さくらしめじ、年末恒例の忘年会ライ
ブ『きのこりあんの集い Vol.ラッキ
ー7』を開催

新世代フォークデュオのさくらしめじが、12月29日(木)に東京・大手町三井ホールにて、年末恒例となってる忘年会ライブ『きのこりあんの集い Vol.ラッキー7』を開催した。
田中雅功(たなか・がく)と髙田彪我(たかだ・ひょうが)からなるさくらしめじは、2014年6月14日に“ガク&ヒョーガ”として結成し、同年11月24日に現在のユニット名が決定。2015年12月29日に初のワンマンライブ『森のきのこの音楽会~さんきゅう2015、うぇるかむ2016~』を開催し、翌年からはファンの呼称である<きのこりあん>を冠にした『きのこりあんの集い』にタイトルを変更し、毎年同じ日に行う年末恒例の忘年会ライブとして定着。2019年末のオンラインライブを挟み、7年連続7回目となる今年も昼夜2公演を実施。トークコーナーや巨大な掛け軸への書納めなど、バラエティに富んだ内容ながらも、隔月ワンマンライブ「新種しめじの定期便」や夏のライブハウスツアーを含めて数多くのステージに立ち、歌とギターとハーモニーという原点を見つめ直してきた2022年の成果をしっかりと見せたライブとなっていた。
定刻になると、開演前から場内SEとして延々と繰り返し流されていたイヤーエンドソング「年越しそば」の音量が一段とあがり、客電が暗転。すると、フロアの後方から1部はスエットとパーカ、2部はモコモコのルームウェアに身を包んださくらしめじがアコギを抱えて登場。観客から驚きの声が上がるなか、ふたりは「みちくさこうしんきょく」のイントロをかき鳴らしながら、「みかん」「こたつ」「雪」「手袋」という冬の風物詩で東西南北に分けられた客席を練り歩き、フロア中央に設置されたステージに到着。こたつが設置された正方形の舞台にあがり、ライブの定番曲をさらに勢いよく歌い上げると、場内からは自然とクラップが湧き上がり、二人の心地の良いハーモニーに温かい拍手が起こった。
撮影: 松下奈生也
オープニングナンバーを歌い終えたところで、ギターを置いてコタツに入り、「年越そば」が「年越し蕎麦より、年越しは“きみ”のそばにいたいという曲」であると解説し、早くもSNSで募集したリクエスト曲が書かれた紙が入ったボックスからランダムで引いた楽曲を披露する<リクエストコーナー>に。1部では、デビュー前から路上ライブで歌ってきた「まよなかピクニック」「えそらごと」を引き当て、ファンの要望通りにキラキラの笑顔でぴょんぴょんと飛び跳ねながら爽やかに歌唱。2部では思春期の悩みを綴った「かぜいろのめろでぃー」でありのままでいる大切さを伝え、「せきがえのかみさま」では、曲名発表だけで待望の歓声が上がるなか、彪我が久しぶりにタンバリンを首にぶら下げてパフォーマンス。曲の途中で、中学生の頃のようにマイクを交換して歌おうとしたが、現在は身長差がついており、雅功が彪我のマイクに届かずに、座布団を積み上げて歌うことになってしまい、観客の笑い誘う場面もあった。
撮影: 松下奈生也
再びコタツに戻ると、透明のボックスからトークテーマが描かれたカラーボールを引いく<ドキドキ!トークテーマBOX>と題したトークコーナーに突入。1部では「今年一年のマイブーム」というテーマで雅功が昭和の少年マンガ「史上最強の弟子ケンイチ」やスマホゲーム「キャンディクラッシュ」をあげると、彪我は「ナゾ趣味多いね」とポツリ。一方の彪我は「お正月ルーテーンを教えて」という質問に対し、「年明けに家族と甘酒と豚汁を飲む」と返答。2部では、ファンから髪を染めることを否定されている彪我が、もしも相方と入れ替わったら、「雅功のように髪を染めてみたい」と懇願。雅功は、観覧にきている家族の目を気にしながら、「どこにも出回っていないスベらない話」として、おっちょこちょいの母親のエピソードを披露して、大きな笑いと拍手をもらった。
続いては、例年の「ヒットソングメドレー」に変わり、オフィシャルYouTubeチャンネルで人気のカバー動画「しめカラ」を集約した「しめカラメドレー」を披露。1部では、二人が尊敬する先輩グループであるDISH//の「沈丁花」からはじまり、ピンクレディー「ペッパー警部」やPuffy「アジアの純真」、あいみょん「ハート」を経て、スキマスイッチ「全力少年」と繋ぎ、2部ではボカロPのDECO*27「ヴァンパイア」やH2O「思い出がいっぱい」もカバー。この二人でしか成しえないハーモニーとギターのアンサンブルを響かせて場内を盛り上げた。
そして、再びリクエストに応え、1部では淡い初恋を描いた「きみでした」のあと、ガク&ヒョーガ時代から歌っている「さんきゅう」を原キーで元気よくパフォーマンス。2部では歌い続ける覚悟を込めた「朝が来る前に」をパワフルにエモーショナルに歌い上げ、「ふうせんはなび」は急遽、その場で夏の単語を冬に変えながら歌い、この日だけのスペシャルバージョンが誕生した。
撮影: 松下奈生也
毎年恒例となっている“書き納め”では、1部のお題<今年を総括したひと言>に対して、彪我は<「さくらしめじVSな年」>と記し、「ONE’ N ONLYのEIKUくんをはじめ、様々なコラボを繰り広げた一年だった」と振り返った。雅功は<まだ〇〇歳なの!? ラストの年>と発表。中学生から歌ってることもあり、「まだ〇〇歳なの!?」と驚かれることも多かったが、ともに20歳を超えた今年が最後の年なんじゃないかと語り、「また新たなるステージに向かうという意味も込めて」と付け加えた。2部では<来年の目標>を発表。彪我は、ラッパーのように韻を踏みながら<健康 しかも抵抗>と発表し、「自分に対して健康でありたいし、自分の殻を破って、いろんなことにチャレンジしていきたい」と宣言。さらに、<けん・こう>と<てい・こう>を反転させ、「いろんな人の意見を“肯定”し、社会に“貢献”していきたいという願いも込めてる」と解説。雅功は二十にバツをつけて<(二十)一年目。>と掲げ、「さくらしめじとしては、あのときの気持ちを忘れずに、一年目の気持ちで新しい一歩を踏み出したい」と宣言し、二人で「来年も頑張っていきましょう」と声を揃えた。
最後のブロックを前に、雅功は「今年の僕たちを支えてくれた曲です」と紹介し、各部に分けて、ひらめとコラボした「ストーリーズ」に続いて担当した、泉里香の主演の真夜中ドラマ「高嶺のハナさん2」のOP主題歌とエンディグテーマを歌唱。1部では、雅功がメインで歌う主題歌「simple」で憧れの人への無邪気で儚い恋心を弾むように表現し、2部では彪我がメインのエンディングテーマ「ブルースター」を切々と歌い上げ、会場を幸せな空気で包み込んだ。
そして、2公演ともにエンディングを飾ったのは、今年4月に開催した音楽劇『春しめじのお花し 二冊目』で生まれた、別れと再会への希望を込めたメッセージソング「辛夷のつぼみ」だった。2部では歌う前に、雅功が「中2でさくらしめじを組んで、兄弟のように育ってきた。本当に組めて良かったなと心から思ってます」と彪我に感謝の気持ちを伝えた。最後は、こたつを挟んで向き合い、<立ち止まるな/足を止めるな/前へ前へ>というフレーズを笑顔でぶつけ合い、二人で「良いお年を!」と声を上げて、2022年の集大成と位置づけた忘年会を締め括った。雅功の掛け軸はもちろん、自分たちのペースで自分たちの道を歩いていきたいという願いを込めた「みちくさこうしんきょく」から始まり、遠回りでも歩き続けようと誓い合う楽曲で締めるセトリからも「まだまだ二人で歩みを止めずに進んでいく」という二人の新たな決意を感じ、2023年の飛躍を期待させるライブとなっていた。
撮影: 松下奈生也
なお、「きのこりあんの集い」は、2023年からファンクラブイベントとして開催することが決定。この日はプレイベントとして、各部の本編終演後にFC会員限定のミニファンミーティングも行った。また、終演後には2023年3月からキャリア史上最多となる全国21箇所25公演に及ぶツアー「さくらしめじ 桜TOUR 2023 <早春>」の開催を発表した。
原稿:永堀アツオ
写真: 松下奈生也
セットリスト
■1部
M1:みちくさこうしんきょく
M2:まよなかぴくにっく
M3:えそらごと
M4:カバー曲メドレー
M5:きみでした
M6:さんきゅう
M7:simple
M8:辛夷のつぼみ
■2部
M1:みちくさこうしんきょく
M2:かぜいろのめろでぃー
M3:せきがえのかみさま
M4:カバー曲メドレー
M5:朝が来る前に
M6:ふうせんはなび
M7:ブルースター
M8:辛夷のつぼみ

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