”って言ったらみんなでジャンプしてもらいたいですね。
石井:結構そういうイメージはあるんですよ。だから1回、シンコペーションが入って、キメがあったりして。
──そういうライブでの機能もありつつ、結構投げやりじゃないですけど、もう生きてやれみたいな雰囲気もありますよね。そのあたりも、先ほどの表現の仕方が変わったからっていう?
石井:そうですね。上っ面ではホントにいろんなことを言ってきたんで、いまはもう、内側から出てくるものだったらおんなじ表現だとしてもいいと思うんですよ。ずーっと同じこと言ってるんだってなっても、自然とそうなるんだったらそれで構わないと思うんですよね。
──では、『16』でも燃えてるかもしれないですね。
石井:そうですね(笑)。何て言うんだろうな? cali≠gariだからそういうタイトルになるってところもあるじゃないですか。cali≠gariってバンドの特異性に、俺のそういう表現が引き出されてる感じがあるんですよ。普通のバンドでやってたら絶対そんなふうにはならないですけど、cali≠gariをやってると“燃えろ!”って言いたくなるんですよ。
桜井:(笑)。
石井:ただ、世良の“燃えろ!”と俺の“燃えろ!”は意味合いが全然違うんですよね。かといって悟りを開いちゃったわけでもなくて(笑)、そういうのとはもっと違う。俺がcali≠gariで言ってる“燃えろ!”(のニュアンスについて)はお客さんも慣れっこだろうし、普通に刺さるんじゃないですかね。
──“燃えろ!”に対するお客さんの反応が楽しみですね。『16予告版』のリリース後には東名阪ツアーも控えていますが、どういうライブにしたいですか?
桜井:ストイックなライブをやりたいです。最近はMCにも結構長く時間を取ってましたけど、そういうものではなく、曲はきっちりやっていながらも“え、もう終わりなの?”って感じるような、ギュッと凝縮されたライブ。本来のバンドの姿というかね、かっこいいcali≠gariを見せたいです。今回の3曲にこれまでのどういった曲を足していけばストイックな、かっこいいcali≠gariになるのか、セットリストを組み立てていくのも楽しみですね。

取材・文=土田真弓 撮影=菊池貴裕

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